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カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)とは? 意味・戦略・測定・分析

顧客が企業に対して抱く感情やイメージは、企業の売上に大きく影響します。

発行日: 2020年12月4日
更新日: 2020年12月4日

顧客が企業に抱く期待は膨らんでいます。誰にでも、顧客として非常に満足した体験もあれば、怒りに震える体験もあったのではないでしょうか。限られた社内リソースの中でさまざまな優先事項に対応しながら、目標とするカスタマーエクスペリエンスを実現するにはどうすればいいのか。企業はそのバランスを見いだすことを迫られています。顧客中心主義で知られている企業ほど、より大きなプレッシャーを抱えています。

この記事では次の内容を解説していきます。

カスタマーエクスペリエンスとは

カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience、CX、顧客体験)は、企業に対する顧客の見方や感じ方に影響を及ぼすあらゆる要素を指しています。

カスタマーエクスペリエンスを考える時は、企業と顧客の関係に焦点を当てます。つまり、どんなに短時間でも、また購入につながらなくても、企業と顧客の間で行われたすべてのやりとりがカスタマーエクスペリエンスの対象になります。

窓口への問い合わせ、目にした広告、請求書の支払いといった日常的な事柄をはじめ、企業とのすべての接点で顧客がどんな体験をしたかによって、企業と顧客とのつながりが強まることもあれば、逆に損なわれることもあります。

何より重要なのは、一連の体験を経た顧客がどんな意見を持つかです。

Zendeskでシニアカスタマーサービスエバンジェリストを務めるDave Dysonは、次のように述べています。
「カスタマーエクスペリエンスとは、企業と顧客との一連のやり取りの中で、顧客がその企業をどのように感じたか、ということです。これはカスタマージャーニーのそれぞれの段階で顧客が企業と接した際の体験が積み重なってできていきます。例えば、購入を決めるきっかけとなったマーケティング資料、営業担当者と接した時の体験、商品やサービスの品質、購入後に受けたカスタマーサービスなど、あらゆる体験が総合されて決まります」

カスタマーエクスペリエンスの構成要素

今日、顧客が企業とやりとりする方法は、これまでになく多様化しています。例えば、こんなタッチポイントがあります。

  • 従来型の店舗
  • 携帯のアプリ
  • SNS
  • WebサイトやSMSでのチャット
  • サポートフォーラム
  • 独創的な販促キャンペーン
  • IoT(モノのインターネット)に接続されたデバイス

カスタマーエクスペリエンスは複雑で、さまざまなやりとりが絡んでいます。これを紐解いてわかりやすく理解するためには、基本的な構成要素ごとに考えるのもひとつの方法です。

  • 文化、戦略、プロセス
  • International Data Corporationが企業のカスタマーサービスを対象に実施した調査の中で、「質の高いカスタマーエクスペリエンスを実現するためのリーダーは誰か」と聞いたところ、72%以上の回答者が、CEOまたは上級幹部と答えています。

    つまり、カスタマーサービスからマーケティングや営業に至るまで、企業として一貫性のあるカスタマーエクスペリエンスを提供することに重点を置きたければ、トップが積極的に影響力を行使する必要があるのです。

    トップが方針を打ち出して、カスタマーエクスペリエンス重視の価値観を全社的に推進していくことが求められます。企業は事業目標を達成するためには、組織を分断するサイロ化の壁を積極的に取り払い、戦略やプロセス、カスタマーエクスペリエンスを積極的に構築していかなければなりません。

    社内的な優先順位を決めて、CX部門と他の部門に必要なリソースのバランスを取ることも、リーダーの役割です。Dysonは「CXの戦略や役割を明確にしても、リソースという下支えがなければ、大きな効果は望めません」と述べています。

  • 製品とサービス
  • 製品とサービスは顧客のニーズや需要、期待に応えられるものでなければなりません。カスタマーエクスペリエンス戦略で大きな成果を上げている企業では、顧客から具体的な要望が届くのを待つのではなく、知識と経験をを活用して顧客がどんな体験を求めているかイメージするする文化を持っています。体験は目に見えるものばかりではありません。ですが、体験を生み出すプロセスの部分には必ず取り組めることがあります。

    「顧客のニーズや期待に応えられている商品は、応えられていない商品に比べて、販売後に多くのサポートを必要としません」とDysonは述べています。

  • 人材
  • 一貫性のあるカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、カスタマーサービスエージェントをはじめ、顧客と接する全員が重要な役割を果たします。企業は従業員に戦略をしっかりと理解してもらい、顧客に満足してもらえるカスタマーエクスペリエンスが実現できるようにトレーニングを行う必要があります。

    また、質の高いエンプロイーエクスペリエンス(従業員体験)を生み出して、社員が顧客のニーズや期待に応えやすくする環境を整えることも必要です。

    Dysonは次のように説明しています。「トレーニングやツール、方針、プロセス、文化の一つひとつが、“人”の役に立つものでなければなりません。つまり、“顧客”と“顧客の役に立つ社員”の利益になる必要があるのです。あべこべになってはいけません。社員に奨励するのが協力または競争のどちらであっても、何をもって成功とするのか、どんな成長の機会を与えるのか、顧客との対応でどんな決定権を与えるのか、といったすべてのことが社員の体験に影響します。そして、この従業員体験こそが、最終的にはカスタマーエクスペリエンスにまで及びます」

  • 情報
  • 企業と顧客の間でやりとりされるものから、社員同士のやりとり、パートナーから顧客に向けたものまで情報は多岐に渡ります。コンテンツ、データ、分析なども含まれます。

    顧客や社員に対して利用されるナレッジマネジメントのリソースは、企業の生産性を向上させ、顧客に自ら問題解決できるセルフサービス型のサポートを提供する際に重要な役割を果たします。マーケティング目的で顧客に対して資料を用意する際は、その資料に企業のナレッジが含まれているかどうかを確認しておきましょう。

  • タッチポイントとチャネル
  • 電話やメール、チャット、広告、Webサイト、レビューサイトなど、顧客が企業に接するすべてのタッチポイントとチャネルを管理する必要があります。

  • テクノロジー
  • カスタマーエクスペリエンスの構築にはカスタマーサービスソフトウェアの活用が大きな役割を果たします。

カスタマーエクスペリエンスが重要な理由とは?

カスタマーエクスペリエンスは企業の売上に影響を及ぼすため、企業が優先的に取り組むべき課題です。

顧客がブランドに対してどう感じるかは、カスタマーリテンション(顧客維持率)、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)、ブランドロイヤルティと関係性があります。 Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート2020年版によれば、顧客の52%はお気に入りのブランドの商品を購入するために労力を惜しまないと答えています。

競争が激化しているビジネス環境で顧客を獲得、維持していくのは至難の業です。シームレスで満足度の高い顧客体験を提供することに目を向けない企業は、「サービスの良し悪しを決めるのは顧客」という事実を理解して活動する競合に敗れる結果になりかねません。

たとえ一度でも顧客の期待に応えられないと、ブランドの評判に重大な影響が及ぶことがあります。インターネットが普及した今、顧客は別のブランドに簡単に乗り換えられます。対応を間違えた時に挽回する余地はあまり多くはありません。商品が気に入らなかったり、対応に不満を感じたりしたら、インターネットで検索すればすぐに別の候補が見つかる時代なのです。

実際、Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート2020年版によると、顧客の半数は、1回嫌な思いをしただけで、購入先を競合他社に切り替えると答えています。2回以上嫌な思いをした場合には、この割合は80%にまで上がります。

Dysonは次のように説明しています。「顧客に満足してもらえる体験を生み出せれば、競争上の優位性が促進されます。顧客はいつでも別の購入先を見つけられる立場にあります。問題が起こった時にカスタマーサポートにつながらなければ当然苛立ちを感じます。ひどい体験をしたと思えば、他社からの購入を決めることもあるでしょう。顧客にとって満足のいく体験を提供している競合他社を見れば、どんなカスタマーエクスペリエンスを提供すべきかが見えてきます」

顧客の50%は、1回嫌な思いをしただけで、購入先を競合他社に切り替えると答えています。2回以上嫌な思いをした場合には、この割合は80%にまで上がります。

市場の飽和が進んでいることから、多くの企業はカスタマーエクスペリエンスの向上が競合他社との差別化に大きな効果を持つと気づき始めています。つまり、優れた商品や競争力のある価格設定だけでは、もはや顧客ロイヤルティを構築できないため、個別化(パーソナライゼーション)した顧客中心主義の体験で差別化を目指すのが今の風潮なのです。

質の高いカスタマーエクスペリエンスとは?

Dysonによると、顧客が簡単と感じる体験にすれば、質の高いカスタマーエクスペリエンスになるといいます。

「顧客が手間をかけなくても簡単に商品やサービスを目的の用途に使用できるのが、満足度の高いカスタマーエクスペリエンスです。顧客ロイヤルティで大切なのは、大きな「感動」を作り出すことではなく、むしろ頼りになる存在となって、顧客に手間をかけない簡単な状態を作り出すことなのです」。

例えば次のような点に顧客は満足を感じます。

  • 商品やサービスを正確に伝えるマーケティング
  • 直感的な商品デザイン
  • 使いやすい自己解決用コンテンツ
  • 起こりうる問題に対するプロアクティブなサポート
  • いつでも担当者と話ができる、待ち時間の短いカスタマーサポート

重要なのは、すべての部門が協力して顧客に対してシームレスで一貫性のある体験を作り出すことです。

通常の業務では各部門が個別に顧客とやりとりするため、部門で満足度を測定する指標を用いれば顧客に満足してもらえる体験を提供できると考えるかもしれません。ですが、顧客は企業と接する時、各部門と別々のやりとりを重ねているという認識ではなく、企業全体とのひとつの継続的なやりとりとして捉えています。

横のコミュニケーションをとっていない縦割り組織の場合は、これが原因で問題が出てくるかもしれません。サイロ化が起こっていると、顧客は何度も同じことを伝え、何枚もの用紙に記入しなければならず、カスタマージャーニーも必要以上に長くなる傾向があります。

例えば、マーケティング部門の範疇にある情報であったとしても、カスタマーサポート担当者は顧客の買い物かごに入っている商品や顧客が開いた販促メールを簡単に理解できるようにしておく必要があります。同様に、マーケティング部門でも、ターゲットを絞ったメールを送れるように、顧客とカスタマーサポートの間で交わされた過去のやりとりを理解できるようにする必要があります。

様々な観点から顧客の体験を考えて、すべてのタッチポイントで顧客のニーズを中心に置いて対応することが、顧客に満足してもらえる体験を作り出す鍵となります。

カスタマーエクスペリエンスマネジメント(CXM)

Gartnerによれば、カスタマーエクスペリエンスマネジメントとは、「顧客が期待する以上の対応をして、顧客満足度やロイヤルティの向上につなげるための計画と対応」のことです。

カスタマーエクスペリエンスのマネジメントがうまくいっていない企業は、断片的なアプローチをとっていることが少なくありません。こうした企業は顧客体験を構成する要素を特定しても、それぞれを個別に改善しようとして、それらの要素が互いにどう影響し合うのかを十分に考慮していません。

このアプローチでは、混乱は必至で、カスタマーエクスペリエンスマネジメントはうまくいきません。

カスタマーエクスペリエンス戦略に取り組む時には、より総合的な全社的アプローチを取るようにすると、顧客満足度とロイヤルティが高まります。 次に、カスタマーエクスペリエンスマネジメントの戦略を構築するにあたって考慮すべき点をまとめました。

  • マーケティング
  • カスタマーエクスペリエンスを作り出すうえで最も臨機応変な対応が求められるのが、マーケティング部門です。顧客のニーズの変化に合わせて絶えず対応する必要があります。

    広告や対外キャンペーン、口コミなどで見込み客に与える第一印象を作り出すのも、たいていはマーケティング担当者の仕事です。こうして作り出した印象は、ソーシャルメディア、マーケティング、ブランドイメージの創出など、企業として発信する対外的なメッセージを通じて持続されます。顧客とのすべてのタッチポイントで収集したデータがあれば、よりパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを生み出しやすくなり、顧客ロイヤルティの向上につながります。

  • 営業
  • 営業部門は顧客を獲得、維持することを目指して業務に取り組みます。販売プロセスでは、カスタマージャーニーを活用して見込み客のニーズに応じることに細心の注意を払います。

    営業部門の取り組みは、特定の機能、フォローアップ、サポート条件など、顧客が何を求めているかについての示唆を会社にもたらすため、他部門の業務にもメリットがあります。営業部門が顧客の期待に応える体験を生み出せれば、リピート購入が促進され、チャーンレート(顧客の離脱率)も下がります。

  • 製品
  • 企業が提供する製品やサービスとカスタマーエクスペリエンスには密接な関係があります。ファーストフードよりも高級レストランに高いお金を払うように、顧客の多くは、実際に手にする商品よりも、満足できる経験のためになら財布のひもを緩めがちです。

    直接体験したこと以外にも、信頼性、価格、ユーザーエクスペリエンス(UX)、全般的な使いやすさ、商品のライフサイクルといったあらゆる特徴がカスタマーエクスペリエンスを作り出します。なかでも企業の評判に大きく貢献するのが商品を使用した時の体験で、この時の体験がカスタマーエクスペリエンスのあらゆる部分に影響を及ぼします。

  • カスタマーサービス
  • たいていの場合、販売後の顧客対応は主にカスタマーサービスが担当します。

    カスタマーサポート担当者には顧客からのフィードバックが自然と集まってきます。顧客がどんな風に商品を使っているのか、企業として顧客の期待に応えられているかのか、あるいは顧客のニーズが変化してきているのかといった情報を収集できます。フィードバックは質の高いカスタマーエクスペリエンスを作り出すうえで最も重要といっても過言ではなく、企業として適切に進化していくために不可欠な情報です。

Zendesk SunshineのようなCRMプラットフォームを活用すると、企業全体のすべての領域の顧客データを集約して、統一して管理できます。

カスタマーエクスペリエンスを向上させる7つのポイント

ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化し、競合他社との競争が激化するなかで成功するためには、優れたカスタマーエクスペリエンス戦略を策定し、顧客からの信頼やロイヤルティを勝ち取ることが求められます。

カスタマーエクスペリエンスを向上させるコツは、全てを顧客視点で顧客中心で考えること。以下で、その7つのポイントをご紹介します。

  1. 顧客からフィードバックをもらう仕組みづくり

  2. 顧客からのフィードバックを見れば、顧客がどんなことを期待しているのか、また今後業界の変化に合わせて顧客の期待にどのような変化が見込まれるのかといった点でヒントを得られます。また、顧客が苦労している点や、気にいってる点についても、理解を深められます。

    大切なのは、フィードバックを受け止めて、それに対して最善の努力をすることです。Dysonは次のように述べています。「顧客からフィードバックをもらうための仕組みを設けて、フィードバックを受け取ったらそれに対応することが大切です。行動に移すことで信頼が生まれ、口先だけではないと理解してもらえます」

    Dysonは社員からもフィードバックが得られるように、社内的な仕組みを構築することも勧めています。サポート担当者が顧客からのフィードバックを集計すれば、満足度の高いサービスにするために克服しなければならない課題を理解しやすくなります。顧客のニーズに合わない方針やプロセスがないか、問題解決のスピードを遅らせるような部門間の分断や摩擦がないか、という視点を持てるようになります。

  3. オムニチャネルによる体験の構築

  4. オムニチャネルを用いたカスタマーエクスペリエンス戦略の構築は、顧客が日常的に使っているチャネルに対応するだけにとどまりません。今では、顧客の現状に合った問い合わせ方法を提供するのは当たり前のことです。

    オムニチャネルはさらに1歩踏み込んだ取り組みで、顧客に一貫性のあるやりとりを提供できるようにすることが求められます。つまり、顧客がチャネルを変えると、それまでの会話履歴や背景情報も一緒にチャネル間を移動するような状態です。

    すべてのチャネルで顧客が満足できる体験を提供するためには、顧客がどんな人で、それまでにどんなメールを開封していて、買い物かごに今何が入っていて、過去にどんな問い合わせをしたかといった背景情報が非常に重要になります。

  5. コンテンツ管理戦略の構築

  6. サポート担当者に問い合わせるよりも、むしろ自分で問題を解決したいと思っている顧客は少なくありません。データに基づいて顧客に有益なコンテンツを用意すれば、顧客が独力で問題を解決しやすくなります。

    通常はヘルプ記事を使うか、チャットボットで顧客を迅速に正しい方向に誘導する形で展開します。コンテンツを最新の正確な情報に保つことが非常に重要です。役に立たない記事があると、逆に不満を感じる体験になってしまいます。

  7. 個別化(パーソナライゼーション)の実現

  8. Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート2020年版によると、顧客の76%は企業がデータを利用してパーソナライズ化することを期待しています。
    例えば、顧客が問い合わせ方法を選べるようにすること、アカウントの種類やステータスごとの対応、購入履歴や検索履歴に基づいた商品のレコメンドなど、Webサイトを利用する顧客は、何らかのパーソナライゼーションを求めています。

    顧客の人物像に合わせてサポート活動をカスタマイズすることは大いに効果があり、特にカスタマーエクスペリエンスでは大きな役割を果たします。顧客の好みや性格、習慣といった背景情報を収集しておけば、エージェントは適切にサポートの方向性を定めて迅速に問題解決を行うことができます。パーソナライゼーションを推し進める方法を検討する際は、企業のサポート活動でユーザーエクスペリエンス調査を実施するのも有用です。

  9. AIを活用した顧客支援

  10. Gartnerは、2022年までに顧客とのやりとりの72%が機械学習アプリケーション、チャットボット、携帯のメッセージングといった新技術を活用したものになると予測しています。

    AIを利用したチャットボットやバーチャルアシスタントは、問い合わせの多い簡単な作業に便利に活用できます。その一方で、AIだけでは対応しきれない問題の場合は、機械ではなく人が顧客の問い合わせに対応する必要があります。

  11. 先を見越した対応

  12. 今の時代、顧客のニーズに反応するだけでは、企業として突出した存在にはなれません。先を見越した対応ができる企業は、顧客のニーズを予期して、問題が大きくなる前にあるいは起こる前に対応します。これは顧客にも、印象に残るパーソナルな体験だと感じてもらえることです。

    電子商取引の企業であれば、購入手続き用のページにチャットボットを展開して、顧客が購入を断念しないように疑問点を解決するようにしてもよいでしょう。また、一時的なサービス停止の予定等があれば、メール等で事前に顧客に伝えておきましょう。

  13. データやアナリティクスの活用

  14. 顧客のデータからサポート担当者が読み取ったストーリーには、いろいろなヒントが隠されています。サポート部門の効率性、企業とのやりとりにおける顧客の全般的な満足度、顧客行動のトレンドなど、いろいろな情報が見えてくるはずです。

    顧客体験を念頭に置きながらプロセスを改善するには、何はともあれ、まずはデータから何を読み取れるかを理解する必要があります。

カスタマーエクスペリエンスの測定と分析

Dysonは次のように述べています。「これさえ見れば顧客がどんな体験をしているかがわかる。そんな魔法のような数字はありません。カスタマーエクスペリエンスに何が寄与しているのかをつかみ、それを細かく見ていく必要があります。全般的なカスタマーエクスペリエンスの測定は簡単なことではなく、データは多ければ多いほど正確に理解できます」

まずは、次のような取り組みから始めるとよいでしょう。

  • 顧客満足度調査の実施

  • この調査を実施すれば、顧客満足度指標(CSAT)や NPS℠(ネット・プロモーター・スコア)などを理解できます。

  • 顧客努力指標(CES)の測定

  • この指標を見れば、顧客が最近の問い合わせでどれくらい簡単に解決できたと感じているかを理解できます。

  • チャーンレート(顧客の離脱率)、増加率、顧客生涯価値の分析

  • Dysonは次のように述べています。「チャーンレートや契約更新率を分析する時は、例えばサポート部門とやりとりした顧客とやりとりしていない顧客を分けて算出して、比較するとよいでしょう。サポートを受けた顧客が長期に渡りユーザーでいてくれている場合は、満足できる体験を作り出せているといえます」

  • 新しいカスタマーエクスペリエンスを導入する際のABテスト

  • 例えば、カスタマーサポート用のツールとマーケティングオートメーションのシステムが統合・連携されていれば、対象の顧客層にメールでABテストを実施できます。

  • バーチャルフォーカスグループとしてのコミュニティフォーラムの使用

  • 顧客が苦労している点、機能の要望、商品やサービスの使用方法についての投稿がコミュニティフォーラムにあれば、そこから、さまざまなシーンで顧客がどう感じているかについて洞察が得られます。

  • いったん解決済みになった問い合わせの再開率や解決までの所要時間といったカスタマーサービスデータの利用

  • 「カスタマーエクスペリエンスを評価する際には、回答を得るまでの顧客の待ち時間に注目するのもひとつの方法です。助けが必要な時に待たされてもいいと思う人はいません」とDysonは言います。

  • 現場の顧客対応担当者の意見

  • 「数字を見る以外にも、顧客と直接やりとりするスタッフに顧客から耳にした事柄を尋ねるのも非常に有益なことです」とDysonは言います。例えば、顧客が苦労している点について製品部門に共有できるような洞察が得られるかもしれません。Dysonはさらにこう付け加えています。「サポート担当者がやりにくいと感じていることがないかを質問するのも大切です。サポート担当者が困っていれば、顧客も困っている可能性が高いからです。サポート担当者の仕事を楽にできれば、顧客の体験も満足度の高いものになります」

    カスタマーエクスペリエンスの重要性

    企業の規模を問わず、顧客に満足してもらえる体験を提供するための投資は大切です。企業としての成功はつまるところ、ロイヤルティの高い顧客を獲得・維持する能力にかかっています。顧客を第一に考えた対応を怠ることは、自ら顧客を競合他社に渡しているようなものといえます。

    ぜひ、本記事でご紹介した内容をもとに、自社のカスタマーエクスペリエンスに取り組んでみてください。

    CX傾向分析レポート(2020年)

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