鴻池運輸株式会社

現場向けITサポート業務を
2週間でデジタル化
属人化した電話対応によるリスクを回避

  • 導入製品

老舗物流企業である鴻池運輸株式会社は、デジタルトランスフォーメーション戦略の一環として、電話による問い合わせ対応のデジタル化に踏み切った。Zendesk Supportと Zendesk Talkが支えるのは、全国の拠点に散らばる1万人を超える現場担当者。現場との対話を記録に残すことで、属人化した対応から脱却し、サービスレベルの向上を狙う。

Zendeskソリューション導入の背景と課題

創業130年を超える鴻池運輸は、社名に「運輸」の文字を冠するものの、「運ぶ」だけが仕事ではない。国内に保有するドライ倉庫や、冷凍・冷蔵倉庫を拠点とした物流事業を行う一方で、「+LOGISTICS(プラスロジスティクス)」のフレーズを掲げ、物流の枠を超えた挑戦を続けている。そのもう一つの柱となるのが、物流事業を上回る勢いで伸長する複合ソリューション事業である。生産工程の請負から医療や空港のサービス請負まで、単なるアウトソーシングを超えて、幅広いお客さまのニーズに「人」と「ノウハウ」でお応えするマルチソーシングサービスを提供。事業活動上の課題に対して、人材・設備・業務ノウハウの活用による生産効率や品質の改善、コストダウンを実現している。

同社では今、デジタル技術を活用して新しい価値創出を目指すデジタルトランスフォーメーションが一気に加速しつつある。これからの時代、ITなくして成長はないというのが経営陣の見解だ。ビジネス向けと社内向けとに分かれていたIT部門を統合したのも、全社を挙げてデジタル化をドライブするための施策の一つ。しかし、これまで縦割りで管理されてきたIT資産の全貌が明らかになるにつれ、効率化を阻む壁も見えてきた。鴻池運輸株式会社 エンタープライズシステム部 課長の佐藤雅哉氏は、こう振り返る。

「ITに関する現場からの問い合わせ対応の属人化が問題でした。電話文化の当社は、現場で問題が発生すると、現場担当者が各製品担当者に直接電話をかけて対応しており、対応記録がほとんど残っていませんでした。また、現場からシステム改善のリクエストを受けても、他の問い合わせ対応に追われているうちに埋もれてしまい、ともするとそのまま塩漬けにされてしまうことも少なくありませんでした。こうした状況を見直し、IT対応のサービスレベルを引き上げるべく、属人化によるリスクの解消に動き出したのです。」

Zendeskが選ばれた理由

課題解決の第一歩として、同社はIT部門からすると「顧客」となる社員の声を集めるVOCセンター(Voice of Customer)の設立に着手。しかし、ビジネス向けITと社内向けITでは業務内容が違い、対応内容も異なるため、別々のVOCセンターの立ち上げを目指した。そうなると、顧客であるユーザーはどちらに問い合わせしてよいか迷うことが想定される。そのため、どちらに連絡しても双方でエスカレーションが可能な、両センターを一括管理する共通のツールが必要になった。先行していた社内向けVOCセンターでは、インシデント受付ツールの提案を受けていたが、構築までの期間や、両センターでの利用を想定すると難しいと断念。VOCセンターのオープンが1週間後に迫るなか、別なツールを検討することとなったという。

「検討するなかでいくつか候補が挙がったのですが、セットアップに手間がかからず、立ち上げが早く、すぐに使えるとなると、選択肢はZendeskしかありませんでした。当初CTI部分はAmazon Connectを利用した仕組みの提案を受けており、Zendesk Supportとのインテグレーションを検討していましたが、Zendesk SupportとTalkとの組み合わせであれば、1つの画面のなかに音声データも残るし、問い合わせ対応に関わるあらゆる業務がZendeskの中で完結します。この点を高く評価しました」と佐藤氏。

結果的にVOCセンターの立ち上げが1週間ほど後ろにずれこんだものの、タイトなスケジュールに変わりはない。そこで、はじめから細かい設定に凝ることはせず、電話を受け、通話からチケットが自動作成されるという最低限必要な機能が円滑に使えることを重視した。

鴻池運輸株式会社 佐藤氏

鴻池運輸株式会社 エンタープライズシステム部 課長 佐藤 雅哉氏

Zendesk導入の効果

「すぐに使い始められるZendesk」は本当だった。製品選定から設計、セットアップを経て約2週間で運用を開始。導入にあたっては、全国に散らばる約500拠点、約3,000名の現場ユーザーを登録。現場から受電すると、ビジネス向けITに関する問い合わせの場合は拠点名、社内向けITに関する問い合わせの場合は担当者名が表示できるようにした。

導入後のフローはこうだ。現場の担当者がZendesk Talkに電話をかけると、VOCセンターの一次受付のオペレーターが対応し、内容に応じてしかるべき担当者にエスカレーションする。従来なら担当者とダイレクトにコミュニケーションを開始できていたが、間に一次受付が入ることによって、問題解決のスピードが落ちる懸念はある。その場で解決できることを増やすためには、一次受付のオペレーターがどれだけナレッジを蓄積できるか、そのナレッジをいかに共有できるかが今後の大きな課題だ。

Zendesk Talk
Zendesk Talk

現場の一部からは、急を要する問題が発生した場合はどうするのかといった声もあったが、佐藤氏は、「杓子定規にすべてをVOCセンターでしか受け付けないとしているわけではありません。現状、システム担当者の手間にはなりますが、ビジネスインパクトが大きい場合には直接システム担当者にコールするイレギュラー対応も仕方なしとして、後からZendeskへ記録を残してもらうようにしています。要は、記録を残すことが大事。Zendesk Supportに蓄積される記録を分析することで、一次受け解決率の向上、システム自体の改善、将来的にZendesk GuideによるFAQの公開によって、コールの削減や対応スピードの向上につなげることが可能になりました」と語る。また、「Zendesk Talkにより、サイトに記録された音声データを聞き返すことで、時間外や休日に取り損ねたコールの内容を確認し、折り返すことが出来るようになりました」とも話す佐藤氏は、対応効率や対応レベル向上にむけて、Zendesk SupportとZendesk Talkの相乗効果による導入メリットを実感している。

レポーティング画面
レポーティング画面

今後の展望

目下の課題はナレッジの蓄積であり、Zendesk GuideによるFAQサイトの構築を視野に対応履歴の蓄積と分析を進めている。導入済みのZendesk Supportの活用、Zendesk Chatの導入にも関心を寄せており、「メールやチャットによる問い合わせは、当社の文化には馴染まないと思っていましたが、意外にも各拠点からメールやチャットへの対応についての問い合わせがあり、検討の余地は十分あると感じています」と佐藤氏。

この先メールやチャットの活用に踏み切るためにも、Zendesk GuideによるFAQサイトの構築が急がれそうだ。問い合わせ内容に応じた記事を速やかに提案できれば、セルフサービスによる問題解決を促すことができ、一次受付のオペレーターの対応時間が短縮され、問い合わせそのものの件数も減っていくと考えられる。Zendesk Guideの活用は、サポート業務の効率化を推し進めると同時に、現場に対するサービスレベルを高めていくうえでも重要な鍵となりそうだ。

もちろん、これだけにとどまらない。音声データのテキスト化、チャットツールであるSlackとの連携、Zendesk Supportが提供する分析機能の活用など、ここからはさらなる効率化の追求、コミュニケーション環境の最適化に向けて「Zendeskを使いこなす」フェーズへと入っていく。

デジタルトランスフォーメーションを掲げ、驚くべきスピードでデジタル化へのシフトを進める鴻池運輸。その機動力が、現場を支えるサポート環境をどう進化させていくのか。老舗企業の動きからますます目が離せない。