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AIエージェント: AIを駆使したインテリジェントなサポートに備えて
AIエージェントは顧客が抱える複雑な問題さえも理解し、解決に導けます。 このガイドでは、顧客満足度の向上やサービス提供の効率アップ、収益の増加においてAIエージェントが果たせる役割について解説します。
著者: Hannah Wren, スタッフ執筆
更新日: 2024年9月24日
AIエージェントとは?
AIエージェントとは、AIを搭載したボットであり、単純な問い合わせから複雑な問題まで、さまざまな顧客からのリクエストに自律的に対応し、解決できます。 また、顧客の問い合わせの内容と接触時の感情を自動的に把握し、問い合わせの応答から解決までのプロセスを担います。 AIエージェントは従来のボットの能力を上回り、自力で業務を遂行できるだけではなく、人間のサポート担当者と協力することも可能です。
TaskRabbitをご存知でしょうか?仕事を探しているフリーランス事業主と仕事の依頼者を結び付けるオンラインマーケットプレイスです。 同社のカスタマーサービス部門への問い合わせは海外市場への進出に伴って60%増加し、1か月に15万8,000件のチケットに対処しなければならなくなりました。 しかし、TaskRabbitのサポートチームはAIエージェントを活用することで急増した問い合わせに効果的に対処し、高い顧客満足度を維持することに成功しました。
できることが限られており、顧客を苛立たせることがある従来のチャットボットとは異なり、AIエージェントは人間のサポート担当者に近いサービスを提供できます。 また、顧客の問い合わせの内容や感情を即座に理解し、状況に応じてサポートすることが可能です。 日本を含む世界の消費者やビジネスリーダーを対象にしたCXに関するZendeskの年次調査であるCXトレンドレポート2024年版では、企業の69%が「生成AIはデジタルチャネルで顧客に寄り添った対応を行う上で役立つ」と回答しています。 さらに、消費者の53%は「数年後にはAIエージェントとのやり取りを望むようになる」と回答しており、その理由としてミスが起きないことを挙げています。
AIエージェントは、複雑な問題を自律的に解決する能力を備えているだけではなく、人間のサポート担当者と円滑に協力できるため、顧客に加えてサポート担当者や管理者にとっても有益です。 このガイドでは、AIエージェント時代の到来に備えて、AIを活用したインテリジェントなサポートを深く掘り下げて説明します。
このガイドの詳細:
AIエージェントの仕組み
顧客が質問をすると、AIエージェントは自動的に質問の意図を認識します。 つづいて、トピックにもとづき、AIエージェントは企業のナレッジベースで情報を探すか、状況に応じて対応する必要があるトピックについては、対話によるやり取りを通じて解決に導きます。
AIエージェントは、機械学習(ML)アルゴリズム、自然言語処理(NPL)、大規模言語モデル(LLM)など、さまざまなAIテクノロジーを用いてCXデータをもとにトレーニングを実施し、応答の品質を継続的に向上・強化しています。 ただし、仕組みや構成要素は各AIシステムによって異なります。 AIをカスタマーサービスに役立てるには、カスタマーサービス専用のAIが最適です。 即座に顧客の要望を理解し、人間のサポート担当者と効果的に協力して解決策を提示できるのは、数十億もの顧客とのやり取りでトレーニングされたAIだけです。
たとえば、業界をリードするZendesk独自のAIモデルは、CXに特化しており、顧客に寄り添って関係を育むことを考慮して設計されています。 また、コーディングやIT部門の支援を必要とせず、導入後すぐに質の高いカスタマーサービスを提供でき、状況に応じた正確なサポートを実行できます。
AIエージェントの種類と用途
AIエージェントは汎用性が高く、さまざまな用途に適用できます。 以下の表で、AIエージェントの種類と活用例をご確認ください。
AIエージェントの種類 | 用途 |
---|---|
カスタマーサービス | AIエージェントはよくある質問への回答やトラブルシューティングのほか、返金処理も可能であり、人間のサポート担当者は顧客との関係強化に注力できます。 |
ITサポート | AIエージェントはパスワードの再設定やVPN接続などの技術的なトラブルシューティングに対応できます。また、単純な繰り返し作業を自動化することも可能です。 |
人事サポート | AIエージェントは福利厚生や会社の方針などに関する社員からの質問に答えられるほか、オンボーディングや求人応募者の事前審査を自動化できます。 |
営業およびマーケティング支援 | AIはリアルタイムのデータや顧客の過去の行動・購入履歴を参考にして、新製品やアップグレードを推奨できます。 |
医療 | 予約管理や健康に関する基本的な質問への回答をアシストできるほか、病状に応じて適切な診療科や部門に対応を引き継ぐことができます。 |
金融 | 不正検知の自動化や顧客の嗜好・状況を考慮した投資の提案、さらにローン申請プロセスの合理化などに活用可能です。 |
小売およびeコマース | AIエージェントは注文の追跡や顧客一人ひとりの状況に合わせたステータス更新、返品用ラベルの即時作成、製品に関する質問への回答、購入履歴にもとづく商品の推奨、購入体験のパーソナライズなどに活用できます。 |
旅行 | AIエージェントは航空券やホテルの予約を支援でき、旅行に関する質問への回答、顧客の要望を取り入れた旅程の提案にも利用できます。 |
電気通信 | AIエージェントは、ネットワーク障害時に個々の顧客の状況を考慮した上で速やかに対応し、問い合わせの削減に寄与します。 |
娯楽サービス | サブスクリプションサービスで利用可能なコンテンツに関する質問への回答などに利用可能です。 |
AIエージェントの活用方法
近年、自律的に行動するAIエージェントの導入に踏み切り、カスタマーエクスペリエンスおよび従業員エクスペリエンス(EX)の大幅な向上を目指す企業が増加しています。 以下に、AIエージェントの導入が、顧客やサポート担当者、管理者に加えて最終的に組織全体に与える便益を具体的にいくつか挙げていきます。
- 効率と生産性の向上: AIエージェントは人間のサポート担当者の支援なしで独力で複雑なリクエストに対処できるため、サポートチームはより重要な仕事に集中できます。 また、情報収集や未対応のチケットの整理に加えて、対応後の顧客満足度アンケートの送信、ユーザーの認証など、人間のサポート担当者の負担を軽減する上でも効果的です。
- 24時間年中無休のサービス提供: AIエージェントは24時間年中無休でサポートを提供できるため、居住地のタイムゾーンに関係なく顧客はいつでも問題の解決を前提とした支援を受けられます。 そのため、顧客満足度と顧客ロイヤルティが向上し、企業は成長期や繫忙期であってもコストを抑えながら増加する問い合わせに対処できます。
- パーソナライゼーションの強化: AIエージェントはバックエンドシステムと連携して、購入履歴や顧客の好み、行動などの顧客データを用いて顧客に応じた対応を行います。 さらに、問い合わせの目的や顧客の感情など、顧客に関する重要な情報を人間のサポート担当者に送信できます。この情報は顧客のニーズに合わせてレスポンスを調整する際に役立ちます。
- 実用的な知見を提供: AIエージェントは高度な分析機能を備えており、顧客との会話からトレンドやサポート業務において改善の余地のある領域を特定できます。 また、適切な対応が可能な問い合わせを具体的に提案可能なため、管理者が自動化に適したタスクを特定して、顧客のニーズに積極的に対応できる強みもあります。
- 運用コストの削減: AIエージェントは顧客の要望の多くを自力で解決し、人間のサポート担当者の負担を大幅に軽減します。 その結果、運用コストを低く抑えられ、リソースを別の領域に投資できるようになります。
- 信頼性を重視: AIエージェントは適切な制御機能を備え、データの使用を最小限に抑えています。これは、高い精度と安全性を担保して顧客の質問に答えるためです。
また、自力で問題を解決できるだけではなく、人間のサポート担当者をアシストすることも可能であるため、効率的に問題を解決し、最終的にカスタマーエクスペリエンスの向上をもたらします。
AIエージェントが今後果たす役割
顧客とのあらゆるやり取りにおいて、AIが何らかの役割を果たす時代が間もなく到来します。今後、人間の関与なしでAIが問い合わせの80%を自律的に解決するようになると予測されています。 実際にAIエージェントは急速な進化を遂げ、また、誰でも使える環境が整いつつあるため、効率のために顧客との関係を犠牲にすることも、コストを抑えるために質を下げる必要もなくなります。 AIを搭載した適切なCXソリューションがあれば、コストを抑えつつ効率と品質を向上できます。
AIエージェントは日々進化を遂げており、データを活用して顧客とのやり取りをパーソナライズする能力を着々と高めています。 ZendeskのCXトレンドレポート2024では、生成AIテクノロジーを経験した消費者のうち75%が、「生成AIにより今後企業とのやり取りが変化する」と回答しています。 AIは継続的に学習を通じて発展します。カスタマーエクスペリエンスの向上に対するAIのポテンシャルは無限大です。
AIでカスタマーエクスペリエンスの品質向上を図る時代において重視するべきは顧客であり、顧客中心主義を徹底する必要があります。 したがって、AIソリューションを選択する際は、顧客の重要性を認識しているかどうかに注目しましょう。 まずは人間のような対応が可能なAIの能力を理解することが重要です。それが、積極性や効率に優れ、顧客に寄り添うことができるAIを活かしたサポートの出発点となり、顧客やサポート担当者、管理者を含む関係者全員へのメリットにつながります。
よくある質問
業界有数の自律性を誇るZendeskのAIエージェント
ZendeskのAIエージェントは業界トップクラスの自律性を備えたAIボットです。 顧客の要望を聞く段階から、解決まで一通り対処でき、最大で顧客対応の80%を担えます。 ZendeskのAIエージェントは他社のソリューションとは異なり、カスタマーサービスに特化し、顧客に寄り添った対応を念頭に置いて設計されています。つまり、複雑な質問を理解でき、速く、正確で、個々の状況に応じた対応が可能です。
また、顧客のニーズを事前に把握できるほか、日々進化を遂げ、品質を改善しています。しかも導入に技術的な知識は必要ありません。顧客中心主義にもとづくカスタマーエクスペリエンスをAIで実現するなら、ZendeskのAIエージェントの導入をお勧めします。