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チャーンレート(解約率)とは? 定義・計算・改善

更新日: 2024年1月30日

顧客の心は変わりやすいもの。今は好意的に利用してくれていても、明日になればどうなっているかはわかりません。そのため、業種や事業規模にかかわらず、企業はチャーンレート(解約率)を常に追跡、把握する必要があります。チャーンレートは、自社の製品から売上、顧客ロイヤルティ、そして顧客満足度に至るまで、ビジネスのほぼすべての側面に影響を及ぼす重要な指標です。そもそも顧客がいなければ、ビジネスは成り立たないからです。

チャーンレートは、成功にかかわる指標というよりは失敗にかかわる指標として捉えられがちですが、これを把握していなければビジネスを成功に導くことはできません。チャーンレートを他の主要指標と併せてチェックすると、企業は自社の強みと課題を的確に理解することができます。

チャーンレートとは

チャーンレートは解約率を指し、一定期間中に会社との取引を中止した顧客の割合を指します。チャーンレートを測定する頻度は、1年、四半期、1か月、あるいは1週間単位など、ビジネスの性質によって異なり、SaaS企業の中には毎日測定している企業もあります。

チャーンレートは顧客満足度をダイレクトに表す指標のため、SaaS企業であろうと、より従来型の製品・サービスを提供している企業であろうと、最も影響力の大きい指標の1つです。企業は顧客ロイヤルティを維持してチャーンレートをゼロにしようと努めますが、新しい顧客を呼び込めてもなかなか定着しないのが実情です。そのため、顧客が離れていってしまう原因を突き止めることが重要となります。どんな問題でも、まずはそれを認識することが解決への第一歩となるのです。

チャーンレートを測定すると、解約状況がどれくらい深刻なのか、またそれをもたらす原因は何なのかが理解できます。それを基に対策を実施すれば、チャーンレートは下がり、顧客維持率は改善され、顧客満足度と顧客ロイヤルティも向上します。

チャーンレートの計算方法

チャーンレートは、「一定期間中に失った顧客数÷当初の顧客数」の計算式で求められます。解約率なので、結果はパーセントで表します。

チャーンレートの計算式

(Y/X) *100 = Z

たとえば、月初めの顧客数が100人で、月末までに失った顧客数が10人だとします。

  • 月初めの顧客数が100人 (X)

  • 月末までに失った顧客数が10人(Y)

この場合、10÷100=0.1で10%となり、この年の月あたりのチャーンレートは10%ということがわかります。

ビジネスの性質によっては、チャーンレートと他の指標(経常損益額、製品エンゲージメントの低下率、損益率、その他の製品や企業ごとに固有の諸々の要素)を照らし合わせて確認した方がよい場合もあります。チャーンレートを詳細に分析すれば、より効果的に自社の顧客ベースのチャーンレートを下げることが可能になります。

なぜチャーンレートを重要視すべきなのか

チャーンレートはとりわけ見逃せない指標です。なぜなら、顧客の減少は収益の減少に直結するからです。大量の顧客が流出すれば、収益にも深刻な影響が及びかねません。実際、最近の研究では、チャーンレートが5%下がっただけで収益が25~95%も改善されることがわかっています。

顧客を定着させて、チャーンレートを下げることが重要なもう1つの理由は、既存顧客を維持する方が新規顧客を獲得するよりもコストを大幅に抑えられるからです。前述の研究によると、新規顧客の獲得にかかるコストは、既存顧客の維持にかかるコストの5倍に及びます。つまり、顧客を失うと、その分の収益が減るだけでなく、また新たな顧客を得るために高い費用を捻出しなくてはいけなくなってしまうのです。

ですから、製品やサービスがどんなに優れていたとしても、チャーンレートを把握し、既存顧客が満足する要素を理解して、ロイヤルティの高い顧客の維持率を押し上げるための取り組みに努めることは、どんな企業にとっても重要なことです。

チャーンレートを下げるための4つのヒント

チャーンレートを把握することは、重要な第一歩に違いありませんが、それだけで終わってしまっては意味がありません。チャーンレートが把握できたら、それを最小限に抑えてビジネスを成長させる方法を見つける必要があります。ここでは、チャーンレートを下げるための戦略を考えるうえで役立つ4つのステップをご紹介します。

  1. 顧客の声に耳を傾ける

    ロイヤルティの高い顧客が理由なく解約することはありません。アンケート、フィードバック、その他の顧客満足度にかかわる指標を通じて、顧客の声を拾い上げ、顧客が解約に至った要因を特定しましょう。また、カスタマージャーニーのあらゆるタッチポイントから各種指標をチェックして、カスタマーエクスペリエンスを改善する方法を探ることも大切です。たとえばSaaS企業なら、顧客のオンボーディングプロセス、オンライン小売業者なら、顧客が製品を検索したときのヒット率についても注目するとよいでしょう。

  2. リスクの高い顧客を特定する

    顧客維持の面について言えば、解約するリスクが最も高そうな顧客を特定することが重要です。これは言うほど簡単なことではありませんが、複数の指標を併せ見ることで、解約リスクが高い顧客に共通するパターンを見つけ出せるかもしれません。たとえば、顧客が営業担当者とやり取りしてから、Webサイトを訪問して、製品・サービスを注文するまでにかかった合計時間に注目するのも手です。他にも、ネガティブなフィードバックがあった、返品履歴がある、あるいは提供されたサポートに満足していない顧客には注意が必要です。解約リスクが高い顧客が特定できたら、特別なオファーを提供したり、サポートを強化したりして、顧客ロイヤルティの回復に努めましょう。

  3. 優良顧客からの収益確保を強化する

    優れた戦略を立てて、チャーンレートを的確に予測できる指標を活用したところで、チャーンレートをゼロにすることはほぼ不可能です。そこで重要になってくるのが、優良顧客を把握して手厚くもてなすことです。製品やサービスを購入してくれる可能性が最も高い顧客の売上を最大化できれば、努力むなしく一部の顧客が解約してしまったとしても、その分の損失を埋め合わせることができます。

  4. 顧客へのサービスやサポートに投資する

    調査によると、カスタマーサービスで1回でも不快な経験をしたら、もうその企業は利用しないと回答した顧客の割合は3分の1に及び、複数回になると、その割合は80%にまで跳ね上がります。つまり、顧客ロイヤルティを育み、顧客と長期的な関係を築きたいなら、平均点以下のサポートを提供するようなことがあってはなりません。迅速かつパーソナライズされた対応を実現し、顧客にとって最も使いやすいチャネルに対応するには、ヘルプデスクや顧客関係をスムーズに管理できるソフトウェアを導入するのが効果的です。

チャーンレートの改善は不可欠

顧客は企業の根底を支える存在です。顧客のニーズに応え、ビジネスを成長させていくには、チャーンレートを把握することが不可欠です。直視するのは勇気が要るかもしれませんが、この指標を把握することは、ビジネスを改善し、顧客と長期にわたって実りある関係を築くための第一歩なのです。

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