メインコンテンツに戻る

記事

クラウド型コンタクトセンターが切り拓く音声AIの未来

音声AIは、効率的でパーソナライズされた、シームレスな顧客体験を生み出します。AIファーストなアプローチを採用することで、企業はインテリジェントなサポートを大規模に展開できるようになります。

Neil Weldon

Zendesk コンタクトセンター担当 プロダクトマネジメント バイスプレジデント

複雑な電話の自動音声メニューをたどった末に、結局オペレーターへ転送される。ようやく人につながっても、用件をもう一度説明し、情報を再度伝えなければならない——こうした体験は、顧客にとって大きなストレスです。

現在、多くの企業がこの現状を変えようとしています。目指すのは、音声AIを活用してよくある問い合わせを自動処理し、顧客が用件を話すだけで対応が完了する仕組みです。さらに重要なのは、AIで解決できない場合でも、通話内容がそのまま引き継がれること。オペレーターが電話を受けた時点で、すでに顧客とのやり取りを把握している状態を実現できます。しかし、このような体験を実現するには、インフラの根本的な見直しが必要になることも少なくありません。

オンプレミスのレガシーシステムは、サイロ化し、柔軟性に欠け、拡張も困難なため、現代のニーズには対応できません。最新のCCaaS(Contact Center as a Service)は単なるアップグレードではなく、音声AIを活用した変革の土台となります。顧客の期待に応え、それを超えるためには、チャネル・オペレーター・システム間の分断を解消し、AIを中核に据えたコンタクトセンターの構築が不可欠です。

本記事では、音声AIやエージェントコパイロットといったツールの導入が、コンタクトセンターの業務効率と顧客体験をどのように向上させるかを解説します。

クラウド移行とAIファーストなコンタクトセンターの台頭

長年にわたり、コンタクトセンターは物理的な制約に縛られてきました。オンプレミスシステムは柔軟性に乏しく、多額の設備投資を必要とするものでした。繁忙期に席数を増やすにはハードウェアの購入が必要であり、ルーティングフローの変更にはIT部門への依頼と数週間の待機が発生します。こうしたシステムでは、迅速な対応や効率的な運用拡大がほぼ不可能でした。

クラウドへの移行によって、こうした運用上の課題は解消されました。柔軟性と俊敏性が飛躍的に向上し、需要の変化にリアルタイムで対応できるようになったほか、多額の設備投資を管理しやすい運用コストへ転換できるようになっています。そして今、次なる進化の段階に入りました。それが「AIファースト」なコンタクトセンターです。この新たな潮流において、AIはプラグインや付加機能ではなく、運用の中核に組み込まれています。レガシーシステムに単体のAIボットを後付けするアプローチは、データのサイロ化やオペレーター・顧客双方にとって使いにくい体験を招きがちです。そうではなく、AIをネイティブな基盤要素として、顧客体験全体を再設計する動きが広がっています。

このアプローチは、従来の限界を超える成果をもたらします。Zendeskの導入企業であるThe Good Meal Co.の事例がその好例です。同社は分断されたシステムからZendesk Contact Centerへ移行することでワークフローを効率化し、平均処理時間(AHT)を40%短縮、顧客満足度(CSAT)スコアを12%以上向上させました。

音声AIがコンタクトセンターの未来を切り拓く

業界がサイロ化したオンプレミスの「コールセンター」から統合されたクラウドハブへと移行する中で、AIとデジタルトランスフォーメーションによって問い合わせの量と複雑さはともに増加しており、企業は継続的な適応を求められています。

こうした中、コンタクトセンターにおける音声AIエージェントの活用が拡大しています。AIは、人間と同じように顧客の話を聞き、理解し、会話できる段階に達しました。かつてのロボット的で煩わしい自動音声メニューとは異なり、音声AIエージェントは日常的な言葉を解読し、顧客の真意を把握できます。このケイパビリティがもたらすビジネス成果は大きなものです。コンタクトセンターは最も優秀なオペレーターを事実上無限に複製でき、顧客を待たせることなく24時間365日の即時サポートを提供できるようになります。この拡張性により、注文状況の確認といった定型的なTier-1問い合わせの自動化で運用コストを大幅に削減できるほか、高度なスキルを持つオペレーターを、真の共感力や交渉力を要する複雑で価値の高い対話に専念させることで、収益向上にも寄与します。

では、具体的にどのようなビジネス成果が期待できるのでしょうか。

  • 平均処理時間(AHT)の短縮: 音声AIは顧客データやバックエンドへの問い合わせを瞬時に処理するため、タイピングや画面操作、手動でのメモ取りが不要となり、定型業務の対応時間が大幅に短縮されます。
  • 初回解決率(FCR)の向上: 音声AIエージェントはAPIやナレッジベースと直接連携し、返金処理やパスワードリセットなどのアクションを即座に実行できるため、Tier-1の課題をオペレーターへ転送することなく解決可能です。
  • CSATの向上: 即時サポートへのアクセスと、CRM履歴に基づく高度にパーソナライズされた対応が、顧客満足度を押し上げます。AIが感情分析で顧客の不満を検知した場合は、通話内容の全コンテキストを引き継いだうえでオペレーターへシームレスにエスカレーションされます。

近い将来、Zendeskはコンタクトセンターが「システム・オブ・アクション」へと進化し、定型業務の自動化が大幅に拡大すると考えています。AIがリアルタイムの意思決定や低付加価値の応答を自動化することで、レスポンスタイムは劇的に短縮されるでしょう。この変化により、オペレーターの役割も変わります。受動的な対応者から、AIを活用したデジタルワーカーを監督するプロアクティブなスーパーバイザーへと移行していくのです。

オペレーターは音声に加えて多様なチャネルを横断し、AIエージェントとシームレスに協働できるようになります。この自然な進化として、ベストプラクティスやトップレベルのオペレーターの専門知識がAIワークフローに組み込まれ、すべての顧客が最高水準のサポートを受けられるようになるでしょう。

Zendeskは、AIエージェントがサポートリクエストの50〜90%以上を自動化する未来を見据えています。これにより、コンタクトセンターの中核にAIエージェントが位置し、企業のAIエージェントが顧客のパーソナルAIエージェントに対応するという、双方向のデジタルエージェント体制が実現します。

たとえば、あなたのパーソナルAIアシスタントが企業に電話をかけて請求に関する問題を解決し、企業の音声AIと交渉して返金を取り付け、完了後に通知だけが届く——そのような規模と効率性を持つ未来に向かっています。

これからの道筋

カスタマーサービスの変革はすでに始まっており、単独で起きているわけではありません。音声AIが顧客体験を刷新する主役であるとすれば、最新のクラウド型コンタクトセンターはそれを可能にする土台を築いています。

企業にとって、クラウドへの移行は「あれば望ましい」ものではなく、インテリジェントで拡張可能なカスタマーサポートを実現するための必須プラットフォームです。Zendeskのようなプラットフォームでのおいてもファースト戦略を採用することで、業務効率の向上、より良い顧客成果、そしてより力を発揮できるオペレーター体制を実現できます。

Zendesk Contact Centerは、音声AIの可能性を現実のものとするために必要な統合エコシステムを提供します。カスタマーサービスを変革するテクノロジーはすでに存在しており、あとは貴社がどれだけ早くそれを採り入れるかにかかっています。

Neil Weldon

Zendesk コンタクトセンター担当 プロダクトマネジメント バイスプレジデント

Neil Weldonは、通信業界およびSaaS領域で20年以上の経験を持つリーダーです。エンタープライズ市場とサービスプロバイダー市場を対象に、製品戦略の策定からビジョン構築、デリバリーまでを専門としています。Zendeskでは当初Zendesk Talk製品ラインを牽引し、現在はプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントとしてZendesk Contact Centerを統括しています。複雑な国際的M&A案件のマネジメント経験を有し、技術デューデリジェンス、複数拠点にまたがるエンジニアリングチームの管理、標準化団体での活動において豊富な専門知識を備えています。

share_the_story

関連記事

記事

ACW(平均後処理時間)とは?意味・計算式から短縮方法まで解説

ACW(平均後処理時間)とは、コールセンターのオペレーターが通話後に行う後処理作業の平均時間です。この記事ではACWの意味や計算式、AHT・ATTとの違い、長くなる原因と短縮方法を解説します。

記事

WFMツールとは?コールセンターに導入するメリットや選定時のポイントも

コールセンターの運営効率化と顧客満足度向上を目指すなら、人員配置や予測、スケジューリングを最適化するWFMツールの導入が欠かせません。本記事では、WFMツールの基本的な機能やコールセンターに導入するメリット、選定時のポイントについて詳しく解説します。

記事

コールセンターの呼量予測とは?基礎から運営効率化へのポイントを解説

コールセンターにおける「呼量予測(コール予測・入電予測)」は、運営改善・コスト削減に有効なプロセスです。本記事では、コールセンターの重要指標となる「呼量予測」について、基礎知識からメリットや算出方法までを解説します。

記事
この記事は約13分で読めます

コールセンターにおけるデータ分析の重要性 データ収集から分析・活用までのポイントを解説

コールセンターにおいて応答率や解決率、顧客満足度などに関するデータを収集・分析することで、業務改善や品質向上につなげられます。本記事では、コールセンターでのデータ分析に着目し、分析を行う重要性や、収集から分析・活用までのポイントを解説します。