
事業成長をけん引するサポートチーム顧客の声を製品開発に反映
Vimeoでは、10種類のカスタムアプリを開発してエージェントエクスペリエンスを変革。また、100万人もの登録ユーザーのサポートにZendesk SuiteとZendeskSunshineを活用することでし、95%という高い顧客満足度を獲得している。

「Vimeoの強みは、サポートチームからのインプットがどんどん製品に反映されていくことです。」
Suri Ratnatunga氏
コミュニティおよびサポート担当シニアディレクター
- Vimeo
2015
導入年
9,000万人
Vimeoの利用者数
95%
CSAT平均
10
カスタムアプリ数
2004年の創業以来、Vimeo は動画クリエイター向けのツールやテクノロジーの提供を通じて、動画業界をリードし続けてきた。
2007年には動画共有サイトとしてHD再生に初めて対応。2013年には、クリエイターがWebサイト上で視聴者に直接動画を販売できるオープンなマーケットプレイス「Vimeo on Demand」を開始。さらに2017年には360°動画やライブ配信を導入し、新たなCEOも迎えて、クリエイター最優先の戦略で成長を続けている。最近では、動画クリエイター向けに豊富なツールやサービスをアピールする一大ブランドキャンペーンを打ち出した。
Vimeoはクリエイター向けのコミュニティやツールを提供する事業モデルゆえ、新製品がリリースされるたびにサポート対象の幅が広がっていく。それに伴いサポート業務が煩雑になるのを避けるため、同社はエージェントが働きやすい環境を整備することに力を注いでいる。たとえば、製品開発の段階で、日頃から顧客の声に耳を傾けているサポート担当者の意見を取り込み、顧客目線での継続的な成長を目指すといった取り組みだ。
フレキシブルなソリューションを求めて
Vimeoでコミュニティオペレーション主任を務めるCameron Dunn氏は、Vimeoで働き始める前は、Vimeoユーザーだった。「たくさんのユーザーとインターネット上で友達になり、それがきっかけでインターンとして働き始めました」と語るDunn氏は、ほぼ同時にVimeoに採用されたシニア コミュニティオペレーション エンジニアのZena Hirsch氏と共に、Vimeoで働き始めて7年が経つ。二人はVimeoの進化はもちろんのこと、サポートチームがゼロから立ち上がっていく様子を目にしてきた。
コミュニティおよびサポート担当シニアディレクターであるSuri Ratnatunga氏はこう説明する。
「CameronがVimeoに入社した当時、オペレーションチームは存在しませんでしたし、Zenaが入社した当時は、サポート担当のエンジニアもいませんでした。サポートチームを作ろうというニーズが高まったことで、CameronもZenaも現在の役割を担うことになったのです。」
しかし、チームが成長するにつれ、それまで利用していた既存のソリューションに限界が見えてきた。Vimeoのエンジニアリングチームはエージェントのワークフローを改善するため、いくつものカスタム機能を開発してきたが、逆にそれらが足かせとなり、新しいツールの導入に踏み切れずにいたのだ。ここにストレスを感じていたチームは、組織に合わせて柔軟に拡張でき、自社固有のサポートニーズに合わせてカスタマイズできるソリューションを求めて検討を開始。2015年にZendesk Supportの導入を決定した。
「我々は、ユーザーに関する情報を収集し、エージェントにとって快適なワークフローを構築することを重視しました」と語るDunn氏に続き、Hirsch氏は、「導入の決め手になったのは、Zendeskのアプリフレームワークです。この機能の必要性を周りに強く訴えていました」と付け加える。
導入から4年後には、Vimeoで動画作品を提供している9千万人ものクリエイター向けにサポート体制を確立。現在Ratnatunga氏のチームは、月間約25,000件ものチケットを処理しているという。一方、Hirsch氏は、チームが効率よく仕事をするための革新的なカスタムアプリを数多く開発。中でも注目すべきは、エージェントビュー用のサイドバーアプリ「Rap Box」である。このアプリにより、Vimeoのエージェントは、ユーザーのメンバーシップの種類、サブスクリプションの更新日、アカウント上の動画の本数など、Vimeoのプラットフォームから取得した包括的なユーザー情報をZendeskのチケット内で参照できる。
Rap Boxが誕生した背景には、「クリックを1回でも減らす」というVimeoのカスタマーエクスペリエンス哲学がある。また、Hirsch氏のような専任のサポートエンジニアを設置するなど、サポートチームに必要なリソースを投入することで、イノベーションが起こり得ることも証明している。
ライブ配信をチャットと電話でリアルタイムにサポート
Vimeoでのライブ配信スタートは、ユーザーにとって嬉しいニュースであり、Vimeoの新たな時代の始まりを示す出来事だった。同じタイミングで、Vimeoのサポート体制も変更した。ライブ配信が可能であるということは、リアルタイムでのサポートが必要になるということでもあるからだ。
しかしながら、スタート当初はライブ配信がどの程度の人気を集めるかを予測できなかったため、はじめはZendesk Chatを活用してサポートを提供する方法を選択。P
Ratnatunga氏が「ライブ配信では、問題が発生したその瞬間に、その場で助けてくれる人が必要です。そこで、ライブ配信の設定ページにZendesk Chatウィジェットを表示し、サポートが必要な場合はウィジェットを開くだけでエージェントに話しかけられるようにしています」と語るように、ライブ配信はプレミアムプラン限定の機能であるため、有料ユーザーに対し、サポートチームとして継続的で一貫した最高のサービスを提供したいと考えていたのだ。
Vimeoでは、Zendesk Chatの採用に続き、電話サポートを統合する話も浮上。しかし、Vimeoはライブ動画配信の先駆者であるLivestreamを買収したために、異なる2つのZendeskインスタンスとMitelを通した電話サポートの両方を使わねばならない状況だった。

「昨年、LivestreamのサポートをZendeskインスタンスに移行し、さらにZendesk Talkを活用してサポートワークフローも改善しました」とRatnatunga氏は説明する。Mitelを使い続けるとなると、エージェントは顧客に関する情報が何もない状態で電話に応答しなければならない。また、Livestreamが使用していた旧コールセンターシステムでは、エージェントは通話中または通話後に手動でチケットを作成する必要があった。これをZendesk Talkに移行したことで、顧客情報の表示とチケットの自動生成が可能になり、2つのプロセスを同時に合理化することができたのだ。VimeoはLivestream Enterpriseの顧客それぞれに固有の暗証番号を割り当てて、使用制限のある電話サポートを利用できるように調整。Hirsch氏は、PINを取得してZendesk TalkのIVRシステムに発信したユーザーを検索するスクリプトを開発した。これにより、Zendesk Talkで応答したエージェントはユーザー情報をすぐに参照できるようになった。
電話サポートを最適化する取り組みは、Dunn氏にとってもHirsch氏にとっても初めてのことだったが、Ratnatunga氏は、「Zendeskを利用して業務を効率化できるよう、Livestreamのサポートチームと緊密に連携してVimeoのリソースの一部をLivestreamに提供したのは正解でした。立ち上げ以来、かなりスムーズに運用できています」と満足気だ。
カスタマーサポートにZendesk Sunshineを導入
Vimeoは顧客の目標達成を支援し、ユーザーエクスペリエンスを継続的に改善するための取り組みを熱心に進めている。Ratnatunga氏が、専任のサポートエンジニアであるHirsch氏を他部門に奪われないようにと戦った理由が見て取れる。
「Hirsch氏が1人いることで、この組織の効率性がどれだけ高まったことでしょう」とRatnatunga氏。
Vimeoのカスタマーサポートを進歩させ、エージェントの仕事を効率化する方法を探し続けているHirsch氏とDunn氏は、利用可能なテクノロジーに後れを取らないよう、Zendesk Sunshine CRMプラットフォームも活用している。

「Vimeoのプロダクトは頻繁に変更されます。それに応じて、ユーザーをサポートする方法や、ユーザーをサポートするチャネルもどんどん変わっていきます。しかし最終的には、エージェントが働き方を頻繁に変える必要がなくなるのが理想です」とDunn氏は語る。
このため、VimeoではSSAT(スペシャリストの満足度)という指標を測定。「他のエージェントからエスカレーションを受けるVimeoのスペシャリストは、そのエスカレーションについて、正しい担当者に転送されたか、詳しい情報が記載されていたかといったことを評価しています」とDunn氏。こうした情報は、以前は外部のデータベースに格納していたが、現在はZendesk Sunshineを使用してカスタムオブジェクト内に格納している。SSATの評価は担当者と評価対象のチケットにリンクされているため、外部スクリプトによりそれらの評価を取得して、マネージャーが毎週行うレビュー用CSVファイルに落とし込んでいる。
「他の管理者たちのドキュメントやコミュニティと連携することには大きなメリットがあります。彼らも自分たちのエージェントのためにカスタマイズできることを喜んでいます。」
自立型のサポートチームの構築
Vimeoのサポートチームは、製品開発においても欠かせない存在だ。「製品をリリースする前には必ずサポートチームのメンバーが初期デザインの確認に参加し、問題点を予測したり、顧客から要望があった機能で新しく実装できそうなものを提案したりしています」とRatnatunga氏は説明する。
また、製品をリリースして2週間ほどすると、新機能や新製品に対するユーザーの声を共有するため、サポートチームが主要な関係者にレポートを送信。ユーザーからの問い合わせにつながった問題点を確認できるようにしている。
このようにして情報を共有できるZendeskは、社内の他のチームとの連携を可能にするフレキシブルなソリューションである。実際、営業チームはライトエージェントとしてZendeskにアクセスし、セキュリティやプロジェクト管理、設計に関連するチームは各々が必要とする顧客インサイトを得るためにZendeskにアクセスするなど、社内での共同作業に役立っている。「私にとっては、これこそがオムニチャネルです。社内のあらゆるグループに提供できるものがあるということです。」(Dunn氏)
また、「私たちにとってZendeskの真の価値は、自立型のサポートチームになれるということです。必要なものを、必要なときに構築できるように専任のエンジニアを配置しているのもそのためです」とRatnatunga氏。
かつてVimeoがエージェント向けに開発した機能も、その一部はZendesk内で利用できるようになりつつある。「まだ試してないことも、どんどんZendeskで実現させたいと考えています。Zendesk Talkに移行したことをきっかけに、オムニチャネルに対応できただけでなく、ブランドに一貫性を持たせられた点もよかったですね」とDunn氏は語る。
「ZendeskとVimeoには共通点がたくさんあります。Zendeskの製品ロードマップを見ていると、当社がエージェント向けに用意したいと考えていた機能が見つかることもあります。エージェントがユーザーに徹底的に集中し、可能な限り最高のサポートを提供できる環境を整備するという考え方において、哲学的に一致する部分が多いのでしょう。」(Ratnatunga氏)