エージェンティックAIは、話題が先行する段階を早くも抜け出し、カスタマーサービスと従業員サービス(社内からの問い合わせや依頼への対応)の実務を支える要になりつつあります。質問を待つ検索窓というより、手順の多い複雑な対応を24時間こなし、自ら判断して動く同僚に近い存在です。
顧客対応や社内の問い合わせ対応を統括する責任者にとって、この変化は見過ごせません。ZendeskのCXトレンドレポート2026年版によると、CXリーダーの66%が、「ボットやAIエージェント、AI CopilotなどのAIは、今や自社のワークフォースおよびチームの一部である」と回答しています。この記事では、エージェンティックAIと生成AI・AIエージェントとの違い、仕組みと特徴、メリット、活用例、導入の進め方を解説します。
目次
エージェンティックAIとは
エージェンティックAI(Agentic AI)とは、最小限の人の監督のもとで、特定の目標を達成するために自ら推論して計画を立て、複数の手順からなるタスクを実行する、自律型のAIシステムのことです。「エージェント型AI」とも訳されます。人の指示を待たずに判断して動くAIを広く指す「自律型AI」という言葉で呼ばれることもあります。指示を受けてから応答する従来のAIとは異なり、置かれた状況を理解して行動計画を組み立て、結果に応じて対応を変えます。そのため、手順の多い複雑な対応も、解決まで一貫して進められます。最大の特徴は、自ら判断して動く点にあります。あらかじめプログラムされた固定のルールに従うのではなく、目標と、それまでのやり取りや周囲の状況をもとに、次に何をすべきかを決めます。
エージェンティックAIと生成AI・AIエージェントの違い
生成AIとエージェンティックAIは関係の深い技術ですが、担う役割は大きく異なります。生成AIはChatGPTなどのツールを支える技術で、プロンプト(指示文)に応じて、文章、画像、コード、要約といったコンテンツを作ります。作成や説明は得意ですが、生成AI単体では、依頼されるまでは動かず、回答を返した時点で止まります。
エージェンティックAIは、生成AIを能力の一つとして使いながら、目標に向けて判断し、行動します。質問に答えるだけでなく、取るべき行動を決め、複数のツールやシステムをまたいで実行し、結果を確かめて、自ら進め方を調整します。生成AIが文章や回答を作るとすれば、エージェンティックAIは、その力も借りて判断し、作業を最後までやり遂げます。
たとえば顧客対応の場面では、生成AIは顧客からのクレームへの返信文の下書きを作ります。一方、エージェンティックAIは、クレームの内容を読み、顧客の注文履歴を調べ、社内で定めた返金の条件の範囲内で返金を手配し、CRM(顧客関係管理)の記録を更新し、顧客に合わせたフォローアップの連絡まで送ります。手順ごとに人が指示を出す必要はありません。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
観点 | 生成AI | エージェンティックAI |
主な役割 | 文章、画像、コード、要約などのコンテンツを作る | 目標に向けて判断し、複数の手順からなる作業を最後まで進める |
動き方 | 指示(プロンプト)を受けて応答し、回答を返すと止まる | 目標を与えられると計画を立てて実行し、結果を確かめて進め方を調整する |
基盤となる技術 | 大規模言語モデル(LLM)が中心 | LLMに加え、計画を立てる仕組み、文脈を保持する記憶、外部のツールやシステムとの連携を組み合わせる |
カスタマーサービスでの例 | 返信文の下書き、やり取りの要約、ヘルプセンターの記事の改善 | 問い合わせの内容を確かめ、返品の手続きや記録の更新など必要な処理まで進める |
AIエージェントとの違いは、指す範囲の広さにあります。AIエージェントは、問い合わせ対応など定められた範囲の業務を自律的に進める個々のAIです。エージェンティックAIは、そうしたAIエージェントが自ら状況を認識し、判断し、行動するための、より広い仕組みを指します。
エージェンティックAIの仕組み
エージェンティックAIは、4つの段階からなるサイクルを繰り返しながら動きます。このサイクルにより、手順の多い複雑な対応を、人の手だけでは実現できない速さと規模でこなせます。
状況を把握し、対応が必要な事象を見つける
最初の段階では、顧客とのやり取り、チケット(問い合わせ1件ごとの記録)の履歴、利用の傾向、システムの稼働状況といったデータを継続的に分析し、対応が必要な事象を見つけます。問題を知らされるのを待つのではなく、問題の兆しを自ら探します。
状況を評価して計画を立てる
次の段階では、決められた分岐(デシジョンツリー)に沿って動くのではなく、状況を評価し、起こり得る結果を比べたうえで行動計画を立てます。たとえば請求額の食い違いが見つかった場合は、アカウントの履歴、自社のポリシーで定めた条件、取り得る解決策を確認してから、最も適した進め方を選びます。
連携したシステムで処理を実行する
立てた計画に沿って、連携したシステムをまたいで必要な処理を実行します。チケットの振り分け、ワークフローの起動、状況に応じた担当者への引き継ぎといった処理です。それまでに把握した状況と推論の内容を踏まえて動きます。
結果から学習する
解決したやり取りの一つひとつがシステムにフィードバックされ、似た場面への今後の対応が磨かれていきます。この学習のサイクルにより、例外的なケースのたびに手作業で再学習させなくても、システムの精度と効率は時間とともに高まります。ここでいう学習は、AIが無制限に自らを書き換えることではありません。やり取りの結果をもとにナレッジや業務手順、振り分けのルールを見直し、検証を経て更新していくことを指します。
エージェンティックAIの主な特徴
エージェンティックAIの強みは、いくつかの能力の組み合わせにあります。AIが自律的に対応しながらも、人はどの段階でも状況を把握し、AIの動きを管理できます。
状況を踏まえて自律的に判断する
エージェンティックAIは、複数の要素をその場で比べながら柔軟に推論し、場面ごとにきめ細かく判断します。考慮する要素には、次のようなものがあります。
従業員の役職の階層
過去のやり取りの傾向
緊急度を示す情報
自社のポリシー
この柔軟さは伝え方にも及びます。相手の好みや感情に合わせて言葉遣いを変えるため、機械的な自動応答ではなく、自分に合わせた対応だと感じてもらいやすくなります。
Zendeskのように、AIを活用した応対品質管理(QA)ツールを備えた製品もあります。このツールは、電話やチャットを含むやり取りの100%を分析することで、チャネルをまたいで状況を把握し、対応のばらつきを見つけて品質をそろえるのに役立ちます。
既存のシステムと連携して動く
エージェンティックAIは、既存のCRMツール、ナレッジベース、HRシステム、スケジュール管理ツール、SlackやMicrosoft Teamsなどのコミュニケーションツールとつながります。これにより、システム間で情報が自動的に行き交う、一体となった環境で対応を進められます。最近のエージェンティックAIの製品は、既存のシステムと組み合わせて使うことを前提に設計されており、チケットを記録・管理する仕組みに、解決まで自ら動く機能を加えられます。そのため、多くの場合、エージェンティックAIを活用するために今の基盤を入れ替える必要はなく、すでにある仕組みを生かせます。
判断の理由と根拠を示す
なぜその処理を選んだのか、どのデータを使ったのか、どの程度の確信度で判断したのかを、エージェンティックAIはリアルタイムで示せます。サポート部門の管理者は、推論の流れを確認し、設定値を調整し、処理の種類ごとに承認が必要になるしきい値を設けられます。判断の根拠が見えることは、AIを信頼して任せるうえでも、社内のルールに沿って管理する(ガバナンスの)うえでも役立ちます。実際、CXトレンドレポートでは、消費者の92%が、「AIが下した判断には説明を求める」と答えています。情報システム部門やベンダーの改修を待たずに、管理者がAIの動きに介入し、判断を覆し、調整できるため、変化する業務上の要件やコンプライアンス要件に沿った運用を保てます。
エージェンティックAIのメリット
エージェンティックAIを使えば、業務の効率と従業員満足度を高めながら、サービスの品質も引き上げられます。主なメリットは次の5つです。
一人ひとりに合わせて、きめ細かく対応できる
膨大なやり取りの履歴、行動の傾向、状況を示す手がかりを分析し、一人ひとりの好みやニーズを詳しく把握します。そのため、これまでの問題解決型のAIツールよりも踏み込んだパーソナライズができます。年齢などの属性で一律に対応を分けるのではなく、次のような点まで考慮します。
その結果、顧客や従業員は、自分に合わせた対応を受けていると実感できます。CXトレンドレポートによると、消費者の61%が、「AIが自分との過去のやり取りを分析できるようになった今、よりパーソナライズされたサービスを期待している」と回答しています。この水準のパーソナライズは信頼関係を深め、サービスを受ける側と提供する側の双方の満足度を高めます。なお、顧客や従業員の情報を分析に使う場合は、あらかじめ定めた利用目的の範囲で扱う必要があります。
複雑な問題の解決を自動化できる
従来の自動化で扱えたのは、単純で予測できる作業でした。エージェンティックAIなら、経験を積んだ担当者でなければ対応できなかった、手順が多く状況に左右される場面にも対応できます。たとえば、3つのシステムにまたがる、請求に関する申し出への対応や、新入社員の入社手続きに必要な、複数のシステムのアクセス権の手配です。こうした案件をAIが引き受ければ、担当者は、高い判断力が求められ、自分のスキルが最も生きる対応に時間を割けます。
解決までの時間を短縮できる
エージェンティックAIは、手順のたびに人が読み、解釈し、返信するのを待たずに、連携したシステムをまたいで自律的に動きます。そのため、解決までの時間は大幅に短くなります。CXトレンドレポートでも、CXリーダーの67%が、「AIは初回応答と完全解決までのスピードを大幅に加速させている」と答えています。これまで何度もやり取りを重ねていたよくある問い合わせも、その場で解決できる場合があります。問い合わせが多い現場ほど効果は大きくなり、チケット1件あたりのコストの削減と処理件数の増加に直接つながります。
担当者の満足度と定着率を高められる
担当者の燃え尽き(バーンアウト)は、サポート部門で離職が起こる大きな要因です。件数が多く同じ説明を繰り返すような、負担のたまりやすい業務をエージェンティックAIが引き受けるため、担当者の手元には、よりやりがいと意義を感じられる業務が残ります。
サービスの品質を安定させられる
担当者が対応する以上、日によって、また人によって対応に差が出るのは避けにくいものです。エージェンティックAIは、疲れや気分に左右されず、どのやり取りにも同じ考え方、同じポリシー、同じ品質基準を当てはめます。対応のばらつきに悩む企業では、AIの対応が品質の基準になります。担当者は、ばらつきを補う作業に追われることなく、その基準を上回る対応に力を注げます。
カスタマーサービスと従業員サービスにおけるエージェンティックAIの活用例
エージェンティックAIの導入は、顧客向けのサポートから社内のIT・HR業務まで、さまざまな対応に広がっています。企業が現在取り入れている主な活用例は、次のとおりです。
カスタマーサービスでの問い合わせ対応
カスタマーサービスでは、届いたチケットを読んで分類するところからクローズするまで、顧客からの問い合わせにエージェンティックAIが自律的に対応します。EC事業者なら、注文状況の確認、返品、定期購入の変更、請求に関する問い合わせなどが対象です。SaaS企業なら、ログインやアカウントに関する問い合わせ、請求、機能についての質問が当てはまります。人の判断や共感が必要な場面や、顧客が担当者との対応を望む場合は、それまでの経緯を添えて担当者へ引き継ぎます。
ITSM(ITサービスマネジメント)でのインシデント対応とアクセス権の確認
ITの現場では、エージェンティックAIがシステムの異常を監視し、インシデントを自動で分類して振り分け、復旧のワークフローを起動し、影響を受けた利用者に状況を知らせます。ここまでを、人による一次の切り分け(トリアージ)を待たずに進められます。たとえば、入社手続きのチェックリストと、Active Directoryなどで管理しているアクセス権を照合し、新入社員の初日までにアクセス権の付与漏れを見つけられます。
HRサービスでの問い合わせ対応
HRの領域では、福利厚生についての質問、社内規程の確認、休暇の申請、給与の食い違いといった、件数の多い問い合わせにエージェンティックAIが対応します。このうち、社内規程やデータで答えられる質問には、ナレッジベースやHRシステムから必要な情報を取り出し、HRの専門担当者に回さずに回答できます。一方、給与の食い違いや休業の申し出のように個別の確認が必要なケースでは、経緯をまとめた要約をHR部門向けに用意します。これにより対応時間が大幅に短くなり、専門の担当者は、より戦略的な業務に取り組めます。
先回りの対応と問題の予防
エージェンティックAIは、顧客や従業員から問い合わせが届くのを待たずに、問題の兆しを見つけ、深刻になる前に動けます。たとえば、利用状況に解約の兆候が見られる場合や、従業員のパスワードなどの認証情報の有効期限が近い場合に、解決策を添えて先に連絡します。先回りして動くことで、不満やトラブルにつながりかねない場面を、良い体験に変えられます。
エージェンティックAIの導入の進め方
導入は、試行から本格運用へと段階を踏んで進める、継続的な取り組みです。カスタマーサービスやIT、セキュリティの各部門の責任者が役割を分担します。
目標を決め、範囲を絞って始める
最初に、顧客対応と社内対応の両面で測定できる目標を決めます。たとえば、チケット回避率(セルフサービスなどでチケット化を防いだ割合)、初回解決率、解決までの時間、顧客満足度スコア(CSAT)、平均処理時間(AHT)、担当者の満足度などです。そのうえで、注文状況の確認やパスワードの再設定、リスクの低い請求の問い合わせなど、成否を測りやすい業務から試し、効果を確かめてから複雑な案件へ広げます。
回答だけでなく処理まで任せられる環境を整える
エージェンティックAIが処理まで進めるには、参照する情報に加えて、システムやデータ、権限が必要です。少なくとも、次の準備が欠かせません。
整理されたナレッジベース
一貫したチケットの分類
信頼できる顧客データ
主要なシステムとのAPI連携
システムと連携していないと、AIは次の手順を提案できても、チケットの更新やワークフローの起動までは進められません。
処理のリスクに応じて承認と引き継ぎのルールを決める
ガバナンスは、運用を始めてから足すのではなく、AIの判断の仕組みに最初から組み込みます。処理をリスクの大きさで分けておくと、承認の要否を決めやすくなります。
リスクの低い処理:要約、分類、返信の提案、社内メモなど。自動承認の対象にできます。
中程度のリスクの処理:システムの更新、返信の下書き、ワークフローの手順など。確認を経て実行します。
リスクの高い処理:金銭が動く処理、機微な情報の扱い、社外への約束、コンプライアンスに関わる判断など。承認を必須にし、事前に検証用の環境で試します。
担当者へ引き継ぐ際は、要約、実施済みの手順、判断の根拠、推奨する次の対応をAIが渡すようにすると、担当者が状況を一から確かめ直す手間を減らせます。顧客の情報については、必要以上のデータを使わないよう権限を設定し、監査証跡と承認の流れを整えておくことが、プライバシーと顧客の信頼を守ることにつながります。
テストと見直しを続けて運用を改善する
理想的な問い合わせのほか、内容があいまいなもの、感情的なもの、規程の判断が必要なもの、情報が欠けているものでも試し、AIがどう動くかを確かめます。運用を始めた後も、用件ごとの成功率、引き継ぎの理由、顧客満足度への影響、担当者1人あたりの削減時間、誤りの種類、処理を元に戻した頻度などを継続して確認します。あわせて、担当者や管理者がAIの対応を確認・修正・指導できるよう研修を行い、AIが担う範囲と担わない範囲を社内に伝えておきます。
エージェンティックAIの今後の動向と予測
エージェンティックAIは急速に進化しています。現在の能力はまだ始まりにすぎず、サービスの提供のあり方は今後さらに大きく変わっていきます。
複数のAIエージェントによる連携(マルチエージェント)
進化の次の段階は、1つの自律的なエージェントではなく、専門の異なる複数のエージェントが連携して働く仕組みです。一次の切り分けを担うもの、システムでの照会を担うもの、連絡文の作成を担うもの、といった分担です。マルチエージェントシステムは大企業ですでに使われ始めており、今後数年のうちに、複雑なサービスの自動化を支える標準的な構成になると見込まれます。
電話を含むオムニチャネルへの広がり
テキストのチャネルから音声でのやり取りへと、エージェンティックAIの対象が広がっています。電話での問い合わせも、人を介さずに解決できる場面が増えつつあります。チャット、メール、電話でのやり取りに加え、アプリ内での操作などの情報がつながるオムニチャネルの環境が整うほど、どの顧客接点でも顧客のそれまでの状況を引き継いで対応できるようになります。
信頼を支えるガバナンスの整備
AIに任せる判断の影響が大きくなるにつれ、AIの動きを統制する枠組みは、企業にとって欠かせない要件になります。CXトレンドレポートでは、CXリーダーの75%が、「今後2年以内に、顧客接点のAIにとって透明性は譲れない条件になる」とみています。いまAIガバナンスに投資している企業ほど、技術の成熟に合わせてエージェンティックAIの活用を安全に広げ、規制に沿った運用を続けやすくなります。
よくある質問
「エージェンティック(agentic)」は、英語の agent(行為の主体、代理人)の形容詞形で、目標に向けて自ら行動する能力を表します。エージェンティックAIは、プロンプトに応答するだけでなく、状況を理解して計画を立て、複数の手順からなる処理を実行し、結果に応じて対応を変えます。
カスタマーサービスや社内対応の文脈では、ほぼ同じものを指して使われています。「エージェント型AI」は、エージェンティックAI(Agentic AI)のもう一つの訳語です。「自律型AI」は、人の指示を待たずに判断して動くAIを広く指す言葉で、自動運転やロボットの分野でも使われます。業務でのAI活用を語る場面では、エージェンティックAIを指して「自律型AI」と呼ぶことが多く、Zendeskのサイトでも同じ意味で使っています。この記事では、エージェンティックAIに統一して説明しています。
厳密には同じではありません。AIエージェントは、エージェンティックAIの能力を使い、定められた範囲の業務を自律的に進める個々のAIです。エージェンティックAIは、AIエージェントが自ら状況を認識し、推論し、行動し、学習するための、より広い仕組みを指します。
自律型AIエージェントとは、設定された目標に向けて状況を理解し、取るべき対応を判断して、複数の手順からなる作業を最小限の人の指示で進めるAIエージェントのことです。質問に答えるだけのチャットボットとは異なり、問い合わせの分類や振り分け、記録の更新、返信の作成、承認された手続きの実行までを担い、必要な場面では経緯を添えて担当者へ引き継ぎます。
多くのチャットボットは、あらかじめ用意したシナリオやFAQに沿って、質問に答えるところまでを担います。エージェンティックAIは、問い合わせの意図を理解して手順を判断し、連携したシステムで処理まで進めます。たとえば返品の問い合わせなら、チャットボットは返品の申請方法を案内し、エージェンティックAIは返品できるかを確かめて手続きを始め、記録を更新して顧客に知らせます。
エージェンティックAIは、人間の担当者に取って代わるためではなく、担当者の力を補い、高めるために設計されています。件数が多く繰り返し発生する作業を自律的に引き受け、担当者が共感の求められる複雑な対応に集中できるようにします。成果を上げている企業ほど、エージェンティックAIを人員削減の手段とは考えず、業務の滞りを取り除く同僚として位置づけています。
多くの場合、今のシステムを入れ替えずに連携できます。エージェンティックAIは、CRMツールやナレッジベース、HRシステム、SlackやMicrosoft Teamsなどのコミュニケーションツールとつながり、既存のシステムと組み合わせて使うことを前提に設計されています。連携できる範囲は製品やシステムによって異なるため、導入前に確認しておくと安心です。
エージェンティックAIの効果は、参照できるナレッジベースとデータの質で決まります。情報の質が低かったり古かったりすると、誤った回答や処理につながります。また、例外的なケースや影響の大きい判断に備えて、AIが動いてよい範囲を定めた明確なルール(ガードレール)が必要です。こうした限界を補ううえで最も確実なのは、回答の根拠がはっきりしていて、AIに任せても誤りが起きにくい種類の問い合わせから段階的に導入することと、ナレッジベースの質に投資することです。
導入にかかる期間は範囲によって異なります。件数が多く内容のはっきりした用途に絞って始めた企業では、数週間で目に見える成果が出ることもあります。複数のシステムとの連携を伴う全社的な展開には通常数か月かかり、AIの設定とナレッジベースを担当する社内の専任者を置くと進めやすくなります。社内のセキュリティ審査や承認の手続きにかかる期間も、あらかじめ見込んでおくと計画を立てやすくなります。
エージェンティックAIで、顧客対応と社内対応をより的確に、より自律的に
従業員サービスソリューションのこれからは、人の専門知識とAIがいっそう強く協力し合う方向へ進みます。AIが人の力を高めながら、優れたサービスに欠かせない共感も保つ形です。エージェンティックAIは、この進化を体現するシステムです。作業の自動化にとどまらず、サービスの改善にも自ら関わります。
エージェンティックAIは、サービスの提供のあり方を変えつつあります。これから問われるのは、企業がどれだけ早く対応し、その可能性を生かして優れたサービス体験を生み出せるかです。Zendeskなら、すぐに使えるAI搭載のソリューションを利用できます。このAIは、実際のサービスで交わされた数十億件のやり取りで事前に学習しており、新しいチケットを処理するたびに改善されていきます。無料トライアルで、エージェンティックAIの働きを実際にご確認いただけます。