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CXの評価に欠かせない10のKPI(指標)

この記事でご紹介するKPIを活用すれば、CX施策の成果を数値化して、顧客の期待にどれだけ応えられているかを確認できます。

更新日: 2023年2月3日

CX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)に関連する主要業績評価指標(KPI)は多岐にわたっており、あまりの数に圧倒されそうにもなるでしょう。CXをどう向上させるか、どのようにビジネスの成果につなげていくのかを検討する際には、企業が掲げる目標やカスタマージャーニーの個々の段階に沿ってエクスペリエンス全体を分解し、細かく分析することが効果的です。そうすれば、達成したい目標を見据えながら、自社の業績評価に適したKPIを判断できるようになります。

たとえば、CX戦略が「アトラクション(惹きつけること)」「エンゲージメント(関係を強化すること)」「リテンション(定着させること)」の3つの側面に分けられる場合には、手始めに以下のKPIでの業績評価を検討することをお勧めします。

測定すべき10のカスタマーエクスペリエンスKPI

  1. チャーンレート(解約率)
  2. ネットプロモータースコア
  3. 顧客満足度
  4. 平均解決時間
  5. 顧客獲得率
  6. コンバージョン率
  7. カート放棄率
  8. マーケティングキャンペーンの効果
  9. ダイレクトトラフィック
  10. 平均ページビュー数

カスタマーリテンション = 顧客を定着させる

1. チャーンレート(解約率)

一定期間内にサービスの利用を停止した顧客の割合を、チャーンレートと呼びます。チャーンレートを抑えることは、既存顧客の維持と収入源の拡大へ向けた第一歩です。チャーンレートが低ければ、サービス水準に対する顧客満足度の高さ、CXの質の高さ、顧客カスタマーロイヤルティの高さが伺えます。チャーンレートに影響する重要な要素の1つに「顧客努力指標(CES)」があります。これは、購入や返品などの手続きが顧客にとってどれだけ簡単か、または難しいかを測るものです。こうした指標に常に目を光らせておくことをお勧めします。

2. Net Promoter Score

ネットプロモータースコア℠(NPS)は、企業がどれだけ顧客に支持されているかを評価するうえで必須の指標です。NPSが低いなら、企業に対する顧客の見方をがらりと変えるための取り組みを考えなくてはいけません。VoC(Voice of Customer:顧客の声)プログラムの実施は、顧客の意見を製品やサービスに反映し、NPSを向上させるうえで、効果的な出発点となります。NPSは、顧客維持率に大きく影響する重要な指標です。

3. 顧客満足度

顧客満足度(CSAT)もCX指標の1つで、多くの場合、エクスペリエンスの種類別に測定します。CSATの高さは、顧客中心の文化を醸成できていること、そしてそのエクスペリエンスが顧客の期待に応える、または期待を上回るものであることを示しています。ZendeskとESGが実施した調査では、顧客満足度の高い企業は顧客維持率も高くなることが明らかになっています。

4. 平均解決時間

サポート担当者が顧客の問題を解決するために費やした時間の平均値であり、カスタマーサービスに関するKPIです。この指標は顧客満足度に直接関係し、チームの効率を反映しています。ZendeskのCXトレンドレポート2023によると、消費者の52%は、企業に問い合わせる際、すぐに誰かとつながりたいと考えており、数回のクリックやタップで連絡が取れることを期待しています。このデータからも顧客が問題解決のスピードを重視していることがわかります。

カスタマーエンゲージメント = 顧客関係を強化する

5. 顧客獲得率

バイヤージャーニー全体を通して優れたエクスペリエンスを提供できれば、見込み客との関係が深まり、購買の意思決定を後押しできるようになります。顧客獲得率が高いほど、マーケティングキャンペーンやセールスキャンペーンの投資効果が高く、新規顧客を獲得できていると判断できます。

6. コンバージョン率

CXは購買プロセスにおいて非常に重要です。バイヤージャーニー全体のエクスペリエンスを最適化することで、あらゆるタッチポイントにおけるコンバージョン率を引き上げられます。コンバージョン率が向上したなら、それはつまり、CXの効果によって見込み客がバイヤーファネルを順調に前進しているということです。

7. カート放棄率

Baymard Instituteによると、カート放棄率は平均68.53%にものぼります。その背景としてはさまざまな理由が考えられますが、CXを刷新するだけでも大幅に改善できるはずです。たとえば、疑問が解消されないせいで見込み客が購入を中断しているようなら、決済ページにチャットボットを配置したりメッセージング機能を埋め込んだりして、その場で簡単に問い合わせができるようにするとよいでしょう。カート放棄率の低下は、配慮の行き届いたCXが実を結んだことを意味し、リピーターの獲得や売上の増加が期待できます。

カスタマーアトラクション = 顧客を惹きつける

8. マーケティングキャンペーンの効果

このKPIを見れば、特定のマーケティングキャンペーンの投資収益率(ROI)が明らかになり、企業全体の成長率を評価できます。現代のマーケティングにおいて重要なのは、単に広告を出すことではなく、顧客の声をビジネスに反映させ、ニーズを満たすことです。マーケティングキャンペーンの効果が高いほど、より優れたCXを実現していると言えます。

9. ダイレクトトラフィック

ダイレクトトラフィックとは、トラフィック促進を目的とした企業の活動とは関連しない、何らかの操作で発生したトラフィックを指すCX指標です。ブランド認知度と密接に関係しており、ダイレクトトラフィックを分析すれば、将来の成長につながるヒントを見つけられます。

10. 訪問別ページ数

訪問者がWebサイトにしばらく滞在し、いくつものページにアクセスしているなら、サイト上のコンテンツが訪問者にとって関連性が高く、興味を持てる内容だということです。訪問者の関心をそがずに、ブランドや製品についてもっとよく知ってもらうには、サイト上のCXを改善することが一番の方法になります。

CXの価値を正しく評価し、投資を進める

CXトレンドレポート2023によると、日本の消費者の37%が、すべての接点でシームレスな顧客体験を提供する企業から、より多く購入すると回答しています。これを踏まえれば、顧客を惹きつけ、関係を強化し、定着させるために、企業がCXプラットフォームへの投資を拡大しているのも当然の流れと言えます。そして、CXの改善に相当な予算を割り当てている企業では、取り組みの成果を測定する手段が必要になるはずです。

CXの最適化戦略を評価するうえで、どの企業にも使える万能な方法は存在しません。さまざまな指標を組み合わせて包括的に分析することが、一番効果的な方法だと言えそうです。繰り返しになりますが、自社の目標を踏まえて、測定するべき指標を検討しつつ、まずは今回紹介した基本的なKPIからスタートしてみることをお勧めします。CXの測定や分析に役立つヒントは、こちらの記事で紹介しています。

Net PromoterおよびNPSは米国の登録商標であり、Net Promoter ScoreおよびNet Promoter Systemは、Bain & Company, Inc.、Satmetrix Systems, Inc.、Fred Reichheldのサービスマークです。

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