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カスタマーサクセスマネージャーの採用で確認すべき30の質問項目

更新日: 2024年2月24日

ポジションを問わず、不適切な人材を採用してしまうと、数多くの問題が生まれます。代わりの人材を探すにも費用がかかり、すぐに辞める人が出てくると部内の士気が下がることも多いものです。

特にカスタマーサクセス部門のマネージャー採用となると、判断を誤った時のダメージはさらに大きくなります。カスタマーサクセスマネージャーは、企業が顧客との間に長期的な関係を育むうえで非常に重要な役割を担います。職務や社風に合わない人を採用してしまうと、リテンションレート(顧客維持率)が下がることはほぼ確実です。長期的には、売上にも影響が及びかねません。

カスタマーサクセスマネージャーとカスタマーサービスマネージャーは、名称は似ていても、役割には明確な違いがあります。

  • カスタマーサービスマネージャーは事後対応を担当します。問題が起こった時に、その問題をできるだけ早く解決することに努めます。顧客との関係は短期的なものになる傾向があります。
  • カスタマーサクセスマネージャーには、先を見越した対応が求められます。顧客との間に長期的な関係を育みながら、顧客が何を目標にしていて、どんな点に苦労しているかを理解することに努めます。この理解があれば、顧客がこれからどんな問題に遭遇するかを予測して、その問題を未然に防ぐ措置を講じることができます。

この記事には、カスタマーサクセス部門を率いるのにふさわしい有能なマネージャーを採用するために、面接で確認すべき30の重要な質問事項をまとめました。

質問に対する答えのなかで注目すべきポイントもご説明します。こうした点を理解していれば、職務に適した能力を備え、社風に合った人を見極められるはずです。

製品と業界の知識

次の質問をすることで、前もって会社の情報を十分に得たうえで面接に臨んでいることを確認しましょう。

どんな答え方をするかに注目すれば、企業の製品を顧客にわかりやすく簡潔に説明する能力を備えているかを評価するうえでも役立ちます。

1. 当社の製品でどんなことができるかを、1分間で簡潔に説明してください。

製品をしっかりと理解したうえで、製品の機能や性能に喜びや興奮を感じていることが伝わってくる回答になっていることを確認しましょう。

2. 当社の製品を使ってみられましたか?何か改善すべき点に気づかれましたか?

少なくとも実際に製品を使ってみたうえで、面接に臨んでいる必要があります。批判的思考のできる人であることも非常に大切です。製品の想定ユーザーとユーザーが遭遇する可能性のある問題を十分に考えたうえで、改善点を提案しているかに注目しましょう。

3. カスタマーサクセスマネージャーを採用することで、当社にどんなメリットがもたらされると思いますか?

この質問にどこまで詳しく回答できるかに注目すれば、会社についてどれだけしっかりと調べたかがわかるはずです。また、その人の持っているカスタマーサクセスマネージャーのビジョンが、会社のビジョンにマッチしていることも確認するようにしましょう。

4. 業界の変化や新たな動向に遅れずについていくために何をしていますか?

ひとつではなく複数の方法で情報収集していることを確認しましょう。積極的に知識を習得する人かどうかが、この回答から理解できるはずです。SaaS(サービスとしてのソフトウェア)業界など、常に変化し続けている業界では、この資質が特に重要です。

5. 職業上の能力開発のために行った投資で、直近のものを教えてください。

カスタマーサクセスマネージャーの役割は比較的新しいため、自分の限界を広げることに意欲的で、その職務に対して高い基準を確立する人が望まれます。

求められる以上の取り組みをしていることが読み取れる回答になっていれば、自分の成長のために思慮深い選択をする人だといえるでしょう。

6. この役職に就くことで、どんなスキルを身に付けたいと考えていますか?

その人が職務に期待していることに企業が応じられないと、お互いにとって不幸な結果になります。この役割についての自社のビジョンと一致する回答になっていることを確認しましょう。

問題解決に対する姿勢

次の質問をすることで、問題解決に意欲的に取り組む人であることを確認しましょう。好ましいのは次に当てはまる人です

  • プレッシャーを感じる状況でも、うまく働くことができる
  • 顧客の問題を解決する時に、クリエイティブな解決策を見つけるのが好きである

7. 継続課金型モデルの場合は、サクセス戦略をどう調整しますか?

SaaS企業の場合、事業を好調に維持するためには、顧客満足度を長期的に維持できなければなりません。これができないと、あっという間に顧客離れが起こり、チャーンレート(解約率)が上がります。この質問をすれば、顧客との間に長期的な関係を築く適性を備えているかどうか確認できます。

8. 顧客の問題を解決するために、通常とは違うアプローチをとる必要があった時のことを教えてください。

顧客対応に万能の方法はありません。顧客のニーズに応じて対応を柔軟に変えられる人が求められます。

9. 複数の顧客のプロジェクトを担当する場合、どのようにして業務に優先順位をつけますか?

マルチタスクのための仕組みを作っている人であることを確認しましょう。業務に優先順位をつけて他者に任せるための戦略を説明できれば、さらにプラスです。

10. 過去に経験した製品の問題をひとつ選んで、その顧客の問題をどのようにして解決したのか説明してください。

優秀なカスタマーサクセスマネージャーは、企業側の不備に向き合うのを避けるのではなく、顧客との関係を修復できるように、問題に正面から向き合います。

製品の問題解決に意欲的に取り組み、有効な解決策を考え出せる人であることを確認しましょう。

11. これまでで一番苦労した顧客対応について聞かせてください。どんな状況で、どのようにして解決しましたか?

先ほどの質問と同様に、この質問に対する回答からも、顧客とのやりとりに難局が訪れた時に落ち着いて考えられる人かどうかが分かります。

困難に遭遇した時に発奮して意欲的に解決策を探す人なのか、逆にやる気をくじかれて消極的になる人なのかを見極めましょう。

12.当社では、カスタマーサクセス戦略の予算があまり大きくありません。マネージャーの役割についた時に、あなたなら、どんな費用効率の高いカスタマーサクセス戦略をとりますか?いくつか例を挙げてください。

カスタマーサクセス戦略に配分された予算が少ない場合にぴったりの質問です。費用節約に意欲的で、機転の利く人であるとわかるような回答になっていることを確認しましょう。

顧客関係の構築



カスタマーサクセスの分野では、顧客満足を確保するだけでは十分ではありません。顧客との間に関係を構築して、期待される以上の対応をすることに熱意を持っている人が求められます。次の質問をすることで、率先して顧客の期待を上回る対応をする心構えがあることを確認しましょう。

13. カスタマーサクセス業務にアップセル(上位製品の販売)をどう織り込みますか?

カスタマーサクセスマネージャーは営業担当者ではありません。しかし、アップグレードを販売できるチャンスがないかにも注意を払う必要があります。

顧客との関係を維持しながら、企業としての成長のチャンスも見いだせる人かどうかを回答から見極めるようにしましょう。

14. 顧客との間に長期的な関係を育むうえで、何が大切だと思いますか?

このポジションには、火消し役がうまい人が求められているわけではありません。それはサービス担当者の仕事です。定期的に顧客に働きかけるなど、長期的な関係を育むための活動をして、時間をかけて顧客との親交を深めて信頼を得る人が求められます。

15. 顧客の訪問はどれくらいの頻度で行うべきだと考えていますか?

正解はありませんが、顧客への定期的な働きかけには良識的な頻度があるはずです。この役職についた時に、十分な頻度で顧客に連絡する人であることを、この質問で確認します。

16. 苛立ちを隠せない顧客を引き継いだ時のことを聞かせてください。どのようにしてよい関係に導きましたか?

不満をあらわにしている顧客の対応は容易なことではありません。しかし、これもカスタマーサクセスマネージャーの業務の一環です。この質問をすることで、顧客に不快な体験をさせてしまった時にも、うまく方向転換を図って挽回する能力があることを確認します。

17. チャーンレートを最小限に抑えるために、カスタマーサクセス担当者が実施できる、効果の大きい取り組みを3つ教えてください。

リテンションレート向上にも役立つ可能性のある、具体的で革新的な解決策を提案できる人が求められます。

18. 他のカスタマーサービス担当者と比べた時に、あなたの対人関係スキルのどの点が優れていると思われますか?

採用面接では謙虚でいたいと思うものなので、少し答えにくい質問かもしれません。

しかし、業務に関して批判的思考を用いる人であることを確認するのも大切です。よくある問題に気づけない人は、同じ問題を犯す可能性が高いといえます。

チームワーク

社員が一丸となって取り組まなければ、顧客満足を維持することはできません。顧客にとって最適な解決策を見いだせるように、サポート部門や営業部門など、他の部門とうまく協力できるのが優秀なカスタマーサクセスマネージャーです。

次の質問をすることで、チームワークのできる人であることを確認します。

19. ご自身のことを社交的だと思われますか?例を挙げてください。

W注意:この質問をすると、ほぼ全員が「はい」と答えます。どんな例を挙げるかに注目しましょう。

顧客の問題解決などの必要な業務に限られず、顧客の成功のためにそれを上回る対応をするような体験談になっているでしょうか?他者と接することが本当に好きな人かどうかは、仕事以外の体験談からわかることも少なくありません。

20. 過去に同僚との関係がうまくいかなかった時に、どのように対応しましたか?事例を教えてください。

同僚にも失礼で扱いにくい人はいるものです。カスタマーサクセスマネージャーの場合、厄介な人間関係にもうまく対応できる能力が特に大切です。立場上、気難しい顧客に対応することも必ず出てくるためです。

この質問をすることで、争いがあった時にもうまく解決できるだけでなく、自社の基準にかなう対応をする人であることを確認しましょう。

21. チームの一員として働いた時の最高の体験と最低の体験を教えてください。

優秀なカスタマーサクセスマネージャーは、顧客の問題を最小限に抑えるだけにとどまりません。多数の部門と協力することになるため、同僚との問題も先を見越しながら解決する必要があります。

リーダーとしての采配や前向きな姿勢が現れた回答になっているかどうかに注目して、チームの一員として働ける人であることを確認しましょう。

22. チームを率いた時の経験を教えてください。その体験を通じて学んだことをひとつ挙げるとしたら何ですか?

どんなに優れたリーダーでも、間違いを犯すことはあります。この質問をすれば、自分の過ちを反省して改善につなげる方法を見いだせる人かどうかを判断できます。

23. チームの一員として働く時に大切になるのは、どんな気質や特徴だと思いますか? 3つ挙げてください。

正しい答えはありません。社風によって、望ましい気質や特徴は違うはずです。

自社にぴったりの人を採用できるように、企業で重視している価値観に一致した回答になっていることを確認しましょう。ただし、この点については、採用が偏らないように、柔軟な判断基準を策定しておく必要があります。

24. 複数の部門と協力して行った業務の体験について聞かせてください。よい体験でしたか?それとも、悪い体験でしたか?なぜそう思うのですか?

カスタマーサクセスマネージャーは、マーケティング、営業、サポートの各部門とスムーズに連携しながら協力できなければなりません。

部門の枠を超えたチームで協力することに意欲を感じるのか、不満を持つ傾向にあるのかが、この質問に対する答えで分かります。

状況に即した対応をする能力

カスタマーサクセスの経験がないというだけで、応募者を除外するのはお勧めしません。

次の質問をすることで、カスタマーサクセスでよく遭遇する状況に過去の体験を応用できる人かどうかを確認しましょう。

25. 複数の顧客に影響するサーバー停止があったとします。どんな手順で問題に対応しますか?

SaaS業界の場合、電力障害は珍しいことではありません。しかし、だからといって、この問題が起こった時のストレスが小さくなるわけではありません。顧客の不満に対応しながら、プレッシャーの中でも問題を解決できることを示す回答が求められます。

26. 顧客とのやりとりの中で、チームの一員が顧客に間違った情報を提供していたことに気づいたとします。その顧客との間、同僚との間で、それぞれどのように対応しますか。

これは、顧客に対してはミスに対する責任を取り、同僚にはこの点に関して内々に話をすべき状況です。このアプローチが取れれば、顧客に誠実な態度を貫きながら、同僚の感情を傷つけることなく、問題を解決できます。

27. 自分ではわからない内容について顧客から質問された時は、どのように答えますか?

わからないことを顧客に隠さず、正しい答えを探す努力を怠らない人が求められます。顧客に誠実に答えたうえで、社内の協力を仰いで情報収集にあたるのが適切な対応です。

例えば、顧客には次のように答えてもいいかもしれません。「それは鋭い点です。正しい情報をお伝えできるようにしたいので、社内で確認させてください。少々お待ちいただけますか?」

28. 会社が認めていない返金などを、解決策として顧客に要求された場合は、どう答えますか?

いつも顧客の要求どおりにできるわけではありません。神経を使う状況ですが、カスタマーサクセスマネージャーは、こうした窮地にもうまく対応できなければなりません。

扱いにくい状況にも冷静に対応して、顧客に代替となる解決策を提示できる人が求められます。

29. カスタマーサクセスマネージャーとして、営業目標達成に向けてどんなアプローチをとりますか?

カスタマーサクセスマネージャーは、上位製品の販売促進にとって絶好のポジションにいることが少なくありません。販売ノルマにやる気を感じ、営業部門と連携をとることに熱意のある人が求められます。

30. テクノロジーに詳しくない人にTikTokやFacebookなどのSNSを説明する時は、どのように説明しますか?

複雑なコンセプトを一般ユーザーに簡潔かつ明瞭に説明できる人でしょうか?ソフトウェアはたいてい複雑なので、これは特にSaaSのカスタマーサクセスマネージャーにとって重要なスキルです。

この質問の答えから、技術的な製品であっても、一般の人にもとっつきやすく面白いものだと思ってもらえるような話の仕方ができる人かどうかが分かります。

適切な質問をして理想的な人を採用する

自社の採用活動に活用するための質問集を作成する際に、このガイドが助けになるはずです。さらに、一歩進めて、カスタマーサクセスマネージャーの役割に求める理想的なスキルをあらかじめ文書化しておくすることをお勧めします。評価すべきすべての適性を確認できる質問を使うことが大切です。

少し時間のかかるプロセスですが、時間を投資するだけの価値があります。自社独自の質問集を用意しておけば、単に有能なカスタマーサクセスマネージャーというだけではなく、自社の社風にマッチした人を採用できるはずです。

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