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研究員の頭脳を100%研究に使える環境を目指して
「最短解決」を可能にする社内ヘルプデスクの構築を推進

NTTグループの技術的中核企業であるNTTアドバンステクノロジは、NTT情報ネットワーク総合研究所(以下NTT研究所)から社内ヘルプデスクのUI改善を依頼され、Zendeskによる問い合わせ窓口の集約、最適な担当者への振り分け、対応状況の可視化などを実現。問い合わせ時の迷いやたらい回しを解消したほか、FAQサイトによる自己解決を促して問い合わせ件数を約40%削減した。同社は、その後も「利用者による最短解決」を目指して継続的改善を積み重ねてきた。研究員たちが研究に専念し、高いバリューを生み出し続ける組織であり続けられるように、Zendeskを中核とした次世代ヘルプデスクへのロードマップを描き、着々と歩みを進めている。

NTTアドバンステクノロジ株式会社
「Zendeskの導入を機にチケット数は約40%減少しましたが、問い合わせが減っても依然として自己解決に多くの時間を費やしているのなら十分とは言えません。日本、さらには世界を変革するために働く研究員たちの貴重な頭脳は、100%研究に使ってほしいのです。組織の成果を最大化するために最適な体験を設計する。これが、私たちNTT-ATの役割だと考えています」

松下 龍士 氏、柴田 漢 氏

ソーシャルプラットフォーム・ビジネス本部 - NTTアドバンステクノロジ株式会社

40%減

ZendeskのFAQサイト導入後のチケット数

Zendeskソリューション導入の背景と課題

「未来を拓くチカラと技術。」をコーポレートミッションに掲げるNTTアドバンステクノロジ株式会社(以下、NTT-AT)は、創業以来、チカラ(人間力)と技術をかけ合わせて社会や企業のさまざまな課題を解決し、輝く未来を切り拓く先進的なプロダクトやビジネスを創出してきた。通信にとどまらず、ネットワーク開発、システム開発、先端技術事業といったさまざまなビジネスを行うNTTグループの中でも、ネットワーク、ソリューション、プロダクトセールスすべての分野における開発・ビジネスに深く関わるオンリーワン企業だ。また、NTT研究所直系の先端技術のビジネス化を担う技術的中核企業として、グループの中でも特異なポジションを占める。

NTT研究所は、NTTグループ全体の基盤的研究開発を推進する国内最大規模の研究機関であり、4つの総合研究所から構成されており、その社内情報システムに関するヘルプデスクのUI改善を依頼された。

当時は問い合わせの領域ごとに7つのヘルプデスクが存在しており、それぞれに問い合わせ方法が異なるだけでなく、問い合わせ対応を通じて蓄積されていくナレッジを共有する仕組みもなく、ヘルプデスクごとに業務やコミュニケーションが完全に分断されていた。社員にとっては「どこに聞けばよいかわからない」という状況があっただけでなく、エスカレーションルールが曖昧なためたらい回しにされ、問題解決までに多くの時間を要するケースも少なくなかったという。

一方で、長年の間、社内ヘルプデスクのプラットフォームに使用してきたオンプレミス型のシステムは老朽化が進み、機能面で現代の業務ニーズに対応しきれなくなっていたほか、運用面でも課題を抱えていたとして、柴田氏はこう説明する。

「今では当たり前のチャットボットによる問い合わせ対応やSlackとの連携といった機能要件に対応しておらず、対応するとなるとカスタマイズコストが膨らむのは必至でした。また、既存システムは1日1回のバッチ処理が欠かせないだけでなく、年に数回パッチを適用するために、いずれもシステムを停止しなければなりませんでした。ヘルプデスクには24時間の安定稼働が求められるため、深夜帯での作業とはいえシステムが使えないとなると、ヘルプデスクの担当者には非常にストレスがかかっていたと言えます」

Zendeskが選ばれた理由

同研究所は、全社的なクラウド化の動きを追い風に、既存システムに代わる新しいシステムの検討を開始。最終的にクラウド型のカスタマーサービスソフトウェアであるZendeskを選定した理由は、提案段階から丁寧に寄り添ったZendeskパートナーへの期待のほかに、大きく2つある。

1つは、拡張性に優れていること。Zendeskは、世界中で多くの企業に導入されているグローバルスタンダードな製品であり、電話やメール、チャットなど複数チャネルからの問い合わせに一元的に対応できるうえに、多様な外部ツールとの連携が容易でカスタマイズ性が高い。特に各システムの認証統合を進めていた同研究所にとって、ZendeskとMicrosoft Entra ID の連携によりシングルサインオン(SSO)を構成できる点は決め手の一つになった。

もう1つは、安定稼働への信頼である。Zendeskは、99.99%という極めて高い可用性を維持している製品だ。「いつでもアクセスできる安定性の高さは、要件の中でも特に重要視したポイントです」と柴田氏が語るように、24時間稼働のNTT研究所にとって、24時間365日の安定稼働を実現でき、既存システムで課題となっていたシステムダウンタイムが解消できることへの期待は大きかった。また、国内データ保管など社内のセキュリティ要件を満たす設計・運用が可能である点も安心材料になった。

Zendesk導入の効果

2021年11月、NTT-ATは要件定義に着手し、2022年10月、NTT情報ネットワーク総合研究所でZendeskの利用が開始された。導入後は、複数のヘルプデスクを残しつつも問い合わせ窓口を1か所に集約。社員が問い合わせ先に迷うことがなくなったほか、内容に応じて担当グループが自動的にアサインされ、内部で最適な担当者に振り分ける仕組みを実現したことで、たらい回しも解消された。

一方、ヘルプデスクの担当者にとってもメリットは大きかった。Zendesk上で問い合わせ後のチケット対応状況が可視化され、対応時のストレスが軽減。同様にZendesk上で社員向けFAQサイトを整備することにより自己解決率が向上し、問い合わせ件数が約40%も削減された。

しかし、松下氏はこの成果の裏側に、もう一つの重要な課題が隠れていることを指摘する。
「確かに問い合わせ件数が減って、ヘルプデスク業務の負荷は大きく軽減されました。でも実は、全体の生産性は上がっていません。日々未知の世界を探求している聡明な研究員たちは、他人に聞いても答えがないことを知っているので、誰かに聞けば10秒で解決するような問題に対し、1時間かけてでも自力で答えを探し出そうとします。これを我々は『氷山の下問題』と呼んでいます」

つまり、FAQやポータルサイトを通じて自己解決するために多くの時間を費やしているというのだ。その証拠に、チケット数が減少していながら、ポータル上のユーザーの滞在時間は大きく増加していた。「これが望ましい状況ではないことは明らかでしょう。日本、さらには世界を変革するために働く研究員たちの貴重な頭脳は、100%研究に使ってほしいわけですよね。そのために課題の分析と改善を繰り返すことで、組織が高いバリューを生み出せるような環境を整えるのが我々NTT-ATの役割です。ですから、氷山の上に見えているチケット数に一喜一憂するのではなく、問題解決に費やしている時間をいかに極限まで減らせるかを重視しています」と松下氏は強調する。

そこで同社は、「利用者による最短解決」を目標に据え、問題の発生から解決に至るまでの理想のカスタマージャーニーを描き、どのタイミングで、誰を、どのようにサポートするのがベストなのかを精査しながらZendeskが担うべき役割を明確化。導入後もパートナーの力を借りつつ必要な機能の実装や改善を積み重ねてきた。利用者にとってFAQサイトがよりわかりやすくなれば、問い合わせが減り、生産性は上がり、滞在時間も着実に減っていく。

今後の展望

NTT-ATは、導入から現在に至るまで、社内ITのあらゆる問題解決を支援してきたすべてのナレッジがZendeskに蓄積されていることに着目。現時点ではあくまでも展望にとどまるものの、NTT研究所が開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(つづみ)」にZendesk上に蓄積されたデータを渡すことで、AI時代の新しいヘルプデスクの可能性を見出そうとしている。

「検索機能の中に生成AIが組み込まれたことで、すでにゼロクリック時代が到来しています。何年かすれば、ヘルプデスクからポータルサイトが不要になるかもしれません。入口がAIコンシェルジュ化すれば、もはや人間がポータルのどこをどう見れば、必要な情報に到達できるのかを学習する必要はなくなり、AIが一人ひとりに寄り添ってくれるようになっていくはずです。とはいえ、フロントがどのように進化しようと、チケッティングシステムとしてのZendeskが重要なデータであることに変わりはありません」と松下氏は強調する。

現在は情報システム部門のヘルプデスクにとどまるが、今後は研究所全体に広げていくことも検討しているという同社。NTT-ATのミッションは、NTT研究所におけるZendeskの運用をサポートすることではなく、組織の成果を最大化するために、最適な体験を設計すること。その体験を創り出すうえでZendeskがどうあるべきかを中長期的な視点で考え、進化させていく考えだ。