プロアクティブなアプローチでクラウド利用をもっと身近に

多様な分野のビジネス課題をICTで解決してきた日本ユニシスは、2017年より、企業によるクラウド利用をZendeskでサポートしている。立ち上げのスピードが強く要求される中でZendeskを選択し、業務の効率化を進めると同時に、API連携機能を使ってプロアクティブな情報発信を実現。自社と顧客の双方にとってWin-Winとなる使い方を目指す。

日本ユニシス株式会社
「クラウドベンダーとお客様の間を適切につなぐことで、クラウド利用はもっと身近なものになります。Zendeskを使ってお客様の背景にある情報までを汲み取り、当社とお客様の双方がWin-Winになるような使い方をしていきたいですね。」

白石 竜太氏

サポートサービス本部 オープンサポート部 クラウドサポート室 室長
- 日本ユニシス株式会社

Zendeskソリューション導入の背景と課題

2006年にクラウドコンピューティングという言葉が誕生して以来、クラウド化の流れが加速し、今やシステム構築・運用における重要な選択肢の一つとなっている。オンプレミスからクラウドへの移行が進むなか、顧客第一主義を掲げ、日本の情報化社会の発展をリードしてきた日本ユニシス株式会社では、2017年より、企業向けにクラウドサービスの利用を支援するサービス体系「CLOUDForesight(クラウドフォーサイト)」を提供してきた。これは、同社が情報システムの黎明期から培ってきたシステム構築ノウハウをベースに、メガクラウドと呼ばれるMicrosoft Azure(以下 Azure)およびアマゾン ウェブ サービス®(以下 AWS)の2つのクラウドサービスの利用を支援するメニューだ。

CLOUDForesightは、利用検討フェーズと実装・構築フェーズを支援するクラウド導入サービス「CLOUDForesight integration」(CFi)と、運用・保守フェーズを支援するクラウド利用サポートサービス「CLOUDForesight utility」(以下、CFu)で構成され、後者の日々のサポート業務をZendeskが支えている。CFuの前身は2012年から提供してきたAWSの決済代行サービスであり、2017年より新たにサポートを付加して展開するにあたり、問い合わせ対応の仕組みが必要になったのだという。日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 オープンサポート部 クラウドサポート室 室長の白石 竜太氏はこう語る。
「時代はクラウドということもあり、既存の枠組みに囚われずに柔軟性やスピード感、お客様とつながるサポートサービスの実現には何が必要かを考えました。」

(左から)日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 オープンサポート部 クラウドサポート室 室長 白石 竜太氏<br />日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 DXソリューション部 サポート推進室 主任 稲岡 有紀氏<br />日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 オープンサポート部 クラウドサポート室 担当マネージャ 白岩 理恵氏

(左から)日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 オープンサポート部 クラウドサポート室 室長 白石 竜太氏
日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 DXソリューション部 サポート推進室 主任 稲岡 有紀氏
日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 オープンサポート部 クラウドサポート室 担当マネージャ 白岩 理恵氏

Zendeskが選ばれた理由

「なるべく短期間でサービスの提供を開始したかった」(白石氏)という同社がZendeskを選んだ背景には、社内の口コミもある。ひと足早く導入を経験していた日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 DXソリューション部 サポート推進室 主任の稲岡 有紀氏も、Zendeskを評価する一人だ。

「立ち上げたばかりのサービスであっても、最低限のサポート体制は整えなければなりません。これまではメールや電話で受けた問い合わせをExcelで管理する方法で対応してきましたが、もっとシンプルに、もっと気軽に使えるツールをいくつか検討する中でZendeskに着目しました。Zendeskなら、必要な環境を最も直感的に、最も速く、最も簡単に構築できそうだという判断です。しかも、自社できめ細かな運用が行えます。無料トライアルもあるので、すぐに使い始められるサポートソフトウェアとして、新しいサービスを中心に活用を進めています。」

こうした社内での実績と評価が、CFuでのZendesk導入を大きく後押ししたのは間違いない。また一方で、24時間365日の障害対応を提供しているCFuにとって、単なる問い合わせ対応ではなく、インシデント管理システムとしての役割を担えるかどうかもポイントになった。特に、当初から構想にあったのは、インシデントの回避につながる重要な情報をお客様にプッシュ配信する仕組み。この点では、Zendeskが提供するAPI連携機能への期待が大きかった。

Zendesk導入の効果

「Zendeskの導入を機に、お問い合わせいただいた内容について調べて回答するという受け身のサポートだけでなく、プロアクティブな動きが可能になりました。時間とコストさえかければ同じ仕組みを作ることも可能でしょうが、Zendeskは今まで提供してきたものと同レベルの仕組みを素早く実現できる上に、パーツを組み合わせるようにしてプラスアルファの機能を実装できます」と白石氏。

たとえば、Zendeskの選定ポイントとなったプッシュ型の情報発信は、API連携を使った2つの方法で実現している。1つはZendeskで作成したヘルプページの記事について、夜間バッチ処理を動かし、すべての顧客に対して強制的にフォロー設定を行うというもの。「記事は載せたけど見られているかどうかわからない」状況を少しでも回避するためだ。もう1つは、クラウドサービス側から発信されるメンテナンスやリタイアメントに関する通知の自動転送である。これまではメールで届く通知を件名などで振り分け、誤送信に細心の注意を払いながら手動で転送するしかなく、この処理に多くの労力と時間を要していた。

Zendeskで作成したヘルプページ

Zendeskで作成したヘルプページ

実装を担当した日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 オープンサポート部 クラウドサポート室 担当マネージャの白岩 理恵氏は、「クラウドサービス側の状況をタイムリーにシェアする仕組みを作れたことで、お客様を不安にさせることもなくなり、何より問い合わせを減らすことができるのがメリットです」と語る。また、「メールベースの問い合わせ対応ではセキュリティ事故が起こりやすいというデメリットがありますが、Zendeskはセキュリティの観点でも使いやすい印象です」と白石氏は補足する。

問い合わせを減らすという意味では、「クラウドサービス側でアラートを設定しておき、基準値が近くなってきたお客様に確認を促したり、ヘルプページに掲載している記事へのリンクを追記して、トラブルが起こる前に適切な情報をお届けしたりといった対応も可能です」と稲岡氏。こうしたプロアクティブな対応がサポート業務の負荷軽減につながるだろうとの期待がある。Zendeskの導入を機に、必要な情報や問い合わせへの導線がシンプルに統合されたことは、同社にとってはもちろん、顧客にとってもメリットは大きい。

クラウドサービス側 からの通知自動化の仕組み

クラウドサービス側 からの通知自動化の仕組み

さらにZendeskはインターネット環境さえあれば、働く場所を選ばない。コロナ禍でもスムーズにサポートが行えるのは、クラウドソフトウェアであるZendeskの大きな強みでもある。24時間365日の障害対応においても、社内LANに接続することなく、スマートフォンからでもチケット管理が行える。

今後の展望

サービスの成長と共に顧客数が増え、問い合わせ件数も増えている今、当面は、障害対応に加え課金の管理や契約内容の確認など、クラウドならではの多岐にわたる問い合わせ対応に追われる日々が続く。白石氏は「今は過渡期」としながらも、「当社がオンプレミスで評価されてきたサポートと同等のサポートをクラウドでもご提供できています」と胸を張る。

さらなるZendesk活用のステージを見据える同社には、Zendeskと他のコミュニケーションツールとの連携によりインターフェイスを集約し、Zendeskに蓄積された情報やナレッジをより広範に活用していきたいという思いもある。そうなれば、今以上にスピード感が高まるのは間違いない。また、「Zendeskのレポーティング・分析機能を活用し、サポート効率のさらなる改善に向けてパフォーマンスの数値化にも取り組んでいきたいと考えています」と白岩氏。

企業におけるクラウド利用をより一層身近なものにするためにも、同社のサポートが果たす役割は大きく、今後のZendesk活用の先にどのような価値が生み出されるのかが注目される。