「AIをはじめとするテクノロジーを導入する目的は、単なる効率化やコスト削減ではありません。 アンドエスティHDグループが重視しているLTV最大化を実現するために、応対品質を高めること、お客様の声を深く理解することにあります」
カスタマーサクセス部 DX推進マネージャー - 株式会社アンドエスティHD
77%
有人対応を抑制
90%
FAQ自己解決率
40%
対応時間を削減
Zendesk導入の背景と課題
事業成長とともに顕在化した顧客対応基盤の課題
アンドエスティHDグループでは、事業成長に伴うブランド数の増加やEC事業の拡大を背景に、カスタマーサクセス体制の強化が求められていた。しかし当時は、1件の問い合わせに対応するために複数のツールを行き来しながら作業を進める必要があり、顧客情報や注文情報、配送状況などもシステムごとに分散していた。そのため、過去の対応履歴を一元的に確認することが難しく、対応漏れや確認不足のリスクが存在していた。
特に課題となっていたのが電話とメールの分断だった。お客様から電話で問い合わせを受けた際に「先ほどメールも送りました」と言われても、その電話とメールを即座に紐づける術がなく、内容を直ちに確認することができない。結果として同じ内容を改めて確認する必要があり、お客様にもエージェントにも負担が発生していた。電話とメールの履歴がつながっていなかったことで、お客様対応の品質にも影響が生じていたという。
また、事業成長が続く中で、人員を増やすだけで対応することには限界がある。そこで同社は、顧客体験を維持しながら事業を成長させるため、エージェント一人ひとりの生産性向上と、お客様対応品質の向上を両立できる基盤づくりに取り組むことになった。

株式会社アンドエスティHD
カスタマーサクセス部長 白川 洋希 氏 (左)、カスタマーサクセス部 DX推進マネージャー 山崎 詠一 氏 (右)
Zendeskが選ばれた理由
実現した「お客様を待たせない」サポート体制
同社がZendeskを評価した最大の理由は、お客様とのやり取りを履歴も含めて一元管理できる点にあった。電話やメールなど異なるチャネルからの問い合わせであっても、過去のやり取りを含めて確認できるため、担当者が変わってもスムーズな対応が可能になる。期間が空いて再度問い合わせを受けた場合でも、過去の履歴を確認しながら対応できるため、お客様を待たせることなくサポートを提供できる。
また、シフト制で運営される組織において、チーム全体で同じ情報を共有できることは大きな価値だった。以前は紙による引き継ぎも行われていたが、Zendesk導入後はリアルタイムでの情報共有やエスカレーションが可能となり、「チーム全体でお客様を支えるサポート体制」を実現できると判断し、導入を決定した。
「過去の履歴も含めて全部追いかけることができるので、お客様をお待たせしない対応ができています。シフト制の組織でもチームで対応できるようになりました」(山崎氏)
現場への定着と運用
活用を支えた丁寧な運用設計
新しいシステムの導入は、現場にとって大きな変化を伴う。同社では導入前から説明会や情報共有を重ね、導入目的や期待される効果を丁寧に伝えていった。
運用開始後は、現場で感じた疑問や改善要望を記録する課題管理表を作成。現場から上がる声を一つひとつ解決していくことで、運用への不安を解消し、スムーズな定着につなげた。
もともと旧システムへの課題意識が強かったこともあり、新しい環境への期待感も高かったという。結果として大きな混乱なく導入が進み、現場への定着もスムーズに進行した。さらにはチケットの一括管理・処理機能や情報共有機能の活用によって、日々の業務効率も向上している。

導入効果と今後の展望
FAQとAI活用で有人対応を77%抑制
導入後、同社はFAQ整備による自己解決促進に取り組み、その結果、FAQ自己解決率は約90%に達し、有人対応は77%抑制されている。お客様が必要な情報にたどり着きやすい環境を整備したことで、問い合わせ前に解決できるケースが増加している。

さらにZendeskのCopilotやオートアシストなどのAI機能を活用することで、対応時間は40%削減。返品・交換対応を担当するチームでは最大46%の削減効果も確認されている。マクロやAI機能を活用することで、回答作成の負荷を軽減しながら、一定の品質を維持した対応が可能になった。
こうした成果は単なる効率化ではなく、応対品質向上のための時間創出につながっている。生産性向上がもたらす「時間の余裕(余力)」によりチームの意識が「攻め」へとシフトし、お客様体験を向上させるための活動により深く取り組めるようになったことは、大きな変化の一つだ。
VOC活用を通じてLTV最大化へ
現在、アンドエスティHDグループでは問い合わせデータやアンケート結果を活用し、VOC分析を進めている。従来は日々の問い合わせ対応に多くの時間を費やしていたが、現在は蓄積されたお客様の声を分析することで、業務改善や応対品質向上、社内教育にも役立てている。問い合わせデータを単なる対応履歴ではなく、顧客理解を深めるための資産として活用し、カスタマーサクセス組織としての価値向上を進めている。
今後はリアル店舗とEC双方のVOCを組み合わせ、より包括的な顧客理解を実現することで、サービス改善や顧客体験向上につなげていく方針だ。
また、AIエージェントやAIボイスボットの活用にも期待を寄せている。問い合わせ対応の効率化をさらに進めることで、人にしかできない価値創出へより多くの時間を充てられる環境づくりを目指している。

