クイック&スモールスタートで 事業成長と共にスケールする仕組みが力に

国内大手システムインテグレーターであるTIS株式会社は、2020年3月にリリースした消費者向けアプリ「ASTARI」の問い合わせ対応にZendeskを採用した。ASTARIはTISにとって新たな事業分野でのチャレンジでもあり、最小限の労力で迅速かつ小さくスタートし、将来にわたり柔軟にスケールできるZendeskは大きな安心材料となっている。

TIS株式会社

「事業の拡大に向けて失敗も含めてチャレンジしていくうえでは、きちんとスケールできるのはもちろん、必要なタイミングに必要な機能の構築を始められる仕組みが必要です。Zendeskを導入したことで、変化に柔軟に対応できる安心感があります。」

山口 賢人氏

デジタルトランスフォーメーション企画部 上級主任
- TIS株式会社

Zendeskソリューション導入の背景と課題

TISインテックグループの中核企業であるTIS株式会社は、ビジネスを支える基幹システムから、高い競争力を生むアプリケーション、さらにはシステムの基盤となるプラットフォームまで、幅広い業界・分野でITサービスを提供するシステムインテグレーターとして、企業におけるデジタルビジネス変革に貢献してきた。近年はグループ全体の中期経営計画のもと、サービス型ビジネスを新たな成長エンジンとし、これまで培ってきた豊富な知識やノウハウ、保有する技術といった強みをさらに発展させていこうという動きがある。

2020年3月にローンチしたユーザーの健康活動をサポートする消費者向けアプリ「ASTARI(アスタリ)」は、その先駆けとなる取り組みだ。ASTARIは、健康志向を持つユーザーと、そのユーザーをカスタマーとして持つ小売・流通・メーカーなどの参画企業を”つなげる”サービス。参画企業が保有するデータと、ASTARIユーザーのデータをつなげることで個々のユーザーに合わせた体験を創造しようという新たな試みである。
ユーザーは、アプリ上で食事データの記録、運動管理、バイタル管理などが行えるほか、歩数に応じて獲得した「ASTARIマイル」を参画企業が発行するお得なクーポンと交換できるなど、普段の何気ない行動に対してASTARIでしか得られないお得な体験を享受できる。一方の参画企業は、ユーザーの許諾を得たさまざまなデータを分析することで、ユーザーにとって最適なタイミングでの自社の商品・サービスの提供が可能になる。つまり、生活・消費のビッグデータを利活用してカスタマーサクセスを実現しようというわけだ。現在の参画企業は11社に増え、全国43都道府県でクーポンの利用が可能になっている。

従来の事業からは異色とも言えるこのサービスの問い合わせ管理に、Zendeskが採用された。ユーザーはアプリ内に設置されたフォーム経由で問い合わせができるようになっており、その内容はアプリの使い方に関するものが大半を占める。

アプリ内に設置されたお問い合わせフォーム

アプリ内に設置されたお問い合わせフォーム

Zendeskが選ばれた理由

Zendeskを知ったのは、ASTARIのアプリ開発を担当する制作会社が使用していたことがきっかけだった。Zendeskに対する評価の高さが導入を大きく後押ししたというが、中でも最も期待したのは、立ち上げに必要な労力の少なさと圧倒的なスピード感だった。TIS株式会社 デジタルトランスフォーメーション企画部 上級主任の山口 賢人氏は、導入の理由を次のように振り返る。

「ASTARIはTISとして実証実験的にスタートさせたサービスです。これまで受託開発をメインとしてきた当社にとっては、自社サービスを立ち上げるということもそうですが、一般コンシューマー向けにカスタマーサクセスのプロセスをどう設計したらよいかという点でも手探り状態でした。また一方で、問い合わせ対応業務の負荷を減らして他の領域に力を注ぎたいという思いがあり、運用面だけでなく導入に際しても、とにかく当社の労力が少ない選択肢を探しました。Zendeskは、問い合わせ対応の体制を迅速に立ち上げられる製品であったことが一番の決め手です。」

Zendesk導入の効果

期待どおり、「立ち上げが速く工数もかかりませんでした」と山口氏。同社では現在、Zendesk Supportを活用して問い合わせ対応を行っている。顧客はアプリ画面に組み込まれた問い合わせフォームから質問をし、Zendeskでチケットが作成されると、API連携させたSlackに通知が届く仕組みだ。サポート担当者はZendeskの画面を見ていなくても、Slack上で問い合わせが届いたことを確認できる。

ZendeskとSlackを連携させ、問い合わせがあるとSlackに通知される

ZendeskとSlackを連携させ、問い合わせがあるとSlackに通知される

さらに、Zendeskに蓄積されていく問い合わせ内容は、同じくAPI連携機能により外部の分析システムに連携。ユーザー属性ごとの問い合わせ傾向を分析し、ユーザーの理解に役立てようという計画である。ASTARIは、顧客の趣味嗜好からのペルソナの想定や、購買・離反予測を実現するone to oneマーケティングのプラットフォームでもあり、顧客との重要な接点となるZendeskは、参画企業に対し、新たなデータ価値をもたらす可能性がある。

Zendeskと分析システムを連携し、問い合わせ情報を含むユーザー情報を分析システムに集約。<br />サービス関連者が、集約されたユーザー情報に一元的にアクセスできるようにしている。

Zendeskと分析システムを連携し、問い合わせ情報を含むユーザー情報を分析システムに集約。
サービス関連者が、集約されたユーザー情報に一元的にアクセスできるようにしている。

Zendeskの活用をスタートして一年、「Zendeskは、自社サービスを小さく始めて徐々にスケールアップしていく中での選択肢として非常にマッチしたように思います」と語る山口氏はさらにこう続ける。

「我々にノウハウがない中でも、あって欲しい機能や管理体系が揃っていることに大きなメリットを感じています。API連携も簡単に実現できました。何よりZendeskを導入していることで、今後ASTARIのユーザーが増えていっても、確実にスケールしていけるのはもちろん、おそらく必要なタイミングに必要な機能の構築を始めても遅くないし、混乱が起きないだろうという安心感があります。」

日々問い合わせに対応しているTIS株式会社 デジタルトランスフォーメーション企画部の亀川 摩耶氏も、「ユーザーの問い合わせ対応業務は初めての経験なのですが、Zendeskは問い合わせが届くところから問題を解決するまでのプロセスが、画面上でわかりやすく整理されていて、直感的に使えます」と評価する。また、ASTARIローンチ後まもなく新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言下に入ったが、Zendeskがクラウドソフトウェアであったことで、大きな影響もなくスムーズにリモート体制に移行できたという。

(写真左から)<br />TIS株式会社 デジタルトランスフォーメーション企画部 上級主任 山口 賢人氏<br />TIS株式会社 デジタルトランスフォーメーション企画部 亀川 摩耶氏

(写真左から)
TIS株式会社 デジタルトランスフォーメーション企画部 上級主任 山口 賢人氏
TIS株式会社 デジタルトランスフォーメーション企画部 亀川 摩耶氏

今後の展望

現在の問い合わせチャネルはアプリ内の問い合わせフォームのみとなっているが、将来的にはLINEの公式アカウントと連携し、LINE経由での問い合わせ受付を可能にする予定だ。ASTARIのメインユーザー層が比較的LINEのコミュニケーションに慣れている30~40代であることを考えると、新たなチャネルの追加がカスタマーエクスペリエンスのさらなる向上につながることは間違いない。

「我々のチームはもちろん、TISとしても、今後サービス開発型への転換を図るにあたり、ASTARIを先駆けにしていきたいという思いで事業を進めています。その際にもっとも大事なことは、『失敗も含めてチャレンジすること』。Zendeskを活用するという選択そのものも我々にとっては新しいチャレンジの一つであり、ASTARIで成功事例を作り、後続のサービス開発やプロジェクトに対してノウハウを共有していくことが当面の目標となります。そういう意味でも、Zendeskの力を借りつつASTARIの事業を成功へと導いていきたいですね」と山口氏。

デジタル技術を駆使したムーバーとして、未来の景色を変えるチャレンジに挑むTIS。事業の拡大と共にカスタマーサクセスをスケールアップさせる仕組みが、これからますます力を発揮することになるだろう。