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ペインポイントとは?ゲインポイントとの違い・4つの種類・見つけ方・例を解説

顧客のペインポイントとは、製品やサービスを利用する中で顧客が感じる問題のことです。ニーズ・ゲインポイントとの違い、種類、見つけ方、解消する方法と例を解説します。


Mozhdeh Rastegar-Panah

Mozhdeh Rastegar-Panah

Zendesk プロダクトマーケティング担当シニアディレクター

更新日 2026年9月22日

ペインポイントとは?ゲインポイントとの違い・4つの種類・見つけ方・例を解説

道路工事による渋滞や、レジの数が足りない店舗など、日常生活でペインポイントに出くわし、「誰か何とかしてくれないのか」と思った経験は誰にでもあるはずです。顧客のペインポイントも同じ反応を引き起こしますが、顧客の場合は、帰り道を変える代わりに、利用する企業を変えてしまうかもしれません。ZendeskのCXトレンドレポート2026年版によると、消費者の72%が、「たった一度の悪いサービス経験で競合他社に乗り換える」と回答しています。

問題を放置して顧客を遠ざけてはいけません。問題を見つけて解決する手順を押さえておけば、顧客は期待どおりの体験を得られます。

この記事では、次の内容を解説します。

目次

顧客のペインポイントとは

顧客のペインポイントとは、製品を使う際やサービスを利用する際に顧客が経験する問題のことです。ペインポイントという言葉自体は、顧客や見込み客が抱える悩みや課題のうち、対価を払ってでも解決したいと感じるものを広く指しますが、本記事では自社の製品やサービスとの接点で生じる問題に絞って解説します。こうした問題はカスタマーエクスペリエンス(CX)に悪影響を及ぼすため、新規顧客の獲得と顧客維持の改善に向けて対処しなければなりません。

利便性は取引先を選ぶ際の決め手になるため、自社のプロセスはできる限り円滑にしておく必要があります。カスタマージャーニー上のペインポイントには、サービスのささいなつまずきもあれば、取引そのものを断念させる致命的な問題もあります。大小を問わず、組織内の問題への対処を怠れば、顧客を失いかねません。

顧客のペインポイントとその影響を理解する

自社のペインポイントに対処すれば、製品やサービスが改善され、競争上の優位性も得られます。顧客の課題を理解することで、顧客が取引先の企業に何を求め、何を期待しているのかが分かります。CXトレンドレポートによると、消費者の63%が、「企業に対する自分の印象は、その企業が提供するカスタマーサービス体験に大きく左右される」と回答しています。顧客の期待を知ることは、企業の印象そのものに関わるのです。ペインポイントを特定できれば、営業チームは初回のヒアリング(ディスカバリーコール)で見込み顧客に適切な質問を投げかけ、自社のサービスや製品を有力な選択肢として位置づけられます。

ペインポイントとニーズ・ゲインポイントの違い

顧客の声を集めると、要望、不満、期待する成果が入り混じって届きます。ニーズ、ペインポイント、ゲインポイントの3つのどれにあたるかを見分けられると、集めた声を整理しやすくなります。

ペインポイントとニーズの違い

ニーズは、顧客が製品やサービスに求めていることです。ペインポイントは、そのニーズが満たされないときに顧客が抱える問題です。問い合わせにすぐ答えてほしいというのがニーズで、返信がなかなか来ないという状態がペインポイントにあたります。ペインポイントを特定すれば、その裏で満たされていないニーズも同時に把握できます。

ペインポイントとゲインポイントの違い

ゲインポイントとは、顧客が製品やサービスを通じて得たい成果や利益のことです。取り除く対象であるペインポイントに対して、ゲインポイントは満たす対象という関係にあります。この分け方は、Strategyzer社の価値提案設計ツール「バリュープロポジションキャンバス」と同じ考え方です。同キャンバスでは、顧客が成し遂げたいこと(ジョブ)、その過程で直面する障害(ペイン)、得たい成果(ゲイン)の3つを書き出して顧客像を描きます。次に、自社の製品やサービスがどの障害を取り除き、どの成果をもたらすかを対応づけます。

顧客に話を聞く際は、不満と併せて、何が実現できれば満足かも尋ねます。不満の解消で終わらない提案を考える材料になるためです。

注意すべきカスタマージャーニー上のペインポイントの種類

よくある顧客のペインポイントは、4つのカテゴリーに分けられます。カテゴリーを知っておくと、自社の改善点を見つけやすくなり、問題に対処する際の出発点にもなります。

顧客のペインポイントの種類

プロセスのペインポイント

プロセスのペインポイントとは、カスタマージャーニーを妨げる組織内部の手続きのことです。原因になりやすいのは購買プロセスで、たとえば次のような場面です。

  • 複雑な購入手続き
  • 長引く導入期間
  • 整理されていないヘルプセンター

費用面のペインポイント

費用面のペインポイントは、自社と取引する際にかかるコストに関わるものです。製品やサービスが顧客の求めるものにぴったり合っていても、価格が予算に収まらなければ、顧客は別のブランドへ移ります。費用面の問題は、たとえば次のような形を取ります。

  • 決済時に追加される隠れた手数料
  • 高額な会費
  • 頻繁に買い替えが必要な製品

サポートのペインポイント

サポートのペインポイントとは、営業チームやカスタマーサービスチームとのやり取りで顧客が経験する問題のことです。プロセスのペインポイントと似ていますが、原因が会社の慣行ではなく、対応するチームの力量にある点が違います。CXトレンドレポートによると、消費者の88%が、「素早い応答時間に対する自分の期待は、1年前と同じかそれ以上になっている」と回答しており、応答の遅さは見過ごせません。よくあるサポートの問題は次のとおりです。

  • 応答の遅さ
  • 低い問題解決率
  • 製品知識の不足

製品のペインポイント

製品のペインポイントとは、製品やサービスの欠陥全般を指します。顧客の生産性を損ない、望む成果の達成を妨げます。製品の問題には次のようなものがあります。

  • 使いにくいワークフロー
  • 期待外れの機能
  • 不安定なサーバー

顧客のペインポイントの見つけ方

顧客のペインポイントの種類を把握したら、自社の事業を調べて、どのような問題が存在しうるかを確認します。その方法は大きく3つあります。

ペインポイントを特定する3つの方法(顧客フィードバックを集める、営業チームとサポートチームに話を聞く、顧客データを分析する)

1. 顧客フィードバックを集める

顧客のペインポイントを特定する最善の方法の1つは、顧客に直接聞くことです。定性的な市場調査を通じて、顧客が経験している問題、現在の満足度、今後望んでいることを把握します。

顧客満足度調査はこれを実行する有効な手段ですが、選択式の質問ではなく、自由回答式の質問を中心にします。たとえば、次のような質問です。

  • 「購入までのプロセスで最も苦労した点は何ですか?」
  • 「当社の製品のどこを変えてほしいですか?」
  • 「当社のカスタマーサービスチームがより良い体験を提供するには、どうすればよいですか?」

顧客に自分の言葉で答えてもらえば、既に分かっている結論へ誘導することがなくなります。その代わりに、自社が存在すら知らなかった問題を顧客が指摘できるようになります。

同じ方法をフォーカスグループやコミュニティフォーラムにも適用します。会話のテーマを提供し、顧客同士が互いの回答を発展させていくことで、顧客の視点を深く理解できます。

Zendeskのカスタマーエクスペリエンス担当ディレクターとして、製品フィードバックを集めるには、顧客がペインポイントを共有できるスケーラブルな手段を用意することが欠かせないと実感しています。

コミュニティフォーラムの何百、何千という会話スレッドを手作業で読み込む代わりに、ソフトウェアを使ってデータ収集を自動化し、共通する傾向を特定できます。

2. 営業チームとサポートチームに話を聞く

顧客は自分が経験している問題を挙げることはできても、その解決方法まで言葉にできるとは限りません。一方、営業チームとカスタマーサポートチームには、そのまま改善に生かせるフィードバックを返せる専門知識があります。非効率の原因になりうる社内の事情を説明できるからです。

チームが目にしてきた顧客の問題について話を聞く際は、顧客に対して行ったのと同様に、自由回答式の質問を使います。たとえば、次のような質問です。

  • 「最も頻繁に直面する問題は何ですか?」
  • 「顧客からの不満で最も多いのは何ですか?」
  • 「優先的に変えるべきだと思うことは何ですか?」

3. 顧客データを分析する

定性調査だけで終わらせず、客観的なデータを集めて読み解く時間も取ります。たとえば、解約率(チャーンレート)を見れば解約した顧客の数は分かりますが、解約(および契約縮小)の理由を理解するほうが、より多くの示唆を得られます。こうしたデータがあれば、定性調査だけでは分からない部分を補い、顧客や従業員の主張を裏付けられます。

まずはKPI(重要業績評価指標)を確認し、業務のどの領域に不足があるかを把握するとよいでしょう。まだ追跡していなければ、次のような指標の測定を検討してください。

  • 解約率と解約に関するインサイト
  • 平均解決時間と解決時間に関するインサイト
  • コンバージョン率とコンバージョンに関するインサイト
  • カート放棄率とそのインサイト

多くのプラットフォームの分析機能はリアルタイムでこれらの結果を取得できるため、収集と測定にかかる手間を減らせます。

顧客のペインポイントに対処する方法

ペインポイントの特定はゴールではなく、出発点です。次は、それらを解消し、再発を確実に防ぐことに力を注ぐ必要があります。

顧客のペインポイント

1. 助けを求めやすくする

ほとんどの顧客は、逐一手取り足取り案内されることは望んでいませんが、必要なときには対応してほしいと考えています。ナレッジベースなどのセルフサービス機能は、顧客が自力で解決する力を高め、答えを探しやすくします。チャットサポートは、サポートチームに直接つながるチャネルになります。

2. 適切なソフトウェアを使う

チームの手元にハンマーしかなければ、あらゆる問題を釘のように扱ってしまいます。ペインポイントは一つひとつ異なるため、それぞれに合った解決策が必要です。幸い、特定の問題の解決に特化したソフトウェアが数多くあります。

3. ペインポイントの傾向を探る

主要な指標を追跡して顧客体験を測定し、自社のどこに遅れがあるかを把握します。特定のプロセスや1つの部門に複数のペインポイントが集中している場合は、対処すべき大きな問題が潜んでいる兆候です。担当チームには次のような支援が必要かもしれません。

  • より充実したトレーニング
  • メンバーの増員
  • 業務を遂行するためのより良いリソース

4. 対応後に顧客へ結果を確認する

自社のペインポイントを解消する手を打ったら、顧客と話をします。顧客は、その対応で問題が解決したのか、問題が続いているのか、新たな問題が生じたのかを教えてくれます。常に顧客の視点を念頭に置くことで、組織内の顧客第一の文化が強まります。

5. 適切なチームにフィードバックを届ける

各部門に、顧客が自分たちの対応をどう受け止めているかを伝えます。あるペインポイントの解消に時間がかかる場合でも、その間に埋め合わせとしてできることがあるかもしれません。同様に、状況が改善しているというフィードバックを受け取ったら、その情報を伝えることで、チームの行動を後押しできます。

6. カスタマージャーニーを継続的に最適化する

事業の競争力を保つには、絶え間ない注意が必要です。評価と改善を終えた領域を放置せず、より良い顧客体験を提供する方法を探し続けます。CXトレンドレポートによると、消費者の73%が、「顧客体験は、今よりはるかに良くできるはず」と回答しています。改善の余地は常に残っているということです。CX戦略があれば、チームメンバーが会社の目標に沿って足並みをそろえ、その達成に責任を分かち合えます。

私の経験では、顧客のペインポイントは組織の文化と、チームの実行力を通じて表面化すると考えています。優れた組織は、こうした問題を認識し、それを回避するための備えを持っているものです。

よくあるペインポイントの例5つ(解決策付き)

顧客のニーズや期待は一人ひとり異なるため、企業が全員に一度に応えるのは難しいものです。しかし、成否を分けるのはそこではなく、ニーズや期待にどう応えるかです。よくある顧客のペインポイントと、その解決のヒントを見ていきます。

予算の制約

よくある費用面のペインポイントは、顧客が求める機能の価格が高すぎることです。段階制のプラン構成があれば、あらゆる規模の企業が製品やサービスを利用できますが、上位の機能は最も高額なプランに限定されていることが少なくありません。顧客がその機能を目当てに製品やサービスを検討していても、予算に収まらなければ(景気後退期には特によくあることです)、契約に至らない可能性があります。

解決策の例: 顧客が利用する機能を自分で選べるカスタムプランを用意すれば、上位機能を含む製品やサービスにも手が届きやすくなるかもしれません。月額は下位プランより高くなる場合もありますが、必要な機能だけに支払うため、総額では費用を抑えられます。

対応が追いつかないサポートチーム

人員体制の課題は、顧客と従業員の双方に問題をもたらします。顧客は必要な回答を適時に得られず、従業員は業務量に圧倒されて、本来提供すべき品質のサービスを届けられなくなります。

解決策の例: こうしたサポートのペインポイントを和らげる生産性向上のベストプラクティスを取り入れて、社内プロセスを見直します。チャットボットに会話を任せれば、サポートチームの介入を必要としない解決策へ顧客を案内できます。チケットを整理するヘルプデスクと、顧客が自力で答えを見つけられるナレッジベースを構築します。

習得の難しさ

製品が複雑だったり、専門的な知識を必要としたりすることは、顧客が利用を始める際のよくある障壁です。多くの顧客はすぐに使い始めることを優先するため、従業員を短期間で教育できることは大きなセールスポイントになります。

解決策の例: 詳細なデモやテンプレートなどの参考資料を用意し、顧客が製品に慣れる手助けをすることで、ユーザー体験を改善できます。複雑な製品では、オンボーディングの段階でコーチングセッションが必要になることもあります。

冗長なプロセス

1つの手順で済むはずの作業に、2つも3つも手順が必要だった経験はないでしょうか。こうした状況は大きなストレスを生み、生産性を損ないます。冗長なプロセスがあると、競合他社に顧客を奪われる隙を与えてしまいます。

解決策の例: 顧客が直面している具体的な問題に照らしてプロセスを見直し、解決策を示します。CXマネジメントを継続的に改善できれば、あらゆるタイプの顧客に自社を使い続ける動機を与えられます。

製品の欠点

期待に応える製品を提供することは、どの企業にとっても最優先事項であるべきです。営業担当者が製品の制約を正確に説明していない場合もあれば、自社が気づいていない欠陥が製品にある場合もあります。どちらであれ、顧客の不満につながりかねません。

解決策の例: 顧客フィードバックを集めることで、製品の機能を改善したり、行き違いの原因を特定したりできます。定期的に、または顧客とのやり取りの後にアンケートを送り、顧客のインサイトを継続的に得られるようにします。

Zendeskでの解決事例

具体例を一つ挙げます。Zendeskのチームが過去に、製品のペインポイントを解決したときの経緯です。

ある顧客が、当社製品の制約によって、サポートソリューションの活用範囲を広げられずにいました。私はその顧客のアカウントチームの一員として、社内のエグゼクティブスポンサーに問題を提起し、この制約への対応について関係者全員の認識をそろえました。

その結果、顧客は問題への対応が進んでいると安心できたのです。当社は顧客を製品フォーラムに招いて解決策の設計に参加してもらい、開発の進捗も随時共有しました。機能が完成すると顧客に先行提供し、一般公開の前にフィードバックをもらいました。

ポイント: 組織のどの階層でも顧客への報告を最後まで完結させたことが、このリスク軽減とコミュニケーション戦略の要でした。オープンで透明なコミュニケーションが基本です。

よくある質問

顧客の課題を取り除く

顧客の問題の多くは、社内プロセスの簡単な変更で解決できます。より複雑な問題には、顧客データベースソフトウェアのような追加のツールが必要になることもあります。こうしたツールを使えば、サービスの水準を引き上げ、顧客体験の改善につなげられます。

Mozhdeh Rastegar-Panah

Mozhdeh Rastegar-Panah

Zendesk プロダクトマーケティング担当シニアディレクター

Mozhdeh Rastegar-Panahは、カスタマーエクスペリエンス領域を牽引するリーダーであり、Zendeskでプロダクトマーケティング担当シニアディレクターを務めています。カスタマーサービス改革の最前線で12年以上のキャリアを重ね、複雑なAI・CXテクノロジーを、グローバル企業が実際に成果を出せる拡張性のあるソリューションへと落とし込む取り組みを専門としてきました。メッセージング・自動化・オムニチャネル戦略を通じたカスタマーサポートの高度化に取り組み、戦略的な視点と実務の知見の両面から、カスタマーサービスの未来を切り拓いています。