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急速に進化するAIがカスタマーサービスにもたらす劇的な変化とは

更新日: 2024年2月22日

カスタマーサービス向けの人工知能(AI)には劇的な変化の時がすぐそこまで近づいており、わずか数年のうちにティッピングポイント(転換点)を迎えるだろうと、この分野のエキスパートたちは予測しています。Zendeskパートナーでもある、GuruのRick Nucci氏、AdaのMike Murchison氏、DigitalGeniusのMikhail Naumov氏といったエキスパートたちの予言が正しければ、今後AIによってカスタマーサービスチームの業務は大きく変わり、その影響は世界中の企業に広く波及していくでしょう。

コールセンターにおけるAI活用の実践書『AI Is My Friend(AIは僕の友達)』の著者でもあるNaumov氏は、次のように述べています。「サポートチャネルの種類を増やしてほしい、いつどこからでも問い合わせられるようにしてほしい、多言語に対応してほしいなど、迅速で良質なサービスへのニーズは高まるばかりです。ますます大きくなる顧客の期待に応えようと、企業は最適なテクノロジーを整備する方法を模索しています」

そして、こうした動きはほんの序章にすぎないというのが、Naumov氏、Murchison氏、Nucci氏の共通の見解です。この記事では、3名のエキスパートが予測した、今後数年のうちに見られるトレンドをいくつかご紹介します。

AIによって人的要素の重要性が改めて浮き彫りに

カスタマーサービスにAIを導入することで、サポート担当者はワンランク上のサービスの提供に注力できるようになるとNucci氏は話します。「優れた企業なら、良質なサービスこそが差別化のカギだと気づくはずです。今日、カスタマーサービスエクスペリエンスの人的要素が大きく注目されるようになり、サポート担当者が顧客に魅力的なエクスペリエンスを提供できるよう、業務環境を見直す動きが進んでいます。5年後に現在のサポート担当者の仕事を振り返ったら、1日の使い方があまりにも違っていて驚くでしょう」

Nucci氏によると、AIのメリットはこれだけにとどまりません。既に数多くの企業から報告されているように、AIによって自動化やナレッジベースの拡充を進めれば、時間の節約にもつながります。

自動化の重要性が拡大

自動化(よく寄せられる質問に対し、その回答が記載されたセルフサービスコンテンツを自動で提示するチャットボットなど)の導入率がカスタマーエクスペリエンスの満足度に結びついていることは、多くの企業が認識しているところです。Murchison氏は次のように述べています。「顧客ファーストの企業は、カスタマーエクスペリエンスソフトウェアを新たに購入する際、高度なサポートが必要になったときの待ち時間をどのように削減するか、問題解決時間を短縮するにはどうすればよいかといった点を検討します。大切なのは、サポート担当者よりも、ユーザーのエクスペリエンスを重視することです。自動化のメリットがよく知られるようになった今、顧客側も自力で手早く問題を解決できるツールを求めています」

問題やチケットの「削減」ではなく「完全解決」ツールの需要が増加

「チケット削減ツールを使えばチケット数を減らせると考えている企業は少なくありませんが、実際は顧客の課題を先送りしているに過ぎません。というのも、大半の顧客は再度サポートを求めて、結局チケットを作成しているからです。こうなると、顧客の企業やブランドに対するイメージは悪化の一途をたどってしまいます」(Naumov氏)

自動カスタマーサービスの専門チームが登場

近い将来、自動カスタマーサービスのチームが一般的になり、各企業でAIを駆使してカスタマーサービスの継続的な改善に取り組む専任のグループが編成されるようになるでしょう。このチームは、カスタマーサービス部門によるAIの有効活用を後押しする社内サポートの役目を果たします。Murchison氏によると、このチームの目的は、AIを使ってカスタマーエクスペリエンスの強化と業務効率の改善を実現することであり、メンバーに技術的な知識は問われません。

こうした動きが現実になりつつあることは、調査会社Forresterの調査結果でも裏付けられています。Forresterのバイスプレジデント兼リサーチディレクターを務めるDaniel Hong氏は、次のように話します。「AI主導のカスタマーサービスやセールスプログラムを成功させるには、AIをあくまでもツールの1つとして取り入れるという認識でプロセスを進めることが重要です。AIを最適化し続けるには、人間の介入が不可欠なのです」

地球上のあらゆる企業が何かしらの機械学習ツールを導入

こうしたトレンドを踏まえ、Naumov氏は、カスタマーサービスは事前対応型のスタイルにシフトしていくと予測します。「問題が発生してチケットが作成されてから動き出すのではなく、機械学習によって先回りで問題に対処できるようになれば、ブランドロイヤルティが向上します」

AIを活用して、良質な事前対応型のカスタマーエクスペリエンスを構築する方法については、こちらをご覧ください。

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