豊富なAPIで柔軟な情報連携が実現 Zendeskをハブにデータ活用に広がりも

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマートは、自社開発のサポートシステムをZendesk Supportに移行。豊富なAPIを活用し、部門間の情報連携が柔軟に行えるようになった。「データと現場をつないで業務を効率化すること」は同社のビジネスの真髄でもあり、Zendeskに蓄積されたデータの活用に広がりが生まれている。

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート

「Zendeskは顧客とのやりとりがチケット上でわかりやすく画面上に表示されます。また、チケット上に社内メモを残す事ができ、これが顧客とのやりとり(パブリック返信)を含め、時系列順にコメントが残るため、他部門の担当者が途中から閲覧しても、顧客向けのやり取りと、社内メモの情報が錯綜することがありません。これにより社内での情報連携の速さと正確性に効果が出ています。」

阿部 智志氏

テクノロジー・サポート・グループ サポートチーム チームリーダー
- 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート

導入製品

Zendeskソリューション導入の背景と課題

1998年に株式会社エヌ・ティ・ティ・データの社内ベンチャーから事業をスタートし、2000年に会社として独立した株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート(以下、NTTデータ イントラマート)は、拡大していくWebシステム開発の市場をターゲットに、ワークフローやビジネスプロセスマネジメント(BPM)領域のパッケージソフトウェアやサービスプラットフォームを手がけてきた。

主力製品は、個別最適化された企業内のIT環境を一つに集約し、業務アプリケーションの全社横断的な運用を可能にするシステム共通基盤(開発・運用フレームワーク)「intra-mart」だ。その導入実績は国内の著名企業を中心に7,500社以上(2020年3月末時点)。オープンな発想と積極的なチャレンジを通じて、人・企業・社会・そして未来をつなぎ、お客様のイノベーションと成長に貢献することで、明日のワクワクを創り出す、リーディングソリューションカンパニーを目指すことをビジョンとして掲げている。

同社にとっては、エンドユーザー企業はもちろん、システム導入を支援する全国200社以上のパートナー企業もまた大切な顧客である。サポートチームが行う製品サポートも、この二者が対象だ。一日に寄せられる問い合わせは平均40~50件。その大半がテクニカルな内容で、やりとりが複数回にわたることも多い。必然的に、サポート担当者は複数案件を抱えながら並行で処理していくことになる。

自社でフルスクラッチ開発したサポートシステムで運用していた頃は、本業であるサポート業務の傍らサポート担当者自身がプログラムのメンテナンスを業務終了後に実施するといった負荷がかかっていたという。その理由を、NTTデータ イントラマート テクノロジー・サポート・グループ グループリーダーの黒田 和男氏はこう説明する。
「2002年から使用していた自社開発のシステムはオンプレミスで運用していたため、バックアップや最新ブラウザへの追随など、メンテナンスに多くの時間を取られていました。バックアップは隔週に1回、深夜帯に3~4時間かけて実施していたため、人員調整も大変でした。システムがダウンすれば、自社で復旧作業を行わなければなりませんし、本業以外の部分で苦労が多かったと言えます。」

加えて、分析機能がないことも小さな不満としてくすぶっていた。初回応答からの経過時間を表示する仕組みはあったものの、問い合わせ種別ごとの件数、解決までにかかった時間など、問い合わせ状況を詳細に把握する術がなかったのである。

Zendeskが選ばれた理由

メンテナンスの負荷とコストを削減したい。積もり積もったこの思いが、新たなツールの検討を促した。主に重視した要件は2つ。1つはオンプレミスからクラウドへの移行。もう1つは分析機能の強化である。2015年、移行に向けて具体的な検討を始めた同社は、最初に試したZendeskに手ごたえを感じ、検証を重ねながら、本番環境の準備を進めていった。

「とにかくクラウドに移行することで運用負荷が大幅に削減できる点。それから、カスタマイズ可能な分析機能を活用して自在に情報を取得できる点。この2つがZendesk導入の大きな決め手となりました。」(黒田氏)

Zendesk導入の効果

NTTデータ イントラマートは、中国、アジアを中心とした海外展開にも力を入れている。そんな同社にとってZendesk Supportは、多言語化対応が容易なだけでなく、マルチブランド機能を利用してブランドごとに分けて運用できるのも魅力だった。同社では、製品単位ではなく、国内向け、中国向け、APAC向けの3つに加え、クラウドサービスのサポート窓口、SIer向けの個別サポート窓口で2ブランドを使用しており、計5ブランドを展開している。各拠点のサポート担当者は、すべての問い合わせを閲覧する必要がなく、関連する情報だけを一元管理できる。

各ブランドで公開されている多言語対応のFAQサイト<br />
(左から、英語・日本語・中国語)

各ブランドで公開されている多言語対応のFAQサイト
(左から、英語・日本語・中国語)

NTTデータ イントラマート テクノロジー・サポート・グループ サポートチーム チームリーダーの阿部 智志氏は、「セキュリティの観点もあり、閲覧範囲をブランドごとに指定できるのは情報流出を防ぐ意味でも便利です。管理者権限を持つメンバーは全ブランドを管理することもできます」と説明する。閲覧範囲を制限しつつも、特定のチケットについて営業メンバーに支援を依頼したい場合などには、固有のURLを入力するだけで速やかに閲覧できる。

「以前は情報を共有しにくかったのですが、Zendeskなら顧客とのやりとりがすばやく一覧できます。チケットに社内メモとして時系列順にコメントが残る機能により、他部門の担当者が途中から閲覧しても情報が錯綜することなく、連携がしやすいですね」と阿部氏。こうした機能は、新型コロナウイルス感染拡大という思いもよらぬ非常事態下でも役立っている。緊急事態宣言発令の翌日には在宅勤務体制に移行したが、サポート業務を止めることなくスムーズにスタートできた。阿部氏は、「マクロ機能やトリガ機能を使うことでオペレーションのミスも防げます」と付け加える。

在宅勤務は出退勤や働きぶりを目視できないなど、しばしば管理面での課題が指摘されるが、「Zendesk Supportは案件のステータスが直感的にわかりやすいのが大きなメリットです。リモートで活動していても、チケットの閲覧者やパフォーマンスなど、サポート状況をリアルタイムに近い形で把握できます」とNTTデータ イントラマート テクノロジー・サポート・グループ サポートチームの早川 雄喜氏。

さらに、「Zendeskは閲覧権限のない担当者との連携も容易」として、豊富なAPIを高く評価する。Zendesk Supportをハブに各部門の担当者が必要とする機能や情報を連携できることも、リモート環境へのスムーズな移行を後押ししたと言えそうだ。たとえば、Zendesk Guideでヘルプ記事を公開する際にはintra-martのワークフロー機能を使って承認フローを実施。チケットを開発メンバーにエスカレーションする際は、ボタンひとつで開発部門が使用するプロジェクト管理ツールの「Redmine」に転送。また、営業メンバーは社内業務システム上で担当顧客の問い合わせ状況だけを効率よく一覧でき、開発部門ではZendeskから引き出した顧客の声を改善に生かす取り組みも進む。これらはすべて、ZendeskのAPIを活用して自社で構築した仕組みだ。

RedmineとZendeskをAPI経由で連携し、社内オペレーションを効率化

RedmineとZendeskをAPI経由で連携し、社内オペレーションを効率化

こうした仕組みは、社内オペレーションの改善にとどまらず、顧客応答時間の大幅な短縮化にも大いに貢献している。また、運用面での課題だったメンテナンスからはすっかり手が離れた。クラウドソフトウェアのZendeskならバックアップを取る必要もなく、最新ブラウザにも常に追随できる。システムバックアップ中に、問い合わせの受付や顧客への回答オペレーションなど、サポート業務の中断を余儀なくされることもない。効率的かつ安定的な運用を実現できている点で、社内はもちろん顧客の満足度も高まりつつある。

今後の展望

「Zendeskは機能が豊富ですし、まだまだ十分に使いこなせていないと感じています。インサイトの終了に伴いZendesk Exploreへの移行を進めると共に、ナレッジの共有と活用をさらに強化していきたいと考えています」と阿部氏。Zendesk Guideで構築したFAQページの改善もその一環である。「Zendeskのレポーティング機能とGoogle Analyticsを併用しながら、FAQページのアクセス数や流入経路、参照の仕方、離脱の状況などを詳細に分析して改善を重ね、問い合わせ件数の削減につなげていきたいと考えています」とNTTデータ イントラマート テクノロジー・サポート・グループ サポートチームの小林 友希江氏は語る。

また、黒田氏は、「現在はサポート領域で使用していますが、将来的には顧客コミュニケーション管理という観点で社内システムとの連携を強化し、ZendeskをハブとしたCRMとしての活用を加速させたい」とビジョンを描く。Zendeskでどこまで可能性が広がるのか。サポート部門の挑戦は社内からも注目を集めている。