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チャネルごとに異なるツールをZendeskに集約し、成長の鍵を握るVOC活動の基盤に

ネットワーク総合企業のNTTPCコミュニケーションズは、WebARENAの顧客サポートにおいて、問い合わせチャネルごとに使い分けていた複数のツールをZendeskに集約。約20%のコスト削減を実現しただけでなく、関係部門が連携して顧客の問題解決に臨めるようになり、迅速なサービス改善と顧客満足度の向上につながっている。

株式会社NTTPCコミュニケーションズ
「全体的にとても気に入っています。これほどまでにわがままを聞いてくれるサービスはなかなかありません。Zendesk上に蓄積された情報からお客様への価値提案に生かせる部分を拾い上げながら、ビジネス成長につなげていきたいですね。」

野里 実加氏

テクノロジー&オペレーション開発本部 ビジネスプロセスサービス部 開発担当
- 株式会社NTTPCコミュニケーションズ

Zendeskソリューション導入の背景と課題

1985年の創業以来、NTTグループにおける国内中堅・中小企業向けICTサービスのエキスパートとして、時代ごとのお客様のニーズに沿った先進的な商品・サービスを提供してきた株式会社NTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)は、ネットワーク事業、データセンター事業、クラウド事業を3つの柱として、企業の事業基盤および社内基盤の構築をワンストップで支援している。

ホスティングサービスの老舗としても知られるNTTPCの歴史あるサービスの一つが「WebARENA(ウェブアリーナ)」だ。1997年にハウジングサービスからスタートし、共用レンタルサーバー、メールサーバー、VPS、専用サーバー、データセンターを展開するブランドへと成長。歴史と実績を積み重ねながら顧客と共に進化を遂げてきたサービスであり、NTTPCが提供するドメイン取得サービスやネットワークサービスとも連携し、顧客のビジネスの効率化と拡大をサポートしている。

同サービスの申し込み手続きや技術的な質問に対応する問い合わせ窓口では、従来からメールおよび電話を主体としたサポートを行ってきたが、モバイル技術の急速な発展に伴い、昨今はWebや新たな技術を用いた仕組みへの変革を進めている。その一環として、2018年にはAIを活用したチャットサポートも開始した。しかし、チャネルが増えるたびにサポートツールが増え、業務は煩雑になる一方だったとして、NTTPCコミュニケーションズ テクノロジー&オペレーション開発本部 ビジネスプロセスサービス部 開発担当の野里 実加氏はこう説明する。

「チャネルごとにツールがばらばら。複数のチャネルを使ってお問い合わせくださるお客様の場合、オペレーターはすべてのツールを確認して対話の履歴を振り返る必要があります。また、VOC活動にあたりサービス企画部門やエンジニア部門からお客様の問い合わせ状況やご要望について尋ねられても、チャネルごとに精査が必要で、回答に一週間から一か月かかっていました。これではスピーディなサービス改善は行えません。さらに、外注先のコールセンターが作成する月一回のレポートが、月をまたいで2~3週間ほど経ってから出てくるので、リアルタイムにお客様の声を拾えず、現場の実態を把握しにくいという課題も抱えていました。」

Zendeskが選ばれた理由

課題を認識しながらも、新しいツールの導入に踏み切る大きなきっかけがあったわけではない。ツールのトレンドも数年単位で変化していくため、毎年市場調査を行っていたという同社。コールセンター業界における実績が豊富で、ワールドワイドに活用されているZendeskに着目したのも、情報収集の過程でのことだった。

サービス企画部門と検討を進め、数種類のツールの中から最終的にZendeskに決めたのは、コスト削減効果への期待感からである。マルチチャネルでの問い合わせに対応するZendeskなら、これまでばらばらに運用してきた複数のツールを集約化できる。また、今後顧客向けのFAQコンテンツの充実化を図っていく上で、記事を簡単にリフレッシュできるZendeskがマッチした。

実際の構築にあたっては、Zendeskのパートナー企業の協力を得て、転送先が最大20にもおよぶエスカレーションフローの設定、商材ごとのサポート形態の違いに応じた動的なWebサイトの設計など、自社独自の要件に対応させるために細かく作り込んだ。「Zendeskはサポートの立ち上げが非常に速く、柔軟性に優れたツールであることを実感しました。しかもユーザーインタフェイスがシンプルで、専門的な知識がない者にも習得しやすいサービスです」と野里氏が語るように、本稼働後も、より自社の運用にフィットした使いやすいツールへと細かな変更と改善を重ねてきた。顧客の課題解決に向けた関係部門との連携には、トリガ機能を駆使するほか、Microsoft TeamsやSlackとの連携機能を実装し、迅速な顧客対応につなげている。

チケットが届いたことと、マニュアルの参照先がセットでSlack通知されるようにトリガを設定

チケットが届いたことと、マニュアルの参照先がセットでSlack通知されるようにトリガを設定

Zendesk導入の効果

NTTPCのゴールは、顧客満足度を高めつつコストを削減すること。チャネルごとに異なる複数のツールを集約化したことによるコスト削減効果は大きく、ランニングコストは約20%、人的コストは約25%抑えることができた。また、Zendesk導入前と比べた大きな変化の一つに、レポート機能の活用がある。たとえば、コールセンターやサービス企画部門にもZendeskの管理権限を付与したことで、顧客の要求や動向をいち早く把握して必要なアクションにつなげることができるようになった。一方、Zendeskアカウントを持たない部門にはライトエージェント機能により閲覧権限が付与されているため、フロントと連携し、しかるべき部門がしかるべきタイミングで問題解決能力を発揮できる環境も整った。

使い勝手についても、「効果測定のためのレポーティングや分析に使用しているZendeskは、直感的に操作できる上にマニュアルも整備されていて非常に使いやすい印象です。高度な知識がなくても、欲しいデータを自由に抽出できて大変便利です」とNTTPCコミュニケーションズ テクノロジー&オペレーション開発本部 ビジネスプロセスサービス部 開発担当の戸田 有希氏。「取りたいデータは必ず取れますから、データを活用してサービス改善につなげていこうという動きが加速しつつあります。結果として顧客サービスの向上に寄与している実感があります」と野里氏は補足する。

レポーティング機能の例:チャネル毎のチケット数を表示

レポーティング機能の例:チャネル毎のチケット数を表示

Zendesk導入を機に、FAQページの充実化も図られている。問い合わせを受けた時点で、FAQに記事があるかどうかをチェックするようにZendeskのフィールドをカスタマイズ。記事がなければ追加を、すでに記事がある場合は内容のアップデートを進めるようにしているという。

Zendeskを活用して作成したFAQページ

Zendeskを活用して作成したFAQページ

今後の展望

WebARENAで築いた実績が社内的に評価され、すでにNTTPCが提供する他のサービスでもZendeskの活用が始まっている。今後さらに横展開が進んでいく予定だ。「次のステップは横展開が一段落してから・・・」と語る野里氏には、当初から、「Zendeskをカスタマーサポートのプラットフォームとすることで、WebARENAにとどまらず複数の商材を横串で分析するような運用を定着化させ、会社全体で一貫したサービス改善に取り組んでいきたい」との思惑がある。Zendeskを核に社内の情報連携や部門間連携が活性化し、顧客にとっての価値に還元されていくことは間違いないだろう。

あらゆる接点で取得した顧客の意見や要望を、商材をまたいだすべてのプロセスで共有しながら、全社を挙げて顧客の課題解決に向けた改善活動を推進するNTTPC。そのVOC活動は、成長の原動力と言える。