AIaaS(サービスとしてのAI)とは? AIaaSはサードパーティベンダーが提供するサービスで、企業はAIを利用したツールや機能を自社のシステムに組み込むことができます。2025年のAIaaS市場規模は全世界で約206億4,000万ドル と推定され、2030年までに987億2,000万ドルに達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は36.78%と見込まれています。この急速な成長が示すように、AIaaSはリスクが低くコスト効率の高いモデルとして、多くの企業に採用されています。
宇宙家族ジェットソン では人工知能をうまく利用しました。
1962年にアメリカで初めて放送されたアニメ「宇宙家族ジェットソン」では、AIなどの現代社会で利用されている多くのテクノロジーを正確に描写しています。この番組では、インテリジェントオートメーションのメリットと課題、そして自宅や職場にAIを導入する方法について描いています。音声アシスタントからAIを搭載したスーパーコンピューターまで、宇宙家族ジェットソン は時代を先取りしていました。
現在、ほとんどの企業はAIaaSによって高度なAIテクノロジー を活用し、宇宙家族ジェットソン に登場するAIを利用した工場である「スペースリー・スプロケット」と同じぐらい効率的に業務を進めることができます。企業がAIをスムーズに導入できるよう、本記事では、AIaaSの種類やメリット、課題、具体例、トレンドを解説します。
目次
AIaaSの種類 企業は業務ニーズに応じてさまざまなタイプのAIサービスを活用でき、 SaaS(サービスとしてのソフトウェア)のビジネスモデルと同様に、カスタマーサポートツール向けのAI を提供するAIaaSをプラン契約して利用することができます。主なAIaaSの種類とユースケースをいくつかご紹介します。
ボットとバーチャルアシスタント ボットとバーチャルアシスタントは対話型AIの一種で、ディープラーニング 、機械学習アルゴリズム、NLP(自然言語処理)を活用して人間のやり取りを学習します。 やり取りが増えるごとに改善し、時間の経過とともにより自然で一人ひとりに合った体験を提供できるようになります。
企業がAIaaSソリューションを使用してAIチャットボット を導入することで、顧客は一般的な問題を解決したりFAQへの回答を見つけたりといったように、自分で疑問を解決できるようになります。
カスタマーサポートチャットボット をWebサイト、チャット 、メッセージングプラットフォーム、モバイルアプリ、SNSアカウントで使えるようにすると、顧客が希望するチャネルで相手と接することができます。さらに、サービスデスクチャットボット は社内チームにITサポートを提供することができます。
ボットとバーチャルアシスタントの例: Siri、Alexa、Googleアシスタント
機械学習フレームワーク ML(機械学習)フレームワークとは、開発者がカスタムAIモデルを構築するためのクラウドベースのソフトウェアライブラリやツールを指します。 カスタムAIモデルを簡単にトレーニングおよび導入できる事前構築済みのMLフレームワークを、AIaaSプロバイダーから企業に提供します。大量の自社開発リソースは必要ありません。
MLフレームワークの例: Google Cloud AI、Microsoft Azure Machine Learning
アプリケーションプログラミングインターフェイス API(アプリケーションプログラミングインターフェイス)により、さまざまなソフトウェアアプリケーションやシステム間でコミュニケーション、相互作用、情報共有ができるようになります。 AIaaSベンダーから企業にAPIを提供しており、APIによって現在使用しているシステムをAIを搭載したツールとシームレスに接続できます。AIモデルそのものを構築する必要はありません。たとえば、企業はボットや音声アシスタントを自社のチャットソフトウェアやwebサイトとコーディングなしで統合できます。
アプリケーションプログラミングインターフェイスの例: IBM Watson Natural Language Understanding API、Amazon Rekognition API
モノの人工知能 IoT(モノのインターネット) とはインターネットと接続したデバイスのネットワークのことで、お互いにデータを共有しています。デバイスには、リアルタイムで情報を交換するセンサーを搭載しています。AIoT(モノの人工知能)はAIテクノロジーと機械学習機能をIoTに組み込んだもの で、データを分析してパターンを特定し、業務に関連するインサイトを収集し、問題を検出して修正します。
製品のパフォーマンスを支援するために、ユーザーの許可を得てAIoTデバイスから関連する情報をクラウドに送信できます。また、AIaaSプロバイダーから予測サービスを提供することもあり、機械や機器にメンテナンスが必要になる時期をIoTデバイスが予測できるようにすることで、障害による大きな損害を防ぐことができます。
IoTのためのAIの例: Google Cloud IoT Core、Microsoft Azure IoT
AIaaSのメリットと課題 他のサービスと同様に、AIaaSにも長所と短所が存在します。まずは、AIaaSの一般的なメリットをいくつか挙げてみましょう。
新しいテクノロジー、特にAIに違和感を覚えるのは極めて正常な感覚です。AIaaSにはたくさんのメリットがある一方で、貴社に適したAIaaSソリューションを選ぶ際には下記の課題が懸念点になる可能性があります。
データに公平性や信頼性が欠けるリスク: 公平性や信頼性に欠けるデータ、または
非倫理的なデータ でAIモデルにトレーニングを実施すると、不正確な結論や意思決定につながる可能性があります。AIaaSプロバイダーは、企業がデータセットの信頼性、倫理性、公平性を確保できるツールやサービスを提供する必要があります。
データのプライバシーとセキュリティに関する懸念: AIを利用したソフトウェアは、CXを学習し、パーソナライズするために大量のデータ(ビッグデータ)にアクセスする必要があります。AIaaSベンダーは機密性の高い個人情報にアクセスできるため、 セキュリティ侵害が起きたとしても情報漏洩のリスクを最小限に抑えるために、
高度なデータプライバシーとデータ保護を確保できるソフトウェア が必要です。
規制基準への準拠: AIの使用に関する規制は業界や地域によって異なる場合があるため、 選択したAIaaSベンダーが貴社に関連する
コンプライアンス基準 を満たしているか確認することが重要です。また、ベンダーがコンプライアンス変更を共有する際には、透明性を保って事前に伝達することも必要不可欠です。
AIaaSの主なベンダー 適切なAIaaSベンダーを選択することで、貴社のニーズに合ったAIツールを導入することができます。ここでは、AIaaSの主なプロバイダーと、提供しているサービスや機能などの例をいくつかご紹介します。
Amazon Web Services Amazonは迅速な配達が可能なただのECマーケットプレイスではなく、 AIサービスや機械学習サービスを提供するクラウドコンピューティングプロバイダーでもあります。AmazonのAIaaS、つまりAWS(Amazon Web Services)は、企業がAIモデルを構築、トレーニング、導入するためのツールを提供しています。AWSは以下のサービスや機能を提供しています。
Amazon SageMaker: このサービスによって、開発チームとデータチームは機械学習モデルの構築、トレーニング、導入を簡単に行えます。
Amazon Rekognition: このコンピュータービジョンサービスによって、物体検出や顔認識といったように、画像や動画を分析することができます。
Amazon Lex: チャットボットや対話型インターフェイスを構築するための自然言語処理機能を利用できます。
Amazon Polly: テキスト読み上げサービスによってテキストをリアルな音声に変換できるため、音声対応アプリケーションに適しています。
Google Cloud もちろんGoogleもAIaaSを提供しています。Google CloudはNLPからコンピュータービジョンまで、一連のAIソリューションやMLサービスを提供しています。ツールセットの中で提供しているクラウドサービスをいくつかご紹介します。
Google Cloud AI: データサイエンティストや開発チーム向けの機械学習ツールとAIサービスのセットで、TensorFlow(ほとんどのGoogle製品に対応しているオープンソースのMLフレームワーク)やscikit-learn(データ分析とアルゴリズムライブラリ)をサポートしています。
Google Cloud Natural Language API: 感情分析やコンテンツ分類のための自然言語処理ツールです。
Google Cloud Vision AI: 画像や動画を分析するためのコンピュータービジョンサービスで、物体検出やラベリング、顔認識といった機能を備えています。
Google Dialogflow: チャットボットやバーチャルアシスタントなどのMLモデルを使用して対話型インターフェイスを構築するための高度なAIプラットフォームです。
OpenAI OpenAIは、ChatGPTやDALL·Eといった生成AIを代表するプロダクトを提供しており、AIaaS(サービスとしてのAI)の中でも注目度の高い企業です。2025年現在、OpenAIはマルチモーダル対応の高性能な大規模言語モデル「GPT-4」を中核に、さまざまなクラウドベースのAIサービスを展開しています。開発者はAPIを通じて、AI機能を自社のアプリケーションに柔軟に組み込むことができます。
GPT-4: 高度な自然言語処理が可能な大規模言語モデルで、会話生成、要約、翻訳、分析など幅広い用途に対応しています。
DALL·E 3: テキストから高精度な画像を生成できる生成AIモデル。画像の一部を編集する「インペインティング」などの高度な機能にも対応しています。
Assistants API: チャットボットのようなAIエージェントを構築できる開発者向けAPI。コード実行やファイル操作、検索との連携にも対応し、カスタマーサービスやナレッジ管理の自動化に役立ちます。
上記の3つのクラウドプラットフォームは、AIaaSプロバイダーのごく一部にすぎません。Amazon、Google、OpenAIはAIaaSサービスを提供している企業のなかでも非常に有名であり、幅広いユースケースに対応していますが、他のAIaaSベンダーのほうがよりビジネスニーズに適した製品を提供している場合があります。
AIaaSの2026年以降のトレンド ZendeskはカスタマーサービスにおけるAIの新しい活用方法 を模索し続けていますが、それと同様に企業も競合他社に後れを取らないようにAIを導入する必要があります。ここでは、現在そしてこれからも注目すべきAIaaSのトレンドをいくつかご紹介します。
自然で人間と話しているような対話型体験 65%のビジネスリーダー がAIやボットが自然で本物の人間のようになってきていると考えていますが、それは事実なので当然のことと言えます。AIを搭載したボットは、顧客のナレッジベースのデータを利用して対話型の正確な返信を生成します。声やトーンがブランドに合った独自のチャットボットのペルソナ を作成して、CX を強化することもできます。
消費者は既にAlexa、Siri、Googleアシスタントに精通しており対話型AI の利便性を享受しています。また、ボットは一つひとつのやり取りから学習するため、AIとの対話は改善の一途をたどるばかりです。
高度なパーソナライゼーション 消費者がブランドとやり取りするときは、魅力ある体験を期待しています。消費者は企業がデータを収集していることを理解しており、CXトレンドレポートによると消費者の59%がデータを活用して自分自身に合った体験を提供してほしいと考えています。AIaaSは事前にトレーニング済みのボットを提供しており、NLPを利用してユーザーの意図を理解し、以前のやり取りにもとづいて回答をカスタマイズすることができます。
コラボレーションの改善とデータの散在の解消 従来のサポートチームの役割は変化しており、責任が見直されています。ZendeskのCXトレンドレポートによると、ビジネスリーダーの72%がチームと責任を統合すれば業務効率が向上すると考えており、この調査結果から部門を超えた連携とデータ共有が必須であることが分かります。AIaaSは、さまざまな場所に保存しているデータを簡単に一か所に統合してデータのサイロ化を解消 できるテクノロジーを提供しているため、より効率的な連携を可能にします。
機械の台頭 SFアニメの世界のものだったAIが現実のものになり、顧客体験と従業員体験を向上させるためには欠かせない存在へと急速に変化しました。企業も顧客もAIテクノロジーを受け入れており、革新的で競争力のある企業であり続けるためにはAIaaSが不可欠であることを認識しています。AIaaSによって使い勝手の良いAI搭載ツールを導入すれば、システムを最適化してビジネスニーズを満たし、競合他社に打ち勝つことができます。