従来、優れたコールセンターを構築するには、適切なスキル を持つ人材を採用し、その全員に必要なトレーニング を実施して、仕事のパフォーマンスを追跡 することが必要でした。また、サポート担当者にとって働きやすく、情報を共有しやすい職場環境を整える必要もありました。
ところが2020年、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの発生により、オフィスは閉鎖され、従業員は在宅勤務を余儀なくされる事態となりました。オフィスから離れる日々が続き、コールセンターでの「通常業務」が再開される日は遠のく一方です。
Iこうした状況を目の当たりにしている方は、きっと少なくないでしょう。しかし、そもそも同じオフィスにいなくても、あるいはオフィスそのものがなくても、カスタマーサービスチームが電話に応対して顧客をサポートすることは可能です。
バーチャルコールセンターの時代が到来したのです。
バーチャルコールセンターとは サポート担当者がさまざまな場所から電話での問い合わせに応対できるコールセンターの一形態です。自宅や別々のオフィスなど、物理的には離れた場所で業務を行っていても、バーチャルコールセンターソフトウェア によってデジタルでつながることができます。
バーチャルコールセンターはもともと、サポート担当者が複数のタイムゾーンにいる顧客をサポートし、企業が本社の諸経費を節約できるようにすることを目的に設計されました。
パンデミックの影響で急速に普及が進み、この状況は今後も続く見通しです。
Gartnerが2020年の4月にカスタマーサービスチームのリーダー59人を対象に行った
調査 では、リーダーの80%が、パンデミックをきっかけに在宅勤務プログラムの拡充を計画していると回答しました。
また、別のGartnerレポートによると、2023年までにカスタマーサービス業務の3分の1以上が在宅で行われる見込みです。この数字は、2017年のわずか5%から大幅に増加しました。
パンデミックにより、バーチャルコールセンターへの移行は加速したものの、普及する前兆は以前からありました。
コロナ禍による一時的な対策であれ、恒久的な変化であれ、バーチャルコールセンターの始め方を学ぶ意義は大いにあります。リモートへの最適な移行方法を知っていれば、そう遠くはないカスタマーサービスの未来に備えるのに役立つからです。
メリットとデメリットを理解する 従来のコールセンターにもバーチャルコールセンターにも、それぞれのメリットがあります。そのため、形態の切り替えによって得られるメリットと失われるメリットを事前に理解しておくことが重要です。
もちろん、全員が同じオフィス空間にいる方がやりやすい業務もあります。従来のコールセンターには、主に以下のようなメリットがあります。
一方、バーチャルコールセンターには、以下のように運用やプライバシーの面で多数のメリットがあります。
在宅勤務では、従業員の自由度と柔軟性が増す
諸経費や支出を削減できる
人材の採用条件が緩和される
チームメンバーが複数のタイムゾーンに分かれていても、比較的容易に24時間体制のサポートを提供できる
人間関係を育みやすいというオフィス空間ならではのメリットが失われる可能性は否定できないものの、それを補う方法があります。
特に重要なのが、リモートワークを得意とする従業員を採用することです。
リモートワークを前提とした採用とトレーニング 安定したインターネット接続環境があれば、ほぼだれでも在宅勤務を行うことができます。つまり、全世界の約45億人 すべてが採用候補者になるということです。
しかし、よく考える必要があるのは、リモートワークの環境があっても、だれもがリモートワークに適しているわけではないということです。在宅勤務を生産的に行うには、ある程度の集中力と自己管理能力 が備わっていることが必要です。
バーチャルコールセンターのサポート担当者として望ましい人物像は、以下のとおりです。
新人研修をリモートで効果的に行うには、以下のような包括的な研修資料を作成し、簡単にアクセスできるようにする必要があります。
ビデオ会議や画面共有を利用して、サポート担当者が担う業務の重要な点を説明します(セッションは録画し、今後のトレーニングでも活用できるようにします)。
新人とはビデオ通話で1対1のミーティングを週1回行い、感情の変化を継続的に追跡 します。また、「オープンドア」ポリシーを維持することも重要です。これは、部下と上司の垣根をなくして社内の風通しを良くするための取り組みで、質問や懸念があれば、定例会議などのときだけでなく、いつでも相談できるようにします。
サポート業務に必要なツールを提供する オフィス空間が不要になれば、諸経費を大幅に抑えることができますが、その一方で、バーチャルコールセンターの立ち上げには新たなテクノロジーへの投資が必要になる可能性があります。
コロナ禍では、それが容易でない企業もあります。T-Mobileの例を紹介しましょう。他の多くの企業がそうしたように、同社でもこのコロナ禍に1万2,000人のサポート担当者が在宅勤務を開始 しました。その際、ITスタッフがコールセンターの機器を消毒して、各担当者の自宅に配送しなければなりませんでした。
リモートワークへの移行自体は、必ずしも大がかりな作業ではありませんが、コールセンターのハードウェアとソフトウェアをサポート担当者が確実に利用できるようにする必要があります。少なくとも、最新のOSを搭載した、サポート業務に必要な性能を持つパソコン(デスクトップまたはノートPC)、ソフトフォン、高音質のヘッドセットが必要です。
サポート担当者への提供が必要なIT機器のチェックリストを作成し、以下のような項目を含めるようにします。
当然のことながら、リモートワークのサポート担当者が出社した場合にも、上記のツールを利用できるようにしておく必要があります。Zendeskでは、従業員が在宅勤務を行うにあたり以下の条件を課しています。
また、バーチャルコールセンターでは、VoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用することで、アナログ電話回線ではなくブロードバンドインターネット接続経由で音声通話を行うことができます。VoIPを選ぶ際には、Zendeskのクラウドコールセンターシステム のように、設定と管理が容易なものをお勧めします。
初めての場合は、無料トライアル版 を利用して、すぐに電話応対を開始することができます。また、Partner Edition を使用すれば、好きなコールセンターソフトウェアをZendeskに接続することができます。
マネージャーが直面するリモートワークの課題 バーチャルコールセンターの立ち上げにより、カスタマーサービスチームのマネージャーは新たな課題に直面することになります。毎日同じオフィスで従業員どうしが顔を合わせる機会がなくなると、人間関係を維持するためには、さらなる努力が必要になります。
マネージャーに課せられた大きな責任の1つは、離れた場所にいる従業員どうしのコラボレーションとコミュニケーションを促進することです。それには以下のような方法があります。
チームメンバーがそれぞれ孤独に作業をしている場合、仕事に関係のないフレンドリーな会話 をする時間を作ることがより重要になります。時折、テキストメッセージを送るなどして様子をうかがったり、オンラインで画面越しにお茶をしてみたり、社内交流イベントを企画したりと、仕事以外の話をする機会を設けましょう。
もちろん、各担当者の生産性レベルやカスタマーサービスの質にも目を配る必要があります。しかし、リモートでパフォーマンスを監視し、改善を促すことは容易ではありません。
対面でのコーチングに慣れていても、オンラインでうまくやる方法もあります。たとえば、T-Mobileのカスタマーサービスチームは、リモートワークへの移行後、WebEx やMicrosoft Teams などのコラボレーションツールを使用してビデオ通話でコーチングを行っています。また、専用のSlackチャネルを作成して、担当者がコーチにテキストメッセージでサポートを求められるようにしました。
バーチャルコールセンターの始め方を学び、移行に向けて準備しましょう コロナ禍をきっかけにバーチャルコールセンターへの移行を余儀なくされた企業は、大きなストレスを抱えながら大幅な業務変更を強いられたことと思います。
しかし、その努力は十分に報われます。在宅勤務を可能にしたことで、今後ますますリモートワークが増える中、チームを長期的な成功に導くための準備が整ったのです。
従業員はリモートワークを受け入れている Bufferの調査レポート「2020 State Of Remote Work(2020年のリモートワークの現状)」によると、リモートワークを行っている従業員の実に98% が、今後も(少なくとも時々は)リモートワークを続けたいと回答しています。
大多数の従業員が今後もオフィスに戻らないことが考えられます。その理由の1つは、オフィス以外の場所で働くことで、満足度も生産性も大幅に上がることを知ったからです。
トレンドを注視し、自宅という最も快適な環境で最高の仕事ができるように、チームをサポートしてください。そうすれば、仕事に充実感を持つサポート担当者が増え、質の高いサービスをより多くの顧客に提供できるようになるはずです。