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カスタマーサクセスで顧客エンゲージメントを強化 顧客の声を適切なアクションにつなげる仕組み

エンタープライズ企業向けSaaS認証基盤を提供するHENNGE株式会社では、良好な顧客関係を維持し、低解約率を維持するための取り組みが部門間をまたいでプロセス化されており、カスタマーサクセスの考え方が有効に機能している。顧客による自立的かつ継続的なサービスの活用を促す上でサポート対応に大きく貢献しているのがZendeskである。

HENNGE株式会社
「Zendeskをメインで使っているのはサポートチームですが、カスタマーサクセス部門全体でチケット情報を共有しつつ、営業部門や開発部門などとも連携し、それぞれが必要なアクションにつなげていくという流れができています。」

有浦 政美氏

Success Guide Section Manager
- HENNGE株式会社

Zendeskソリューション導入の背景と課題

変化する時代に自らを変革しながら世の中を変えて行く企業、HENNGE株式会社。1996年に創業。時代の変化に合わせて事業領域を変化させてきた同社だが、「テクノロジーの解放で世の中を変えていく。」というビジョンにブレはない。社名の「HENNGE(へんげ)」にも象徴されるように、あらゆる変化(HENNKA)に挑む(CHALLENGE)人々のために、進化し続けるテクノロジーの橋渡し役を担い、さまざまな価値を提供し続けている。

主力サービスであるSaaS認証基盤「HENNGE One」は、2011年のリリースから10年近く経過した今もなお、契約ユーザー数が増え続けており、その数は190万ユーザー(※2020年6月30日時点)以上。社会基盤に甚大な被害を及ぼした東日本大震災を機にクラウドへのシフトが加速したことも追い風となり、順調にユーザー数を伸ばしてきた。さらに特筆すべきは、約0.16%(※2020年6月30日時点)という圧倒的な解約率の低さである。
※HENNGE株式会社2020年9月期第3四半期決算説明資料より(https://hennge.com/jp/ir/library/)

SaaSの導入はゴールではなくスタート。「売ったら終わり」ではなく、導入後の顧客関係が重要な鍵を握る。解約率の低さは、より良い顧客関係を維持するための仕組みが機能してこその成果であり、ここに貢献するのがカスタマーサクセス部門だ。同部門には各フェーズを担当する「導入チーム」「サポートチーム」「利用促進チーム」があり、この3つが有機的に連携することで顧客の課題解決を支援している。このように“より長く利用していただくための仕組み”としてカスタマーサクセスを体系化する動きになったのは、堅調に増え続けるユーザー数に対し、属人的な顧客対応に限界を感じ始めた2016年頃のこと。HENNGE株式会社 Customer Success Divisionで副部長を務める渋江 良彦氏は、カスタマーサクセス部門発足の経緯をこう説明する。
「当時はカスタマーサクセスという概念は今よりも一般的では無かったですし、社内でも何それ?という反応が多くありました。しかし、ご契約を頂いているお客様に対して、懸命でありながらも属人的な対応であることに対し、今後の対応スケールの限界を感じていました。」

Zendeskが選ばれた理由

同社は、カスタマーサクセス部門が発足する以前からZendesk Guideでヘルプセンターを構築していたが、問い合わせ対応はすべてメールベースで行っていた。HENNGE株式会社 Customer Success Divisionのサポートチームでマネージャーを務める有浦 政美氏は、「Gmailのラベル機能を使ってお客様に返信すべきメールを分類したり、担当者をアサインしたり、非常にアナログな対応でした。さらに、ラベルを付与した時間と外した時間から解決時間を判断するなど、問い合わせ対応の集計にもかなりの手間と時間を要しており、上層部に正確なレポートを提出できない状況でした」と振り返る。

ユーザー数が増え、サポートメンバーも増えていくと、ますます業務効率化の必要性を感じるようになった。対応履歴は複雑化する一方であり、ミスも発生するようになっていた。「状況を打破すべく、顧客管理ツールを導入し問い合わせ管理にチャレンジしたものの使い勝手が悪く、却って対応に時間が掛かるような結果に。そのため、Gmailでの運用に戻したのですが、やはりメールでは拡張性がなく課題解決にはつながりませんでした」と有浦氏。そこでカスタマーサポートソフトウェアの導入を検討。いくつかの候補の中から、最も直感的に使えるZendesk Supportを選んだ。

Zendesk導入の効果

Zendesk Supportをメインで利用しているのはサポートチームだが、その恩恵はチーム内にとどまらない。HENNGE Oneの同部門にとってのカスタマーサクセスの定義は、「利用促進」「導入効果」「自立」「ロイヤルティ」の4つ。この思考のもと、カスタマーサクセス部門だけでなく営業部門や開発部門とも連携しながら、それぞれが必要なアクションにつなげていく流れが見事にプロセス化されている。

たとえば、ZendeskとSalesforceを同期させることで営業担当がSalesforce上から問い合わせ内容を確認できるほか、サポート担当が特定の顧客について解約気配が高いと判断した場合は、チケットにフラグを立てるとSlackで営業/利用促進担当に通知される。サポート担当も解約阻止に向けてベストを尽くすが、それでも難しい場合は、通知を受けた営業担当者が利用促進チームと連携して対応に当たるという。

営業などに解約の可能性を共有。Zendesk側でトリガを設定し、Slackで営業に共有

営業などに解約の可能性を共有。Zendesk側でトリガを設定し、Slackで営業に共有

一方、開発部門が必要としているのは機能要望である。そこで、機能要望が含まれるチケットにフラグを立てておき、これらをサポートチームの要望担当がサマリーして同社内製のSaaSに入力することになっている。このシステムは全社員がアクセスできる環境にあり、どのような機能要望がどの程度上がっているかが一目瞭然。既存営業担当が顧客から受け取った機能要望のほか、導入時のエピソードやサービスの活用状況なども閲覧できる。それぞれの機能要望に対して社員が付けた「いいね!」の数などが、優先順位の重要な判断材料になっている。こうして実際に顧客の声が反映されたケースは数え切れない。さらに驚くのが、反映して終わりではない点だ。要望を上げた顧客には利用促進チームが報告のメールを送付し、しっかりフィードバックしている。

要望リクエストがあった場合には、検索や分析を容易にするために、問合せカテゴリーでタグをつける

要望リクエストがあった場合には、検索や分析を容易にするために、問合せカテゴリーでタグをつける

こうした改善のサイクルはヘルプセンターのメンテナンスにおいてもしっかり確立されている。顧客対応時に、修正が必要な記事を見つけたときや、顧客が自己解決できる内容にも関わらず、記事を検索できず問い合わせに至っている場合には、チケットに記事更新タスクのタグをつけ、Slackに通知されるという流れだ。このようにしてメンテナンス対象の記事がタスクとして共有され、メンバーが記事の修正やキーワードの見直しを行う。

この他、Zendeskを使って顧客満足度を定期的に調査し、カスタマーエクスペリエンスの改善、顧客対応の標準化を行っている。
「対応を不満に感じたお客様は、どんな回答なら満足に転じたのか、満足してくださったお客様はどこを評価されたのかをチーム全員で議論します。まったく同じ対応をしても評価が分かれることもあり、どんな回答がベストだったのかを一件ずつお客様のスキル・性格・背景も論点に加えながら深掘りしていくわけです。毎回白熱した議論が展開され、アウトプットは顧客対応に反映しています。」(有浦氏)

今後の展望

問い合わせ対応をゼロにするのがサポートの理想論と言われるが、同社のスタンスは少し違う。「お客様が自らコンタクトを取ってくださるなんて絶好のチャンスです。これを最大限活用しない手はありません。まだまだ発展途上ではありますが、お客様の声を会社全体にシームレスに届けていきたいという思いをますます強くしています」と語る有浦氏に、渋江氏もこう続ける。
「正しいクレーム処理で顧客満足度向上につなげていく『グッドマンの法則』のように、問い合わせが多いほうが顧客ロイヤルティは高いと言う数値上の結果も出ています。チャネルを拡大しつつ、気軽にお客様が問い合わせできる環境を整えていきたいですね。その際は、Zendeskを基盤として、顧客課題をお客様が自ら解決できるようにする仕組み、そして、人間にしかできない対応の追求、この両面を最大化し、HENNGEにしか出来ないカスタマーエクスペリエンスを提供していきたいと考えています。」

HENNGEにとって、変化はチャンスであり、最善の課題解決。Zendeskをはじめとするテクノロジーで自らを変革し、その変化をチカラに変えていく姿勢に、高い顧客満足度を維持できる理由が見えた。