スタートアップ企業向け
カスタマーサービスガイド

Zendesk

あなたは自宅やカフェなど場所を問わず、それこそ乗り物で移動中でさえも、コーディングに多くの時間を費やしてきました。

そして今まさに、細心の注意を払う時がやってきました。初めての顧客があなたの製品を試してみようとしています。カスタマーサービスのチームが必要だということはわかっているものの、編成した経験などありません。さて、では何から手をつけたらいいのでしょうか?

Venmo
LendingClub
Peloton

At Zendesk, we've helped thousands of startups like Venmo, LendingClub, and Peloton build relationships with their earliest customers and scale their customer service as they grow.

このガイドでは、どのようにゼロから世界トップクラスのカスタマーサービスに育て上げるか、その秘訣をご紹介します。顧客との信頼を築き、製品にふさわしいチャンスを作り出すには欠かせない情報です。

01ユーザーフィードバックが重要な理由

スタートアップ企業の創業者ならば、製品への情熱は当然わいてくると思いますが、カスタマーサービスへはどうでしょうか?あまりわいてこないのが正直なところではないでしょうか。製品機能の細部にこだわることは確かに楽ですが、スタートアップ企業の創業者は、初日から顧客との関係構築を優先する必要があります。

そうはいっても、顧客との関係を築くことはそう簡単なことではありません。創業者の方にはなかなか難しい要素もあるかもしれませんが、これには勤勉さ、忍耐力、そしてプロセスを要します。そしてそのすべての中心にあるのは、顧客の声に耳を傾けることです。「製品があなたを怒鳴ることはありません。あなたの製品はたとえれば犬のようなもので、大抵の場合、従順で不平を言うことなんてまずありません。一方で、顧客はあなたと恋人のような関係で、親密な関係になることが必ずしも簡単ではないかもしれない現実の人間関係なのですから、もちろん期待や意見を持っています」と、Zendesk CEOのMikkel Svaneは語ります。「顧客には、隠し立てをせず正直に、それでいて間違いを認める勇気を持つ必要があります」

では、なぜそれがスタートアップ企業の将来に不可欠なのでしょうか?時には厄介で苦痛を伴うともいえるこの会話のやりとりが、本当に顧客のニーズに応える製品を作り上げるのに非常に重要な意見を引き出すからです。

カスタムオブジェクトをはじめて利用する

まずは、最小限のリソースとプロセスしかないため、総力を挙げて取り組みましょう。

お客様一人一人と対話する

会社の代表として、創業者は初期の顧客に個人レベルで対応できなければなりません。顧客にメールアドレスを渡し、タイムリーに返信しましょう。規模に関わらず、このパターンをチームの前でモデル化しましょう。

何をしたら顧客を怒らせてしまうのか、そして喜ばせることができるかを知りましょう。

ソーシャルメディアチャネルに耳を傾け、あらゆる苦情を調査しましょう。苦情は大事なことを教えてくれる顧客からの贈り物です。内容を詳しく掘り下れば、有益なインサイトを発見できます。聞きたくない話だから、または難しいからといって、無視してはなりません。そうした苦情の原因にきちんと注意を払うことが重要です。

ユーザーの声を拡大する

顧客と話をするだけで終わらせず、聞き取った内容を最重要課題だとして取り上げましょう。たとえば、GeckoboardKlipfolioなどのソフトウェアを使用することで、リアルタイムで顧客からのフィードバック(他の重要なビジネス測定基準と同様に)を表示する社内ダッシュボードを作成できます。すべての従業員に顧客の問題を一斉送信する専用チャネルをSlackに構築することを検討してください。これは、プロダクトマネージャー、エンジニア、およびその他の従業員をサポートプロセスに直接参加させるのにうってつけの方法です。

顧客のフィードバックに基づく基本製品の反復

製品ロードマップを作成する時(また、その後に製品要件をまとめている時)は、必ずユーザーからのフィードバックを取り入れてください。顧客がどのようにその製品を使用しているかを分析し、アジャイル開発を利用することで、開発時間を無駄に費やすことなく、迅速に方向転換できます。

Pelotonのアプローチ

From its crowdfunding campaign to becoming a $1 billion company, Peloton focused on creating a customer-obsessed culture, and one hallmark of that effort is its use of Trello and Zendesk to turn customer feedback into actionable insights. From customer support tickets to feedback generated during its "Feature Fridays" on Facebook (when the company encourages users to post new feature ideas), Peloton automatically funnels suggestions and complaints to its Trello board. That allows the company to get an accurate view of what customers want and generate actionable reports that product managers and designers can take into planning meetings.

Trello
+
Zendesk

たとえば、最近のTrello-Zendeskの統合により、さらに家族向けのトレーニングを希望するライダーのために、成人向けの言語フィルタを提供する必要性が浮き彫りになりました。そのインサイトにより、Pelotonは新しい風を取り入れ、ユーザーとのつながりを深め、幅広いターゲット層に働きかけるチャンスを得ることとなりました。

しかしPelotonはただ機能リクエストに応えるのではなく、それは顧客満足度スコア (CSAT)、 ネットプロモータースコア (NPS)、そして初回返信時間 (FRT)率に対して意欲的な目標を設定するという様々な方法を駆使して成功を測定します。(ここでは、このガイドの後半で追跡する必要がある測定基準について詳しく説明します)

「スタートアップ企業は、早い段階から中核となる企業コンセプトとしてサポートのことを考える必要があるります。私がよく目にする、スタートアップ企業がおかしがちな間違いの例に、後からサポートを考え始めるということが挙げられます。サポートチームには最初に採用された社員の1人が絶対必要です」

Jason Katz氏

Peloton社メンバーサポート シニアマネージャー

顧客満足度のフィードバックに基づく4つのアクション

  • 01

    否定的な評価をするユーザーへのフォローアップ

    これは、顧客との信頼関係を築き、ビジネスを維持するための早道です。

  • 02

    コメントを含む不適切な評価の分析

    つい好意的なレビューに時間を費やしてしまいがちですが、あなたの製品やサービスに不満を抱いている顧客からのレビューの方がより実用的な情報を集めることができるでしょう。

  • 03

    顧客満足度の結果についての週例会議

    否定的なコメントを分析したり、根本的な原因の解決方法をブレインストーミングしたりする時間をチームに確保しましょう。

  • 04

    原因別に否定的なコメントを分類し、その傾向を調査

    この作業をすることで、解決に時間のかかるチケット、低質な製品ドキュメント、バグあるいは予期しない製品の動作のような問題点の特定に役立ちます。

02ツールの使い方

スタートアップ企業が顧客との関係を構築し始めた今、サポートプロセスを一元管理できるツールが必要です。

電子メールの受信トレイを共有することは、最初、選択肢の1つになり得るかもしれませんが、すぐに深刻なロジスティクスの問題が浮上し、事実上、測定基準を追跡する機能はなくなるでしょう。

ステップ1

すべてのチャネルからのフィードバックをシングルビューで表示

ヘルプデスクソフトウェアを使用する上で最も重要な要素は、すべてのチャネルをシングルビューに接続できることではないでしょうか。チャネルとは、顧客があなたに連絡をする方法です。メール、電話、ソーシャルメディア、チャットなどが例に挙げられます。顧客がどのチャネルを選んだとしても、顧客とのやりとりを同じ場所に表示させたいとお考えになると思います(これは、顧客とのやりとりが1つのチャネルで開始し、メールから電話など、別のチャネルに移動するときにさらに重要です)。

最初のステップは、contact@support@メールアドレス、ソーシャルメディアチャネルをつなげることです。

LimeBike

たとえば、2017年6月にスタートアップ企業のLimeBikeが電動自転車とスクーターのサービスを開始したとき、同社は当初から、ビジネスが予想される需要を満たせるように、チャネルをシングルビューに統合する必要があることに気が付いていました。「事業の急速な拡大には、すべてのコミュニケーションチャネルを上手くつなげる必要があります」と、LimeBike社の国内外カスタマーサービスマネージャーのLakeysha Hayes氏はいいます。「私たちは、メールと電話を1か所にまとめ、統計を見て、顧客からのフィードバックを得て、それをチームやサービスを提供する各都市に共有できるようにしたいと考えていました」

この時点で、ライブサポートをするためのリソースがあるかどうかを考慮しなければなりません。もしリソースがある場合、明確な運用時間を設定し、対応内容に相違がないようワークフローを設定する必要があります。よくわからない場合は、まずは電話番号の設定から始めることをお勧めします。ものの数分で直接ボイスメールに設定でき、自動的にチケットを作成し、そしてそれをホームページまたは注文画面に配置できるので、とても簡単です。クエリが実行されるたびに、その顧客に折り返し電話をし、その販売を確定することができます。これで事業が存在することの信ぴょう性が増します。また、完全に始動あるいは十分に割り当てるためのリソースを探す前のライブチャネルの需要評価に最適です。ほとんどの顧客は本当に必要な場合を除き電話を好まない性質があることから、一般的な関連コストをかけずに、既存企業のプロとしての存在感を簡単に醸し出すことができます。

ステップ2

スケールの準備。よくある質問とナレッジマネジメント

初日から聞かれるであろう、製品に関する一般的な質問に注意して、顧客にすばやく送信できる適切な回答を作成する必要があります (マクロ はエージェントが時間を節約するのに便利な方法です。そして、自動化トリガも効率アップするのに使える方法です。ガイドの後半で詳しく説明します)。最低限、わかりやすく整理して継続的に製品のFAQを更新するワークフローが必要です。これが、顧客のセルフサービスへの入り口となります。  

セルフサービスはチケット数削減において重要な役割を果たし、スタートアップ企業のカスタマーサービスチーム(この時点では会社の全員が含まれる)が受け取るサポートチケットの数を減らす重要な要素となります。ヘルプデスクソフトウェアによってユーザーのフィードバックが顧客の役に立つだけでなく、製品動作に関する社内のナレッジ蓄積になる記事へと変わります。

事実確認と定期的な更新を含む記事作成のための明確なワークフローを必ず作成してください(新製品のリリースやバグ修正の後など)。ナレッジマネジメントプロセスを容易にするツールを利用しましょう。これには、サイトにWeb Widgetを配置するなどのことが挙げられます。Web Widgetを組み込むことにより(スタートアップのブランドを反映するようにカスタマイズできます)、顧客には、コンタクトフォームやライブチャットを通じて、わかりやすく簡単な方法で連絡をすることができます。また、エージェントが関与する前に問題を解決できるかもしれないターゲットを絞ったセルフサービスコンテンツも提供します。

ステップ3

エージェント同士の連携を向上

ワークフローを見直して、改善するチャンスが何度かあったことを願いますが、ここではカスタマーサービスチームから他部署へのインサイトを得ることに集中してください。

まずはSlackの統合から開始されることをお勧めします。これにより、サポートチケットを可視化でき、サポートチームと製品チーム間のコミュニケーションが向上します。一方、カスタマーサービスは、 Trelloのようなツールを使用して顧客から寄せられたフィードバックを製品チームに知らせる必要があります。タスクを整理し、生産性を向上させられる便利なオプションです。

開発の懸案事項(起きると想定される問題)を製品エンジニアにエスカレーションする必要がある場合は、JiraGithubを統合するとエージェントがチケットを懸案事項やプロジェクトに直接リンクできるようになります。また、拡大していく販売チーム向けに、Zendesk Sellなどの様々な営業支援自動化ツールもご用意しています。Zendesk Sellは、販売チームの生産性、プロセス、パイプライン可視性の向上を支援するソフトウェアで、Zendesk Supportと最適に統合できるよう設計されています。Zendesk Sellのトライアルはこちらから開始していただけます。

スタートアップビジネスが、New Zealandに本社を置くシューズメーカーのAllbirdsShopifyを利用するように、Eコマースプラットフォームを使用する場合はSupportとの統合をお勧めします。「寄せられる最高のフィードバックは、製品のことをよく理解している内容です」と、Allbirds社カスタマーサービスマネージャーのAshley Fattig氏はいいます。「昨年は靴に大幅な変更と改良を加えましましたが、そのフィードバックのほとんどすべてはZendeskを通じて来ています」マーケティングチームが四半期ごとの調査を送信し、Fattig氏はチケットから製品関連のフィードバックを収集して定期的に製品チームとそれを共有します。

次のレベルへ

今のところ順調です。セルフサービスオプションは改善を続けており、チームはすべて共通の環境でつながっています。ですが、これで終わりではありません。顧客データはプラットフォームや、マーケティングから経理までのチームに伝播されることから、顧客のシングルビューの作成が必要です。たとえば、カスタマーサービスチームは顧客のアカウント支払いが最新の情報であるかどうかを把握する必要があり、そしてセールスチームは彼らがアップセルしようとしているクライアントが製品停止について最近連絡したかどうか何としても確かめることができなくてはなりません。

カスタマージャーニーをより深く理解するためにMixpanelや他の顧客分析ツールを接続したいと思うでしょう。顧客は問い合わせ前にセルフサービスのコンテンツを検索したのでしょうか、そしてどのくらいの時間をそのページで費やしたのでしょうか。顧客は最近、非アクティブユーザーになった後に製品の新しいバージョンにアップグレードしたのでしょうか。この質問の答えを知りたいかと思います。

顧客データ以外にも、顧客が製品をどのように使用しているかについてのインサイトを得たいと思うでしょう。そのようなときには、AmplitudeSegmentなどの高度な分析ツールを使用すると、製品を改良してユーザーの定着率を向上させるのに役立つデータを収集できます。最後に、NicereplyDelightedといったソフトウェアの使用を検討してください。より多くのフィードバックを収集し、貴重な資産である顧客に対するサポートプロセスをさらに容易にすることができます。

03測定基準を割り当てるその理由と重要な点とは

スタートアップの顧客サービス機能の統一されたビューを有効にするサポートツールを設定し、堅牢なセルフサービスコンテンツを提供するための第一歩を踏み出しましょう。次は、測定基準について詳しく説明します。

トレーニングプロセスの一環としてパフォーマンス指標を測定する選手と同じように、スタートアップ企業はそれがうまくいくことを理解し、改善が必要なものは何かを把握しなければなりません。カスタマーサービスツールはビジネスに特有の測定基準を作成するための柔軟性を提供するべきですが、ほとんどの企業には追跡を必要とする共通の測定値があります。

以下では、チームのパフォーマンスに関する情報を提供する社内業務と、何が顧客の不満をもたらすかをよりよく理解することを可能にする顧客インサイトという2つのカテゴリに分類された共通の測定基準について説明します。

社内業務の測定基準

新しいチケット件数

この測定基準には十分に気を付けてください。チケットの急上昇は、何かが間違っているか、または新しいカスタマーサービスチャネル(またはマーケティングキャンペーン)への最近の投資がうまくいっていることを示す良い兆候であることを示している可能性があります。関連する測定基準のチケット分布は、急激に増えたチケットの追跡に役立ちます。パターンを見つけて原因を調査してください。

チャネルごとのチケット

登録されたチケット数を社内で把握することはスタッフの配置計画を立てる上では有用ですが、チャネル別にチケットを監視することで顧客がメール、電話、チャット、またはセルフサービスを使用しているかどうかに関係なく、顧客が会社とのコミュニケーションに希望する方法に関する有益なインサイトを得ることができます。そのナレッジは、雇用ペースとトレーニングを計画する上で重要な役割を果たします。徐々に、トラフィックを好みのチャネルへ意図的に誘導することもできます(たとえば、メールで受信したときにチケットフォームにリンクを追加したり、今後の課題に備えて電話に対してメールで対応したりするなど)。

解決済みチケット

この測定基準は新しいチケット件数と合わせる必要があります。合わせないでおくと、すぐに未解決のチケットが増えてしまい、チームは対応に追われることになるでしょう。ですが、スタートアップ企業は増え続ける未解決のチケットを自動化やセルフサービスオプションに変えることによって管理できます。一方、予想可能な未解決のチケットのような、関連する測定基準は過去の結果に基づいてサービス時間の負荷を計画するのに役立ちます。顧客は気付くはずです。

返信時間と待機時間

顧客はチケットを登録したら、問題に対するタイムリーな応答を期待します。この測定基準に注意をすると共に、問題解決にどれだけ時間がかかっているかにも目を光らせておきましょう。初回返信時間はチケットが最初に作成されてからエージェントが応答するまでの時間を測定します。チャネルによりますが、メールの場合1日未満、ソーシャルメディアの場合は数時間、電話の場合は数分、チャットやメッセージではわずか数秒が許容時間です。各種チャネルでの返信時間をテストして、ビジネスニーズと顧客満足度との適切なバランスを見つけてみてください。

全体の解決までにかかる時間

チケットが最初に作成されてからそれが終了するまでにどのくらいの時間がかかりますか?エージェントがより効率的に作業をするために、この質問でさらなるトレーニングあるいはマクロのようなツールが必要かどうかがわかります。解決に時間がかかる場合、将来の製品リリースで恒久対策を取るべき、解消しない複雑な問題の兆候を見つけられるかもしれません。

セルフサービスKPI

顧客は自分で疑問への答えを見つけることをますます好むようになってきています。そのため、ヘルプセンターがこのニーズにどのように対応しているかを追跡することをお勧めします。単独訪問者数やページ閲覧数、アクセス数といった一般的なサイトのWebサイトの測定基準を確認しヘルプセンターを使用している顧客の人数を把握して、特定のコンテンツへの単独訪問者数の総数を同じトピックでチケットをオープンした人数で割って、チケット数削減を測定しましょう。

最初にアクセスしたページを見た後にヘルプセンターから離れた一意の訪問者数を示す指標、直帰率にも注目しましょう。この指標からは、チャネルを切り替えた、または別の場所に答えを探しに行った顧客数を推測できます。また、ヘルプセンターの記事のコメントから作成されたチケット数も追跡しましょう。こうしたチケットが多い場合、コンテンツの修正が必要だと考えられます。

サービスレベルアグリーメント

スタートアップ企業がビジネスを拡大し、より多くの顧客を獲得していくにつれて、カスタマーサービスの基準値への適合状況を追跡する必要が生じてきます。サービスレベルアグリーメント(SLA) は、顧客が期待するサービスの一定水準を明確にするものです。規定された基準を満たせない場合、契約の更新や新たなビジネスの獲得が難しくなる可能性があります。カスタマーサービスソフトウェアを使えば、SLAに違反するおそれのあるチケットをエスカレートするトリガーや、ワークフローを設定できます。

測定すべき役立つ指標としては、他にも解決までの返信数、ワンタッチ解決率、トランザクションあたりのチケット数リピートトランザクションに対するチケット数などがあります(これらはほんの一例です)。ただし、こうした指標に注目することで正しい方向性を見極めることはできますが、何よりも重要なのはコンテキストです。競合他社と比べてどの程度の基準に達しているかを知る必要があります。

ベンチマークを見る

カスタマーインサイトの指標

顧客満足度スコア(CSAT)

企業が提供するカスタマーサービスを評価する簡単なアンケートにユーザーが回答した結果を示す指標です。つまり、企業のCSAT評価が90パーセントである場合、ユーザー10人中9人が合格点を与えていることを示します。CSATアンケートは、外観、使用する文言、頻度をカスタマイズできます。それを念頭にいろいろ試してみましょう。

CSATは、お客様の満足度に影響した様々な要因に左右されます。評価対象が製品の使用感であれ、チームの担当者から受けたサポートについてであれ、満足度が低下していくと顧客離れにつながるため、CSATの監視は重要です。CSATアンケートは、サポート対応が終了した直後に送信することをおすすめします。

ネットプロモータースコア (NPS)

製品やサービスを友人にもすすめる可能性を1~10段階で評価する、簡単なアンケートを受けたことがある方もいるでしょう。ポジティブな口コミは、ビジネスを成長させるための重要な手段になり得ます。そのため、NPSは非常に貴重なデータポイントといえます(その逆は壊滅的な結果を招くおそれがあります)。

アンケートを顧客に送信する際は、データに偏りが生じないよう一定の間隔(6か月に1回など)を設定しましょう。多数のメールを送り付けると回答者のアンケート疲れを招き、本来の目的を果たせなくなってしまいます(顧客ベース全体ではなく一部の顧客グループのみにNPSアンケートを実施して、四半期ごとに膨大な量のメールを送り付けてしまうことのないようにしましょう)。NPSアンケートでは、特定の対応への評価ではなくブランドに対するロイヤルティを測定します。また、フィードバックを求めた場合は、次のアンケートを送信する前にフィードバックに対応しましょう。

NPSの評価が低い場合は注意が必要です。ベータテストへの参加、プロダクトマネージャーと対面する機会、離脱の恐れがある顧客へのノベルティ進呈など、顧客を引き付けるインセンティブを用意すれば、スタートアップ企業の製品やサービスに対する見方を変えられるかもしれません。

離脱時アンケート

離脱時アンケートは、サービスの解約時やダウングレード時に顧客からのフィードバックを引き出すために行います。これにより、改善が必要な分野を割り出して離脱の増加を防ぐ機会を得ることができます。細心の注意を払って作成された離脱時アンケートは、離脱率に関わる主な要素(バグの問題があった、よりパーソナライズされたサポートを希望した、製品を使用しなくなったなど)を特定して、ビジネスを前進させるために何に注力すべきかを判断するうえで役立ちます。

04顧客から寄せられるフィードバックへの対処法

スタートアップ企業向けのカスタマーサービス指標を追跡して分析できるようになりました。今こそ、顧客からフィードバックを収集してビジネスをさらに一歩前進させましょう。

しかし、数々のデータの中からパターンを見つけ、さらにそこから明確で実用的なインサイトを得るにはどうすればよいでしょうか。

Wrike

「より多くのデータを使用しながら、プロダクトマネージャーと充実した対話ができるようになりました」

Stephanie Westbrook

Wrike社 ドキュメントおよびコミュニティマネージャー

すべてを把握できるようにする

最初の一歩は、チケットフォームの説明ボックスに構造化カスタムフィールドを組み合わせて、顧客が自分で簡単にフィードバックにタグ付け(製品別など)できるようにすることです。チケット対応を担当しているチームメンバーに、有用なフィールドのアイデアをブレインストーミングしてもらいましょう。彼らはいくつかのパターンを自然と認識しているからです。お客様の問題は変化するものなので、最前線で対応しているメンバーに参加してもらうことが重要です。

カスタムフィールドの設定は簡単です。フレキシブルに設定できるため、特定の情報を収集するために体系化することができます。顧客が困っている理由は、使いにくいユーザーインターフェイスなのか、遅延なのか、請求の問題なのか。カスタムフィールドを使えば、フィードバックをカテゴリ別に閲覧しやすく分類できるようになります。そのため、チケットを適切な専門知識や経験を持つ担当者に転送できます。また、顧客を適切なヘルプセンターに転送できれば、全体のチケット数を削減することもできます。たとえば、ドロップダウンメニューに「パスワードのリセット」という選択肢を設定しておき、それを選択すると顧客が問題を自己解決するために使用できる手順が自動的に表示されるようにすれば、チケットを発行する必要がなくなります。

フィードバックを共有する

顧客からのフィードバックが明確になってきたら、次に必要なのはそのデータを全社で共有するためのプロセスの開発です。起業して間もない頃であれば、これはあまり大きな問題にはならないでしょう。しかしビジネスが成長していくと、データがサイロ化して対応が難しくなる可能性があります。

サイロ化の解消は困難な場合もありますが、カスタマーサービスソフトウェアを使えば、チケットやレポートへの共有アクセスにより、部門間で透明性を確保できるようになります。社内の障壁を取り除く方法の1つとして欠かせないのが、毎日のスタンドアップミーティングです。様々なチームメンバーの間で顧客のフィードバックを検討すれば、対応の優先順位を付けやすくなります。

たとえば、バイクシェアのスタートアップ企業のLimeBikeでは、設立当初はスプレッドシートを使用して顧客からのフィードバックを追跡していましたが、ビジネスが軌道に乗ってきた時点でカスタマーサービスソリューションに投資し、チーム間で情報を共有しやすくしました。「メールと電話からの情報を1か所にまとめ、統計情報を確認できるようにし、顧客からフィードバックを得て、それらのデータをチームやサービス提供中の各都市で共有できるようにしたいと考えていました」と、LimeBikeの国内外カスタマーサービスマネージャーを務めるLakeysha Hayes氏は述べています。

ただし、チーム間でフィードバックを共有するのに役立つツールを用意しておくことは重要ですが、人間同士のやり取りに取って代わることのできるソフトウェアなど存在しません。情報の流れを改善するために、サポートチームと製品チーム(または財務、営業チームなど)の間の連絡係を任命することを検討してください。また、ソフトウェアエンジニアやプロダクトマネージャーがカスタマーサポートチケット担当のエージェントをフォローする、または一部のスタートアップ企業がしているように、新入社員にチケットを割り当てて、よくある製品の問題を把握させるという手法には、明確な利点があります。そんなことをしていてはコード作成のための貴重な時間が奪われると思われるかもしれません。しかし、こうした手法は製品チームが顧客のニーズを反映したより良いユースケースやロードマップを開発するうえで役立ちます。

フィードバックに対応する

企業が多大な労力を注いで実用的なインサイトを盛り込んだレポートを作成しても、その情報が破棄または無視されてしまうことがよくあります。このパターンに陥らないようにしましょう。スタートアップ企業がロイヤルティを獲得するうえで大切なのは、エージェントのトレーニング時間を増やすにせよ、顧客が髪を搔きむしりたくなるような気に障るバグを開発者に修正させるにせよ、製品のユーザーにとって重要な問題を解決することです。

これを確実に行うために必要なのは説明責任を果たすことです。スタートアップ企業のリーダーとして、このプロセスが企業文化の不可欠な要素となるようにしましょう。顧客からのフィードバックをフォローアップするためのプロセスを策定し、それを従業員のパフォーマンスに結び付ければ、顧客は満足してくれるはずです。

満足した顧客は、顧客エンゲージメント計画(顧客との長期的な対話と関係構築)のターゲットにもできます。当面の問題を解決するだけでなく、顧客との感情的なつながりを作ってそれを育んでいけば、何があろうと製品を使い続けてくれる顧客を得ることができます。これはカスタマーエクスペリエンス全体にいえることですが、従業員の賛同を得て実行してもらうことが特に重要です。

顧客エンゲージメントを促進する方法の1つは、顧客によるサービス評価が高いチケットをタグ付けし、傾向を監視したうえで、関与の多いユーザー(「支援者」)を調査グループやベータテストなどに取り込むエンゲージメント戦略を作ることです。こうした支持者は、口コミを盛り上げて新しい顧客を引き付けるという、極めて貴重な方法でアンバサダーの役割を果たしてくれます。

クラウドベースのプロジェクト管理ソフトウェアを提供するWrikeの例を見てみましょう。Wrikeでは、オンラインコミュニティを通してプロダクトマネージャーとユーザーを結び付けることで、顧客エンゲージメントとロイヤルティを促進し、製品ロードマップの優先順位付けを支援しています。顧客は、自動化やレポートに関する特定のスレッドに移動して、Wrikeへのフィードバックを提供できるようになっています。「より多くのデータを使用しながら、プロダクトマネージャーと充実した対話ができるようになりました」と、WrikeのドキュメントおよびコミュニティマネージャーのStephanie Westbrook氏は述べています。

顧客とのコミュニケーションを完結させる

ここまで、顧客からのフィードバックを積極的に収集し、それをチーム間で共有し、ユーザーが提供する情報に基づいて対応する方法を説明してきました。これを実行できればすばらしいことですが、これで終わりというわけではありません。次に必要なのは、顧客対応を完結させることです。どのように対応したか、これから何をするのか、何がうまくいかなかったのかを顧客に伝えましょう。自分の時間を割いて製品に関するフィードバックを提供した顧客は、企業側からの返答を期待するものです。フィードバックに返答する方法としておすすめなのが、オンラインコミュニティを開設することです。プロダクトマネージャーは、コミュニティ上で新機能の情報を共有したり、特定のリクエストへの対応が見送られた理由を説明したりできます。コミュニティを開設すると、フィードバックの発信源を増やし、スタートアップ企業の取り組みに関する議論に顧客も加わることができるようになります。これにより、サポートチームの負担を減らすこともできます。

Wrikeの場合、オンラインコミュニティはこの目的を果たすのに最適な場所でした。「顧客が要望したものを導入予定であることが顧客に伝えられるのがいいですね」と、Westbrook氏は語ります。「当社の取り組みに対して『この対応はすばらしいと思う』という書き込みをいただいているスレッドもあります」

05カスタマーサービス機能の構築

起業してすぐは、専門のカスタマーサービスチームを配備するだけの予算がないことがあります。最初は、顧客リサーチ、見込み顧客向けのデモの実施、さらに品質保証タスクへの対応など、いくつもの業務を同じスタッフでこなさなければならない場合もあります。

とはいえ、カスタマーサービスだけに注力するチームを編成する計画を立てるのに早すぎることはありません。この時期の意思決定が、製品の需要の高まりに応じて拡張できるチームを作る土台となります。

カスタマーサービスチーム(実際のところ、あらゆるチーム)をうまく機能させるために何が必要なのかを考えると、3つの基本的な要素に行き着きます。それは、人、プロセス、テクノロジーです。これら3つの分野で慎重な選択をしていけば、顧客のロイヤルティを得られる柔軟で復元性のある組織を築くことができます。

最大限の成果を出したいなら、最適な人材を採用する

まず大事なのは、人材確保のための投資を惜しまないことです。チームの基本的資源となる人材を配備する準備をしましょう。それはつまり、有力候補を引き付け、離職を最低限に抑えられるだけの給与を用意するということです。理想的なのは、共感力があり、確かな技術的スキルとコミュニケーションスキルを持ち、学んで成長する意欲を示している人材です。幅広いスキルを持つ万能プレーヤーで、サポート対応を顧客ロイヤルティ構築の好機に変えよう(さらには新しい製品を販売しよう)という意欲を持っている人材が最適でしょう。こうした新規採用者には、昇進への道筋と自己改善の機会を与えることが大切です。

チームリーダーやマネージャー、ディレクターといった役職には、対人能力が高く、プロジェクト管理に関する優れた知識を持つ人材が必要になります。また、大勢の従業員をまとめる力と、製品についてだけでなく、会社の長期的目標も深く理解できる能力が必要です。このうち大切なのは後半部分、つまり、製品、販売、マーケティングなど組織の他部門と緊密に連携して、高パフォーマンスなサポートチームを運営できる力は欠かせません。若い従業員を指導することは、会社の次世代のリーダーを育てることだと認識しているような人材をマネージャーとして選任しましょう。

面接でするべき11の質問

チームの就業形態を整備する

カスタマーサービスソフトウェアを使用すると、エージェントは自宅、外出先、従来のオフィスなど、どこからでも業務に携わることができます。こうした柔軟性があれば、優れた人材をより幅広いタレントプールから採用でき、しかも借りる必要のあるオフィススペースも小さくできます。

問題の複雑さと従業員のスキルに基づいて、サポートチームを階層別に編成することを検討しましょう。たとえば、ティア1のチームには簡単に解決できる問題(請求に関する問い合わせなど)を担当させ、経験がまだ浅いメンバーで構成するようにします。ティア2、ティア3と階層が上がるにしたがって、経験と知識が豊富な従業員が対応する必要のある複雑な問題を扱うようにチームを編成します。

また、マクロトリガー自動化によるワークフローの改善のほか、技術的問題の迅速なトラブルシューティングに注力する主任管理者を置くことも検討してください。

サポートチームをどのように編成するかを決める際は、それぞれの役割、報告体制(チームリーダー、マネージャー、ディレクター)、およびパフォーマンスの期待値を必ず定義しましょう。

技術面について

人材やプロセスにいくら投資しても、顧客にサービスを簡単かつ効率的に提供するための適切なツールがなければ業務は進みません。こうしたツールについて詳しくは、このガイドの第2章をご覧ください。

Answer Bot

中核となるヘルプデスクソフトウェアに加え、人間によるサポートに代わる支援ツールの導入も検討しましょう。ZendeskのAnswer Botのようなツールは、ヘルプセンター内にあるセルフサービス記事に顧客を誘導するのに最適です。機械学習により、ボットの性能は時間の経過とともに向上していきます。

Answer Botは、サポートチケット内のよくある問題(返品ポリシーやパスワードのリセットなどに関する問い合わせ)を認識して、関連性の高いGuideの記事をおすすめすることで顧客による問題の自己解決を促してくれます。そのため、エージェントは貴重な時間を節約して、より複雑な問題への対応や顧客との関係構築に注力できます。ボットで顧客の問題を解決できなかった場合、問い合わせは自動的に人間のエージェントに転送されます。

常に顧客を重視する

ここまでで、ユーザーからのフィードバック収集から専門のカスタマーサービスチームの編成まで、優れたカスタマーサービスを提供するための全段階を十分理解できたと思います。こうした取り組みに一貫して関わるもの、それは顧客です。常に顧客を意思決定の最優先事項にすれば、スタートアップ企業とそのすばらしい製品アイデアは成功に導かれるでしょう。

指標、ソフトウェアソリューション、カスタマーサービスのベストプラクティスに関するさらに詳しいヒントは、Zendeskのリソースでご覧いただけます。