生成AIの急速な進化により、コールセンターにおけるAI活用の可能性は大きく広がっています。
顧客の期待も変化しており、「待たされない」「すぐに解決できる」ことが当たり前になりつつあります。一方で、コールセンターは慢性的な人手不足や高い離職率といった課題を抱えており、人手による対応だけでは増大する顧客ニーズに応えきれなくなっているのが現状です。
本記事では、コールセンターでAIを活用するメリットや具体的な活用シーン、導入手順から2026年のトレンド予測まで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
目次
- コールセンターにおけるAI活用の必要性と現状
- AI活用前後のコールセンター比較
- コールセンターでAIを活用するメリット
- コールセンターにおける主なAI活用シーン
- コールセンターへのAI導入手順
- AI導入時の注意点
- 【2026年版】コールセンターのAIトレンド
- コールセンターのAI活用に役立つ関連ツール
- よくある質問と回答
- まとめ
コールセンターにおけるAI活用の必要性と現状
従来のコールセンターは、CTI(Computer Telephony Integration)などのテクノロジーを活用し、その進化に対応してきました。しかし、人手不足・高い離職率・業務効率の悪さなど課題が山積しているのに加え、顧客ニーズの多様化への対応と優れたCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)を提供する必要性に迫られています。さらに、デジタルチャネルの拡大と24時間対応への要求が増したことで、人手による対応だけでは限界が生じています。
こうした課題を背景に、AI技術の進化がコールセンター業務を一変させています。特に、機械学習やNLP(自然言語処理)、ディープラーニングなどの技術が劇的に進歩し、同時にクラウドサービスが普及したことでAIツールの導入コストや技術的なハードルが大きく低下しました。これにより、規模や業種を問わず、コールセンターでのAI活用が進んでいます。
AI活用前後のコールセンター比較
コールセンターへのAI導入を検討する際、従来型との違いを把握しておくことが重要です。以下の比較表で、AI活用前後の特徴を確認しましょう。
| 比較項目 | 従来型コールセンター | AI活用後のコールセンター |
|---|---|---|
| 対応時間 | 営業時間内のみ(シフト制で延長可能) | 24時間365日対応可能 |
| 初回応答時間 | 待機状況により数分〜数十分 | 即時応答(数秒以内) |
| 対応品質 | オペレーターの経験・スキルに依存 | 一貫した品質を維持 |
| 同時対応数 | オペレーター数に制限 | 理論上は無制限 |
| スケーラビリティ | 人員採用・教育に時間がかかる | 需要に応じて即座に拡張可能 |
| 通話後処理 | 手作業で要約・記録 | AIが自動で要約・記録 |
| データ分析 | サンプリングによる抽出分析 | 全通話のリアルタイム分析 |
| 運用コスト | 人件費が主 | システム費用が主 |
| 複雑な問題への対応 | 人間の判断力・共感力で対応 | 人間へのエスカレーションが必要 |
| 導入・立ち上げ期間 | 採用・研修に数か月 | 初期設定後すぐに稼働可能 |
AIを活用したコールセンターは定型的な問い合わせの自動化に強みを持つ一方、複雑な問題や感情的なケアが必要な場面では人間のオペレーターが不可欠です。多くの企業では、AIと人間のハイブリッド運用によって両者の強みを活かしています。
コールセンターでAIを活用するメリット
コールセンターでAIを活用すると、オペレーターなどのサポート担当者のみならず、顧客にもメリットをもたらします。いくつか注目すべき例をご紹介します。
顧客満足度(CX)の向上
ZendeskのCXトレンドレポート2026年版によると、消費者の71%が「AIにより、カスタマーサービスが24時間365日利用可能であることを期待するようになった」と回答しています。加えて、消費者の58%が「サービス全体の『スピード』を、1年前より重要視するようになった」と答えており、「迅速性」と「正確性」が購入の意思決定に大きく影響していることがうかがえます。
AI活用はこれらを高め、CX向上に貢献します。チャットボットやAIエージェントを活用すれば、コールセンターの稼働時間外でもデジタルチャネル上で即時対応が可能となり、顧客を「待たせない」24時間体制を実現できます。
電話対応においては、AIが通話終了後に内容の要約を自動で作成します。手作業による後処理の時間が削減され、オペレーターがより迅速に次の顧客の対応に移れるようになります。
さらに、AIは大量の顧客データを管理・分析し、オペレーターが参照できる正確な情報を瞬時に提供します。その結果、応答品質が向上し、シームレスな体験を通じて顧客満足度を高められます。
顧客体験の向上については、下記記事もご参照ください。
CX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)とは?意味・戦略・測定・分析
オペレーターの業務効率化と生産性の向上
AIと自動化により、コールルーティングのような時間のかかるルーチンワークを自動で処理できるため、サポート担当者はより複雑で価値の高いコミュニケーションに集中できます。
例えば、コールセンターのオペレーターには通話後に「後処理」という作業があり、通話内容の要約やCRMへの対応履歴の入力などを行っています。AIなら自動的に通話を要約し、通話記録を作成するため、後処理の時間を大幅に短縮し、他のタスクに割り当てることが可能です。
このようなAI搭載ツールを活用することで、カスタマーサポートチームが迅速かつ効率的に正確な回答を提供する能力が強化され、オペレーターの生産性向上に寄与します。
コスト削減とスケーラビリティ向上
よくある問い合わせに対してはAIを活用して顧客をデジタルチャネルへ誘導すれば、コールセンターの呼量(入電数)を大幅に削減できます。オペレーターのリソースに余裕が生まれるため、複雑な問題解決には、顧客が最も好むチャネルである電話を効率的に活用することが可能です。
さらに、AIは人材育成のコスト削減にも貢献します。AIによる通話記録の自動分析は、マネージャーの品質管理を自動化し、オペレーター一人ひとりにパーソナライズされたフィードバックを提供することができます。また、AIがリアルタイムで解決策を提案することで新人のトレーニング時間を短縮し、オンボーディングを迅速かつ効率的に行えるようになります。
データドリブンな業務改善・マーケティングへの活用
AI活用によって、大量の顧客とのやり取りのデータ(通話、チャットなど)を自動で記録、蓄積し、分析することが可能になります。これにより、従来の定量データに加え、定性的な情報(顧客の感情、共通したニーズなど)の分析も容易になります。例えば、録音された通話を自動で文字起こしし、そこから顧客の真のニーズを抽出できます。
また、AIを活用した品質管理(QA)ツールは、オペレーターと顧客との全やり取りを自動的に分析し、否定的または肯定的な感情を持つ会話を特定します。これにより、顧客の解約リスクなどを事前に察知することが可能です。
さらに、AIを搭載したWFM(ワークフォースマネジメント)ツールは、過去のデータを分析して将来の仕事量を予測し、必要な人員配置やシフト調整を最適化します。このインサイトを活用することで、コールセンターはリソース配分を改善し、戦略的な業務改善やマーケティング施策の立案に役立てられます。
BCP・リスク対応力の強化
AI活用は、コールセンターのBCP(事業継続計画)とリスク対応力も強化します。一部の顧客対応をAIによるチャットボットや自動音声応答(IVR)で自動化しておくことで、地震や感染症などの災害が発生し、従業員が出社できず業務が中断した場合でも、コールセンターとしての機能を部分的に維持できるからです。
特に、頻度の高い定型的な問い合わせや緊急性の高い情報提供などはAIが継続して担うため、サポート体制の急激な機能不全を防ぎ、重要な顧客対応を継続できる体制を構築できます。
コールセンターでのAI活用におけるデメリット・課題
一方で、コールセンターでのAI活用には以下のようなデメリットや課題も存在します。導入を検討する際は、これらを十分に理解しておく必要があります。
・複雑な問題への対応限界:AIは定型的な問い合わせには強みを発揮しますが、複雑な状況判断や例外的なケースでは対応が難しい場合があります。顧客の感情に寄り添った柔軟な対応や、複数の要素が絡み合う問題の解決には、依然として人間のオペレーターの介在が重要です。
・初期導入コストと学習期間:AI導入には初期費用がかかり、システムによっては自社の業務に最適化されるまでに一定の学習期間を要する場合があります。導入するAIの種類や機能によって、効果が出るまでの期間は異なります。
・顧客の抵抗感:一部の顧客、特に高齢者層やデジタルに不慣れな層は、AIとのやり取りに抵抗感を持つ場合があります。人間のオペレーターへの切り替えオプションを用意するなど、顧客の選択肢を確保することが重要です。
・ハルシネーション(誤情報生成)のリスク:生成AIは、事実と異なる情報を生成する「ハルシネーション」のリスクがあります。特に製品仕様や契約内容など正確性が求められる情報については、人間によるチェック体制が不可欠です。
・セキュリティ・プライバシーへの配慮:AIが大量の顧客データを処理するため、情報漏洩やプライバシー侵害のリスクに対する万全な対策が求められます。
これらの課題を認識した上で、AIと人間の役割分担を明確にし、段階的に導入を進めることが成功の鍵となります。
コールセンターにおける主なAI活用シーン
CXリーダーは、カスタマーサポートにAIを活用する新しい方法を絶えず探しています。コールセンターにおける代表的なAI活用シーンをいくつかご紹介します。
チャットボット/ボイスボットによるAI自動応答
Webサイトに埋め込まれたAIチャットボット・AIエージェントやボイスボット(音声自動応答)などのデジタルチャネルを提供することで、顧客は定型的な質問や一般的な問題に対し、自動で即時に回答を得られます。これにより、顧客は人間のサポートを待つことなく、自己解決が可能となります。
この仕組みの鍵となるのが、ナレッジマネジメントの強化です。AIを搭載したナレッジベースツールがあれば、顧客対応のデータをもとにヘルプセンター(FAQ)の不足トピックを提案したり、更新が必要な記事を特定したりすることで、ナレッジベースの鮮度と正確性を維持します。
またZendeskの生成AIツールは、AIが箇条書きから記事を自動作成したり、トーンを統一したりでき、情報の一貫性を確保し、顧客が正確な情報に素早くアクセスできる環境を整えます。その結果、入電数が減少し、コールセンターチームの負荷軽減につながります。
ナレッジマネジメントの重要性については、下記記事で詳しく解説しています。
ナレッジマネジメントとは?意味や導入手順、AIの活用法まで徹底解説
チャットボットの活用については、下記記事もご参照ください。
インテリジェントルーティング・IVRによる最適な着信振り分け
AIを活用したインテリジェントルーティングとIVR(自動音声応答)は、顧客体験を向上させ、通話時間を短縮する重要な手段です。AIが顧客の問い合わせ内容をリアルタイムで分析し、オペレーターのスキル、専門知識、対応可能な言語、過去のやり取りといった要素に基づき、顧客を最適なオペレーターへ直接案内します。これにより、たらい回しを防ぎ、顧客の待機時間を最小限に抑えられます。
オペレーター支援AI(レコメンド・スクリプト表示・感情分析)によるサポート
AIは、NLP(自然言語処理)を通じて、通話中の言葉遣いやトーン、言語パターンをリアルタイムで分析し、顧客の意図や感情(肯定的、否定的、中立的)を検出します。AIがこの感情を瞬時にオペレーターに伝えることで、オペレーターは速やかに状況を把握し、声のトーンを調整したり、事前準備を整えたりできます。
また、AIは顧客の発言内容に基づき、関連性の高いナレッジ記事や推奨される製品・サービスをレコメンドとして画面に表示し、オペレーターの回答を支援します。問題発生時にはアラートを出すことも可能です。特に強く否定的な感情が検出された場合、AIはこれを自動で察知し、マネージャーへの通知や、より専門的なチームリーダーへの自動エスカレーションを実行します。これにより、問題の悪化を防ぎ、より迅速かつ積極的なサポートが可能となり、優れたCXの提供につながります。
カスハラ検知とオペレーター保護のためのアラート機能
AIは通話中の言葉遣いやトーン、否定的な感情の度合いをリアルタイムで分析し、ハラスメントに該当する可能性が高い状況を即座に特定できます。これにより、AIは自動でアラートを発動し、オペレーターやマネージャーに危険を通知します。
このアラート機能によってマネージャーが緊急時に介入できれば、オペレーターを精神的・身体的な被害から守ることが可能です。また、対応履歴にアラートが残ることで、後の適切な対処やエスカレーションにも役立ちます。
通話品質管理・研修・VOC分析への活用
AIによる通話記録を用いたVOC分析を通じて、問い合わせの傾向や頻出する問題、顧客の感情に関するデータ・知見を蓄積できます。マネージャーはこれらのデータに基づき、コールセンターの指標とKPI(主要業績評価指標)に沿ったデータドリブンな意思決定を行い、プロセスの強化を図ることが可能です。
さらに、AIは設定された目標や基準に基づき通話を評価し、オペレーターのパフォーマンス評価を行えます。ここで得られた客観的な情報によって、マネージャーは個々のオペレーターの改善点を特定し、トレーニングプログラムを効果的に調整できます。これらは徹底した品質管理およびオペレーターのパフォーマンスと顧客満足度の向上に寄与します。
通話後処理(文字起こし・要約・タグ付け)の自動化
自然言語処理(NLP)を活用したAIアルゴリズムは、会話内容を分析し、重要なポイントやトピック、詳細情報を特定します。この分析に基づき、AIは顧客の苦情、解決策、必要なフォローアップなどの情報を強調した簡潔な通話要約を自動で作成します。さらに、AIを搭載した通話記録ツールは、録音された通話やリアルタイムの会話を正確な文字に変換し、通話記録全文を自動で提供することが可能です。
これらの生成AIによる要約と通話記録は自動的に行われるため、オペレーターは各通話を自力で要約する手間と労力から解放されます。結果として、後処理に費やしていた時間を他のタスクに割り当てられ、生産性が大幅に向上します。
コールセンターへのAI導入手順
コールセンターへのAI導入は、適切な手順を踏めば決して難しいものではありません。近年はクラウド型のAI搭載コールセンターシステムが普及しており、初期費用を抑えながら段階的に導入を進められるようになっています。ここでは、コールセンターにAIを導入するための一般的な手順をご紹介します。
1. 現状分析と導入目的・KPIの明確化
AI導入の第一歩は、自社コールセンターの現状を正確に把握することです。現在の呼量、AHT(平均処理時間)、自動解決率、顧客満足度などの指標を整理し、どこに課題があるのかを明確にしましょう。
現状分析をもとに、AI導入によって達成したい目的を定義します。「問い合わせ対応の効率化」「顧客満足度の向上」「コスト削減」など、優先度の高い目的を絞り込み、それに紐づくKPI(重要業績評価指標)を設定します。目標値は自社の現状と業界水準を踏まえて現実的な数値を設定し、長期目標から逆算した短期・中期の目標も定義しておくと、導入後の効果測定がしやすくなります。
2. ベンダー選定とトライアル・効果検証
目的とKPIが明確になったら、それを実現できるAIソリューションを選定します。選定時には、自社の既存システム(CRM、CTIなど)との連携可否、セキュリティ要件、サポート体制などを確認しましょう。
多くのベンダーが無料トライアルを提供しているため、まずは小規模な範囲で試験導入し、自社環境での動作や使い勝手を確認します。本格的な検証が必要な場合は、費用と期間を確保したPoC(概念実証)を実施し、事前に設定したKPIに基づいて効果を測定します。この検証結果をもとに、本格導入の可否を判断しましょう。
3. 段階的な導入とオペレーター研修
本格導入にあたっては、いきなり全業務に展開するのではなく、リスクの低い領域から段階的に導入を進めることが重要です。例えば、まずはFAQを用いたチャットボット・AIエージェントの自動応答や通話後の要約機能など、定型的な業務から始め、効果を確認しながら適用範囲を広げていきます。
同時に、オペレーターへの研修も欠かせません。AIツールの操作方法だけでなく、AIはオペレーターの業務を代替するものではなく支援するものであることを丁寧に説明し、不安を解消しましょう。AIによって生まれた時間を、より複雑で価値の高い顧客対応に充てるという役割を理解してもらうことで、現場での活用が促進されます。
4. 継続的な効果測定と改善サイクルの構築
AI導入はゴールではなく、継続的な改善の出発点です。導入後は、自動解決率、AHT、顧客満足度などのKPIを定期的にモニタリングし、現場のオペレーターやマネージャーからフィードバックを収集しましょう。
収集したデータとフィードバックをもとに、AIの応答精度やワークフローを継続的に改善していきます。顧客の問い合わせ傾向やビジネス環境の変化に応じてチューニングを行うことで、AIシステムは常に最適な状態を維持でき、長期的にコールセンターの効率と顧客満足度の向上に貢献します。
AI導入時の注意点
メリットの多いAI活用ですが、適切に導入しなければ期待した効果を得られない可能性があります。注意すべきポイントは3つです。
段階的に導入する
AIや生成AIにカスタマーサポートのすべてを完全に任せることはできません。AIはあくまで人間のサポート役として位置づけ、まずは問い合わせの一部やルーチンワークなど、リスクの低い業務に部分的に導入することが賢明です。
段階的に導入していけば、システムへの習熟度を上げながら、予期せぬエラーや顧客対応への影響といったリスクを抑えられます。また、効果を確認しながら徐々に適用範囲を拡大することは、導入の成功率を高めることにもつながります。
導入・運用コストの把握とROI(投資対効果)の検討
ROI(%)は「(AIがもたらす効果(利益)÷投資費用)×100」で算出します。主な効果は、AIによる呼量削減やAHT短縮による人件費削減額、およびCX向上による売上増加額です。これらと、システム導入費、月額利用料、開発・連携費用などのコストを比較しましょう。
この試算は単なる初期費用だけでなく、長期的な運用コストや得られる利益を評価するものです。そのため、投資の妥当性も判断できます。
セキュリティ対策と個人情報保護の徹底
AIは大量の顧客データを取り扱うため、セキュリティ対策と個人情報保護を徹底しなければなりません。特に生成AIの導入においては、顧客の機密情報や個人情報をAIに渡さないためのマスキング処理が不可欠です。また、通話データなどがAIの学習データとして流用されないよう、利用環境の分離や強固なアクセス制御を構築しなければなりません。録音データの利用目的の特定と公表や、本人からの同意取得なども必要です。
さらに、AIのリスク(ハルシネーションや情報漏洩)について従業員への教育を徹底し、AIの誤用を防ぐ体制を整備しましょう。これにより、顧客データのセキュリティや信頼性が担保されます。
【2026年版】コールセンターのAIトレンド
次に2026年に予想される、コールセンターにおけるAIのトレンドをいくつかご紹介します。
CXリーダーの多くがAI投資を加速
ZendeskのCXトレンドレポート2026年版によると、CXリーダーの79%が「今後1年でカスタマーサービス向けのAIテクノロジーへの投資を増やす」と回答しています。また、71%が「過去12か月のカスタマーサービス向けのAI投資でプラスのROIを達成した」と答えており、AI活用の効果が実証されつつあります。
今後は、生成AIを含むAI技術の業務への統合がさらに加速し、オペレーター支援や顧客の自己解決促進など、具体的な成果に結びつくユースケースへの投資が主流になるでしょう。AIの力を最大限に引き出すための戦略と実行力が問われる一年となります。
AIエージェントの高度化
従来のチャットボットは、あらかじめ設定されたシナリオに沿って定型的な応答を返すものが主流でした。これに対し、AIエージェントは生成AIや自然言語処理の進化により、顧客の意図を理解し、複雑な問い合わせにも対応できるよう高度化しています。単なる応答生成にとどまらず、顧客の根本的な課題を解決するために、一連の問題解決プロセスをナビゲートできる点が特徴です。
このようにAIが担う役割が拡大するにつれ、その判断に対する透明性への関心も高まっています。CXトレンドレポート2026年版によると、消費者の92%が「AIが下した判断には説明を求める」と回答しています。AIが重要な判断を下す場面が増えるにつれ、顧客やオペレーターからその判断理由(説明可能性)を求める声も高まっています。
初回解決の重要性がさらに高まる
CXトレンドレポート2026年版では、CXリーダーの81%が「チャネルを問わず、初回問い合わせで問題を解決できないブランドからは顧客が離れる」と回答しています。消費者の72%も「たった一度の悪いサービス経験で競合他社に乗り換える」と答えており、初回解決(FCR:First Call Resolution)の重要性がかつてないほど高まっています。
CXリーダーの67%は「AIは初回応答と完全解決までのスピードを大幅に加速させている」と回答しており、AI活用が初回解決率の向上に直結することが示されています。
音声AIとオムニチャネルのシームレスな統合
音声AIの技術は急速に進化しており、自然な会話を通じて音声通話での問い合わせを最後まで自動で完結できるソリューションが登場しつつあります。従来のIVR(自動音声応答)のような定型的なメニュー選択ではなく、顧客が自由に話しかけるだけで、AIが意図を理解し適切な対応を行えるようになってきています。CXトレンドレポート2026年版によると、CXリーダーの58%が「音声AIは顧客体験を大きく進化させられる水準にようやく達しつつある」と回答しています。
また、音声チャネルとチャット、メールなどのデジタルチャネルを統合し、顧客がチャネルを切り替えてもサポートを最初からやり直す必要のない、シームレスなオムニチャネル体験を提供する動きも加速しています。消費者の55%が「AIによって、電話・メール・チャットなど複数チャネルにまたがるシームレスなやり取りへの期待が高まった」と回答しており、AIをあらゆる顧客接点の中心に置くことで、こうした期待に応える一貫性のある顧客体験の実現が可能になります。
マルチモーダルAIの台頭
CXリーダーの65%が「サービス領域における次のAIの波はマルチモーダルエージェントである」と回答しています。マルチモーダルAIとは、テキストだけでなく画像・動画・音声など複数のメディアを理解し処理できるAIを指します。
消費者の76%が「画像や動画などのメディアを共有できれば、それだけでサポートを受けやすくなる」と答えており、顧客ニーズとの合致も明らかです。CXリーダーの64%は「マルチモーダルAIは、人間がテキストだけでは説明しづらい複雑な不具合や問題の原因特定を自動化できる」と期待を寄せています。
コールセンターのAI活用に役立つ関連ツール
コールセンターでAIを活用する際、あらかじめ知っておきたい関連ツールについてご紹介します。
CRM(顧客関係管理)ツール
CRM(顧客関係管理)ツールは、顧客とのすべてのやり取りや情報を一元管理するシステムです。AIが効果的に機能するためには、このCRMに蓄積された過去の購買履歴や問い合わせ履歴、基本情報といった質の高い顧客データが不可欠です。
AIがCRMデータにアクセスすることで最適なレコメンドやパーソナライズされた応答が可能となり、オペレーターはより深く顧客を理解した上で対応できます。CRMは、AIによるデータドリブンな意思決定とシームレスなCXの実現を支える要のツールです。
CRMについては、下記記事で詳しく解説しています。
CRM(顧客管理)の基礎知識 今さら聞けないCRMの基礎とメリットを徹底解説
CTI(コンピューター電話統合)システム
CTI(コンピュータテレフォニーインテグレーション)システムは、コンピューターと電話システムを統合する技術です。コールセンターの基本インフラであり、電話の着信時に、顧客の電話番号をトリガーとしてコンピューター画面に顧客情報(CRMデータなど)を自動でポップアップ表示することを可能にします。これにより、オペレーターは顧客を待たせることなく、円滑に会話に入ることができます。
CTIは、AIによるインテリジェントルーティングや通話記録の正確な連携の基盤となり、オペレーターの業務効率化と顧客体験の向上に不可欠なシステムです。
WFM(ワークフォースマネジメント)ツール
WFM(ワークフォースマネジメント)ツールは、コールセンターの人員配置を最適化するためのツールです。AIを活用して過去のデータや将来の問い合わせ量(呼量)を正確に予測し、必要なオペレーターの人数を算出し、スキルや習熟度に基づいた最適なシフトスケジューリングを自動で行えます。
WFMツールは、人員の過不足による機会損失や人件費の無駄を削減し、オペレーターの満足度向上にも貢献するでしょう。AIによるデータドリブンな運営を実現する上で、重要な役割を果たすツールです。
生成AIツール
コールセンターにおける生成AIツールは、業務効率と品質の向上に貢献します。オペレーターの対応中に、顧客の発言内容や問い合わせ履歴をもとに最適な回答候補やトークスクリプトをリアルタイムで提示し、応対を支援します。これにより、経験の浅いオペレーターでも一定の品質を保った対応が可能になり、ベテランとの応対品質の差を縮められます。
また、顧客対応のデータを活用し、FAQ記事やナレッジベースの草案を生成する用途にも活用できます。新しい問い合わせパターンが増えた際にも、ナレッジの整備を迅速に行えるため、情報の鮮度を維持しやすくなります。
よくある質問と回答
まとめ
コールセンターでAIを活用することで、企業は人員を増やすことなく、より多くの問い合わせを処理し、優れたCXをより容易に提供することが可能です。生成AIやAIチャットボット、通話の要約と通話の記録、データ分析などの機能により、CXをワンランク上のレベルに引き上げられます。
Zendeskはこのような機能をすべて備えているだけでなく、他にもさまざまな追加機能をご用意しております。ZendeskのAIは、数十億にもおよぶ実際のカスタマーサービスデータを使用してトレーニングされており、導入初日から利用可能です。
AIを活用したナレッジマネジメント、インテリジェントなルーティングとトリアージ、感情分析など、コールセンターの進化に必要なあらゆる機能が揃っています。今すぐZendeskの無料トライアルをお試しください。
