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人間 vs. AI:サポート業務の適材適所を考える

発行日: 2020年5月29日
最終更新日: 2020年5月29日

「人間の仕事がロボットに奪われている」という、人々の不安をあおるような話を耳にすることがありますが、それはあまり正しい表現ではありません。むしろ「自動化されるべき仕事を、ロボットすなわちAIが引き受けてくれるようになった」と言った方が適切でしょう。

人間が行う業務のうち、ルーティン業務をロボットに任せるというのは、AIの理想的な使い方です。しかし忘れてはならないのは、こうしたテクノロジーの進化に合わせて、人間によるサポート業務も進化させるべきだということです。そこで視野に入ってくるのが、ナレッジ中心型企業への転換です。各サポート担当者が蓄積してきたあらゆる知識を集約し、それを社内全体で活用できるようにするのです。そうすることで、より効率的かつスピーディにビジネスを運営、拡張できるようになります。

ここで銀行のATMを例に取り上げてみましょう。ATMが一般に普及していくにつれて、銀行業界はどのように変化したでしょうか? 実は、銀行の窓口係の役割に変化が見られました。現金の取り扱い業務が減った分、窓口係は顧客との長期的な関係作りに力を注げるようになったのです。窓口で顧客に対応することに変わりはありませんが、銀行の顔としてより複雑な業務に携われるようになりました。

そして今、これと同じようなことがカスタマーサービスの分野でも起きています。自動化の方が簡潔でスムーズに対応できる場合もありますが、まだまだ人間の手が必要なケースもあります。たとえば、配送関連の問い合わせなら、基本的にはヘルプセンターで解決できますが、問題が込み入っている場合は、人間が介入して丁寧にやり取りした方が適切です。

こうしたサポート方法の変化は、カスタマーエクスペリエンスに大きな影響を与えますが、サポートを提供する側にも大きな影響があります。新しいワークフローやテクノロジーを取り入れて、サポート対応の効率化や業務環境の改善を図るには、次のポイントを頭に入れておく必要があります。

自動化が成功への近道とは限らない

サポートチームのリーダーは、担当者の顧客満足度スコアを引き上げることに目を向けがちですが、サービスの一貫性のなさが顧客のストレスの原因になり得ることも忘れてはなりません。単にサポートを簡素化するだけでは成果につながらないのです。成功のカギは、サポート予算を賢く使うことです。何から何まで切り捨てていくと、サポート内容が乏しくなるだけで、それは効率化とは言えません。盲目的にスリム化を目指すのは間違いということです。

実際、人間のサポート担当者による対応をチャットボットに置き換えても、すべてがうまくいくわけではありません。機械的な対応が原因で、これまで会社が顧客との間に築いてきた信頼や人間関係が失われてしまう可能性があります。そこでお勧めしたいのがスマートナレッジベースの導入です。チャットボットが組み込まれたナレッジベースを活用することで、サポート担当者は適切なヘルプセンターのコンテンツを瞬時に確認し、スムーズにチケットを解決できるようになります。

アジャイル型の開発プロセスで、高品質でスピーディなセルフサービス型サポートの提供が可能に

テクノロジーの力でサポート担当者を効果的に支援し続けるには、プロセスを刷新することも重要です。Zendeskベンチマークで収集した50,000社のカスタマーサービスデータを調べたところ、成功している企業はアジャイル型の反復的なアプローチでセルフサービス開発を行っていることがわかりました。アジャイル型アプローチの大きな特徴は、サポート担当者にコンテンツ作成プロセスにかかわってもらうということです。そうすることで、コンテンツの内容とサポート担当者が実際に行っているサポート内容の擦り合わせが可能になります。

その架け橋として期待されているのが、AIと機械学習です。AIと機械学習によってルーティン業務を自動化できれば、サポート担当者はさらに多くの時間をナレッジマネジメントに費やせるようになります。

KPIを見直す

サポート担当者の役割が変われば、その成功を測る指標も変わってきます。これを機に「サポート部門はコストセンター」というこれまでの古い考え方から脱却し、未来に向けて新たな成功指標を打ち出しましょう。特に「チケット削減率」と「問題解決時間」の2つの指標には大きな変化が見られるはずです。

多くの企業では、チケット削減率は引き続き重要な指標となります。この指標は、ヘルプセンターやナレッジの管理が進んでいく中で、今後も確実に追跡されるものです。しかし、顧客に適切な検索結果が表示されているかどうかを確認するには、バウンス率やページビューなどのエンゲージメント指標を重視する必要があります。ヘルプセンターが顧客を効果的にサポートできているかどうかを判断したり、どの担当者がどのタイミングでヘルプセンター記事を作成・編集すべきかを検討したりする際は、これらのエンゲージメント指標が重要な意味を持ちます。

一方、Harvard Business Reviewの2017年の記事によると、顧客によるセルフサービスの利用が進むにつれて、問題解決時間は短くなるどころか、長くなる可能性があると言います。と言うのも、顧客が直接問い合わせてくる問題は難易度を増すうえ、それに1件ずつ丁寧に対応していくと時間もかかるからです。そこで、未処理のチケットが溜まってしまったときに役立つのがZendeskのスピード解決です。スピード解決を実装すると、顧客がヘルプセンターの記事で問題を解決できた場合に、顧客が自分でリクエストをクローズすることができます。これによりサポート担当者の負担が減って、複雑な問題に時間をかけられるようになります。また、機械学習を組み込んだエージェント用Answer Botのようなテクノロジーを利用すれば、ナレッジベースから関連度の高い記事が表示されるため、サポート担当者はすばやく適切にチケットを解決できるようになります。

指標の尺度というのはそれぞれに異なります。ある指標がビジネスの成功を示している一方で、他の指標は改善を促しているということも珍しくありません。だからこそ、あらゆるチャネルでの顧客とサポート担当者のエクスペリエンスをくまなく把握することが重要となってきます。指標と同じく、AIも万能ではありません。適切な導入方法と展開方法を見極め、戦略とテクノロジーをうまく結びつけて、成功に向けて常に先手で動くことが大切です。

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