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社内ヘルプデスクにZendeskを導入。DeNAを躍進させるEX向上とナレッジ活用の巨大なインパクト

株式会社ディー・エヌ・エーは、斬新なビジョンとアイデア、そして最先端のエンジニアリングを武器に多彩なサービスを生み出してきた。2018年に社内3部署のヘルプデスクを統合し、2021年にはZendeskを導入。Slackとの連携により、問い合わせの一元管理、自己解決率の向上、業務の大幅な効率化などに成功した。同社はZendeskによってエクスペリエンス向上とナレッジの活用を推進し、さらなる飛躍に向けた活力を生み出し続けている。

株式会社ディー・エヌ・エー
「Zendeskを導入する際には、総務部や人事部のリクエストに対応して細かなトリガやマクロをたくさん作りました。これらの取り組みの結果、今では各部署でナレッジが蓄積され、共有される環境が確立しています。社員のエクスペリエンスという観点から見れば、窓口の一本化はメリットしかない。将来的にはZendeskをさらに活用しながら、コーポレート関連の問い合わせをすべて処理するような、総合的なヘルプデスクに成長させていきたいですね。」

瀬戸 太輔氏

IT本部 IT戦略部 エンプロイーエクスペリエンスグループ
グループマネージャー
- 株式会社ディー・エヌ・エー

Zendeskソリューション導入の背景と課題

「一人ひとりに 想像を超えるDelightを」というビジョンの下、株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は、エンターテインメント分野と社会課題に取り組む分野を両軸に意欲的に事業を展開してきた。一方、社内においては2018年にIT戦略部、人事部、総務部の問い合わせ窓口を統合したヘルプデスクを設立。2021年にはヘルプデスク業務にZendeskを導入することによって、社内エクスペリエンスの向上とナレッジ活用を推進し、目覚ましい成果を上げてきた。

DeNA IT本部のIT戦略部において、エンプロイーエクスペリエンスグループを束ねる瀬戸 太輔氏は、社内のヘルプデスク統合からZendeskの導入に至るまでの事情を次のように説明する。
「以前は人事部、総務部、IT戦略部がそれぞれに社内ヘルプデスクを設けていたのですが、どこに問い合わせればいいのかがわからない、あるいは部署間で対応がたらい回しになるといった問題が起きていました。この状況を改善すべく、当時のIT戦略部長の呼びかけで誕生したのが現在のヘルプデスクです。ヘルプデスクの問い合わせ窓口は『Find out』と名付けられ、社内ではこの名称で親しまれています。

ただし、その頃は他社のカスタマーサポートシステムを使っていたこともあり、ヘルプデスクを統合した後も、誰がどこまで対応しているのかが把握しにくい状況が続いていました。そこで採用したのがZendeskでした。社内向けのシステムに導入するのは初めての試みでしたが、複数の部署をまたぐ案件でも、誰がどこまで処理したのかを明確に可視化できる。まさに最適なシステムでした。」

Zendeskが選ばれた理由

導入の際に評価されたのは、シンプルでわかりやすいUIによる操作性の高さと、ナレッジベースの構築のしやすさだった。だがZendeskが選ばれた理由は他にもある。瀬戸氏は一例として、チケットを詳細に管理できる点を挙げた。

「IT戦略、総務、人事部が主体となってチケットをさばいていますが、Zendeskはきめ細かく権限設定ができるので、内容に応じて特定の部署にチケットを割り振ったり、チケット自体を非表示にするといった処理を行っています。また、チケットのコメントを閲覧したり追記したりできるメモ機能もありますが、この機能も情報の共有と管理を行うために頻繁に活用されています。」

2021年12月、同社は問い合わせ対応のスピードアップと徹底を図るためにZendesk とSlackを連携。瀬戸氏と共にエンプロイーエクスペリエンスグループに所属する馬場田 健一氏によれば、Slack上に全チケットの起票通知用、返信の通知用、優先度が高い案件の通知用という3種類のチャネルを設定し、効果的な運用を行っている。

「Slackと連携させておけば、Zendeskでチケットが起票されただけで携帯電話にアラートが届くので、どこにいても通知内容を確認できるんです。Zendeskは開発がしやすく、業界スタンダードのツールとしてさまざまなノウハウが共有されているので2、3時間もあれば新たな機能をすぐに実装できます。これも大きなメリットですね。DeNAではSlackが基本的な業務ツールになっていますが、Zendeskは我が社の『Slack文化』と相性がいいので非常に助かっています。」

Zendesk導入、そしてSlackとの連携は、同社が注力してきたナレッジの活用も促進した。アカウントの作成方法や、アプリケーションへの接続方法などの基礎的な情報はナレッジ化が完了。公開準備中のものも含めれば、Zendesk導入以降の2年間で既に1,000件近いFAQページが作成されており、自己解決率やエクスペリエンスの向上に寄与している。

Slackとの統合でZendeskの通知を常時確認

Slackとの統合でZendeskの通知を常時確認

緊急ステータスのチケットは起票と同時に通知

緊急ステータスのチケットは起票と同時に通知

(写真左)IT本部 IT戦略部 エンプロイーエクスペリエンスグループ グループマネージャー 瀬戸 太輔氏<br /> (写真右)IT本部 IT戦略部 エンプロイーエクスペリエンスグループ 馬場田 健一氏 (Zendesk User Champion 2023)

(写真左)IT本部 IT戦略部 エンプロイーエクスペリエンスグループ グループマネージャー 瀬戸 太輔氏
(写真右)IT本部 IT戦略部 エンプロイーエクスペリエンスグループ 馬場田 健一氏 (Zendesk User Champion 2023)

Zendesk導入の効果

このようなZendesk活用法は、同社の業務に数々のメリットをもたらした。
1つ目の効果は、ナレッジ活用や問い合わせ対応の効率化が進んだことにより、エクスペリエンスが大幅に向上したことである。馬場田氏によれば、Zendeskの採用を機にFAQページが導入された結果、月単位のチケット起票数は当初の4か月間でピーク時から約3割減少。とりわけ初歩的な内容の問い合わせは、事実上皆無になった。2023年7月時点では、このFAQページの閲覧数が一月あたり4,000回から5,000回に上昇してきており、自己解決率もZendesk導入前の5倍から6倍近くにまで高まっている。

初回回答時間も、Zendeskの導入当時は平均70分ほどを要していたが(3部署総計)、利用が進んだ結果、40分程度に短縮。当月解決率は91%に上昇している。このようなエクスペリエンスの向上は、ヘルプデスクそのものの認知度や信頼、期待値も高めた。期待値が高まると電話やメールで連絡を取るのではなく、FAQを参照してからシステム上で問い合わせを行う正規のフローがより社内に定着するため、ヘルプデスクの業務が一層効率化し、エクスペリエンスも高まるという好循環が生まれる。同社ではチケットが解決される度に回答の速さと内容、対応の丁寧さなど5項目から成るアンケートを実施。良かった点と悪かった点を毎週振り返り、今後の運用改善に役立てている。


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「Slackと連携させておけば、Zendeskでチケットが起票されただけで携帯電話にアラートが届くので、どこにいても通知内容を確認できるんです。Zendeskは開発がしやすく、業界スタンダードのツールとしてさまざまなノウハウが共有されているので2、3時間もあれば新たな機能をすぐに実装できます。これも大きなメリットですね。DeNAではSlackが基本的な業務ツールになっていますが、Zendeskは我が社の『Slack文化』と相性がいいので非常に助かっています。」
馬場田 健一氏

IT本部 IT戦略部 エンプロイーエクスペリエンスグループ
– 株式会社 ディー・エヌ・エー
Zendesk User Champion 2023
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Zendeskはコロナ禍への対応でも重用されている。もともと同社は2021年8月に本社移転を予定しており、Zendeskのヘルプセンター構築機能で50項目ほどのFAQページを作成していた。ところがその前年にコロナ禍が発生。オンサイトのヘルプデスクが閉鎖され、リモートワークや在宅勤務が急増するなか、集約された情報は円滑な業務継続に貢献した。
むろんZendeskは、コロナ禍以降も業務の発展に必要不可欠なツールとして活用され続けている。それは両氏のコメントからも如実にうかがえる。

「Zendeskの利用は、新入社員の研修プログラムに組み込まれています。入社時のガイドラインには、なにか困ったらFAQページを参照する、それでも解決できない場合は我々に問い合わせるというフローが解説されています。UIもわかりやすく工夫されているので、入社初日からすぐに業務に取り組めるようになっています」(馬場田氏)

「Zendeskを導入する際には、総務部や人事部のリクエストに対応して細かなトリガやマクロをたくさん作りました。これらの取り組みの結果、今では各部署でナレッジが蓄積され、共有される環境が確立しています。社員のエクスペリエンスという観点から見れば、窓口の一本化はメリットしかない。将来的にはZendeskをさらに活用しながら、コーポレート関連の問い合わせをすべて処理するような、総合的なヘルプデスクに成長させていきたいですね。」(瀬戸氏)

ヘルプデスク業務を支えるZendeskの管理画面

ヘルプデスク業務を支えるZendeskの管理画面

今後の展望

DeNAは斬新なビジョンとアイデア、最先端のエンジニアリングを武器に急成長を遂げてきた。このような企業にとって、ナレッジの蓄積と活用は鍵を握る。一方、社員のエクスペリエンスを高めていくことは、業務効率化やコスト削減に資するだけでなく、顧客に提供する製品やサービスのエクスペリエンスを高めていくことにもつながる。事実、カスタマーエクスペリエンスの向上は、業務の柱であるエンターテインメント事業と社会課題関連事業でも指針として打ち出されている。これを根底で支えているのが、「社内でFind out (ヘルプデスク)と言えば、誰もがすぐに連想するほど定着したZendesk」(瀬戸氏)なのである。

「2023年4月、我々はこのグループを『ユーザーサポートグループ』から『エンプロイーエクスペリエンスグループ』に改称しました。名称を決める際には『困っている社員をサポートするという受け身の発想ではなく、困りごとを先んじて見つけ出し、社員が困らずに済むような環境をあらかじめ創り出すことを目指すべきではないか』と、何度も深い議論をしたのを覚えています。今後はZendeskにAIを組み合わせたりしながら、エクスペリエンスの品質向上や業務の自動化・効率化などをより積極的に追求していきたいですね。そのような『攻めの姿勢』こそ、DeNAの魅力や特徴であり、活力を生む源泉になっていると思うんです。」

社内ヘルプデスクの統合、Zendeskの導入、そしてZendeskとSlackの連携がもたらすシナジー。株式会社ディー・エヌ・エーはエクスペリエンス向上とナレッジの活用を追求しながら、「一人ひとりに 想像を超えるDelightを」というビジョンのもと邁進し続けている。