メインコンテンツへスキップ

カスタマーサポートからカスタマーサクセスへ お客様とエージェントの”うれしい”を演出

「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」など、30を超えるブランドを国内外で約1,400店舗展開するカジュアルファッション専門店チェーンのアダストリアは、ECサイトの成長に伴う問い合わせの増加に、紙ベースでの管理の限界を感じZendeskを導入。一元化により顧客対応におけるストレスを軽減すると共に、自己解決の促進、顧客接点の拡充を通じて顧客満足度の向上に成功。今後はWeb接客を強化し、カスタマーサクセスの実現を目指していく。

株式会社アダストリア
「課題の棚卸を通じて明らかになった”あるべき姿”を、Zendeskの標準機能でほぼ実現できることが導入の決め手となりました。今後はZendeskを基盤に、守りだったカスタマーサポートの領域を攻めの領域へとシフトしていく計画で、Web接客のトライアルを進めながら、最終的にはコンシェルジュのようなサービスを目指します。」

山下 雄大氏

顧客サービス部 シニアマネージャー
- 株式会社アダストリア

Zendeskソリューション導入の背景と課題

「Play fashion!」をミッションに掲げ、”グッドコミュニティ共創カンパニー”を目指す、株式会社アダストリア。顧客一人ひとりの感性と創造的な暮らし、多様なライフスタイルに寄り添うべく、アパレルの域を超えてマルチブランド・マルチカテゴリーでお応えすると共に、独自のバリューチェーンを通じてトレンドや店頭情報をいち早く次の商品展開に活かしながら、常に新しいファッションをお届けしている。

実店舗

実店舗

その30を超えるブランドが”どっと”集結した公式ファッションWEBストアが、「.st(ドットエスティ)」だ。自由にファッションが楽しめる『楽しいほうのファッションストア』をコンセプトに、見るだけでもワクワクするコンテンツを展開。コロナ禍で来店機会が減っていく店舗に対しECサイトの利用者数は増加の一途をたどり、会員数は1,400万人を超え、着実に成長を続けている。

.stのWebサイト

.stのWebサイト

これだけの会員基盤を抱えながら、会員数の伸びと比例して増え続ける問い合わせへの対応に、紙ベースでのアナログな管理を続けていた同社。「本来ならお客様が自己解決できることが理想」と言う株式会社アダストリア 顧客サービス部 シニアマネージャー 山下 雄大氏は、カスタマーサポートにおける課題をこう振り返る。

「十数年前の姿と変わっていませんでした。案件の紙ばかりが大量に溜まっていき、共有もままならない状況でしたし、返品・交換などの経理上の手続きにおいて印鑑が必要なケースもありました。顧客接点はメールと電話のみ。CTI連携もしておらず、お客様に関する情報がまったくない、言うなればハダカの状態で対応していたのです。さらに複数システムの管理画面を行ったり来たりしながらですから、エージェントの心理的負担も大きかったですし、お客様にとってもストレスだったと思います。」

10年前は年間2万件だった問い合わせが24万件(2021年実績)に増加する中で、顧客対応品質を維持するための工数や労力は膨らむ一方だった。単に問い合わせ対応を効率化するだけでなく、属人化を解消するためにも、デジタル化は喫緊の課題だったと言える。そこには、サステナブル経営の実現に向けてDXを重点投資領域に据える同社として、デジタルの顧客接点を強化し、提供価値を高める狙いもあった。

Zendeskが選ばれた理由

もちろん、これまで何も手を打ってこなかったわけではない。たとえば、顧客による自己解決を促そうとチャットボットの活用も試みたが、メンテナンスに時間がかかる製品で想像以上に運用負荷がかかり、根本的な解決には至らなかったという。

顧客サービス部の合言葉は「うれしいをもっと演出していこう」。いよいよデジタルツールの導入に向けて動き出した同社は、いかに顧客にとってもエージェントにとってもうれしいサービスを提供するかという視点で、次の5つの実現を目指した。①顧客による自己解決の促進、②顧客接点の拡充、③周辺システムの一元化による業務の効率化、④円滑かつ効率的な社内コミュニケーション、⑤蓄積したナレッジの有効活用である。

この”あるべき姿”を描き出す上では、部内アンケートを通じて合計122個もの課題を洗い出した。山下氏は、実は一番骨が折れたのがこの作業だったとして、「担当者が抱えている課題は一様ではありません。部内のヒアリングに力を入れたのは、DX化の推進にあたり、やりたいこと、つまりソフト面が固まっていないと、どんなに優れたシステムを入れても変わらないと考えていたからです。約2ヵ月をかけてヒアリングした内容をもとに課題の棚卸作業を行い、言語化していきました」と語る。こうして明らかになった”あるべき姿”を標準機能でほぼ実現できることが決め手となり、Zendeskの導入に踏み切った。

左:株式会社アダストリア 顧客サービス部 SNSチームリーダー 宇都宮 英氏<br />右:株式会社アダストリア 顧客サービス部 シニアマネージャー 山下 雄大氏

左:株式会社アダストリア 顧客サービス部 SNSチームリーダー 宇都宮 英氏
右:株式会社アダストリア 顧客サービス部 シニアマネージャー 山下 雄大氏

Zendesk導入の効果

同社は、部内アンケートでもっとも要望の多かった電話対応の改善に向けて、Zendesk とクラウド型コンタクトセンターサービスのAmazon Connectを連携。IVR(自動音声応答システム)で専任チームへの振り分けを行うだけでなく、問い合わせフォームへの誘導を行い、チャネルの選択肢を増やした。また、Zendeskと社内システム上にある会員情報、購買情報、商品情報のデータをAPI連携することで、一次対応における情報の不足を解消。さらに、Answer Botを活用して顧客の自己解決をサポートし、それでも問題解決に至らなかった場合は、チャットによる有人対応に切り替えられるようにした。これにより、顧客が問題の種類に応じた適切なチャネルを選び、速やかに対話をスタートできるようになり、顧客はもちろん、エージェントのストレスは大きく軽減している。

システム構成図

システム構成図

効果は数値にもはっきりと現れている。株式会社アダストリア 顧客サービス部 SNSチームリーダー 宇都宮 英氏は、こう説明する。
「まず、一元化により問題解決に必要な情報を容易に収集できるようになり、問い合わせ対応に要していた時間が約3分の1に削減されたほか、ヘルプサイトの使い勝手、検索性の向上によって自己解決率が260%アップし、時間を有効に使えるようになりました。生産性が2.4倍にアップしたおかげで稼働時間が10%縮小され、新しいことにリソースを投入できる余裕が生まれています。また、顧客がチャネルを選べるようになったことで、フリーコールの件数は前年比30%まで減少。その分有人チャットの利用件数が増えて、顧客満足度が向上するという良い循環も生まれています。顧客接点の拡充により、有益な対応ができるようになったことへの評価だと思います。」

左:スマートフォンからもヘルプサイトにアクセス可能   /  右:分析によって得たインサイトで、業務を改善

左:スマートフォンからもヘルプサイトにアクセス可能   /  右:分析によって得たインサイトで、業務を改善

Zendeskの導入は、顧客にとってのうれしいを演出するだけにとどまらない。エージェントの働き方改革を推進するため、「もれる人を作らない」という方針を徹底。新しいツールに対するモチベーションに温度差がある中で、一人ひとりにとって定着化の道のりがどうあるべきかを考えながら丁寧に導入を進めた点も特徴的だ。
「根気のいる作業でしたが、大人のドリルだと思って取り組みました。『Zendeskに変えて良かった』という声を聞いたときは非常にうれしかったですね」と山下氏。導入後も引き続きZendeskに関わるエージェントの疑問やリクエストを可視化し、見えてきた課題を改善につなげている。

今後の展望

この先も「うれしいをもっと演出していく」ために、「ここからが始まりです。もともと”守り”だったカスタマーサポートの領域を”攻め”の領域にしていきたい」と山下氏。最終的には、コンシェルジュサービスのように、顧客ニーズにアクティブに働きかけを行うWeb接客に着地していきたいという。その第一歩として、まずは顧客にとって利便性の高いチャネルであるLINEとの連携を予定している。

宇都宮氏は、「Zendeskは購入後のアフターケアも含め、既存顧客への価値提供という部分でも手応えを感じているので、チャットツールを活用しながらリアル店舗と同等の価値提供(商品購入の後押し)をしていきたいと考えています。たとえば、ブランドがターゲットとしている年齢層より上の方は、対面よりオンラインのほうが聞きやすいし利用しやすい場合があります。そうした層を始め、お客様がもっと気軽に使える販売経路の実現において、Zendeskの活用に期待するところは大きいですね」と説明する。

一方で、同社はエージェントにとっての「うれしい」も置き去りにしない。Zendeskのコミュニティフォーラム構築ソフトウェアを活用し、顧客対応に必要なナレッジやチーム間で横展開できる情報を蓄積し、エージェントを支援していく計画もある。

Zendeskを基盤として多様な顧客接点を取り込みつつ、カスタマーサポートからカスタマーサクセスへと歩みを進めるアダストリア。オンラインでリアル店舗さながらの接客・販売を実現できる日が、着々と近づいている。