「われわれはFAQサイトのページビュー伸び幅を、お客様の問い合わせを吸収した指標として見ています。日次で20万は、月に直すと600万。これほどのアクセス数をFAQサイトで集め、トラブルなく安定稼働しています。それはとてもありがたいことです」
総務局 法務チーム - 公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会
1ヶ月弱
立ち上げにかかった期間
1,600万人
2025年8月時点での 累計来場者数
(平均)約20万
一日あたりのページビュー数
Zendeskソリューション導入の背景と課題
2025年大阪・関西万博は、 20年ぶりに日本で開催される国際博覧会である。日本の国家戦略「Society 5.0」 を実現する大阪・関西万博の基本計画には、デジタル技術活用方針が示されている。入場チケット、パビリオン・イベント予約、全面的なキャッシュレスといったデジタルな来場者体験の一次情報発信メディアとして、公式ウェブサイトが担う役割は大きい。
大阪・関西万博の問い合わせ対応と、情報発信の両面を管掌している大中 浩之氏は、「メールや電話対応のコンタクトセンター、ウェブサイト、FAQサイトを運営しています。いわゆる広聴担当です」
と話す。

公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会
総務局 法務チーム 参事
大中 浩之氏
「とにかく電話やメールによる個別の問い合わせを減らしたい。まずはよくある質問をご覧いただくことで問い合わせの前さばきとして活用したいと考えていました」と、同じく広聴担当の河本 かおり氏は語る。
とはいえ、大阪・関西万博の公式ウェブサイトが立ち上がった当時は、まだFAQサイトがなかった。大中氏は当時の課題感をこう振り返る。
「問い合わせ窓口全般を検討するにあたりディズニーランドやUSJ等も参考にするところ、『お問い合わせ』と『よくあるご質問』の2種チャネル設置の必要を強く感じていた。
『お問い合わせ』では電話、メール窓口を設置、『よくあるご質問』ではFAQサイトであればHP上でお客様もアクセスし易く一次的な問い合わせ吸収が期待できることから最適と考え、更に実績のあるメジャー級の企業に支援してもらえれば確実なものになるであろうと期待感を持っていました」
Zendeskが選ばれた理由
この課題を受け取ったのが、Zendeskのパートナー企業で、CX(顧客体験)構築に強みを持つSCSKサービスウェア株式会社だ。大中氏は続ける。
「コールセンターの補助機能ともいえる「よくあるご質問」窓口設置の検討にあった時です。SCSKサービスウェアの方と再会した際、FAQサイトの相談をしたところ、ソリューションはZendeskがいいと、熱心にご提案いただきました」
SCSKサービスウェアの嵐 祐治氏が、当時の状況を語る。
「私共はZendeskと同じようなサービスも取り扱います。いろいろな選択肢がある中で、Zendeskをお勧めした理由はいくつかあります。
必要とされる機能が、洗練されたパッケージとしてひと通り揃っている。導入、立ち上げが早く、他のツールに比べて構築にかかる時間が短い。ある程度のカスタマイズができる。非常にバランスがいいのです。
万博チケットの販売開始が2023年11月30日に迫る中、クイックな構築が必須であったため、これらの点は重要でした。他社では2ヶ月、3ヶ月かかりますので。
Zendesk以外は、始めから考えていませんでした。万博という世界的なイベントですから、あまりに安価なものや知られていないサービスは検討しませんでした」
導入・実装のプロセス
契約やセキュリティ監査は非常にスムーズに進んだと、博覧会協会の河本氏は振り返る。
「契約については非常にスムーズで、気がついたら手続きが完了していました。情報システム部門によるセキュリティ監査でも、設定されたゲートを滞りなく通過。それは大手企業だからこその洗練ゆえで、これがスクラッチで構築するという場面であったなら、これほどスムーズではなかったでしょう」
デザインやユーザビリティを第一に考える河本氏は、ユーザー目線での使いやすさに向き合った要件定義を始めた。

公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会
総務局法務チーム 係長
河本 かおり氏
「国際イベントですから、日本語と英語への対応は必須。他にも動画掲載や資料ダウンロードなどが可能かどうか、カテゴリーがわかりやすく表示されるかなどをSCSKサービスウェアさんと話しながら一緒に作ったことを、印象深く覚えています。サイトデザインは、大阪・関西万博公式ホームページと連続性があるものになるよう依頼しました」
河本氏の要望を受け、SCSKサービスウェアの大川さおり氏は、その実現に向けてあらゆる手段を取った。
「デザイン要求が具体的だったので、Zendeskに備わる機能を使いつつ、カスタマイズを加えて要件を満たしていきました。FAQの各記事には『この記事は役に立ちましたか?』という問いを設け、『はい』『いいえ』の回答を促しました」

この機能を通じた評価は、記事を改善するために役立ったと、博覧会協会の河本氏は絶賛する。「お客様のご評価は非常に参考になりました。記事の原稿は、各カテゴリーの担当部署が作成しますが、お客様目線でFAQを作るのはなかなか難しいことのようです。大丈夫だろうと思って公開した項目に、『いいえ』の反応が多かった時には驚きました。見直したところ、たとえば主語が足りない、目的語が足りない、何について語っているのかわかりにくいといった気づきを得て、改善ができました」
記事アップロードの工程にもカスタマイズが光る。SCSKサービスウェアの大川氏によると、「FAQ公開前の段階で、原稿には数百もの項目がありました。自社のアプリケーションを組み合わせ、大量アップロード可能な状況を実現しました。一括アップロード機能は、当時のZendeskになかったので、私共のカスタマイズにて実現しました。結果、構築に使える時間が1ヶ月を切る中、無事期日までにFAQを公開することができました」
こうしてFAQの初公開は短期間で実現したが、以降の更新作業ではどうなのだろうか。河本氏曰く、
「会期が始まってからは、FAQ項目を至急追記することもあります。Zendeskは分かりやすい画面で、誰もが使いこなせる簡単さのため、自分たちで即座に更新できるので助かります。SCSKサービスウェアさんと構築したダッシュボードでは、FAQ項目への評価がリアルタイムで分かるので、改善の指標にしています。アクセスが多いFAQ項目も分かるため、それに応じた項目表示順序ができています。局長やVOC (Voice of Customer) 担当への報告にも役立てています」
Zendesk導入の効果と今後の展望
FAQサイトのページビューは、段階を経て大幅に増加した。2024年9月の公開時は日に2〜3千だったのが、大阪・関西万博が開幕する4月に35〜50万というピークを記録。その後も20万を維持している。国を挙げてのイベントに対する関心の高さがうかがえる。
大中氏は、
「われわれはFAQサイトのページビュー伸び幅を、お客様の問い合わせを吸収した指標として見ています。日次で20万は、月に直すと600万。これほどのアクセス数をFAQサイトで集め、トラブルなく安定稼働しています。それはとてもありがたいことです」
と実感を込めて語る。
それは、Zendeskの可用性が、これほどの規模で実証されたことを示している。
こうした状況を総括し、河本氏は、
「これほど効果が出るならば、もっと早くFAQを導入しておけばよかったな、と思います。点数で表すなら10点中の10点満点です」
との感想を口にし、笑顔を見せた。
FAQ項目は、大阪・関西万博終了後も公式記録として保存される。2005年の愛・地球博の公式記録を今回の大阪・関西万博が参照し活用したように、今後の大規模イベントでレガシーとして活用される予定だ。
ーーーーーーーーーーー
SCSKサービスウェア株式会社は、大阪・関西万博 運営参加(FAQサイト構築・運用)サプライヤーです。株式会社Zendeskは、SCSKサービスウェア株式会社のソフトウェアサプライヤーです。

