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リアルタイム分析 vs. 履歴分析:カスタマーエクスペリエンスを向上させる分析手法とは

発行日: 2019年12月25日
日更新: 2019年12月25日

今日はどんな服装で出かけよう? 夕食には何を食べよう? 私たちは日々さまざまな選択に迫られています。コーディネートやメニューはごく個人的なトピックですから、1週間に何回同じズボンをはいても、毎晩のようにジャンクフードを食べても、他のだれかに支障が出るわけではありません。しかしビジネスの場面では、チームメンバーに関する意思決定の影響が、ゆくゆくは顧客にまで波及します。

チーム全体に影響するような決断を下すときには、その妥当性をどのように判断したらよいのでしょうか? 現代においては、顧客のニーズが変化したことで、コールセンターに求められる役割も変化しています。カスタマ―エクスペリエンスが他社との差別化のカギを握るようになったこの時代、化石のようなソフトウェアを使用したままでは、臨機応変な意思決定がすばやく行えず、すっかり取り残されてしまうでしょう。

そこで、ぜひ導入していただきたいのがリアルタイム分析です。

リアルタイム分析とは

意思決定を下すときには、カスタマーエクスペリエンスへの影響を何よりも考慮しなければなりません。もし対応待ちの顧客が大勢いて、サポート担当者が息つく間もなく必死に対応しているなら、最新の関連データにアクセスできる仕組みを整えることで、担当者と顧客の両者にとって最適な意思決定を行い、その状況を改善できる可能性があります。

現代のカスタマーサービス戦略には、リアルタイム分析が不可欠です。コール数の急増、対応待ち顧客数の推移、問い合わせの多いチャネルなど、今まさに知りたいリアルタイムの重要な情報がダッシュボード上で視覚的に提供されます。また、そうした情報をチーム全体に配信できるため、どの部分に時間を割くべきかが判断しやすくなります。

米国で人気の自己啓発本『The Power of Now(邦題:さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる)』では、著者エックハルト・トール氏が、今この瞬間こそが私たちのすべてであり、今を大切に生きるべきだと説いています。カスタマージャーニー全体を見渡すべきタイミングも、まさに「今」なのです。

必要な情報は、必要になったそのときに入手しなければなりません。特に、期待どおりの成果が挙がっていないと気付いたときには、直ちに関連するデータにアクセスする必要があります。たとえそのデータが通常と変わりないパターンを示していたとしても、コールセンターの状況は刻一刻と変わるため、次の瞬間に何が起こるかは予測がつきません。

リアルタイム分析の活用例

カスタマーサービスチームを率いるのは、そう簡単な仕事ではありません。たとえば、自社のオムニチャネル化構想の一環で、新たなサポートチャネルとしてメッセージングプラットフォームを導入したとします。人気が高いメッセージングチャネルに問い合わせが殺到するだろうと想定し、張り切ってチームの体制を整えました。ところがふたを開けてみると、電話での問い合わせは一向に減りません。

しかし、心配は無用です。リアルタイム分析なら、各チャネルでの現在の待ち人数を把握できるため、人手の足りないチャネルを担当者自身で確認して、適宜応援に回ることができます。

別の例として、自社で新製品をリリースした場合を考えてみましょう。仮に十分なトレーニングを受けている担当者が限られていても、リアルタイム分析なら、問い合わせがどの担当者に転送されているかを確認し、その情報を踏まえて、製品に詳しい担当者にチケットを直接割り当てられるようになります。

また、関連する顧客データや会話履歴を参照すれば、顧客に合わせて最適なコミュニケーションが図れるため、パーソナライゼーションが重視される今日でも、満足度の高いカスタマーエクスペリエンスを実現できるでしょう。

当然ながら、リアルタイムのデータは、長期的な意思決定の参考にはなりません。長期的な計画を立てるための判断材料を豊富に入手したいときには、履歴分析が役立ちます。履歴分析なら、過去の意思決定の失敗例だけでなく、成功例も振り返ることができます。

履歴分析とは

履歴分析は、お馴染みの方も多いかも知れません。1日に1回、速くても1時間に1回という緩やかな更新ペースで、主要な測定指標のデータが提供されます。過去のデータをさかのぼることで、顧客満足度(CSAT)や初回返信時間(FRT)といった指標を確認し、そこから改善点を洗い出して、担当者向けのトレーニングに反映することができます。また、大型連休、製品発売、マーケティングキャンペーンなど、特にサポート担当者の手が必要になる時期を予測するのにも役立ちます。

将来の予測を立てるには、履歴分析の方が便利です。会話の内容や顧客の待ち状況と違い、サポート担当者のスケジュールや製品のリリース予定はリアルタイムで変化していくものではありません。たとえば、発売日や祝日に向けて担当者のシフトを作成するときや、手間のかかる複雑な問い合わせについての研修プログラムを開発するときに、リアルタイムダッシュボードを眺めていても有効なヒントは見つからないでしょう。

履歴データから定型パターンを見極めて長期的な計画を立てる作業は、天候の予測に似ています。日々の天気は絶えず変化しているため、正確に言い当てることは不可能ですが、年単位での気候の変化なら、過去の傾向から大方の予測を立てることができます。

一方、カスタマーサービスチームの管理は、それとは性質が異なります。履歴分析を通じて、製品発売やマーケティングキャンペーンに伴う問い合わせ件数の拡大は予測できますが、その妥当性を瞬時に評価することはできないからです。また、現在最も利用されているチャネルや、最も対応に追われているチームを特定することもできません。

どちらの分析が優れているのか

これは少々いじわるな質問です。使うタイミングや場所によって物の価値は変わります。おいしいカツサンドを作るときに、ソースとキャベツのどちらか一方だけを使うように迫られても、困ってしまいます。実際、履歴分析の情報だけで、即時的なリソース割り当てを行うのは容易ではありません。それが可能なら、最新のデータがこれほどまでに強く求められることも、リアルタイムで更新されるダッシュボードが開発されることもなかったでしょう。

迅速な意思決定は、計り知れない価値を生みだします。同様に、今この瞬間の大切さを理解し、最新のデータにアクセスできることにも、大きな価値があります。計画どおりに事が運んでいない状況で、直ちに適切な意思決定を下すと同時に、似たような問題がどれくらいの頻度で発生しているかを把握できれば、カスタマーエクスペリエンスを向上できるに違いありません。

コールセンターで使用されているソフトウェアを意思決定に活かすことは、まるで恐竜に戦いを挑むような、壮大なチャレンジに思えるでしょう。確かに、テクノロジーの刷新も、意思決定も、簡単に成し遂げられることではありません。しかし、リアルタイムのデータを活用できれば、的確で賢明な判断を即座に下すことも決して夢ではないのです。

リアルタイム分析の詳細については、Zendesk Exploreのページをご覧ください。