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自社ならではの業務こそ自動化の最大の余地あり。ギャップを埋めるカスタムエージェントとは?

Zendeskは、サービスの中核にある企業固有のポリシーや判断、ワークフローに対応するカスタムエージェントを発表しました。


Brett Schuenemann photo

Brett Schuenemann

Zendesk 製品担当シニアディレクター

更新日 2026年9月14日

Banner with the text New Product Alert Custom Agents

お客様から寄せられるフィードバックのうち、とりわけ明確な声の1つが次のものです。
「AIを提供するだけでは足りない。自分たちのビジネスを理解したAIを提供してほしい」

これはもっともな要望です。AIエージェントは、一般的な問い合わせや依頼への対応で、すでに十分な成果を上げています。ZendeskのAIエージェントは10,000社以上の企業で年間数十億件のやり取りの解決を支えており、80%以上の自動化率を達成しているお客様もいます。

しかし、会話は解決の一部にすぎません。

あらゆる顧客とのやり取りの裏側には、業務処理のレイヤーがあります。返金であれば、注文履歴やロイヤルティプログラムの会員ランク、過去の返金履歴、会社の最新ポリシーの確認が必要になるでしょう。保証請求であれば、画像からシリアル番号を読み取り、別のシステムで保証範囲を確認し、請求を承認するか審査に回すかを判断しなければならない場合もあります。

こうしたワークフローの一部は、現在のAIエージェントでも処理できます。ただ、次のステップがその企業固有のプロセスやポリシー、システムに左右される場面では、作業が人間の担当者に差し戻されることが少なくありません。

これがサービスにおける「煩雑な中間工程(messy middle)」です。煩雑になるのは、企業ごとにデータやシステム、ポリシー、プロセスが異なり、依頼を解決へ進めるために必要なバックオフィス業務も、それに応じて会社ごとに形が変わるからです。

このギャップは、顧客と直接会話するフロントラインのAIエージェントに解決を担わせるべき課題ではありません。Zendeskは、カスタムエージェント(Custom Agents)によってこのギャップを埋めました。

目次

カスタムエージェントは、企業のビジネスの最も重要な領域で機能するAIエージェントです。サービス業務全体の裏側で働き、自社のビジネスコンテキストをもとに複雑な業務について推論し、ビジネスを支えるシステムを横断してアクションを実行します。

会話の裏側にある業務

あらかじめ用意されたAIエージェントは、強力な出発点になります。すべてをゼロから作らなくても、迅速に立ち上げて一般的なサービス対応を自動化できるからです。従来型の自動化も、プロセスが予測可能な経路をたどる場合には効果的に機能します。例えば、チケットに特定のキーワードが含まれていればタグを付ける、注文が決まった条件を満たせば返金を実行する、といった処理が挙げられます。しかし、実際のサービス業務が想定どおりの経路にとどまることは、ほとんどありません。

重要な業務は、標準的な経路から外れたところにあることが多いものです。顧客の履歴によって判断が変わる返金対応、画像の分析が必要な保証に関する問い合わせ、あるいは検知したバグを既存のバグと紐づけて開発部門へ回す必要のある、新たに発生した製品の問題などです。

これらの業務を確実に自動化しにくくしている課題が、いくつかあります。

  • 企業固有のプロセス:ビジネスルール、例外、承認のしきい値、判断基準は、組織ごとに異なります。
  • 連携の不足:判断に必要な情報が、Zendesk、受注システム、CRM、請求プラットフォーム、その他の社内ツールに分散していることがあります。
  • ガバナンスのリスク:AIエージェントには、ナレッジとアクションへの慎重に範囲を絞ったアクセスに加えて、明確な権限やガードレール、エスカレーション経路が必要です。
  • コストと複雑さ:システムの接続やロジックの保守、ポリシー変更に伴う自動化の更新には、多くの時間と技術的な労力がかかることがあります。

この種のワークフローに必要なのは、固定された手順の連なりだけではありません。コンテキストや高度な推論、ビジネスに関する知識、定められた範囲内で判断する力に加え、場合によっては状況を監視して先回りで行動する力も求められます。

カスタムエージェントは、そうした業務を自律型AIで担えるようにします。複数のインプットをもとに、企業固有の指示に沿って推論し、承認済みのツールとナレッジを使い、定められたガードレールの範囲内で次に取るべき最適なアクションを決定できます。

成果もすでに出始めています。わずか7週間で、Zendeskのお客様によるカスタムエージェントの実行回数は100万回を超え、自動解決率が最大10%向上した企業もあります。

Infographic showing examples where custom agents work

自社の実際の業務に合わせて構築

どの企業にも、汎用的な自動化では捉えきれないポリシーやプロセス、判断があります。

AIエージェントが役に立つ働きをするには、3つの条件が同時に満たされていなければなりません。適切なコンテキストとアクションを実行する能力、安全に動作するためのガバナンスです。具体的には、重要な情報にアクセスでき、適切なツールを使う権限を持ち、できることの範囲が明確に定められている必要があります。

カスタムエージェントは、企業固有の専門知識を、再利用できるAIエージェントという形にまとめます。それぞれのAIエージェントは、返金の適格性の評価や保証請求の検証、顧客アカウントのリスク検知、繰り返し発生する製品問題の監視といった特定の業務のために設計され、会話やワークフロー、バックグラウンド処理のいずれにおいても機能します。

汎用的なボットに合わせてプロセスを設計し直す必要はありません。カスタムエージェントは、業務ごとに適切なコンテキストやシステム、アクション、ガードレールを使い、既存の業務のあり方に合わせて動きます。

カスタムエージェントの構成要素

カスタムエージェントは次の3つの中核要素から構成されます。

  • 入力は、チケットIDや顧客情報、別のワークフローから渡される情報など、実行時にエージェントが必要とするコンテキストを提供します。
  • 指示は、エージェントの役割や責任範囲、ポリシー、ガードレールを定義します。エージェントが何をすべきか、どのように判断すべきかをここで記述します。
  • 出力は、別のワークフローやエージェント、人間のチームメンバーが結果を利用できるように、エージェントが返す内容を定義します。

AIエージェントの能力は、接続するツールによって決まります。特定の業務に必要なツールを自由に組み合わせられます。

  • Zendeskアクションにより、チケットの更新やユーザープロフィールの変更、カスタムオブジェクトの管理など、プラットフォーム標準の操作を実行できます。
  • カスタムアクションは、管理者が定義したAPIエンドポイントを通じて、AIエージェントを外部システムに接続します。
  • アクションフローは、複数のアクションをビジュアルなワークフローとしてつなぎ、システムをまたぐ処理を連携させます。
  • 外部アクションは、SlackやJira、Salesforceなどのプラットフォームとの接続を、すぐに使える形で提供します。
  • ナレッジ記事は、検証済みの社内情報やポリシー、手順をAIエージェントの判断の根拠にします。AIエージェントは、ナレッジに含まれる画像や図も解釈できます。
  • 他のカスタムエージェントにより、ワークフローがより具体的なビジネスロジックを必要とする場面で、あるAIエージェントが別のAIエージェントを呼び出せます。

この構造により、企業はAIエージェントが何を知り、何ができ、より大きな解決プロセスにどう貢献するかを制御できます。たとえば保証対応AIエージェントであれば、チケットと画像を入力として受け取り、保証ポリシーに基づく指示に従って画像を分析し、製品情報を取得し、外部システムを呼び出したうえで、推奨案または承認済みのアクションを返します。

汎用的なAIエージェントを設定することと、特定の業務プロセスのためにAIエージェントを設計することの違いは、ここにあります。

アイデアから稼働するAIエージェントまで、Zendeskの中で完結

エージェントビルダーは、カスタムエージェントを作成・管理するための機能です。AIエージェントが担う業務を自然言語で記述し、必要なナレッジとシステムを接続したうえで、Zendeskの中でテストして有効化できます。

カスタムエージェントは通常、構築段階で定義する次の4つの層を組み合わせて成り立ちます。

  1. 指示:エージェントの役割や目標、ポリシー、判断基準を定義します。
  2. コンテキスト:判断に必要な顧客やチケット、会話、ビジネスの情報をエージェントに与えます。
  3. ツール:承認済みのアクションやインテグレーション、アクションビルダーのフロー、他のエージェントを接続します。
  4. 統制:権限、ガードレールやエスカレーション経路、評価基準を設定します。

カスタムエージェントはZendeskのアクションビルダーから呼び出されるため、AIエージェントによる柔軟な推論と、決まった手順どおりに進むワークフローの実行を切り分けられます。固定のルールに従わなければならない構造化されたステップはアクションビルダーが担い、プロセスのうち解釈や判断を要する部分はカスタムエージェントが推論して処理します。両者を組み合わせれば、柔軟さと統制を両立したハイブリッドなワークフローを構築できます。

Infographic showing Action Builder

サービス業務を先回りで支える

サービスの自動化の多くは、顧客が依頼を送信した時点で始まります。カスタムエージェントを使えば、チームが業務に先手を打つこともできます。

カスタムエージェントは顧客との会話やチケットのイベントとは独立して実行できるため、チームはスケジュールに沿ってサービス業務を監視させるなど、依頼を待たずに先回りして使えます。

たとえばバグ監視AIエージェントなら、4時間ごとに新着チケットをスキャンし、繰り返し発生している問題を特定し、対応するバグがすでに登録されているかを確認したうえで、Jiraにチケットを作成し、Slackで開発部門に通知できます。アカウントリスクAIエージェントなら、未解決のチケットを1時間ごとに確認し、影響の大きい問題を特定して、問題が深刻化する前に適切なチームへ警告を出せます。

その結果、チケットのライフサイクルに縛られない、新しいサービス業務の層が生まれます。これらのAIエージェントは、仕事が届くのを待つのではなく、シグナルを継続的に分析してリスクを洗い出し、次のアクションを組織をに促します。

An infographic depicting an Account Risk Scan and an Account Risk Agent's actions

あらゆる解決の裏側に、より多くの専門知識を

カスタムエージェントはサービスチームのAIエージェントとして、ポリシーや判断、ワークフローなど自社のビジネスロジックを、Zendesk全体の必要な場面で呼び出せる再利用可能な専門知識に変えます。

顧客対応のやり取りに複雑なビジネスロジックが必要になった場合、ZendeskのAIエージェントはカスタムエージェントを呼び出せます。たとえば返品リクエストを処理しているAIエージェントが、顧客の履歴と会社のポリシーに基づいて例外対応が適切かどうかの評価を、返金例外AIエージェントに依頼できます。

エージェント向けCopilotは、人間の担当者に代わって複雑な業務を完了するために、カスタムエージェントを利用できます。たとえばCopilotが保証対応AIエージェントを呼び出し、画像を分析してシリアル番号を抽出し、保証範囲を確認したうえで次のステップを提案する、といった使い方です。

アクションビルダーは、より大きなワークフロー全体をオーケストレーションし、カスタムエージェントに適切な入力を渡して、その出力をもとに次のアクションを起動します。

こうして、連携するワークフォースが生まれます。各AIエージェントには定められた役割と承認済みのアクセス権があり、解決にどう貢献するかも明確です。

本番運用のために構築し、改善し続けるように設計

AIエージェントをデモから実際のサービス業務に移すには、作成するだけでは足りません。どのように推論し行動するかをテストし、判断の根拠となった情報源を把握し、アクセスできる情報とツールを制御し、助けが必要なときにどうエスカレーションするかを定義する必要があります。

カスタムエージェントはZendeskに組み込まれているため、構築やテスト、デプロイ、監視、改善を同じ環境で行えます。テストとシミュレーションは、デプロイ前に問題を洗い出すのに役立ちます。AIエージェントがどのように結果に至り、どのナレッジやツールを使ったかは、トレーサビリティ(処理経過の追跡)によって確認できます。ガードレールや権限、エスカレーション経路は、チームが安心して運用するための備えになります。

カスタムエージェントが本番稼働すると、パフォーマンスと成果のデータから、うまくいっている点、行き詰まっている点、変更が必要な点が見えてきます。得られたシグナルはZendeskのResolution Learning Loopを起動し、ビジネスの変化に合わせてチームがAIエージェントへの指示、ナレッジ、ポリシー、アクションを継続的に改善する助けになります。

専門特化こそが、サービスを拡大する方法

サービスの未来を支えるのは、あらゆることをこなそうとする1つの汎用エージェントではありません。それぞれが特定の種類の業務のために構築され、その業務の完了に必要なコンテキストやシステム、ポリシーに根ざしたAIエージェントたちが連携するワークフォースです。

企業はカスタムエージェントを通じて、自社ならではの専門知識や業務プロセスを、会話でもワークフローでもバックグラウンド処理でも機能するAIエージェントとして再利用できます。自社の差別化につながる業務をより多く自動化しながら、その業務を連携させ、統制し、継続的に改善できます。

専門特化はAIの組織モデルであると同時に、AIをより有用で、再利用しやすく、統制しやすいものにする要因です。各AIエージェントに定められた業務や適切なコンテキスト、制御されたツールへのアクセスを与えることで、1つの汎用エージェントを脆く管理しづらいものにすることなく、個々の能力を改善できます。

だからこそZendeskは、特化型AIエージェントが連携するワークフォースの実現を目指しています。各エージェントは特定の種類の業務のために設計されていても、その専門知識は必要な場面ならどこでも再利用できます。

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Brett Schuenemann

Zendesk 製品担当シニアディレクター

Brett Schuenemannは、Zendeskのプロダクト担当シニアディレクターとして、カスタムエージェント製品とエージェントプラットフォーム全体を統括しています。製品のイノベーションを推進し、カスタマーサービスチームに優れた機能を届けることに貢献しています。率いるチームは、サポート担当者の力を引き出し、Zendeskの中核製品を強化するため、拡張性が高く、直感的に使える製品の開発に注力しています。

Brettは、高い成果を生み出すプロダクトチームづくりと、複雑な技術課題の要点を捉え、明確な方針で解決に取り組む手腕に定評があります。テクノロジー、とりわけAIと自動化に情熱を注ぎ、カスタムエージェントを通じて人の仕事の可能性を広げ、サポートのワークフローをより賢く効率的にし、カスタマーサービスの未来を形づくる方法を探求しています。