たとえばGrubhubでは、注文の変更や返金の処理をユーザー側で行える機能などを導入し、時間のかかる業務プロセスを自動化したことで、1回の注文あたりの問い合わせ件数が37%減少しました。「長年見てきた中で、今が一番、1回の注文あたりの問い合わせ件数が少ない状態です」と、Grubhubのケアサポート担当ディレクターであるMichael Wireko氏は話します。
また、プロセスを修正して適用するのも簡単です。Grubhubでは、最初に問い合わせが急増してから2週間以内に、新しいワークフローの自動化を導入しました。これにより、店側が顧客のニーズに十分に応じられなかったために、大量のキャンセルや返金リクエストが発生したときにも自動で対応できるようになったほか、チケットが先回りで作成されるようになりました。
またKhan Academyでは、チケット処理のプロセスを全体的に自動化し、新しい問い合わせがあった際に適切にチケットに優先順位を付け、直ちに対処が必要なチケットはどれか、どの担当者が対応すべきか、どういった問題が残っているかを判別できるようにしました。LeDuc氏は次のように話します。「Khan Academyで用意しているサポート窓口はチケットフォームのみです。問い合わせに適切に優先順位を付けて、多数のフローを自動化しています」
サポート業務の急速な効率化を実現
チケットを適切な担当者に転送したり、多数の顧客に同じ回答を送信したりといった、単純でよく発生しがちなタスクに時間をかける必要がなくなると、サポート担当者は問題の解決に集中でき、数多くの問題を解決できます。
当然ながら、応答時間や解決時間がスピードアップした企業では、担当者の作業効率も著しく向上しました。この1年で顧客への応答速度が上がった企業では、担当者1人あたりが処理する平均チケット件数が72%増加しました。この増加ペースは、それ以外の企業よりも約50%速くなっています。
顧客への応答速度が上がった企業では、担当者の作業効率が平均して72%アップしました。
また、こうした企業では現在、複数のチャネルに対応できるマルチプレイヤーの担当者の活躍が目立っています。担当者を複数のチャネルに割り当てられるということは、要するに、需要の変化に応じてサポート業務を適宜拡張できるということです。こうした企業では、複数のチャネルに対応できる担当者に関して、1日あたりの平均人数が71%増加しており、この増加ペースはそれ以外の企業よりも22%速くなっています。
セルフサービス型コンテンツでチケットの作成を抑制
セルフサービス型のサポートも重要な役割を果たします。当然ながら、探している答えを自力で見つけられれば、顧客がサポート担当者に連絡をしなくなるからです。こうしてチケットの作成を大幅に抑制できれば、未解決のチケットが減少し、顧客全体の待ち時間も短縮して、担当者は複雑な問題に時間をかけて取り組めるようになります。
チケットが増加した一方で顧客への応答時間が速くなった企業は、迅速な応答時間を維持できなかった企業よりも70%速く、ヘルプセンターに記事を追加しているというのも納得です。
「月に約100万件のアクセスがあります。それをチケットに置き換えると、数万件の問い合わせを削減していることになります」Discord、カスタマーエクスペリエンス担当ディレクター、Danny Duong氏
Discordは、もともとゲーマー向けのコミュニケーションプラットフォームでしたが、この1年で利用者の数が飛躍的に増加しました。オンライン授業、読書会、勉強会、レストラン経営者の会合、オンライン会議などの用途で利用されるようになったのです。
Discordのサポートチームは、急増する問い合わせに対処するためにヘルプセンターを有効活用しています。同社のカスタマーエクスペリエンス担当ディレクター、Danny Duong氏はこう話します。「月に約100万件のアクセスがあります。それをチケットに置き換えると、数万件の問い合わせを削減していることになります」同社のチケット削減率は10%に達しています。つまり、問い合わせてきたユーザーの10人に1人が、担当者に一切連絡を取らずに問題を解決しているということです。
スマートなサポート業務を実現するには
顧客に迅速に回答できないのは、業務環境に問題があるだけという可能性もあります。サポートチームの業務を停滞させている要因を見つけて取り除くには、まず以下の点に対処する必要があります。
ワンタッチチケットについて調査する
1回の返信で簡単に解決できるワンタッチチケットの占める割合が高い場合は、時間の節約になる自動化機能を導入したり、ヘルプセンターのコンテンツを作成したりして、担当者の負担を軽減できる可能性があります。
まずはワンタッチチケットの質問や問題の内容を洗い出し、マクロやトリガーを利用したり、ヘルプセンターのコンテンツを追加したりすることで、こうしたチケットに対応できないかを検討してみましょう。
マクロやトリガーを精査する
社内のマクロとトリガーについてチェックしましょう。過去30日間にどのくらいの頻度で使用されているでしょうか。頻繁に使われているマクロがある場合は、代わりにトリガーの使用を検討するようにします。
たとえば簡単な例で言うと、担当者が頻繁にマクロを使用して返金のリクエストに対応しているとします。その場合、チケットのクローズは手動で行わなければなりません。トリガーを使えば、返金対応だけでなく、チケットを解決済みとしてクローズする処理も行えるため、担当者の貴重な時間を節約できます。
担当者から話を聞く
業務の流れの一部始終をだれよりも理解しているのは、サポート担当者です。実際に現場に立つ担当者と話せば、サポート業務を改善する方法について的確なヒントを得られます。もっと効率を上げられるプロセスがないかどうかや、ヘルプセンターのコンテンツによってチケット削減率をどのように改善すればよいかが見えてくれるかも知れません。
顧客への応答をスピードアップするうえで、現状の対応方法を全面的に見直す必要はありません。チケットの優先順位付けや処理方法をほんの少し変更するだけでも、非常に大きな効果につながる可能性があります。