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Zendeskを駆使したサポート基盤の刷新
複雑化していた顧客導線を再設計し、サポート管理システムと技術情報サイトを統合したサポートポータルを構築

株式会社マクニカ ネットワークス カンパニーでは、サポート領域において、メールおよび自社開発システムに依存した従来の運用により、顧客導線の複雑化やチャネル拡張の難しさが課題となっていた。そこで、Zendeskを導入してサポート基盤を再設計し、サポート管理システムと技術情報サイトを統合したサポートポータルを構築。顧客の利便性向上と共に、データ可視化によるサポート改善体制を整えている。今後は基幹システムとの連携深化やAI活用も段階的に検討し、2030年のビジョン実現に向けた基盤を強化していく。

株式会社マクニカ ネットワークス カンパニー
「サポート対応の効率化にとどまらず、お客様視点での導線設計や情報提供を実現できる基盤だと考え、Zendeskを採用しました」

奥田 和美氏

ビジネスプロセス統括部 DX推進部 - 株式会社マクニカ ネットワークス カンパニー

導入の背景と課題

株式会社マクニカは、1972年創立の技術商社であり、国内トップクラスの半導体商社として知られる存在である。従業員の約3分の1がエンジニアという技術志向の組織であり、その技術力を起点に独自の価値を生み出してきた企業だ。その中でサイバーセキュリティ事業を担うネットワークス カンパニーでは、セキュリティ/ネットワーク製品やクラウドサービスなど、多様なソリューションを提供している。製品導入後のお客様の運用・保守に寄り添うサポートを大切にし、専任のエンジニアによる支援、海外メーカーの最新情報を迅速に展開できるサポート体制を整えてきた。

ネットワークス カンパニーのサポート領域では、オープンソースをベースにした自社開発システムとメールを中心に、10年以上にわたり問い合わせ対応と FAQ サイト運用を行ってきた。機能面では大きな不満はなかったものの、事業の成長とともに次のような課題が顕在化していた。

・取扱い製品数・ユーザー数の増加に伴い、サーバー保守やバージョンアップなどの運用工数が膨張
・問い合わせチャネルがメールに限定され、Webフォームやチャットなどの新チャネルを柔軟に追加しづらい

プロジェクトを牽引したDX推進部の奥田氏・唐沢氏・外岡氏、IT本部の藤本氏が共通して口にしていたのは、「現場の努力でギリギリ回っているが、このまま製品とユーザーが増え続けると限界が来る」という危機感だった。マクニカでは2018 年当時、2025 年に取り扱い量が 2 倍以上に成長しても生産性を向上させて業務が回せる仕組みを構築することをゴールとした大規模なシステム刷新を実施。その延長として、サポート領域も「クラウド化」「チャネル拡張」「お客様の利便性向上」「業務の見える化」が必須テーマとして位置づけられ、その要として検討されたのが Zendesk である。


(写真左から)
株式会社マクニカ ネットワークス カンパニー ビジネスプロセス統括部 DX 推進部 第1課
唐沢 雄大氏、奥田 和美氏、外岡 澄枝氏
IT本部 グローバルIT統括部 ITシステムマネジメント部 業務支援・コーポレートシステム課 主席
藤本 慎也氏

Zendeskが選ばれた理由

ネットワークス カンパニーでは「保守契約後の問い合わせ・技術サポート」を担うシステムとして Zendesk を選定した。営業が CRM に登録した商談・提案履歴、その後の保守契約情報と連携し、契約後の問い合わせや技術サポートを Zendesk 上で一元管理する構想だ。

製品選定にあたり、同社が重視したポイントは大きく4つあった。

1. マルチチャネル対応と将来の拡張性
メールに加え、Webフォーム、電話、チャットなど複数チャネルでのサポートが必須要件であった。さらに、将来的に Teams や Slack など新たなコミュニケーションツールが増えた際にも、柔軟に連携・拡張できるかどうかを重視した。

2. 基幹システムとの高い親和性
受注情報や保守契約情報を軸に、営業〜保守〜サポートを一連のプロセスとしてつなげる必要があった。そのため、CRM/ERP とスムーズに連携できること、API やアプリ連携の柔軟性といった、業務設計に対する自由度の高さがポイントとなった。

3. プロダクトとしての将来性とグローバル実績
現時点の機能だけでなく、AI や新機能への継続的な投資、製品ロードマップの明確さ、グローバルでの導入実績など、「長く使い続けられるプロダクトかどうか」を評価軸とした。

4. パートナーによる柔軟なカスタマイズと伴走支援
これまで積み上げてきた自社流の運用をすべて捨てるのではなく、良い部分は活かしつつ、標準パッケージと組み合わせて高度化する方針をとった。そのためには、Zendesk の標準機能と拡張ポイントについて深い知見を有するパートナーによる伴走が不可欠だった。

IT本部の藤本氏は次のように振り返る。
「同じような機能を備える製品は他にもありますが、機能・連携の柔軟性と、今後のアップデートを含めた“プロダクトとしての強さ”を考えると、Zendesk が一歩抜きん出ていると感じています」

導入効果

1. Webシステム刷新で、アクセス数が約2倍に
Zendesk 導入に合わせて、別々に稼働していたサポート管理システムと技術情報サイトを集約し、Zendesk上に新たなサポートポータルを構築した。旧サーバーを動かしながらコンテンツを精査・統合し、直前までの更新分を差分移行するという大規模な移行プロジェクトであり、作業には1カ月以上を要したという。

その結果、「問い合わせ管理」「FAQ サイト」「お客様専用ポータル」が一つのプラットフォーム上に統合された。従来の情報提供サイトと比較すると、Zendeskに移行した直後からそのアクセス数は約2倍に伸びている。顧客はまずサポートポータルで技術情報や FAQ を確認し、それでも解決しない場合にフォームから問い合わせを送る流れが定着しつつある。フォーム項目が標準化されたことで、サポート側も状況を把握しやすくなり、一次回答のスピードと質の向上につながっている。

2. チケット増でも一人あたりの負荷は「大きく増えていない」
サイバーセキュリティ製品のラインナップ拡大に伴い、サポートのチケット件数自体は増加している。それでも現場からは、「一人あたりの負荷は、大きく増えていない」という実感が語られている。Webフォームにより、必要な情報が整理された状態で届くようになった結果、同じ人数で処理できるボリュームが増えたのだ。さらに、FAQ/ナレッジ活用により、自己解決できるケースが増えており、「スケールするサポート運用」に向けた基盤が整いつつある。これは、成長を続けるサイバーセキュリティ事業を支えるうえで欠かせない基盤整備である。

3. 「一時保留」ワークフローで品質とガバナンスを強化
ネットワークス カンパニーでは、対外的な返信内容を送信する前に関係者の確認を挟む運用を重視してきた。Zendesk 導入にあたっても、このプロセスは「守るべき品質基準」として外せない条件であった。
そこで同社は、Zendesk の拡張性と導入パートナーの知見を活かし、返信前に社内確認を挟める「一時保留」のワークフローを構築した。返信内容を登録すると自動的に関係者へ確認依頼が飛び、一定時間のあいだは修正や差し戻しが可能な仕組みである。

これにより、これまで大切にしてきた確認プロセスを Zendesk 上に組み込みつつ、誤送信リスクを抑えガバナンスを意識した運用をZendesk上で実現できるようになった。「プロダクトの標準機能に業務を合わせる」のではなく、「守るべき品質基準」を前提に Zendesk を拡張したこの経験は、同社にとって Zendesk の柔軟性を象徴する成功体験となっている。

4. データドリブンなナレッジ改善と“顧客の文脈”の可視化
分析機能を活用し、サポート高度化に向けたデータ活用を進めている。製品チームごとにレポートを用意し、問い合わせ件数の推移、カテゴリ別・原因別の傾向、FAQ閲覧と問い合わせの関係などを可視化している。
これにより、「どの領域のナレッジを整備すれば自己解決率が高まるか」「どの分野でプロダクト改善やドキュメント強化が必要か」といった議論が、担当者の感覚ではなくデータに基づいて行われるようになった。