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LINE × ZendeskでCX
改善と効率化を追求。
DMM Boostの成長を
加速させるハイブリッド
システム

株式会社DMM Boostは、日本におけるコミュニケーション手段として完全に定着したLINEに着目。各企業が運用する公式アカウントの機能を拡張し、カスタマーサービスやマーケティングに援用するという独創的なサービスの提供を通じて急成長を遂げてきた。同社は2023年にZendeskを導入。問い合わせの一元管理と業務効率化を進めつつ、既存のシステムとZendeskを連携させ、一層の躍進を目指している。

株式会社DMM Boost
「カスタマーサポートで最も大切なのは、最終的に何をするかという目的意識です。プロセスにこだわる必要などはまったくないし、むしろ既存の発想をどんどん壊していったほうがいい。それができれば売り上げも伸び、リソースの有効配分やコスト削減をしながら、ひいては社員の待遇ももっと良くしていくことができますから。この目的を達成するために、今後も我々独自のやり方でZendeskを存分に活用していきたいですね。」

横関 秀樹氏

CEO
- 株式会社DMM Boost

Zendeskソリューション導入の背景と課題

「変化を味方に。」というミッションのもと、株式会社DMM Boost(以下、DMM Boost)は、LINE 公式アカウントを活用して、カスタマーサポートやマーケティング、データ分析を実施できる機能拡張ツールを提供。「DMMチャットブーストfor店舗」「DMMチャットブーストforEC」「DMMチャットブーストCV」の3種類のサービスを展開してきた。LINEを基盤にした新世代のサービスがいかに大きな注目と評判を集めてきたかは、サービス開始から約3年で、導入企業が5,000 社を突破するという驚異的な実績が如実に物語る。

そんな同社は2023年にZendesk を導入している。株式会社DMM Boost CEOの横関 秀樹氏によれば、目的はカスタマーサポートの品質向上だった。

「当時、弊社では企業さま向けのお問い合わせ窓口を、LINE上での対応1本に絞っていました。しかしLINEの場合には、コーポレートガバナンス上の事情、あるいはセキュリティの観点から導入が難しく、電話またはEメールでの連絡を望まれるお客さまもいらっしゃいました。またLINEを利用されているお客さまが、電話やEメールで連絡をくださるケースも当然あります。情報を集約し一元管理することは、コスト削減や効率化を図るうえでも必要になってきました。そこで有効なツールを探し始めたときに候補に挙がってきたのがZendeskでした。」

株式会社DMM Boost CEO 横関 秀樹氏

Zendeskが選ばれた理由

新しいソリューションを導入したいという要望は、カスタマーサクセスチームから上がってきたという。同社が驚異的な急成長を遂げるにつれ、担当チームの稼働負荷も増大。業務効率化による負荷の軽減と、カスタマーサポートのさらなる品質向上が急務になっていたからである。ソリューションを検討する過程では、チャネルを横断した問い合わせの一元管理と共に、LINE 独特のデータ要件を満たすことも要件として定められた。

「LINEは本名ではなく、ニックネームで登録やコミュニケーションが展開されますので、メッセージの差出人も、本来の顧客データベースと表記が異なってきます。このためLINEのデータをインポートする際に、正しいリレーション情報(紐づけ情報)が利用できないと、データベースとすり合わせながら、膨大な顧客情報を1件ずつ手作業で入力していかなければなりません。他社の製品にはLINEとのリレーション機能が実装されていませんでしたので、私の目から見れば、Zendeskの一択になることは明らかでした。」

カスタマーサクセスチーム内での検討作業には半年近くを要したが、最終的には横関氏の説得によりZendeskの採用を決定。プログラマーでもある横関氏自身が開発作業を行うことにより、実装は3ヶ月程度で完了したという。

「Zendeskは実用的なAPIが豊富に揃っていて、かつコードが公開されているので開発は非常に楽でした。作業を通して実感したのは、汎用性というか懐の深さですね。Zendeskはシステム設計自体が合理的ですし、根本的な仕様の部分で制約が少なく、自分たちに必要な機能がほぼすべて実装できる。しかも世界中で利用されているので、困ったときにはサードパーティのツールを簡単に使うこともできます。これは大きな強みだと思います。Zendeskの担当者も、課題が浮かび上がるたびに現場スタッフの相談に乗ってくれたり、機能アップデートの提案をしてくれたりしましたので本当に助かりました。」

Zendesk 導入の効果

こうして導入されたZendeskは、同社に不可欠なシステムとして定着。カスタマーサポートの品質と業務の効率化を最大限に高め、右肩上がりの成長を底支えするプラットフォームとして利用されている。

「実際に使い始めてみると、Zendeskは予想以上に便利で。カスタマーサービスのやり取りを一元管理できるだけでなく、複数のチャネルを完全にシームレスに表示できるんです。本来ならばLINEのコミュニケーションはLINEアプリ上で、メールでのコミュニケーションにはメールクライアント上で対応しなければなりません。しかしZendeskなら、すべてのコミュニケーションを集約して単一の画面上で確認できる。チケットの自動生成機能やリマインド機能、関係者へのメンション機能、供覧機能も便利ですね。弊社では、お客さまから問い合わせがあったときに、内容やメールアドレス、ユースケースに合わせて自動的に振り分けるトリガ機能、文体や内容を均一化するテンプレートを提供するマクロ機能もフルに活用しています。」

Zendeskでチケットを管理し、LINEとのハイブリッドシステムを運用

このような運用方針は目覚ましい成果を上げた。チケットが自動生成されるようになった結果、問い合わせ対応の所要時間は一気に短縮。Zendesk導入前は、チケットの生成、エスカレーション、問題解決に至るまで月平均で計約170時間を要していたのに対し、導入後は約40時間にまで短縮されている。一方、顧客へのメッセージを事前に確認するドラフトモードの導入により、誤送信が発生する件数も激減。導入直前の7ヶ月間にはトラブルが10件ほどあったが、導入後はわずか3ヶ月間で1件のみに留まるなど、90%もの改善に成功した。

170時間 → 40時間

問題解決の所要時間(月平均)

‐90%

誤送信の発生件数

「社内向けに使っているシステムとうまく連携しながら、一種のハイブリッドシステムを構築できたのも大きな成果ですね。LINE とZendeskには、できることとできないことがあります。たとえばLINEにはお友達の追加機能がありますから、お友達が追加された場合には、『ご登録ありがとうございます』というフォローアップのメッセージを送りつつ、性別や年齢などのメタデータを収集する。そのうえで次のステップとして、『こんな商品はいかがですか?』とプッシュ型のレコメンドをしたり、マーケティングのメッセージを一斉配信したりすることができます。

ZendeskにはLINEのような機能はありませんが、その代わりにLINEにはできないこと、すなわち電話やメール、LINEなどのチャネルを横断した把握や、チケットによる緻密な問い合わせ管理、幅広いデータ連携などができる。現在、DMM Boostではプロアクティブなマーケティングにつながるようなカスタマーサポートの8割をLINEで展開し、残り2割の基盤となる部分をZendeskでカバーする理想的な棲み分けが確立しています。Zendeskをこのようなかたちで利用しているのは、かなりレアなケースではないでしょうか。」

今後の展望

Zendeskの活用領域は、さらに拡大しつつある。同社は主力サービスである「DMMチャットブーストfor店舗」を通じて、店舗経営者や中小企業の経営者などを多数サポートしてきたが、最近はエンタープライズと呼ばれる大企業の顧客も増大。これらの企業ではLINEの導入が難しいため、Zendeskが一層活用され始めている。またZendeskは「DMMチャットブーストforEC」にも実装されるようになった。横関氏は将来に向けて、同社が利用しているさまざまなソフトウェアやサービスのデータをZendesk上にすべて集約・統合しつつ、総合的なデータ分析を強化していく計画も練っていた。

「たとえば解約を申し出られたお客さまがいた場合に、マニュアルの閲覧状況まで分析できれば、そもそもマニュアルの内容がわかりにくいから改善すべきなのか、あるいはプロダクトのアップデートが必要なのかという仮説の検証ができる。その意味でデータ分析は、かなりの可能性を秘めています。

ましてや弊社が提供しているようなSaaS関連サービスは、市場が成熟し技術面で差別化を図るのが難しくなってきています。今後は、単に顧客や契約件数を増やすのではなく、データを活用しながらCX(カスタマーエクスペリエンス)を改善し、継続的にサービスをご利用いただくことを優先するフェーズに移行していくでしょうね。かといって担当部署のスタッフを増やせば、コストが膨らんでしまいます。そこで求められるのが効率化の追求です。コストを最小限に抑えながら、CXを最大限に改善していくうえで、Zendeskのようにオムニチャネルに対応したカスタマーサービスのソリューションは、ますます重要になってきます。」

同社が掲げる「変化を味方に。」というミッションを、まさに具現化し続けるために。横関氏は、カスタマーサポートの未来を見据えながら、次の一歩を踏み出そうとしている。その意欲的な挑戦を支えるのが経営者としてのこだわりであり、Zendeskへの揺るがぬ信頼である。

「カスタマーサポートで最も大切なのは、最終的に何をするかという目的意識です。プロセスにこだわる必要などはまったくないし、むしろ既存の発想をどんどん壊していったほうがいい。それができれば売り上げも伸び、リソースの有効配分やコスト削減をしながら、ひいては社員の待遇ももっと良くしていくことができますから。経営者としての自分が究極的に目指しているのは、やはりお客さまに満足していただくことと、社員に喜んでもらうことなんです。この目的を達成するために、今後も我々独自のやり方でZendeskを存分に活用していきたいですね。」