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顧客アンケートの効果的な活用方法

この記事では、顧客に負担をかけることなく効果的に顧客アンケートを実施して、フィードバックを活用する方法をご説明します。

更新日: 2024年2月24日

今日、たいていの企業は顧客アンケートを実施しています。サポートの電話を終えたら、顧客にどんな体験だったかを評価してもらっている企業も珍しくありません。また、企業のWebサイトには、製品アンケートに記入してもらうための懸賞やキャンペーンが広く利用されています。

長いアンケートの場合、最後まで回答する人はわずか9%に過ぎません。およそ70%は「途中で記入をやめた」と答えています。

世の中は顧客の反応を知りたい企業からのフィードバックの依頼で溢れています。「アンケート疲労症候群」ともいえるような、アンケートに答えることに倦怠感と腹立たしさを感じるようになっている顧客も数知れません。実のところ、顧客が疲労感を抱いていることで、アンケートに対する回答率と回答の質が落ち込んでいます。Customer Thermometerによると、「長いアンケートの場合、最後まで回答する人はわずか9%にすぎない」といいます。 およそ70%は「途中で記入をやめた」と答えているそうです。

もし大半の人が顧客アンケートに嫌気がさしているのだとしたら、それでも企業はアンケート調査を続けるべきなのでしょうか?

答えは「イエス」です。ただし、顧客の体験に配慮したアンケートにすることが条件です。

顧客アンケートとは

顧客アンケートとは、消費者からフィードバックを得るためのひとつの方法です。企業はアンケートを顧客満足度の評価、市場調査の実施、期待感の把握に役立てています。

この情報があれば、顧客が何を大切に感じているのか、行動の裏に隠れた動機を調べることもできます。何が決め手になって顧客は継続的な購入を決めているのでしょうか?あるいは購入を止めるのでしょうか?こうした理解を踏まえて製品を向上させていけば、やがてはブランドの発展にもつながっていきます。

アンケートは企業にしか恩恵をもたらさないわけではありません。顧客をアンケート攻めにしないように企業側で配慮すれば、顧客もフィードバックのチャンスを与えられることには好意的です。Microsoftのレポートによれば、消費者の89%は企業から意見を聞いてもらいたいと考えているそうです。顧客は、アンケートの実施を、顧客の意見に進んで耳を傾け、顧客から学びたいと思っている企業の姿勢の表れだと受け止めます。

顧客満足度アンケートをうまく活用すれば、真に顧客の喜びを高めようと努力する企業の誠実な取り組みになります。

顧客アンケートを活用すべき理由

意見を聞くために顧客を苛立たせることは、企業にとって本望ではありません。顧客に送るアンケートの数を調整することが鍵になります。

このバランスを見いだす努力は価値のある取り組みです。顧客アンケートが企業にとって大いに意義のある情報をもたらすことは、データにも表れています。Gartnerによると、前年比で成長している企業の80%は、顧客アンケートを実施して顧客体験のデータを収集しているといいます。一方で、成長が見られない企業の場合、顧客アンケートを活用しているのは58%にすぎません。

前年比で成長している企業の80%は、顧客アンケートを実施して顧客体験のデータを収集しています

アンケートに協力することを非常に嫌がる人が多い反面、Microsoft によると、消費者の77%は、顧客の意見を求めて、フィードバックを受け入れるブランドのことを好意的に見るそうです。

それでは、企業として、どうすれば顧客に不快感を与えずにフィードバックを求められるでしょうか?

これは、そもそもアンケートをどう位置づけるかにかかっています。アンケートのことをデータ収集のための義務的な活動と捉えるのではなく、有意義な体験を作り出して顧客との関係を深めるチャンスと考える姿勢をもつようにしましょう。

顧客に喜んで記入してもらえるアンケートの作り方と8つの実例

アンケートを作成する時は、顧客の身になって考えて、できるだけ楽しく記入できるデザインにしましょう。顧客重視のアプローチを取ると、アンケートに回答してもらいやすくなり、なおかつ揺るぎのないブランドイメージを守れます。

1. 目標を明確に定める

アンケートから最大の価値を得るためには、顧客の意見から何を学び取りたいのかを明確にしておく必要があります。

まず、 顧客体験のどのタッチポイントの改善を狙うかを決めましょう。 例えば、リテンションレート(顧客維持率)の向上やヘルプセンターの改善といった具合です。

1つの問題に焦点を当てるようにしましょう。視点を狭めると、生産性を維持しやすくもなります。複数の課題について同時にフィードバックを集めて改善に繋げるのは、非常に大変です。

アンケートの方法は目標に応じて決めるようにしましょう。 どんなフィードバックを得たいかに応じて、適切な種類のアンケートを選択すれば、狙った点についての意見が得られるはずです。

  1. 顧客満足度 (CSAT) 評価
    サポートに問い合わせた顧客がどれくらい有益な体験だったと考えているか、または顧客が製品やサービスにどの程度満足しているかを評価します。
  2. NPS(Net Promoter Score℠、ネット・プロモーター・スコア)アンケート
    顧客が製品やサービスを友人に薦める可能性の高さを評価します。
  3. チャーン(解約時)アンケート
    顧客がサービスを解約する理由を理解するうえで役立ちます。

顧客にフィードバックを求める方法は他にもいろいろあります。詳細については、顧客のフィードバックの種類と収集方法をご覧ください。

2. 誤解を誘わない中立的な内容の質問にする

Pew Research Centerによれば、アンケートで得られる情報の質は、質問しだいといいます。

いくら回答率が高くても、あいまいで偏った内容の質問になっていては、得られた情報は役に立ちません。効果的なアンケートにするためには、適切な質問を使うだけでなく、記入意欲を高めるようなアンケートにまとめる必要があります。

この点を念頭に置いて、一読しただけですぐに理解できる書き方で、回答を誘導しない質問にすることを目指しましょう。アンケートで使う質問がこのチェックリストの条件を満たしているかを確認することをお勧めします。

  • 誤解される可能性はあるか? 質問を読んだ時に複数の解釈ができる書き方になっていたら、別の書き方にするべきです。意図する意味がしっかり伝わる表現を選ぶようにしましょう。
  • 混乱を誘う用語が使われていないか? 中学2年生レベルの読解力で理解できる書き方を目指すとよいでしょう。専門用語は避けて、わかりやすい言葉だけで書くように心がけるとよいでしょう。
  • どんな前提で質問をしているか? 自分の先入観が透けて見えるような書き方になっていないかに注意してください。一般論にならないように、客観的な言葉を用いるようにしましょう。
  • 反感を買う言葉を使っていないか? 言語は進化しています。人びとが新しいアイデンティティを見いだした時にも、表現方法が変わります。質問を書く時はそのコミュニティで標準的に使われている言い回しを使うようにしましょう。
  • 含みのある言い回しや偏った選択肢になっていないか? 顧客の意見を正しく反映しない回答を強いる質問になっていたら、中立性を欠く表現や不要な言葉を省くようにしましょう。
  • 個人的過ぎる質問と受け取られないか? 回答者に不快感を与えたり、きまりの悪い思いをさせたりする可能性がある質問の場合は、言い回しを工夫する必要があります。標準的な質問だと思ってもらえる言い回しにするか、回答者にとって受け入れられる尋ね方になるようにしましょう。意見を聞いているのか、一般論を尋ねているのかをしっかり区別することが大切です。

具体的な質問内容について、ヒントが必要ですか?顧客アンケートで活用できる質問をまとめた、こちらの記事もご覧ください。

3. 使いやすいチャネルでアンケートを送る

わざわざ苦労してまでアンケートに記入してくれる顧客はいません。アンケートの送付にどのチャネルを使うかを戦略的に検討することで、できるだけ簡単に顧客が内容のある回答をできるようにしましょう。

顧客が製品やサービスについて考えているタイミングで意見を求めるのが効果的です。

  • 製品内: デジタル製品の場合は、顧客が一定期間使用したタイミングで自動的にアンケートを表示するよう設定できます。それ以外の製品の場合は、パッケージにアンケートのお願いを同梱するのもひとつの方法です。

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  • Webサイト: 1つか2つの質問に絞ったアンケートを用いれば、訪問者がWebサイトについてどう感じているかを理解できます。そのページのパフォーマンスを評価してもらい、改善すべき点がないか質問するとよいでしょう。

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  • メール: 企業からのお願いに積極的に協力してくれる顧客には、アンケートを直接メールで送信してもよいでしょう。メールでアンケートを送る際のヒントについては、MailerLiteのこのページが役に立ちます

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  • テキストメッセージ: SMSでアンケートを送ると、顧客は対話の中で便利にすばやく自分の体験を評価できます。SMSを使ったアンケートは、調査プラットフォームを用いて送信できます。

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テキストメッセージとメールのアンケートを併用すると、回答率が上がります。Gallupの調査によると、アンケートの送信にメールテキストメッセージを組み合わせた企業は、すべてのグループで回答率が上昇したそうです。

複数のアンケート方法を併用することを怖がる必要はありません。アンケート疲労症候群の可能性を肝に銘じながら、複数のチャネルでリマインダーを送るようにすると、アンケートに協力しようと思ってもらえる確率が上がるかもしれません。

4. 短くまとめる

60%の人は「10分以上かかるアンケートには答えない」といいます。 つまり、高い回答率を望むのであれば、アンケートを短くする必要があります。

顧客がわざわざ自分の時間を割いて問い合わせてくれた時に、面倒なアンケートでさらに顧客の手を煩わせるのは避けたほうが賢明です。カスタマーサポートに関するアンケートは、ワンクリックですむものにすることをお勧めします。サポート対応が完了したら、その解決策が役に立ったかどうかだけを尋ねるようにすれば、顧客も簡単に答えられます。

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複数の質問をする場合も、できるだけ短いアンケートにするよう心がけましょう。たいていの場合、アンケートの記入に要する時間は2~3分に抑えられるはずです。

記入にどれくらい時間がかかるかを前もって知らせるようにすると、顧客も心構えができます。アンケートへの協力をお願いする文面の中で知らせるか、アンケートの最初のページに記載すればよいでしょう。また、記入中にあとどれくらい質問が残っているかが一目でわかるように、プログレスバーを表示すると、回答者にとって助けになります。

5. インセンティブを提供する

アンケートの協力にインセンティブを設けると、回答を促す働きかけになります。現金やギフトカード、クーポン等の金銭的なインセンティブ提供するのも一案です。あるいは、ノートやペンなどのギフトをインセンティブにすることもできます。

企業によっては、アンケートへの協力と引き換えに、慈善団体に寄付するところもあります。他者を助けることに強い熱意を抱いている人にとって非常に魅力的な方法です。

顧客調査ツールのSurveyMonkeyは、市場調査用のAudienceツールを使った回答1件あたり50セントを慈善団体に寄付しています。

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慈善団体への寄付をインセンティブにする場合は、対象となる顧客の関心や企業の価値観に合う団体を選ぶようにしましょう。

6. 多様な質問をする

「必須」の質問に答えられなかったために、アンケートを途中で断念した経験はありませんか?実のところ、これはよくあることです。

アンケートに必須の質問を盛り込むことにはリスクがあります。 最後まで答えてくれた人からは、確かに有意義なフィードバックが得られることになります。一方で、必須の質問があるというだけで記入する気がなくなり、全体的な回答率が下がる可能性も十分に考えられます。

アンケートの質問はすべて任意で回答できるようにして、できるだけ多くの人から意見を収集することをお勧めします。何といっても、完全に記入されたほんの一握りの人の意見よりも、完全ではなくても多くの人から意見を得るほうが企業にとって有益です。そうすれば、より多くの情報を利用しながら、製品やブランドを向上させる方法を決められます。

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また、選択回答式の質問と記述式の質問を組み合わせて使用することも助けになります。顧客が素早く回答できるように、選択回答式の質問を多めにするよう心がけるとよいでしょう。「はい」「いいえ」で答えられる質問や、選択肢が用意されている質問であれば、顧客は2~3秒もあれば回答できます。

7. 顧客にオプションを提供する

アンケートの記入にあたっては、顧客に主導権を与えて、顧客が自信をもって正確に回答できるようにしましょう。例えば、次が役立ちます。

  • 該当しない質問は飛ばせるように、回答を任意にする。
  • 選択回答式の質問には、「その他」という回答を設ける。そのうえで、顧客が自分の言葉で回答を記入できるようにしましょう。
  • 人工統計学データを収集するための質問には包括的な言い回しや選択肢を用いる
  • 記述式の質問を捕捉的に用いる。選択回答式の質問で選択した回答について、顧客が詳細情報を提供できるようなアンケートの構成にするとよいでしょう。
  • 顧客がアンケートの回答に利用するチャネルを選べるようにする。それ以降のアンケートに希望するチャネルを選択したり、特定のチャネルを用いたアンケートをオプトアウトしたりできるようにすることも助けになります。

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8. 必ずフォローアップする

顧客がなぜアンケートに協力するかといえば、それは最終的に自分の意見がどんな違いをもたらしたかを目にしたいからです。アンケートに記入してくれた人には、お決まりのお礼メールを出すだけではなく、その意見をもとに企業としてどんな変更を加えたかを知らせて、回答者の関心に応えるようにすることをお勧めします。

Zendeskをはじめ、顧客アンケートからどんなことを学び、それを受けてどんな変更を加えたかを、四半期ごとあるいは1年に1度など、定期的に発表している企業も少なくありません。

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食品の安全性を追求するMerieux NutriSciences は、顧客の協力を得ながら消費者の健康を守ることに取り組むコミットメントを示すために、図表を用いたレポートを公開しています。

また、見込み客獲得用プラットフォームのOptinMonsterは、顧客に結果をメールで知らせています。

「顧客は結果を知らせてもらえると、自分の意見が企業に届き、認められていることがわかるため、企業に大切にしてもらえていると感じます。それだけではありません。結果を顧客と共有すると、それ以降にもアンケートに答えてもらえる可能性が高まります」と、OptinMonsterの共同創業者のSayed Balkhiは言います。

記入しやすいアンケートで強固な顧客関係を構築する

Zendeskは顧客アンケートを積極的に活用しています。その理由は、顧客満足度、マーケティング、社員の生産性をはじめ、企業として多数の領域を改善していくうえで役立つ情報が得られるためです。実際、Zendeskが、つつましいひとつのヘルプデスクプラットホームを拡大して、統合されたSupport SuiteSales SuiteCRM platformへと発展させられたのも、顧客アンケートで得た洞察があったからこそできたことです。

フィードバックを求めることをためらう必要はありません。アンケートはブランドを改善して成長させる方法を見いだすうえで強力な情報源になります。記入に要する顧客の時間に配慮するようにすれば、多くの場合、顧客は喜んで意見を共有してくれます。

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