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「困りごとをつくらない」サポートを目指して 事業の成長を止めない柔軟な基盤を選択

駐車場シェアリングサービスを展開するakippaは、複数のツールをまたいだサポート業務の効率化を図るべく、必要な機能を幅広く包含したZendeskを選択。導入を機に有人チャットを追加すると共に問い合わせ対応のフローを見直し、問題解決のスピードが大幅に向上した。FAQページの改善により自己解決を促すことで、さらなる効率化が期待される。

akippa株式会社
「Zendeskは自由度が高く、直感的で使いやすいうえにコストも抑えられます。この先売上が2倍、3倍になったときにも、それに比例してサポート人員を増やしてコストを圧迫するのではなく、現状の体制のまま顧客体験を高めることができます。究極の理想形は、お問い合わせ=”困りごと”がゼロになること。いつかお問い合わせを受ける仕事自体がなくなればいいなと思っています。」

荒木 賢一氏

Operationグループ グループマネージャー
- akippa株式会社

Zendeskソリューション導入の背景と課題

「“なくてはならぬ”をつくる」をミッションに掲げるakippa株式会社は、日常のさまざまな困りごとを解決し、人々の暮らしを支えるインフラとなるようなサービスを作りたいという思いから、駐車場予約アプリ「akippa」を生み出した。これは、街中にあるコインパーキングの予約アプリではない。契約されていない月極駐車場や個人宅の車庫、空き地、商業施設などの空きスペースにネット予約して駐車できるという、駐車場のシェアリングサービスだ。空きスペースを収益化したい提供者と、外出先で駐車場探しに困る利用者を結び付ける新しいサービスであり、駐車場を通じて「移動」の問題を解決することで、「人と人が会う」という体験に寄与している。

もともと営業代行事業からスタートした同社は、カスタマーサポートに関する知識や技術がなく、サービスイン当初は、フリーダイヤルの回線を取得して自社で電話窓口を開設し、役員陣が24時間のシフト体制で問い合わせに対応していたという。その後、サービスの成長に伴い人員を増やして対応してきたものの、次第に自社だけでは厳しくなり、社内のカスタマーサクセス部門だけでなく一部外注のコールセンターに委託してやりくりしてきた。

運用を続けるなかで見えてきた課題について、akippa株式会社 Operationグループ グループマネージャーの荒木 賢一氏は、こう振り返る。
「電話、メール、ショートメッセージなどのチャネルに合わせて複数のツールを使用して問い合わせを管理していましたが、対応件数が増え続ける中で、ツール間を行ったり来たりしてサポート担当者の生産性がなかなか上がらないという問題がありました。メールでの問い合わせ対応もメーラーでは管理が煩雑すぎて自動化できませんし、売上の増大に比例して問い合わせが増えていくので、人員を増強して対応するほかなく、コストが膨らんでいく一方でした。」

現場から効率化を望む声があがる一方で、事業成長の観点でも運用基盤の見直しが必要なタイミングを迎えていた。荒木氏は、「顧客接点であるカスタマーサクセス部門は、サービスそのもののイメージを左右し、顧客満足度に大きな影響を及ぼします。より一層顧客体験の向上に注力していかないと、これ以上のサービスの拡大が望めなくなっていく・・・そんな局面に入りつつあることを感じていました」と語る。

akippa株式会社 Operationグループ グループマネージャー 荒木 賢一氏

akippa株式会社 Operationグループ グループマネージャー 荒木 賢一氏

Zendeskが選ばれた理由

サポート業務の効率化に向けてツールの検討を始めた同社が重視したのは、カスタマーサポートの生産性を上げること、自己解決率を高めて業務量を減らすこと、優れた顧客体験を実現することの3点である。この3つの要件を満たし、顧客満足度を高めながらコストを削減できるツールとして、Zendeskが最有力候補となった。評価のポイントは、カスタマーサポートに必要な機能を包含し、1つのツールの中で複合的にやりたいことが実現できる自由度の高さである。

「ノンコードで幅広く機能を網羅したツールも良いのですが、おそらくやれることに限界があるはずです。akippaのサービスは、シンプルに見えて運営面で非常に細かい管理が求められるため、そこにフィットさせられるかどうかはツールを選ぶうえで重要なポイントでした。多少エンジニアリングコストがかかったとしても、やりたいことを実現できるツールであることが必須と考えていました。」(荒木氏)

さまざまな製品を比較検討するなかで最終的にZendeskを選択した理由を、荒木氏は、「Zendeskほどあらゆる機能をトータルに包含したツールというのはなかなかありません。総合力という点で競合がない印象でした」と語る。

Zendesk導入の効果

導入後も社内のカスタマーサクセス部門、外注のコールセンターの併用という基本の運用体制は大きく変えていないが、問い合わせチャネルに新たに有人チャットが加わった。営業時間内は、緊急度の高い問い合わせを有人チャットにつないで社内で対応している。緊急度の高い問い合わせは、なんらかの理由でドライバーが車を止められないケースが中心ではあるものの、事象が多岐にわたり、Zendeskのマクロ機能やチャットボットで自動化することが難しい。そもそも予約したのに駐車できない事象そのものが最も顧客体験を損ねる状況であることを踏まえ、有人チャットでの対応に置き換えることで解決スピードを上げると共に、少しでも顧客満足度を上げる狙いがあるのだ。

Zendeskを使ったチャット画面

Zendeskを使ったチャット画面

有人チャットは社内のデータベースと連携させており、画面を開くと同時にユーザー情報を自動的に取得。名前や予約情報を事細かにヒアリングする必要はない。これにより、問題解決のスピードが30~40%アップしたほか、コールセンターでの電話対応件数が30~40%減少。外注コストの削減にも大きく寄与している。

これらは、Zendeskの導入を機に問い合わせ対応のフローを見直したことによる成果でもある。問い合わせの入り口を一つにし、2階層の設問を設け、その回答によって自己解決を促すべきものはFAQページへ、急ぎでないものはWebフォームへ、緊急度の高いものは有人チャットへといったように、適切な窓口にルーティングするようにシナリオを設計した。問題解決を遅らせる要因を中心にテコ入れしたおかげで、一気に問い合わせ件数が減少したという。それでも「シナリオの完成度は30~40%程度。この先予約件数が2倍、3倍になっても耐えうる体制を今のうちに作っておく必要があります」と荒木氏は意気込みを見せる。走りながら変えていけるのは、拡張性に優れたZendeskの得意とするところだ。

一方、FAQページについても現在既存ページの改修を進めており、リリースに向けて準備が大詰めを迎えている。駐車場をシェアするという概念自体がまだまだ一般的ではないため、サービスモデルに関する質問や、使い方、ルールに関する質問も多く、それらがFAQページで解決できるようになれば効率化がさらに進むことは間違いない。「Zendeskを導入したことで高速にPDCAを回せる仕組みが実現したので、FAQページの運用改善にも期待しています」と荒木氏は語る。

今後の展望

次のステップで計画していることの1つに、有人チャット対応の24時間化がある。緊急時の対応に限らず、その他の問い合わせもチャットで受けられるようにすることで、顧客の課題解決を最速かつ精度高く実現することができる。

また、電話対応においてZendeskと自社システムの双方で対応履歴を二重管理している現状を改善し、外部連携によりZendeskでの一元管理を推し進めたい考えもある。さらにその先には、Zendeskに集約されていく顧客の声の活用もこれからの重要な課題として認識している。「Zendeskなら、情報を集約して数値的に分析できる土台を作れます。顧客の声を拾い、課題を可視化し、開発につなげていく運用オペレーションをデジタル化していきたいですね」と荒木氏。

究極の理想形は”問い合わせをする必要のない完璧なサービス”であるとする同社は、ユーザーの不満や疑問を解消し、カスタマーサポートを可能な限り縮小していくために、今後は顧客体験を高めて顧客満足度を引き上げることに全社をあげて注力していく。そもそも「困りごとを作らない」ことを目指す同社の姿勢こそが、”なくてはならぬ”を生み出す原動力とも言えるだろう。