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複雑な要件にも柔軟に対応しつつ シンプルに使い続けるために あるべき姿とのギャップを検証し継続的な改善を可能に

メディア事業を中心にインターネット領域で躍進を続けるサイバーエージェントは、2,000名近い社内エンジニアを対象としたヘルプセンターをZendeskで刷新。多機能かつ柔軟性の高いZendeskが、旧システムから引き継がれた細かい要件を難なく満たし、サポート業務のあるべき姿に様々な気づきをもたらしている。

株式会社サイバーエージェント

Zendeskソリューション導入の背景と課題

「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げ、インターネット領域で時代の変化に合わせた様々な事業を展開する株式会社サイバーエージェント。インターネットテレビ局「AbemaTV」やブログサービス「アメーバブログ」の運営を代表とするメディア事業のほか、インターネット広告事業、ゲーム事業を柱とし、常に新たなサービスを創出し続けている。2018年10月より日経225銘柄にも採用されたのは、好調さの証だ。

変化の激しいインターネットビジネスにおいて、柔軟かつ迅速なサービス提供が求められる社内エンジニアたち。彼らを支える技術本部では、現場のリクエストに応じて環境を用意したり、問い合わせに応じたりなど、社内ヘルプデスクの役割も担う。同社は、こうしたITサポート業務のプラットフォームに、WordPressベースで自社開発したヘルプセンターを利用してきた。

ヘルプセンターを構成する機能は大きく2つ。開発環境に関わる多様な申請をフォーム経由で受け付ける機能と、申請に関連するドキュメントの管理機能である。旧システムでは、この2つを社内に設置した別々のサーバー上で管理しており、障害復旧などの手間が発生することに加え、申請フォームの作成において条件分岐の設定が複雑化を極めること、管理画面が使いづらいことなどが課題だったという。

株式会社サイバーエージェント 技術本部の井上恵理氏は、「全文検索ができないため、過去の申請から特定の情報を拾い出すのに、フォーム経由で届いたメールを一つ一つ辿るしかありませんでした。また、1つのチケットに複数のエージェントがアクセスできない、使い手の予測に反した動きをするなど、慣れるのに時間のかかるシステムでした」と補足する。

Zendeskが選ばれた理由

刷新への機運が高まった理由を、株式会社サイバーエージェント 技術本部の東 和宏氏はこう振り返る。
「ブログツールであるWordPressにカスタマーサポート機能を持たせるとなると、複数のプラグインを組み合わせたうえに、さらに手を加えなければなりません。2年にわたり改良に改良を重ねるうちに、システムの属人化とともにメンテナンス性が低下しつつありました。ワークフローは問題なく回っていたので使い続けることも可能でしたが、時代の変化に伴い新たな要件への対応も求められるなかで、今後これ以上の拡張は望めないと判断しました」

とはいえ、新しいサービスに適用するために機能を減らすという発想はなく、これまでと同等の使い方を実現できるかが最大の焦点となった。Zendeskへの期待が一気に膨らんだのは、専用サービスならではの機能の豊富さである。井上氏は、「欲しい機能がほぼ網羅されていただけでなく、自分たちだけでは思い付かなかったような機能や、たとえ思い付いても開発工数を考えると諦めざるを得ないような機能まで付いていました」と語り、特に「条件分岐による動的なフォーム生成が行えるツールでも、なかなかここまで細かく設定できるものはありません」と強調する。

社内ヘルプセンター画面

たとえば、アカウント作成の依頼に対しても、個人用のアカウントなのか社外関係者のアカウントなのかによって、その後の入力項目が動的に変化していく。こうして一度の申請でアカウント作成に必要な情報を漏れなく確実に収集することで、迅速な対応が可能になるわけだ。また、旧ヘルプセンターで使用していた社員認証システムとの連携が容易であったことも、Zendeskが評価されたポイントの一つである。使い方を変えずに新サービスに移行できるメリットは大きい。

東 和宏氏
株式会社サイバーエージェント 技術本部 東 和宏氏

Zendesk導入の効果

Zendesk Supportを導入した同社は、ブランドのルック&フィールにもこだわり、社内のデザインチームがZendeskの画面をカスタマイズ。ユーザーである社員に外部サービスを利用していることを感じさせないデザインを実現している。また、Zendesk Guideの活用により、別システムとして運用してきたドキュメント管理も一元化した。

旧システムから完全移行してまだ日が浅いものの、「対応状況が一目瞭然です。以前は申請を受け付ける画面とは別画面でタスク管理を行うシステムを独自開発していましたが、Zendesk上で、チケットのステータスごとに申請内容を一覧表示できるようになりました」と井上氏。加えて、過去のナレッジを文字列で検索できない、ユーザーごとに閲覧できる情報を設定できない、といった悩みも解消された。

エージェントをグループ分けできるメリットは、使ってみて初めて気づいたことの一つだとして、東氏は「技術本部内でも、申請内容によって対応する組織が異なります。以前は全エージェントが同じタスクビューワーにアクセスできていましたが、最近は提携会社のエージェントも増えつつあるため、見せる・見せないの設定を柔軟に行えるようになったのは良いタイミングでした」と説明する。

また、エージェント側の負荷も確実に減っている。
「これまでは、エージェント間での対話はチャット、ユーザーとの対話はメール、ドキュメント管理やタスク管理はまた別のシステムというようにコミュニケーションが分断されてしまい、ナレッジが分散するばかりか二度手間も発生していました。Zendeskで一元管理できるようになったことで、すべてのコミュニケーションがシンプルに1か所で完結します。さらに、トリガやマクロの機能を使って自動化できる部分が増え、工数が格段に減った実感があります」(東氏)

新サービスの導入にあたっては、旧システムをそのまま再現することを重視するあまり、本当に必要な機能なのか、見直しが必要かどうかを精査できずにいたが、専用サービスであるZendeskを基盤とすることで、”本来あるべき姿”について認識を共有できたことが大きいという。

今後の展望

「今まで誰も欲しがらなかったレポーティング機能も、実はあったほうが良かったのだとわかりました」と語る井上氏は、より深い分析が行えるインサイト機能にも興味を示す。「多機能であることに満足して何もしないなら活用できていないのと同じこと。せっかく効果を測定できるのですから、フォームに埋め込んだカスタムフィールドの選択肢はどれが選ばれているのか、マクロやトリガの設定で活用できていないものはどれかといったことを可視化し、何が最適なのかを検証しながら継続的に改善していきたいですね」とZendeskの活用に意欲的だ。
Zendesk Support レポーティング画面
Zendesk Support レポーティング画面

重要なのは、旧システムの反省を踏まえ、ユーザーもエージェントもどれだけシンプルに使い続けられるか。サイバーエージェントの未来を創るエンジニアをスマートに支えていくために、同社のヘルプセンターはZendeskを基盤に無駄をそぎ落とし、より使いやすいシステムへ、より使われるシステムへ進化していこうとしている。