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迷いや疑問を生まない工夫を詰め込み CXとEXの改善を両輪で推進

学研グループの事業活動を管理業務のシェアードサービスで支える学研プロダクツサポートは、本社勤務者を中心にグループ会社の従業員約3,000名からの各種申請書類の受付・管理、問い合わせ対応にZendeskを導入。FAQサイトを構築してユーザーによる自己解決を促進すると共に、自社40以上の部署が関与する問い合わせ管理のプロセスを見直すことで、グループ会社ユーザーのCXのみならず自社従業員のEXの改善も進みつつある。

株式会社学研プロダクツサポート
「プロジェクト発足当初から、CXとEXの両方を改善したいと考えていました。Zendeskの導入により、ユーザーにとっての利便性はもちろん、EXにあたる当社側の課題の多くが解決され、大きなコスト削減効果にもつながっています。」

渡辺 順平氏

経営企画室
- 株式会社学研プロダクツサポート

Zendeskソリューション導入の背景と課題

創業者・古岡秀人の「戦後の復興は教育をおいてほかにない」という信念のもと、1946年の創業以来、長きにわたり日本の教育を支えてきた学研グループは現在、「教育」と「医療福祉」の2つの事業を中心に、激変する社会環境が求めるさまざまな課題解決に、新たな価値を創造しながら貢献している 。この学研グループの事業活動を、間接業務全般にわたる支援サービスの提供を通じてサポートし、企業価値を最大化することに貢献しているのが株式会社学研プロダクツサポートである。昨今の社会情勢の変化を背景に専門チームを立ち上げ、グループ内の基幹システムから顧客にコンテンツやサービスを提供するシステムに至るまでグループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一翼を担っているのも同社だ。

こうした事業の特性上、グループ会社の従業員から届く各種申請書類の受付・管理、問い合わせ対応が日々かなりの頻度で発生する。これらを各部署が独自に作成したサイトで別々に管理していた時期もあったが、2012年にWordPressで統一。申請書類や問い合わせ先、ルール、手続きの方法などが網羅的にアップされたポータルサイト「プロサポネット」を立ち上げた。しかし、一元化によるメリットはあったものの、根本的な改善には物足りなかったという。

その理由を、株式会社学研プロダクツサポート 経営企画室 渡辺 順平氏はこう説明する。
「ユーザーはプロサポネットで申請書や問い合わせ先を確認し、ダウンロードした申請書をメールで提出したり、メールで問い合わせをしたりするわけですが、階層が深くて必要な情報に辿りつけないだけでなく、専門用語や記入方法がわからない、申請書が古くて申請できないといった理由で差し戻されたり、すでに存在しないシステムの申請書が残っていたり、頻繁な組織再編による事業移管のために問い合わせ先がわからなくなっていたり、結果としてたらい回しにつながったりと、年月の経過と共に問題が顕在化してきました。」

困っていたのはユーザーだけではない。必要な情報はプロサポネットに掲載されているのだから、申請やメール送信時のルールを順守しないユーザー側にも改善の余地があるという、管理部門側の言い分もあった。実際、問い合わせの大半がプロサポネットに掲載されている内容であり、「情報が存在するのに見てもらえないむなしさ」もある。もちろん記事の品質や検索精度にも起因するとはいえ、WordPressによる更新が煩雑で速やかな改善が難しい上に業務に忙しく、対応が間に合わない現状も見受けられた。そもそも約3,000名もの対象ユーザーに対して、メールベースでのやりとりや問い合わせ管理では限界があったと言える。

Zendeskが選ばれた理由

こうした状況に対し渡辺氏は、ユーザーの利便性向上を図ると同時に、管理部門 側の業務の効率化を目指してツールの検討を開始。6社の製品を比較検討した結果、Zendeskの導入を会社に提案した。
「カスタマイズすれば何でも出来てしまう製品から、逆にシンプル過ぎて機能が不足している製品までいろいろある中で、Zendeskは標準機能だけで当社の要件を網羅していて、コストパフォーマンスが高く、柔軟性・拡張性も申し分ないと感じました。また、問い合わせ時に、担当者の応対に対する評価が行える点も重視しました。経営陣への提案の段階ではほぼZendesk一択でしたね。」(渡辺氏)

Zendesk導入の効果

同社はZendeskのFAQ・ヘルプセンター構築機能で問い合わせフォームを作成。299個のフォームのすべてに一次受け部署を割り当てると共に、FAQサイトを構築し自己解決の促進を図っている。旧サイトに掲載されていたFAQの移行にあたっては記事の品質を重視。情報の鮮度を精査するだけでなく、明確な記事作成のルールを設けた。

FAQサイト TOPページ

FAQサイト TOPページ

また、視認性を高めてユーザーの迷いを減らすために、FAQサイトにおける見出しの見え方や関連コンテンツの配置など、デザイン性にもこだわった。階層も徹底的に浅くし、注意事項の出し分けや各カテゴリーの記事数を調整するなど、記事が読まれる確率を高める工夫をしている。

「Zendeskのおかげで、導入前に多発していた書類の不備や再申請、部署間のエスカレーションミスといった問題が順調に改善されつつあります。エスカレーションミスがなくなって助かるのはユーザーだけではありません」と渡辺氏。株式会社学研プロダクツサポート ビジネスシステム部 部長の中川 達也氏はこう続ける。

「ユーザーは、自分の困りごとに対処してくれる担当部署がどこなのかを意識する必要はありません。ユーザーからの各種申請や問い合わせがZendeskのチケット管理機能でチケット化され、適切な部署がアサインされるようになったことで、エスカレーションミスのリスク低減が出来ています。メールベースでは管理が難しかったエスカレーションの進捗状況もモニタリングしやすくなりました。」

ユーザーの選択によって動的に変化する問い合わせ画面(左:選択前/右:選択後)

ユーザーの選択によって動的に変化する問い合わせ画面(左:選択前/右:選択後)

チケットは内容に応じて適切な部署にエスカレーションされる

チケットは内容に応じて適切な部署にエスカレーションされる

今回のプロジェクトの狙いでもあったカスタマーエクスペリエンス(CX)と従業員(エンプロイー)エクスペリエンス(EX)の両方を改善できたことは大きな成果である。申請や問い合わせが集中する月の労働時間が大きく削減されたことが評価され、社内表彰も受けた。これはまさに、社内業務の効率性が高まったことによる成果と言える。

今後の展望

「問い合わせはかなり減っていますが、まだまだゼロではありませんし、もっと減らせると思っています。そのためには、ユーザーによる現状の使われ方を分析し、どこでつまずいているのか、どんなコンテンツにアクセスが多いのか、どこをどう改善すれば利便性が向上するのかを把握し、改善のサイクルを回していくことが重要です。現在は、新しいサービスを追加したり、業務プロセスや申請書が変更になったりといったタイミングで記事のメンテンナンスを行っていますが、もう一歩踏み込んで、データ分析結果に基づいた品質改善を進めていきたいですね。また、問い合わせ管理業務のさらなる効率化という観点では、AIチャットボットや外部システムとのAPI連携にも関心があります」と中川氏。

今後も、継続的なCXおよびEXの実現を両輪で進めていくことに変わりはないが、特にEX向上への取り組みの一環としてエージェント教育を強化していきたい考えだ。まだ十分に使いこなせていない便利な機能を周知することで、効率的に使える場面はさらに増えていくだろう。Zendeskの活用は顧客企業の満足度に直結するチャレンジであり、事業の発展をけん引する取り組みにますます期待がかかる。