誰もが自律的に使えるツールで顧客理解を深め より良い体験につながるアクションに変換

言葉を解析するAIを用いてビジネスに活用できるSaaSプロダクトを提供するストックマーク株式会社は、スタートアップに欠かせないスピード感を重視し、現場による自律的な運用が可能なZendeskを採用。問い合わせが発生しないプロダクトになることを究極の目標とし、顧客の声を拾い上げながら、先回りして解決できる仕組みづくりに力を注いでいる。

ストックマーク株式会社

「問い合わせをしなくても済むプロダクトになるために、Zendeskを社内にある情報やコミュニケーションのハブとして有効に機能させ、蓄積されたナレッジを活用してお客様の悩みを先回りして解決できる仕組みを作っていきたいと考えています。」

米盛 修平氏

Chief Enabler
- ストックマーク株式会社

導入製品

Zendeskソリューション導入の背景と課題

人類がAIと共生できるか問われる時代に、ストックマーク株式会社(以下、ストックマーク)は、自然言語処理に特化したAIスタートアップとして2016年に設立。AIを搭載したSaaSプロダクトを通して企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)をドライブしている。ビジネスに直結するニュースをAIが届ける「Anews」、市場動向や競合の動きをAIが可視化する「Astrategy」、トップセールスのナレッジをAIがレコメンドする「Asales」の3つのプロダクトで構成される「A Series」は、単に既存業務のコストカットや効率化を目指したクラウドサービスではない。これまで分析が困難だったテキストデータをAIが構造化し価値あるデータに変換。社内外のテキストデータを活用して、個やチームが自律的に事業を推進できる組織を実現するとともに、本質的な「新価値創造」と売上の拡大に貢献している。

そんなストックマーク自身が力を注ぐのも、一人ひとりが自律的な意思決定を行える組織への変革だ。約一年にわたりサポート業務に使用してきたツールを手放した理由もここにある。「カスタマーサポートもプロダクトの一つ。お客様の体験をより良くしていく重要な存在です。もともと我々のプロダクトの性質上、顧客エンゲージメントを深く理解することが難しく、簡単に言うとKPI化しにくいプロダクトなのですが、だからこそお客様の求めていることをしっかりと把握し、素早くアクションしていきたいと考えています」と語るストックマーク株式会社 Chief Enabler 米盛 修平氏は、既存ツールで認識していた課題をこう指摘する。

「一年経ってもメンバーがツールを使いこなせていませんでした。ツールの使い方をヘルプセンターに問い合わせても、海外スタッフとのやりとりはレスポンスが遅いうえに言語の壁があり思うようにルールを使いこなせず、結果的に当社のお客様をお待たせしてしまうこともありました。また、カスタマイズ機能はあっても使いにくく、使い勝手を良くしたいのに実現できない歯がゆさがあり、なかなか現場による自律的な運用を促せずにいたのです。スタートアップは人材育成の観点からジョブローテーションが欠かせません。ツールを使える人が特定の業務に固定されてしまうと、組織としての成長性が見込めなくなります。」

Zendeskが選ばれた理由

既存ツールの反省点から最優先したのは、「誰でも使えて、誰でも運用できる」こと。今後A Seriesの利用者が増えていくことを想定すると、人に依存することなく誰もが使えるプラットフォームがますます重要になるのは間違いない。米盛氏は前職でZendeskを利用していた経験から、「おそらく我々が必要とする要件を満たしてくれるだろうとの期待感が高く、ほとんど迷いはなかったですね。カスタマーサポートに必要な機能はすべて揃っていて、専任のシステム担当者がいなくても現場に運用を任せられるのがZendeskの大きな強みだと感じていました。自分たちで考え自分たちで作れるスピード感がないと、組織はスケールできません」と強調する。

とはいえ、比較検討しなかったわけではない。ツアー機能を有するツールとの間で揺らぐ場面もあったが、最終的には、必要な情報へと顧客を導くことより、むしろストレスを抱える顧客の声をきちんと拾い上げることを優先すべきだという考えに至ったという。「ツアー機能に頼りすぎると、結果的にプロダクトの成長を妨げることになりかねません。そもそもツアー機能で顧客を導くことが本来の目的ではないと考えると、ツアー機能にこだわることが得策ではないという判断になりました」と米盛氏は説明する。

(写真左から)<br />ストックマーク株式会社 Chief Enabler 米盛 修平氏<br />ストックマーク株式会社 Customer Support 佐々木 朋子氏

(写真左から)
ストックマーク株式会社 Chief Enabler 米盛 修平氏
ストックマーク株式会社 Customer Support 佐々木 朋子氏

Zendesk導入の効果

ストックマークが提供するプロダクトは、お客様の嗜好データをどうやって学習させるかに重要なポイントがある。必然的に、問い合わせ内容もそのための設定に関連するものが多い。しかも、顧客の背景情報が多岐にわたるだけでなく、課題感もまちまち。10分で解決する問題もあれば、カスタマーサクセスチームやエンジニアチームと連携しながら時間をかけて解決していく問題までさまざまだ。だからこそ、どのような属性の顧客がどんな課題に直面しやすいのか、その傾向をしっかりと見極めていきたいという思いがある。

「我々もまだ過渡期にあります。どのようなニーズにどのような配信が最適かを調査している段階です」と米盛氏。Zendesk上にある顧客からの問い合わせ情報と、Salesforce上にあるCRM情報、プロダクトの情報を組み合わせて属性に合わせた配信パターンを作成し、ゆくゆくは先回りしてレコメンドできるようなプリセットを用意していきたい考えだ。今はそのためのナレッジを蓄積している段階にある。Zendeskはツール間をまたいであらゆる情報を連携させるため、さらには社内のコミュニケーションをシームレスにつなぐためのハブとしての重要な役割を果たすことになる。これにより、顧客が悩んでいることをいち早く理解した上で適切な一次対応につなげていくのはもちろんのこと、顧客とのやりとりから得た情報を社内に還元していくための仕組みとしても期待されている。

もう一つ、実感値として評価されている効果の一つに、セルフサービスの提供がある。ストックマーク株式会社 Customer Support 佐々木 朋子氏は、「Zendesk Guideによりプロダクトからヘルプページへの導線ができたことで、チケット数が顕著に減っています。チャットで問い合わせするとなるとお客様も時間と労力を要します。ヘルプページを見てお客様ご自身で問題を解決できるようになったことは大きいですね」と語る。既存ツールでは、1日5~6件、多い日は15件にもおよぶ問い合わせが、現在は3日に1件程度に抑えられている。

Webサイトの任意のページに「サポート」ボタンを設置可能。<br />クリックするとヘルプページ内の検索またはWebチャットを開始できる。

Webサイトの任意のページに「サポート」ボタンを設置可能。
クリックするとヘルプページ内の検索またはWebチャットを開始できる。

「お客様は問い合わせをしている時点ですでにストレスを感じているわけで、待たされることでストレスがさらに増幅します。ですから、問い合わせをしなくても済む状況を作れるのは非常に大きなメリットだと感じています。究極の目標は、問い合わせをしなくても済むプロダクトになることですね」と米盛氏も評価する。

WebサイトにWeb Widgetを設置。サイト上に表示される「サポート」ボタンをクリックすると、チャットが開いた時点で、<br />よく検索される項目が自動的に表示される。

WebサイトにWeb Widgetを設置。サイト上に表示される「サポート」ボタンをクリックすると、チャットが開いた時点で、
よく検索される項目が自動的に表示される。

今後の展望

待つストレスが発生しない環境を実現していくために、引き続きヘルプページの拡張に取り組んでいきたいとして、「ヘルプページのリッチ化を目指すと同時に、ヘルプページへの導線を強化するためのSEO対策にも力を入れていく予定です」と佐々木氏。Zendeskでは、顧客がどのように利用しているのか、どの程度利用しているのかといったことが数値として可視化されるため、ただ闇雲にリッチ化を図るのではなく、顧客のニーズに効果的に応えていくことができる。

検索キーワードやユニークユーザー数など、ヘルプページの閲覧状況を分析し、ヘルプページの改善に役立てている。

検索キーワードやユニークユーザー数など、ヘルプページの閲覧状況を分析し、ヘルプページの改善に役立てている。

また、社内のエコシステムを再設計中だという米盛氏は、「ツールが増えるとデータが増えるし、データが増えれば作業が増えます。よって、ツールやデータを増やさないためにもZendeskでできることはZendeskに集約し、最大限使い尽くしたいと考えています。エンジニアチームとの迅速な連携や、問題の重要度や緊急度を他のチームと定量的に共有する仕組みなど、Zendeskで実現できることは積極的に取り組んでいきたいですね。お客様に提供できる価値にZendeskがどこまで貢献できるのかは、我々にとっても未知数です」と意欲を示している。

必ずしも人的リソースを増やすことが正解ではないとして、顧客基盤が拡大しても対応し続けられる体制を目指し、長期的な視点から今できることを着々と進める同社。Zendeskによる数々の取り組みは、ストックマークのプロダクトの進化、ひいてはビジネスの発展において重要な鍵を握ることになりそうだ。