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顧客に良好な体験を与える電話サポートの導入方法

更新日 2024年2月24日

オムニチャネルサポート戦略には電話サポートが欠かせません。ですが、利用できるツールや、費用、トレーニングを考えると、電話チャネルの展開と管理は難題のように感じられます。

クラウドサービスでソフトウェアを提供してくれるSaaSの登場により、ソフトウェア費用は下がり、電話サポートの導入と活用が容易になりました。Saasがなかった時代には、電話サポートの提供は並大抵のことではなく、特に中小企業にとっては大きな負担でした。この数年の間に状況が一変し、今ではコールセンターもクラウドベースにすれば、手の届く費用で容易に構築できます。昔のような苦労はもう必要ありません。

企業は、関係構築を重視した人間中心のアプローチで、カスタマーサービス業務に取り組むようになっており、電話での顧客応対はこれまで以上に重要な役割を果たすようになっています。不満や苛立ちを感じている顧客を相手にするとなると、まだボットでは人間の代わりは務まりません。顧客は電話でのやりとりを通じて、企業側に自分の状況を認識してもらっていると感じ、問題に対応してもらっていることを実感できます。

この記事では、電話サポートに対する過去の理解を手放して認識を改めながら、顧客が今でも電話での対応を望んでいる現状をご説明します。また、電話チャネルの展開に関するアドバイスと運営のモニタリングにおけるベストプラクティスをご紹介します。

電話サポートの悪評

わかりにくい自動音声応答(IVR)メニューや、ずっと待たされたあげく電話が切れてしまうといった、苛立ちの募る経験をしたことがある人は多いでしょう。保留音も不快感の原因のひとつです。ポップソングの一部だけが何度も繰り返し流れるのを聞かされるのは癇に障るものです。

この時点ですでに苛立っているところに、電話サポートがアウトソースされていれば、電話に出るのは、台本に頼るだけで商品やサービスを十分に理解できていないエージェントです。そのうえ、アウトソースされている場合の目標は顧客満足ではなくスピードで、エージェントには問題解決に必要な決定権が与えられていません。こんな電話サポートでは、顧客が不満を感じるのも無理はありません。ですが、こうした事実があっても、顧客は依然として他のサポートチャネルよりも電話を好む傾向があります。これについてのデータは後ほどご紹介します。

顧客に不満を感じさせたために評判を落とすリスクはさておき、企業にとって電話サービスの導入と運営が難しい理由は他にもあります。エージェントには、電話チャネルの使い方を習得したうえで、リアルタイムで顧客に対応することが求められます。しかも、他のチャネルを使った対応に追われている状況は変わりません。おそらく最大の心配事になるのは、かかってきた電話に対応できる十分な人数を確保できるかどうかが成否を分けるという事実でしょう。問い合わせ先の電話番号を表示する以上、顧客を45分待たせるような体制は何としてでも避ける必要があります。

こうした事情はありますが、電話サポートだからといって顧客にとって質の低い体験になるわけでも、企業に大きな苦労を強いるものでもありません。顧客関係を構築・向上させる非常に価値ある方法にもなります。

顧客に人気の高い電話サポート

サポート対応の48%は電話サポートで、顧客の80%はカスタマーサービス担当者への問い合わせには電話を好むというデータがあります。電話サポートは顧客満足度も高く、Zendeskが最近実施したベンチマーク調査でも、電話サポートの顧客満足度(CSAT)はライブチャットの92%に僅差の2位で88%でした。

顧客満足度と負担軽減という観点での投資収益率(ROI)

エージェントの顧客1人あたりの通話時間は費用に影響するため、企業にとって重要なデータポイントです。短い通話で迅速な問題解決ができれば、エージェントは次々に顧客の対応を進めていけますが、長い通話にはまた別の利点があります。会話を通じて感情面でのつながりを深められるため、エージェントは顧客の期待を上回るサポートを提供できます。こうしたことを踏まえて、費用と顧客満足度の最適なバランスを見いだす必要があります。

『The Effortless Experience』の著者らが実施した調査からも、顧客が最も望んでいるのは手間がかからない方法であることがわかっています。顧客はそもそもカスタマーサービス担当者に問い合わせたいわけではなく、実際、問い合わせなければならなくなると、顧客ロイヤルティは下がりがちです。

この点を考えると、顧客の負担を減らしながら、問題を迅速に解決できるサポートを目指すべきといえます。そのためには電話サポートでどんな体験を目指すのかを明確にして、それに向けてセットアップする必要があります。多くの場合、電話は最短で問題を解決できる一番手っ取り早い方法です。うまく対応できれば顧客に満足してもらえ、顧客ロイヤルティを維持できるだけでなく、ブランドの販売促進や構築にも顧客が一役買ってくれるようになります。

電話サポートの導入方法

電話サポートは既に提供しているサポートの延長として導入できます。企業としてのスタイルや雰囲気、ブランドに適したカスタマーサービスを提供するために新たに追加されるツールと位置づければいいのです。複雑で管理しにくいものにする必要もなく、電話サポートだからといって全般的に質の悪い人間味のない体験になることもありません。

企業側の観点と顧客の体験を総合すると、質の高い電話サポートにするために、まず大切にすべき点として次があります。

  • 知識豊富な社内エージェントに電話サポートを担当させる:社内のエージェントは商品やサービスに精通しており、熱心さも違います。一般的に、コールセンターのエージェントに比べて、キャリアを真剣に考えていて、辞める人も少ない傾向があります。人の入れ替わりも少ないため、知識豊富な熟練したエージェントが顧客対応にあたれます。
  • エージェントに問題解決に関する権限を与える:調査からも、顧客の問題を迅速に解決できるように、必要な決定をするための権限を与えるようにすると、エージェントは効果的に業務を遂行でき、仕事に高い満足を感じるだけでなく、何より顧客満足度も向上することがわかっています。
  • 顧客の負担を減らすためのエージェント教育:まずはしっかりと耳を傾けて共感できなければなりません。顧客のニーズを理解できたら、適切な話し方や言葉遣いで話すことで人としてのつながりを築いて、顧客の感情や体験に積極的に働きかけるように指導します。また、問い合わせの目的以外にも何か問題がないか注意を払い、その電話の中でエージェントが率先して解決するようにすれば、顧客の手間をさらに省くことができます。

ツールに関しては、SaaSならではの利点を最大限に活用するシステムを選ぶようにしましょう。次のようなコールセンターの主要機能を含めることをお勧めします。

  • 容易なセットアップと展開: 複雑なハードウェアや外部の技術支援がなくても、何日もかけず数分のうちにセットアップできるシステムを用いるようにしましょう。
  • 他のサポートチャネルとのシームレスな統合: 単一のユーザー管理・チケット発行システムを土台にしたカスタマーサポートプラットフォームに完全に統合しておく必要があります。言い換えると、電話サポートを顧客が選択できる問い合わせ方法のひとつと位置づけて、チケットを作成・管理・解決できるようにすることが求められます。
  • 柔軟な自動音声応答(IVR)とスマート振り分け機能: 効果的なIVRを活用すれば、顧客が必要としているサポートの種類に応じて適切なエージェントにつないだり、録音された応答を流してエージェントとのやりとりを減らしたりできるため、顧客にとって簡単で全般的に満足度の高い体験になります。
  • ボイスメール: 営業時間外の問い合わせである場合や、すぐに対応できるエージェントがいない場合には、顧客がボイスメールを残せるようにします。ボイスメールをもとにチケットを自動生成するシステムを統合しておくとよいでしょう。
  • レポート:レポートツールを利用して、関連性のある主要パフォーマンス指標(KPI)をリアルタイムのダッシュボードに表示しておけば、マネージャーが状況を監視できるため、問い合わせ件数に変動があった場合に柔軟に対応できます。
  • スケーラビリティ:電話機1台あたりの同時受信数を簡単かつ安価に調整できます。
  • テキストメッセージ:電話はコミュニケーション方法として人気の高いテキストメッセージのチャネルでもあります。導入するシステムは音声による通話に加えて、テキストメッセージにも対応したものを選ぶようにしましょう。ボイスメールの場合と同じように、テキストメッセージからもチケットを発行できるようにしておくべきです。また、サポートワークフローにも組み込んでおく必要があります。
  • 折り返しの電話: 顧客を電話口で待たせる代わりに、順番が来たら企業から折り返し電話をかけるオプションを提供しましょう。

新規コールセンターの立ち上げ:

ここまでで、電話サポートがオムニチャネル戦略にとって非常に重要な役割を果たし、カスタマーサポートの成功に欠かせない要素であることを理解できたと思います。このセクションでは、新たにコールセンターを展開する際の5つの主要ステップをご紹介します。

  1. 適切なVoIP電話システムの選択
  2. 電話チャネルで目指す顧客の体験とサポートワークフローの明確化
  3. 障害発生時の引継ぎシステムの準備
  4. 電話チャネルの展開前テスト
  5. 本稼働

これらのステップを1つずつ説明します。

適切なVoIP電話システムの選択

VoIP(ボイス オーバー インターネット プロトコル)の電話システムには2つのアプローチを取ることができます。Zendesk Talkのようなカスタマーサービスソフトウェアプラットフォームを利用する方法と利用しない方法のどちらかを選べます。後者の場合は、一般的な企業電話システムや会議サービスのデジタル版のような電話システムになります。企業に不可欠なニーズには対応していますが、カスタマーサービス専用に設計されたものではありません。

カスタマーサービス統合型のVoIPシステムはカスタマーサービスプラットフォームと連動しているため、問い合わせの着信がひとつの顧客データ・チケット発行システムに集約されます。電話がメールやチャット、ソーシャルメディアといったコミュニケーションチャネルのひとつという位置づけになるので、他のチャネルで問い合わせを受けた場合と同じように、チケットが作成されて顧客のアカウントにリンクされます。また、ヘルプデスクから分離されていないため、他のチャネルのようにヘルプデスク内で顧客とやりとりできます。

電話チャネルで目指す顧客の体験とサポートワークフローの明確化

VoIPシステムを導入できたら、目標とする顧客の体験に合わせて設定していきます。自動音声応答(IVR)にどんなオプションを用意するか、何秒後にボイスメールに転送するかなどを決めるのもこの段階です。これ以外にも、問い合わせの振り分けといったサポート部門のワークフローも明確にしなければなりません。電話チャネルのセットアップに際して決定する必要があるのは、次のような点です。

  • サポート対応時間: 問い合わせの電話に対応する時間帯を決めます。通常の営業時間に合わせるのもひとつです。対応時間外にはボイスメールからチケットが生成されるように構成すれば、通常の営業時間がきた時にエージェントがフォローアップできます。
  • 応答メッセージと保留音: 問い合わせた顧客が耳にするメッセージはすべてブランドにふさわしいものにしなければなりません。IVRや録音されたセルフヘルプリソースにも、適切に誘導できるようにしましょう。保留音も大切です。ブランドの顔としての役割を担っているだけでなく、待ち時間中の顧客の体験を大きく左右します。エージェントと話す前から顧客を苛立たせることのないよう、保留音は慎重に選びましょう。
  • ボイスメールに転送されるまでの保留時間:顧客がどれぐらい待ったらボイスメールにつなぐかを決めておきます。電話口で待たされるのは、非常に苛立ちが募るものです。問い合わせ件数が多く、待ち時間が2~3分ではすまない場合は、顧客をボイスメールにつないで、エージェントから折り返し電話をかけるようにするのが最良です。
  • 振り分けルール: IVRに使うリストは、顧客がサポートの種類を簡単に選べるように構成する必要があります。例えば、請求書に関する質問なのか技術的な問題なのかを選んでもらうといった具合です。この時の選択をワークフローにリンクさせて、裏側での処理を自動化します。このため、どの種類の問題をどのエージェントチームに対応させるか、どういう優先順位にするかなどを定義しておかなければなりません。

顧客にとってできるだけ簡単でわかりやすい体験にすることに重点を置きましょう。IVRのオプションは問い合わせを正しく振り分けながら、セルフサービスを活用するために必要なものだけに留めるようにします。IVRは実際に顧客に展開する前にテストして、使いやすさを評価することをお勧めします。

障害発生時の引継ぎシステムの準備

短時間VoIPシステムが使えなくなる事態も起こり得ることです。めったに起こらないこととはいえ、サービス中断時にも電話サポートを継続できるように、障害発生時の引き継ぎシステムを用意しておくと安心です。

この役割を担うフェイルオーバーシステムは、サービス中断があった時に別の電話回線に引き継ぐという単純な仕組みでも構いません。また、他のシステム上のVoIP電話番号、携帯電話番号、あるいは昔ながらの電話サービス回線に転送する方法を取ることもできます。フェイルオーバーシステムとして理想的なのは、ボイスメールをメールに変換したうえでチケットとして転送して、ヘルプデスクがフォローアップできるようにするVoIP回線です。

電話チャネル本稼働前のテスト

新しいサポートチャネルを展開する際に対応しなければならない課題はいろいろありますが、電話サポートの場合はさらにいくつか細かい注意が必要です。目標とする顧客の体験を簡単に作り上げられるようにすることはもとより、エージェントには不満や怒りをあらわする顧客ともうまくやりとりするためのトレーニングが必要です。電話チャネルに対応するエージェント向けの対人スキルのトレーニングについては後述します。

段階的なアプローチ:

段階的な展開が最良です。2週間ずつの段階にしてベータ期間を設けることを推奨します。

第1段階: 厳選した一部の顧客を対象にして徐々に展開していきます。まず、対象の顧客に新サービスを紹介する短いメールを送ります。最初の2週間は、スタッフが電話サポートのプロセスに慣れるための期間として活用します。週に1度、電話サポートを担当するエージェントとの会議を開いて、ベータ版についてのフィードバックを集め、それをもとに改善を加えてから第2段階に進みます。

第2段階: 試行期間の後半は、システムのレポートが表示されるダッシュボードを活用して、問い合わせ件数と問題の種類を細かく検討します。この情報に基づいて、必要な対応エージェントの人数を見極めます。

本稼働

本稼働の前に、電話チャネルのサポート範囲を明確にしておくことをお勧めします。全顧客を対象にすることも、一部の顧客に限定することもできます。消費者向け商品を扱う企業の場合はすべての顧客に電話サポートを提供するのが一般的ですが、サービス企業の場合は、特定の顧客区分に限定して電話サポートを提供することがあります。例えば、請求に関する問題、非常に複雑な技術的問題、プレミアム会員の顧客といった区分が用いられます。

電話チャネルを本格展開する準備ができたら、顧客との連絡に使っているメールやソーシャルメディアといった方法で、新たに追加されたサポートオプションを発表します。また、Webサイトや関連するソーシャルメディアのプロフィールにも、問い合わせ用の電話番号を忘れずに追加しておきます。

サポート対応時間を明確にすることも大切です。また、例えば請求関係の問い合わせにだけ電話サポートを提供するのであれば、対応する問い合わせの種類に誤解がないように明記しておきましょう。新たに導入したサポートチャネルを顧客が積極的に活用し始めるまで、時間と努力を要する場合もあります。ですが、本稼働後は問い合わせ件数が急増した場合にも対応できる備えをしておくのが最善です。Zendeskの場合、Webサイトに問い合わせ用電話番号を記載したことで、1週間あたりの電話による問い合わせ件数が40%も上昇しました。

電話チャネルに対応するエージェントのトレーニング

電話での問い合わせに初めて対応する時は緊張するものです。顧客の発言は予想不能で、電話での対応はひとつとして同じものがありません。このため、電話サポート担当エージェントには、業務に徐々に慣れていけるようなトレーニングが最良です。Zendeskでは、新人エージェントには、採用時のトレーニング終了から5週間は、電話での問い合わせに対応させていません。

電話チャネルが追加されると、担当エージェントは非常に多くの事柄を管理しなければならなくなります。顧客の発言に積極的に耳を傾け、気が動転していたり怒っていたりする顧客がいれば、なだめなければなりません。また、チケットを作成して、回答を調べる必要もあります。しかも、これらを猛スピードでこなさなければならないのです。このため、自信をつけさせてから、エージェントとして独り立ちさせる必要があります。新人がこの役割にうまく馴染めるようにするためのヒントをご紹介します。

  • 電話サポート業務を担当するエージェントには、事前にチケットの作成方法、商品サポート情報の検索方法、誤解のないコミュニケーション方法、カスタマーサービスソフトウェアの使用方法など、一般的なサポート業務をしっかりと身に付けさせておく必要があります。このため、最初はメールのサポートを担当させることをお勧めします。リアルタイムの電話サポートをする前にメールでのサポート業務を経験する時間を設ければ、商品について理解を深め、ツールを使い込む作業を通じて必要な処理を身に付けられます。
  • そのうえで、他の電話担当エージェントの対応や顧客の反応を傍聴してもらい、ジョブシャドウィングの期間を設けます。求められている口調や言い回しを学ぶのは、文書からよりも実際の対応を耳にする方がずっと簡単です。
  • 電話での顧客対応方法」の記事で紹介されている「電話サポートのベストプラクティス」もトレーニングに含めるといいでしょう。また、「顧客が怒る理由」というタイトルの記事にも、顧客が怒りを感じる理由とその場合の対処法を理解するいうえで有用なアドバイスが記載されています。
  • いよいよ電話サポートを任せる段階になったら、まずはボイスメールを担当してもらいましょう。その場で対応しなければならないというプレッシャーがなく、時間をかけて顧客の言葉に耳を傾けて、顧客が何が必要としているのかを考えられます。そのうえで、回答を調べて顧客に折り返し電話をかけてもらいます。経験を積んだエージェントにそばで傍聴してもらい、必要に応じて会話に入ってもらうなど、コーチングや支援をしてもらうといいでしょう。

電話チャネルで対応にあたるエージェントには、回答を調べるための時間や支援が必要な時は保留にして顧客を待たせることを認めるようにしましょう。エージェントに権限が与えられている事柄とマネージャーの承認が必要な事柄は文書にまとめておきます。

追跡しておくべき電話チャネルの指標

電話チャネルの本稼働後には、KPIを追跡して順調な進行を確保することが大切です。各エージェントのパフォーマンスと部門のパフォーマンスを継続的に確認して、問題の兆候がないか、またスタッフ配置の調整が必要になるような傾向が見られないかに注意を払う必要があります。このプロセスに役立つのが電話システムのレポートが表示されるダッシュボードで、次のような主要指標を追跡できます。

  • 1日あたりの着信件数:1日あたりの着信件数と着信時刻を監視しておくと、一番忙しい曜日がわかり、またその着信件数に応じた人員配置計画になっているか継続的に確認できます。
  • エージェント1人あたりの対応件数:1日あたりの着信件数を見れば、電話サポート担当者全員で何件の電話に対応したかがわかります。ですが、それぞれのエージェントが何件の電話に対応しているかを把握しておくことも有用です。エージェントごとに設定した担当サポートのパフォーマンス目標について、進捗を把握するうえで非常に役に立ちます。
  • 平均通話時間:電話サポート担当者全体の平均通話時間とエージェントごとの平均通話時間の両方に注意を払いましょう。着信件数と同様に、パフォーマンス目標に対する進捗を追跡するうえで重要です。また、平均通話時間が長すぎる担当者には、追加のトレーニングを実施する必要があるかもしれません。また、顧客の満足度が下がる兆候を示している可能性があります。
  • 自動音声応答(IVR)の利用時間:IVRで顧客がどんな体験をしているかの理解に役立つため、興味深い指標です。IVRで過ごす時間が長すぎる場合には、不適切な設計で顧客を混乱させている可能性が考えられます。その一方で、IVRの一環としてセルフサービスサポートを導入している場合は、IVRを利用する時間が長いのは望ましいことで、セルフサービスのサポートが活用されている事実を示している可能性があります。
  • 待ち時間:待ち時間を追跡すれば、エージェントの人数が足りずに非常に多くの顧客を待たせている状況があれば気づくことができるため、エージェントの配置状況の不備を捉えることができます。またエージェントが電話に応答してから顧客をどれくらい待たせているかといったことがわかるため、エージェントのパフォーマンスも確認できます。
  • 途中で終了された電話:待たされているときに途中で電話を切る顧客はどれくらいいるでしょうか?この数字が大きい時は、エージェントが足りていないといえるでしょう。この指標を着信件数の総数と併用すれば、問い合わせの急増が見込まれる時にスタッフを何人追加すればいいかを判断するうえで役立ちます。

顧客にフィードバックを求める

新たに導入したチャネルの有効性を測定する時に最も重要になるのが顧客満足度です。顧客満足度で2位の座にある電話の導入はそれ自体が助けになります。ですが、電話サポートの実施が顧客にどのように受け止められているかを確認するのも大切なことに変わりはありません。過去の過ちを繰り返さないようにして、顧客に不満や苛立ちを感じさせている体験があれば改めたいものです。

顧客満足度の測定に利用できるツールを活用しましょう。問題解決後の満足度調査といったカスタマーサービスソフトウェアの簡易なフィードバック機能を使うこともできますが、顧客満足度やNPS®(Net Promoter Score℠、ネット・プロモーター・スコア)調査のような、より高度な手法を利用する必要もあるかもしれません。顧客にフィードバックを求めて、改善のチャンスを見いだすことが大切です。そのうえで、データから傾向を読み取って、優先順位をつけながら、企業にとっても意味のある顧客の提案を取り入れていくとよいでしょう。

まとめ

ペースの速い現代では、オムニチャネルも一般化しており、顧客はすぐに対応してもらえることを望んでいます。規模が小さめの企業であっても大規模企業と同じ土俵で戦う必要があり、この意味でも、電話サポートは中小企業が顧客満足度を高めるときに活用できる理想的なツールといえます。SaaSやVoIPのおかげで、費用効率よく一元化されたクラウドベースのカスタマーサービスプラットフォームを用いて、複数のチャネルを管理できるようになりました。これを活用すれば、規模の大小にかかわらず、一流のサポートの提供も実現可能なことです。

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