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顧客体験のパーソナライズに欠かせない2つのポイント

更新日: 2024年2月22日

カスタマーサービスやカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)をパーソナライズするには、1)顧客のプロフィールとニーズを理解し、2)できる限り効率的にサービスやエクスペリエンスを提供する必要があります。こうした大規模なパーソナライゼーションを実施するには、顧客をサポートしたり、顧客の求める情報を効果的に提示したりするうえで必要なコンテキストを提供してくれるソフトウェアソリューションが不可欠です。こうしたソリューションから得られたデータを基に、チームはカスタマージャーニーを追跡し、顧客に合わせた情報を提示できるようになります。たとえば、既にシャワーカーテンを購入した顧客に対しては、お勧め商品としてシャワーカーテンを表示させない、といった具合です。

カスタマーサービスのパーソナライゼーションには多くの利点がありますが、実装プロセスは一筋縄ではいきません。これは、2019年の小売、旅行、ホスピタリティ業界向けCX ExchangeカンファレンスでZendeskの最高マーケティング責任者ジェフ・ティタートンも触れているとおりです。たとえば、消費者は個人データがどう利用されるかについて関心や懸念を寄せていますが、自分のニーズを伝えるためであれば企業にデータの一部を渡してもよいと考えています。迷惑メールは遠慮したいけれど、メールやテキスト、お気に入りのメッセージングアプリなど、よく利用しているチャネルから役立つ情報がタイムリーに届くのは歓迎するというわけです。

カスタマーサービスの大規模なパーソナライゼーションを実現するには、2つの注意点があります。

1. データに責任を持つ

2. コンテキストリッチなオムニチャネルのエクスペリエンスを提供する

1. データに責任を持つ

パーソナライゼーションにおいては、テクノロジーに頼る部分と人間が力を発揮する部分のバランスを取る必要があります。どのテクノロジーソリューションにも言えることですが、データだけに依存し、コンテキストに沿ってじっくりと解釈する努力を怠ると、困った事態に陥ってしまいます。

せっかくパーソナライゼーションのためのテクノロジーを導入しても、もうシーズンが終わろうかという時期に在庫一掃セールを実施し、興味を示していない顧客に特売品を売りつけようとしているのでは意味がありません。全米小売業協会(NRF)主催の2019リテールズビッグショーでは「ロイヤルティの低い現代において小売業者が顧客を勝ち取るには、無私の精神が必要」という意見も飛び出しました。さらに身近な例を挙げると、ソーシャルメディアで自分のアカウントにアクセスすると見たくもない「過去の思い出」が機械的に表示されることがありますが、これもコンテキストを無視したパーソナライゼーションの典型例です。

一方、データを有効に活用できれば、顧客のニーズを予測し、そのニーズを魔法のように叶えることができます。ディズニーワールドではその実現のために「MyMagic+」というシステムと魔法の腕輪「マジックバンド」を採用しました。心に残る特別な体験を提供するブランドとして名高いディズニーですが、ディズニーワールドのキャスト(= 従業員)は、このテクノロジーによって顧客の情報を入手し、もっと高度なパーソナライゼーションに対応できるようになりました。

たとえば、マジックバンドを身に着けたゲスト(= 来園者)がディナーの予約を入れたとしましょう。ゲストがレストランに到着すると、案内スタッフが「○○様、いらっしゃいませ」と名前を呼んで迎え入れてくれます。なぜこんなことが可能なのでしょうか? ゲストがレストランに近づくと、ゲストのマジックバンドから信号が送信され、スタッフの専用iPhoneに通知が届くようになっているからです。また、先に注文を決めておくと、到着前にキッチンに注文を通すことができます。店内のテーブルや天井にも受信機が設置されており、ゲストが着席したことや着席したテーブルなどを検知します。ホールスタッフは、ゲストが到着前に何を注文したか、どのテーブルに座っているのかを確認できます。ゲストの目には、この一連のサービスが、まるで魔法のように映ることでしょう。

顧客データの入手が簡単になれば、このようなエクスペリエンスは特別なものではなくなります。つまり、今後はデータの力を顧客のために活用することがいっそう重要になってくるということです。こうしたエクスペリエンスを考案するときには、必ず「自分が同じことをされたら気味が悪くならないだろうか?」と自問してください。もし答えがイエスなら、そのアイデアは諦めたほうが賢明だと、ティタートンも提言しています。なぜデータを収集しているのか、その点について素直に考えるようにしましょう。もっと高度なパーソナライゼーションを行って記憶に残るエクスペリエンスを作り出すための情報を求めること自体は問題ではありません。ただし、その情報を使用して広告枠を販売するつもりなら、考え直したほうがよいでしょう。

2. コンテキストリッチなオムニチャネルのエクスペリエンスを提供する

顧客1人ひとりに寄り添ったサポートを提供することは可能であり、今後ますます重要になります。こうしたカスタマーサービスを実現することが、競合企業との差別化を図るカギとなるでしょう。オムニチャネルのサポートでは、全方向から顧客データを取得し、企業規模が拡大しても親身な顧客対応を続けることができます。

オムニチャネルサポート向けのソリューションでは、顧客が別のサポートチャネルに移行しても、パーソナライゼーションのコンテキストが保持されます。たとえば、ある顧客が、最初にメールを送ったものの、もっとすばやいサポートを求めてチャットから再度問い合わせたとします。これが2回目の問い合わせだとチャットのサポート担当者が知っていれば、適切なエクスペリエンスを提供することができるでしょう。

実際、顧客の問題やニーズに関するやり取りをスタートする時点では、多くのカスタマーサービスチームがカスタマージャーニーについてほとんど把握していません。やり取りする中で「前回の問い合わせ時に〇〇が原因で問題があった」などのコンテキストが提供される機会があると、カスタマーエクスペリエンスの改善とパーソナライゼーションが進み、将来的なエクスペリエンスの向上につながります。

カスタマーサービスのパーソナライゼーションのためにどのソリューションを利用するかにかかわらず、大切なのは常に顧客を中心に考えることです。データとカスタマーエクスペリエンスの関係について、2019リテールズビッグショーのあるパネリストの言葉を引用したいと思います。「カスタマーエクスペリエンスとは過程であって、目的ではありません。明確なビジョンと戦略を打ち立てたとしても、試行錯誤と成果の測定を繰り返す必要があります。効果があった取り組みと効果がなかった取り組みを把握し、そこから学ぶことで、常に進化していく顧客の期待に応えていくことができるのです」

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