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生成AIに関する3つの注意点—ITリーダーが取るべき戦略

多くの企業が生成AIの導入を急ピッチで進めています。 これには様々な注意点が伴いますが、ITリーダーは適切に行動することで失敗を回避し、常に先を行くことができます。

著者: Jesse Martin, スタッフ執筆

更新日: 2023年11月15日

生成AIが普及し始めてから1年で、世界は大きく変わりました。 2月には、ChatGPTが最も急速に成長しているユーザーベースとして記録を樹立しました。 生成AIは身近な存在となり、今ではさまざまなテクノロジーのベースラインとして機能しています。 またテクノロジー分野にとどまらず、金融、製薬、アートの分野でも存在感を示しています。

生成AIの用途は今後もさらに広がり続けるでしょう。 私たちは今、当たり前だと思っていたテクノロジーやプロセスの変化を目の当たりにする、本当にエキサイティングな(そして変化の激しい)時代を歩んでいます。

ITリーダーは、自社製品に生成AIを組み込む方法を模索しています。 カスタマーサービスのチャットボットなどはわかりやすい使用例ですが、他のユースケースはよりクリエイティブで抽象性が高いものになります。 2023年Zendeskレポート(ITリーダー向け)によると、ITリーダーの80%が今後1年間で生成AI関連の予算を増やす予定であり、83%が生成AIで「今後2年以内の大幅な業務効率化」が実現すると考えていることがわかりました。

2023年に生成AIの可能性を切り開いた企業

多くの企業がこの1年間で生成AIを試用して、カスタマージャーニーを簡素化し、カスタマーエクスペリエンスをパーソナライズする方法を確立してきました。 このように盛り上がる一方で、AIを活用したエクスペリエンスの実現に向けて投資を行っていない企業は遅れをとっているように感じるかもしれません。 しかし、企業の成長とともに新たな可能性が切り開かれ、さまざまなアイデアを形にできるようになります。

  • TripAdvisorはAI搭載の旅程作成ツール「Trips」を導入し、旅行者がパーソナライズされたおすすめ情報を迅速に入手できるようにしました。
  • Wendy'sは一部のドライブスルーで生成AIを活用した音声認識を試験的に導入し、注文プロセスの自動化と簡素化を図りました。
  • GoogleはGoogle検索の新機能として、一部のブランドで仮想試着機能を試験的に導入しました。買い物客はこの機能を使用すると、体型や肌の色が異なるさまざまなモデルに服を試着させて画面上でフィット感を確認できます。
  • バイオテクノロジー企業のEtcemblyは、自社開発の大規模言語モデル(LLM)を使用して免疫療法薬を開発しました。
  • Spotifyは「DJ機能」の提供を開始しました。この機能では、AIが生成したリアルな音声を交えながらユーザーの好みに合う曲を自動選択して、パーソナライズされたリスニング体験を実現します。

一部のブランドがデータを活用してパーソナライズされたAI拡張型のエクスペリエンスや製品を生み出す一方で、多くの企業は時代に取り残されています。 Wiredの記事では、生成AIの急速な普及によって窮地に立たされた企業のケーススタディの1つを取り上げて、消費者がChatGPTなどの試験的だが有能なツールを[好意的に受け入れた]ことで、この企業はわずかな期間で多くの顧客を失うことになったと述べられています。

これは決して他人事ではありません。 生成AIの強烈なパワーはテクノロジーからアートに至るまであらゆる分野に影響を及ぼしており、企業はこの劇的な変化に対応する必要があります。

生成AIを巡る競争が激化する中で回避すべき3つの落とし穴と対抗策

2023年のZendeskレポート「セキュリティ、AI、CXの新規の課題に挑むITリーダー」では、急速に変化する環境下で競争力を維持するために、ITリーダーが回避すべき3つの一般的な落とし穴を明らかにしました。

1. 不確定な方向性と優先順位

本レポートの調査対象となったITリーダーの半数以上が、AI環境の急速な変化によって競争力を維持し続けるのが難しくなっていると懸念を示しています。

ある企業のデジタルおよび情報技術分野の最高責任者は、「テクノロジーを応用したいのですが、自社のビジネスで生成AIを活用する方法がよくわかりません」と述べています。

生成AIが圧倒的なスピードで進化し続ける中で、ITリーダーの多くがCXにおける生成AIの可能性に期待しています。 調査対象となったITリーダーの83%は、カスタマージャーニー全体における生成AIの活用が、今後1年間でより重要になると考えています。

詳しくはこちら: カスタマーサービスチームにとっての有意義なAI活用方法

2. 低品質なデータと準備不足の技術スタック

ITリーダーはデータの品質に不安を抱いており、調査対象となったリーダーの60%が、自動化に向けてAIモデルを効果的にトレーニングするために高品質なデータを大量に収集してラベルを付けることが困難だと述べています。 また調査回答者の半数弱が、自社の技術スタックへの生成AI導入に不安を感じています。

独自のデータを活用してパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを提供できるのは一部の強力な企業だけで、実際には多くの企業がプライバシーやセキュリティのリスクを懸念してアイデアを実行に移すことができていません。 しかし信頼できるベンダーと提携すると、企業はデータプライバシーを侵害する危険を冒すことなく、自信を持ってカスタマーサービスアプリケーションに生成AIを実装できます。

レポートを読む: カスタマーエクスペリエンスにおけるデータプライバシーとパーソナライゼーションのバランスを取るには

3. ITチームのスキル格差

多くのITリーダーは、自社のITチームのスキルが十分ではなく、生成AIを使いこなす段階にないと感じています。

ある企業の最高情報技術責任者は、「当社は大企業ではないので、 社内にデータサイエンティストのスキルを持つスタッフがいません。 今のメンバーでどのようにシステムを拡張できるかを知りたいのです」と述べています。

ITリーダーの57%は、新たなAIテクノロジーに関するスキル格差を感じていると回答しています。一方で競争力の高い企業は、信頼できるパートナーと戦略的に協力してこの格差を解消し、自社の分野で生成AIの可能性を形にしようとしています。

一般的に生成AIの導入には長い時間がかかりますが、生成AIを活用したソリューションの多くはすぐに業務に活用できるようになります。 例えば既存のナレッジベース資料でトレーニングされた生成AIボットを導入すると、ボットで顧客からの問い合わせに対応し、すぐにサポート担当者の負担を軽減できます。

詳しくはこちら: カスタマーサービスにおけるChatGPTの能力と限界

カスタマーサービスにおけるAIの概要

市場では現在、多くの企業がAIを活用した製品やサービスを提供しています。 ただし、特定のプロセスの実現には専門的な知識と経験が必要です。 ZendeskのAIは実際のカスタマーサービスで行われた何十億ものやり取りにもとづいて構築されており、顧客に直接関わる業務だけではなく裏方での業務に関しても、カスタマーエクスペリエンスを向上させる具体的なアプリケーションを提供します。

カスタマーサービスにおける生成AIの詳細については、こちらをご確認ください。生成AIを搭載したZendeskの全製品をご覧いただけます。