問い合わせ対応のホスピタリティを強化し 選ばれるホテルへの改革を前進

三井ガーデンホテルズを中心としたホテル運営を手がける株式会社三井不動産ホテルマネジメントは、とりわけインバウンド対応において自社システムでの運用に課題を感じ、選ばれるホテルへの改革の一環としてZendeskを導入。外部のAIチャットボットとの連携で顧客対応のパフォーマンスを高めつつ、問い合わせの減少につながる効率化を進めている。

株式会社三井不動産ホテルマネジメント

「問い合わせ時にファイル一つ添付できないような状況から脱却できただけでも大きな成果です。さらに外部のAIチャットボットと連携し、有人対応が必要な問題のみZendeskが引き継ぐという効率的な対応が可能になったほか、ステータスの可視化、拠点間のエスカレーション、対応履歴の一元管理など、想定していた以上の成果を実感しています。」

竹部 新吾氏  小池 知幹氏

管理本部 業務推進部
- 株式会社三井不動産ホテルマネジメント

Zendeskソリューション導入の背景と課題

約40年の歴史を持つ三井不動産ホテルマネジメントは、国内外にアッパーミドルクラスの宿泊主体型ホテルである「三井ガーデンホテルズ」、ハイクラスの宿泊主体型ホテルである「ザ セレスティンホテルズ」、次世代型ライフスタイルホテル「sequence(シークエンス)」の3ブランド計39ホテルを運営。ただ眠るだけのホテルでは満足しない、感性豊かなお客さまの「記憶に残るホテル」を目指して、日々ホスピタリティあふれるホテルサービスを提供している。

また、コロナ禍でホテルを働く場や住まう場として利用できるプラン「サブ住む®」の開発や、3ブランド共通で利用できる会員制度「MGH Rewards Club(リワーズクラブ)」とコンシェルジュ機能を搭載したスマートフォンアプリの誕生、さらには、ホテルの強みを活かした産学連携プロジェクトの実施、地域のクリエイターの感性に触れるアート展示やイベントの開催、ストレスフリーな顔認証によるセルフチェックインの実現など、顧客の多様なニーズに応える新しい取り組みにも積極的だ。

Zendesk導入もその一環である。今でこそコロナ禍でインバウンド需要が落ち込んでいるが、2019年の導入検討当初は、海外ゲストの利便性を見直し満足度を高める狙いがあったとして、株式会社三井不動産ホテルマネジメント 管理本部 業務推進部の小池 知幹氏はこう説明する。
「以前はホームページに電話番号を記載している程度で、他の問い合わせチャネルはわかりにくいところにひっそりと存在していました。特に海外ゲストからすると知りたい情報がすぐに得られない状態でした。社内から、選ばれるホテルになるためには改善が必須との声が強まり、問い合わせを積極的に受け付けていこうという動きになりました。」

さらに、株式会社三井不動産ホテルマネジメント 管理本部 業務推進部 竹部 新吾氏も、「問い合わせ対応に使用していた自社システムが添付ファイルに対応していなかったことも不満の一因でした。海外ゲストの場合はキャンセルポリシーなどを記載した予約確認書のやりとりが発生します。既存システムではWebフォームで受け付けた後にメールでの対応に移行する必要があり、ユーザビリティが悪い上に情報が分散する原因になっていました」と振り返る。

Zendeskが選ばれた理由

問い合わせの導線を整えるべく、先行して外部のAIチャットボットの導入検討を進めていた同社は、組み合わせることでより高いパフォーマンスを発揮できるZendeskに着目。問い合わせの一次受付をAIチャットボットが担い、そこで解決できない問題だけをZendeskが引き継ぐという使い方だ。同社に寄せられる問い合わせは予約内容の確認といったシンプルなものから個別の対応が必要なものまで多岐にわたり、記念日の宿泊に合わせた特別なアレンジを依頼されることも少なくない。顧客とのやりとりが複数回に及ぶこうしたケースこそ、Zendeskが本領を発揮することになる。

「Zendeskなら、過去の対応履歴が一元管理でき、お客様一人ひとりの背景情報を踏まえた対応が可能になります。これも自社システムでは実現できていなかったことなので、この点での期待感もかなりありましたね」と竹部氏。単にファイルが添付できない問題が解消するだけでなく、生産性を上げながら顧客対応の質を高められるなど、Zendesk導入によるメリットは大きく、自社システムに代わるツールの選択に迷いはなかったという。

Zendesk導入の効果

同社はZendeskパートナーの手を借りながら、本社お客様センターへの導入を皮切りに、国内38ホテルと台湾にあるホテルを合わせた全39ホテルに段階的に導入を進めていった。各拠点への展開にあたっては、先行導入した本社お客様センターが各拠点にレクチャーすると共に、トレーニング用に架空のホテルの問い合わせフォームを作成し、各拠点のスタッフ自身がゲストになって自由に問い合わせ環境を体験できるように工夫した。

全拠点への導入が完了した今は、当初の計画どおりAIチャットボットとの連携が実現。AIチャットボットでは解決できない問題のみがチケット化され、内容に応じてZendesk上で各ホテルに自動で割り当てられ、各拠点のスタッフが対応するという流れだ。各拠点から本社へ、本社から各拠点へといったように、既存システムではできなかった適切なチームへのエスカレーションもZendeskなら簡単に行える。

チケット管理システムで人的対応が必要な問い合わせを一元管理

チケット管理システムで人的対応が必要な問い合わせを一元管理

「お客様には見えないところで、必要な情報を社内横断的に共有したり確認したりすることがスムーズにできるようになったのは大きな変化です。また、よくある問い合わせに対して返信文をテンプレート化できたり、マクロやトリガを使って顧客対応の一部を自動化できたり、実際に使ってみて、予想以上に効率化された印象です。何よりステータスが可視化されたことで対応もれがなくなりました。既存システムでは返信したかどうかの判断しかできませんでしたが、対応状況が一目瞭然です」と小池氏。

インバウンド対応として、動的コンテンツやマクロ、トリガを駆使してWebフォームや顧客対応の多言語対応を実現しているのも特徴の一つである。また、同社の強い要望によりZendeskパートナーがパスワードの自動設定アプリを開発。Zendeskとの連携により添付ファイルの安全なやりとりを可能にしている。これらのメリットを踏まえ、「Zendeskを導入して便利になったことのほうが多く、社内からもネガティブな感想は聞こえてこないですね」と竹部氏は評価する。

問い合わせフォームの多言語対応

問い合わせフォームの多言語対応

今後の展望

「まずはミニマムでスタートを切りました。Zendeskは非常に機能が豊富ですから、まだまだ当社のニーズに応じたさまざまな使い方ができそうです」と語る小池氏が次に関心を寄せるのは、クラウドベースのコールセンターシステムの活用である。各拠点に寄せられる電話からの問い合わせは記録の管理に改善の余地があり、「今後Webフォームからの問い合わせと併せて一元管理できれば、新たな効果を創出できそうです」と期待する。

一方、顧客対応のさらなる効率化に向けては、問い合わせ内容の分析も課題の一つである。Zendesk上のデータをCSVファイルで出力できる機能を実装したことで、そのための準備は整っている。分析結果から、よくある問い合わせの傾向を把握し、AIチャットボットに学習させようという考えだ。もともとあったFAQサイトをZendesk導入と同時に手離した理由も、実はここにある。Zendeskで顧客対応のパフォーマンスを上げると共に、Zendesk上に蓄積されていくデータに基づいてAIチャットボットの回答精度を高めていけば、最終的に問い合わせの減少というより良い循環を生み出すことができる。

選ばれるホテルになるための改善への取り組みは始まったばかり。Zendeskがその可能性を大きく拡げている。