メインコンテンツへスキップ

記事

品質保証(QA)とは?役割・重要性・品質管理(QC)との違いを解説

品質保証(QA)はカスタマーサービスやコールセンターで応対品質の管理する上で重要な役割を担います。本記事では、品質保証(QA)の役割や重要性、品質管理(QC)との違い、ベストプラクティスを解説します。

著者: Hannah Wren, スタッフ執筆

更新日: 2024年11月21日

中央に置かれた透明のアクリル製ブロック。

品質保証(QA)とは?

品質保証(QA)とは、顧客からの期待に応えられるサービスや製品を一貫して提供し、サービス目標を達成し、そして業界標準に準拠するための体系的なアプローチです。カスタマーサービスの品質保証(QA)を実施する際は、顧客が話す相手が人間の担当者か、もしくはAIエージェントかを問わず、サポート時のやり取りをすべてレビューすることが理想です。これにより、サポートチームのパフォーマンスを向上させるための方策について重要なインサイトを得られるため、顧客ロイヤルティを構築できるうえ、最終的には収益を促進することができます。

医療行為や医療ガイドラインについて理解するためには数年にわたって教育を受ける必要があり、一般の患者であれば分からなくても当然です。仮に医師が大量の誤診をしていたとしても、患者はそれに気付かず「きちんと診察してもらえた」と言うかもしれません。同様に、顧客にはコミュニケーションガイドラインに記載している製品やプロセスに関する情報がありません。したがって、顧客からのフィードバックは重要なことは間違いありませんが、それだけに基づいてサービスや製品の品質改善に取り組んでも、十分な成果が得られません。

適切な知識を備えた人やAIが品質保証(QA)を実施することによって、あらゆる基準やプロセス、方法と比較しながら、パフォーマンスについて理解を深めることができます。また、微妙な違いや業界規制、評価の対象になった担当者のレベルについても明確にすることができます。品質保証(QA)によってサービスの一貫性を保ち、品質上の問題を軽減することで、顧客ロイヤルティやブランドの信頼を向上させられます。

品質保証(QA、Quality Assurance)と品質管理(QC、Quality Control)は別の概念ですが、同じように利用されることがあります。特にカスタマーサービスやコールセンターにおいては、応対品質の管理はQCではなく、QAと呼ばれることが一般的です。

本記事では、品質保証(QA)の重要性や役割を紹介し、厳密な意味に基づいた品質保証(QA)と品質管理(QC)の違いを説明したうえで、カスタマーサービスに置ける品質保証(QA)のベストプラクティスについて解説します。

目次

業界ごとに異なる品質保証(QA)の役割

ほぼすべての業界が、品質保証(QA)を通じてCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)を向上させることができます。信頼できる製品の開発・製造を実現するために、主にテクニカルQAによって基準を設定・維持する業界もあれば、顧客に質の高いサービスを提供するために品質保証プロセスを実施する業界もあります。

下記の業界では、正確に品質保証(QA)プロセスを実施しなければ大きな損失を被る可能性があります。

  • 製造: 正式に規則を定めたことにより、メーカーは品質保証(QA)プロセスに則って欠陥を回避・検出し、製品基準を満たせるようになりました。
  • ソフトウェア: ソフトウェア企業は、製品の内部エラーを検出するためにテストを実施したり、他の業界向けのQAソフトウェアを開発したりしています。
  • 食品製造: 製品を生産工場から出荷する前にX線システムによって食品汚染を検出し、従業員に知らせます。
  • 医薬品: 医薬品開発の各段階において、品質保証(QA)チームはドキュメントとトレーニングの確認、機器の使用の承認、市場利益と製造記録の調査を行います。
  • 医療: 病院、研究所、その他すべての医療施設では、業界標準に準拠した組織的な品質保証(QA)プロセスを策定しています。
  • 航空宇宙: 品質保証(QA)チームはこの業界では製品保証チームとも呼ばれており、プロジェクトマネージャーやエンジニアと協力して製品の機能と耐久性をテストしています。
  • カスタマーサービス カスタマーサービスの品質保証(QA)チームは、顧客とのインタラクションを評価し、顧客の期待に応えられるようなサービス基準を見つけ出します。カスタマーサービスに置ける品質保証(QA)は、応対の品質管理(QC)という言葉が一般的に利用されています。

ソフトウェアテストは開発製品の欠陥を特定することに焦点を当てており、一方でカスタマーサービスの品質保証(QA)は物理的な製品ではなく応対品質を評価しています。顧客のニーズを満たし、満足を確保し、ロイヤルティを促進するためには、どちらもそれぞれの業界において必要不可欠です。

品質保証(QA)の重要性

カスタマーサービス品質保証(QA)ベンチマークレポートによると、

  • 77%のチームが、チームメンバーがプロフェッショナルとして成長するうえで、顧客との会話のレビューは有益だと思うと回答しています。

  • 76%の事業者が、顧客との会話の内容をレビューすることは顧客満足度スコアの向上につながると思うと回答しています。

  • 74%のサポートチームが、会話のレビューは新しいサポート担当者のオンボーディングに役立つと思うと回答しています。

カスタマーサービスの品質保証(QA)には、次の4つの要素があります。

  1. 会話のレビュー: 会話内のコンプライアンス遵守状況を評価し、サポート担当者が品質基準を満たしていることを確認します。
  2. データにもとづいたフィードバックの収集: QAツールを利用してレビュー評価を一つにまとめ、品質サービス評価からバイアスを取り除くことができます。
  3. チームにコーチングを実施: 実践的なコーチングによってサポート担当者のパフォーマンスを向上させ、説明責任を促進します。
  4. 状況の確認: リアルタイムでデータを追跡・確認し、カスタマーサービスを継続的に改善します。

品質保証(QA)と品質管理(QC)の違い

品質管理(QC)は具体的には物理的な製品が対象であり、適切な作業技術や作業方法による品質要件の遵守に重点を置いています。

一方品質保証(QA)はより包括的で、カスタマーサービスを含めたサービスと製品の両方が対象になります。顧客の認識とニーズに重点を置いたカスタマーサービスの品質保証(QA)では、すべてのサポートチャネルにおける顧客との会話に対して品質保証(QA)を実施します。

品質保証(QA)と品質管理(QC)の比較

品質保証(QA)
品質管理(QC)
  • 製品とサービスを対象により広範な品質管理(QC)を行う

  • カスタマーサービスの品質保証(QA)を含む

  • 物理的な製品の規制を引き合いに出す

  • 製品の品質基準を重要視する

カスタマーサービスにおける4つの品質保証(QA)方法

カスタマーサービスの品質保証(QA)を実施するときは、CXの強化を目的とした体系的な方法を用いてコミュニケーションとコーチングを評価します。カスタマーサービスの応対品質を管理することができる品質保証(QA)の実施方法を、以下で4つご紹介します。

  1. マネージャーによるレビュー: マネージャーまたはチームリーダーが直属の部下のカスタマーサービスのやり取りをレビューし、実践的なフィードバックを提供します。
  2. 同僚によるレビュー: 同僚が他のチームメンバーのカスタマーサービスのやり取りをレビューし、チーム内の一貫性、結束、知識共有を促進します。
  3. 自己評価: 具体的なカスタマーサービスのやり取りについて自分で振り返ることでパターンを特定し、やり取りが困難なときにはどのように解決すればよいのかチームメンバー同士で意見を出し合うことができます。
  4. 品質保証(QA)の専門家によるレビュー: QAマネージャーは、全体的なプロセスにおける改善点を特定し、顧客とサポート担当者のやり取りに関するフィードバックを提供することに重点を置いています。

紙飛行機に囲まれている人と、その隣の品質保証(QA)方法の一覧表。

品質保証(QA)チーム

QAチームを構成するメンバーは、業界と品質保証(QA)プログラムの具体的な目標によって異なります。QAチームのメンバーの一般的な役割とその組織的責任について、スペシャリストからマネージャーまで下記で概要をご紹介します。

  • スペシャリスト: QAマネージャーと連携すると同時に、戦略と品質保証(QA)の整合性に主眼を置きます。
  • マネージャー: 品質管理(QC)システムを利用し、ビジネスの目標と目的に沿った品質計画、品質管理(QC)、品質改善を実施します。
  • エンジニア: システム、製品、サービスの品質テストの管理を行いながら、品質保証(QA)基準の策定・適用に取り組みます。
  • アナリスト: 現在の基準やテストの内容を分析し、改善の提案や品質保証(QA)コンプライアンスの確保を行います。
  • 自動化テスター: ソフトウェアの製造テストや品質テストを自動化するために、スクリプトやコードを開発します。

スペシャリスト、マネージャー、エンジニアなど、品質管理における5つの重要な役割を表すアイコン。

品質保証(QA)に関するベストプラクティス

品質保証(QA)基準がシンプルか複雑かを問わず、すべての製品とサービスにおいて一貫した品質を確保するために全組織が従うべきベストプラクティスがあります。

効果的な品質保証を実施するために、下記のベストプラクティスを実践してみてください。

  • 品質保証(QA)チームを作る: 品質保証(QA)プロセスには複雑なものや、詳細なデータを必要とするものがありますが、 チームを作ることでプロセスを合理化できるうえ、特定の分野のエキスパートを集めたグループを立ち上げれば他のチームメンバーが相談できるようになります。
  • プロセスを明確に定義する: プロセスと品質基準を文書化し、組織全体にその文書を配布して一貫性を確保しましょう。
  • 品質目標と品質基準を設定する: 組織の目的に直接結びつくような、測定可能な基準と目標を定めましょう。
  • 基準を設定するときは、顧客の期待に応えることを考慮する: 品質基準を設定する際には顧客インサイトを考慮し、顧客満足度と顧客ロイヤルティを向上させてください。
  • 継続的なトレーニングと能力開発に投資する: 新しくできた基準や基準変更についてチームメンバーに定期的にトレーニングを実施し、品質を保証しましょう。
  • 透明性のあるコミュニケーションを大切にする: 変更事項、期待事項、品質基準についてチームに周知し、組織目標の達成を円滑に進めましょう。
  • 顧客からのフィードバックにもとづいて一人ひとりに合わせたやり取りを展開する: フィードバックを収集・分析し、顧客のニーズと期待に関するデータを活用して品質基準に反映させましょう。
  • 定期的に監査を実施する: コンプライアンスの遵守状況の評価、改善機会の特定を行い、従業員の成長に投資しましょう。
  • チームのパフォーマンスを分析し、理解する: チーム全体、役職、サポート担当者の間に存在する知識の断絶を迅速に特定しましょう。
  • AIを活用して品質保証(QA)プロセスを合理化する: サポート時のすべてのコミュニケーションを対象に、やり取りやプロセスのモニタリングとレビューを自動的に行い、改善領域を見落とさないようにしましょう。
  • チームメンバーと協力する: すべてのチームメンバーが品質とサービス基準に対する責任を果たせるよう、従業員同士の協力を促進しましょう。
  • プロセスを定期的に見直し、改善する: その時点で採用しているプロセスを継続的にレビューし、全体的な改善が必要な領域を特定してください。

品質保証(QA)の2つの事例

すべての品質保証(QA)プロセスに当てはまるわけではありませんが、それぞれの組織に合った品質保証(QA)方法を運用することによって成果を得られます。カスタマーサービスの品質保証(QA)に投資することで、FoundとLibertyはサービスの品質向上と統一化を大幅に進めることができました。

Found

Foundが提供している体重管理プログラムには、卓越したカスタマーサービスの維持が必要不可欠です。Zendesk QAを導入するまで、カスタマーサービスの品質保証(QA)プロセスを統一することなくサポート品質を維持し、それと同時に100人を超えるサポート担当者のパフォーマンスを管理・改善することに困難を感じていました。

しかし、自動化機能を改善し、さらに割り当て機能を活用することにより、チーム全体にレビュー業務を割り当てられるようになったため、品質保証(QA)の負担を軽減できるようになりました。また、レビュー周期の統一、業務の自動割り当て、エージェントの評価基準の画一化により、Foundの品質保証(QA)プロセスを簡素化・合理化することができました。

そしてAIを利用した会話分析機能により、エージェントと顧客との複雑な会話を自動的に強調表示してレビューマークを付け、コーチングの機会を明確にすることができます。品質保証(QA)を重んじる組織であれば、Zendesk QAのこの機能によって必要に応じて早急にQAを実施できるため、品質不良や質の悪いカスタマーサービスの影響が出る前に品質改善を行うことが可能になります。

Liberty

名高い高級デパートであるLibertyはFoundと同様に、カスタマーサービスの品質保証(QA)を優先的に実施することでカスタマーサービスエクスペリエンス全体の質を向上させられることに気が付きました。Zendesk QAを導入してから、チームは品質保証(QA)のレビュープロセスを体系化しました。そして、Libertyがブランドとして好ましいと定めているトーンや声をエージェントがどのように取り入れ、実践したかをレビュー担当者が定期的に評価できるようになりました。

また、Libertyのレビュー担当者がフィードバック体系を統一したことにより、サービスとレビューの全段階を通じて一貫性と規則性の必要性が高まりました。さらにLibertyでは、品質保証(QA)を適切に実施・記録するために毎月品質保証(QA)の評価基準を見直しています。

よくある質問

Zendeskでカスタマーサービスの品質保証(QA)プロセスを強化

AIを利用した品質保証(QA)ソリューションであり、サービスレビューの自動化やCX提供コストの削減を実現できるZendesk QAを導入することにより、サポート品質の一貫性を高め、生涯にわたる顧客を創出することができます。Zendeskの製品は、サポート担当者のエンゲージメント促進やKPI(重要業績評価指標)のリアルタイム確認、サービス効率の向上に貢献します。

関連記事

記事

オンボーディングとは?内容やステップ、チェックポイントを徹底解説

効果的なオンボーディングプロセスを通じて、新入社員は会社への理解を深め、円滑に業務をスタートすることができます。この記事ではオンボーディングの基本からよくある課題と解決策を解説し、チェックリストを紹介します。

記事

カスタマーサクセスにAIを活用する13の方法

カスタマーサクセスにAIを活用すれば、自動化とパーソナライゼーションで効率的かつ正確で一人ひとりに寄り添ったサービスを提供できます。カスタマーサクセス向けAIの現状から導入メリット、活用方法、ベストプラクティスまで解説します。

記事

自動応対品質管理(AQM)とは?概要・メリット・導入のポイント

自動応対品質管理(AQM)を導入すれば、業務の合理化やコスト削減、CXの向上などを実現できます。この記事では、自動応対品質管理の基本や注意点について解説します。

記事

ITサービスデスクとは?AIを活用した次世代の従業員サポート基盤を解説

ITサービスデスクは、IT関連のあらゆる問い合わせや問題に対する窓口の役目を果たします。この記事では、ITサービスデスクの重要性や効果に加えて、AIを活用した業務効率化や生産性向上のポイントを解説します。