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ナレッジマネジメントとは?企業で知識を共有し、活用する手法

企業の持つさまざまな知識を見つけ、共有し、そして、知識から利益を得る上で役立つ手法「ナレッジマネジメント」について解説します。

発行日: 2021年5月21日
更新日: 2021年5月21日

    ナレッジマネジメントとは?

    ナレッジマネジメントとは、ビジネスのあらゆるシーンで情報を収集し、整理し、共有するための手法のことです。またナレッジマネジメントツール・システムは、この取り組みを実現するためのテクノロジーのことを指します。

ナレッジマネジメントは、カスタマーエクスペリエンスを向上させる近道の一つとしてよく使用されます。例えばセルフサービス型サポート1つであるポータルサイトは、ナレッジマネジメントの一例です。

セルフサービス型ポータルは、顧客が抱える単純な問題を顧客自身で解決できるため、多くの企業で採用されています。パスワードの変更や返品ラベルの印刷など、1対1のサポートを必要としない場合に非常に効果的です。

一方、ナレッジマネジメントは社外の顧客だけではなく、社内の従業員にも役立ちます。企業がナレッジ中心型の組織になると、製品、経験、秘訣などの情報はチームや部門を超えて幅広く共有できるようになります。ナレッジを共有するという文化を形成すると、仕事に役立つ企業の知恵や知識、経験を誰もが平等に利用できるようになります。

さらに誰もが何らかの形でそのナレッジの蓄積に貢献できます。ナレッジマネジメントに含まれる知識の種類には、次のようなものがあります。

  • ヘルプセンターの記事の熟知:顧客の自己解決に役立つだけではなく、サポート担当者が顧客をサポートする際にも役立つ一般的な問い合わせ内容とその回答を提供する記事
  • カスタマーサポートチームからの提言:カスタマーエクスペリエンスに悪影響を与えるバグや設計上のミスなどに関する情報
  • コミュニティマネージャーやモデレーターからのアドバイス:ユースケースに合わせて製品をカスタマイズする上で役立つ情報など
  • 各製品のエキスパートが教える情報:テクニカルライターが公式の製品ドキュメントを作成する際に役立つ情報
  • 製品の最新情報:各製品チームが提供する新しい機能についての情報など
  • インタビュー、調査結果、カスタマーサクセスチームからのフィードバック、顧客ロイヤルティプログラムの感想など

ナレッジマネジメントの目的とは?

組織がナレッジマネジメントを確立を求める理由はたくさんあります。中でも重要なのは次の2点です。

  • 組織の知識を活用することで、業務を合理化できます。最適化されたナレッジマネジメントは、内部に存在する情報の垣根を取り除きます。知識は優れたセルフサービスの基本中の基本。そして優れたセルフサービスこそが、企業のサポートを拡大させるカギなのです。顧客に最新かつ適切なコンテンツを正しく提供すれば、カスタマーエクスペリエンスは向上し、競合他社に差をつけることができます。
  • 明確なプロセスを設けることで、他の手法では見落とされがちな「暗黙知」をはっきりと認識することができます。このプロセスにより、組織の全チームがワークフロー全体を通じて知識を活用できるようになります。

一方、ナレッジマネジメントは複雑な取り組みになる可能性があります。ナレッジマネジメントの仕組みを複雑なまま放置してしまうと、ビジネスにかえって深刻な悪影響を及ぼすことさえあります。ナレッジマネジメントに関するCustomer Contact Week Digitalのレポートは、最大の問題の1つとして情報の断片化を挙げています。

つまり、顧客やサポート担当者が、必要な時に必要な情報を見つけにくい、ということです。例えばサポートチームが、顧客から最も頻繁に受ける質問に対する正確で完全な回答、つまりサポートに最も役立つ優れた知識を収集しているとします。そして、チームにはヘルプセンターでコンテンツを見つけて公開するプロセスがあります。

チームが知る限り、ナレッジマネジメントはうまく進んでいるようです。その一方で、コミュニティマネージャーは、特殊なユースケースに対する有益なアドバイスを提供しているものの、小さなチームのほんの一握りのメンバーにしか提示されていないようです。あるいは、それぞれの製品やサービスに複数の情報が混在し、それらを正しくつなぐプロセスがないとします。

どれだけ情報が正しいとしても、これでは真の情報とは言えません。ナレッジマネジメントのメリットを最大限に活用するには、プロセスを常に把握することが不可欠です。

ナレッジマネジメントを導入するメリット

ナレッジマネジメントを導入するメリットをご紹介します。

  • 優れたナレッジマネジメントはカスタマーエクスペリエンスを向上させます。顧客はパスワード変更やよくある質問への回答など、簡単に解決できそうな問題には、FAQやヘルプセンターなどのセルフサービス型サポートの利用を希望しています。
    これは以前から知られていることでした。Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポートのデータを見ても、セルフサービス型サポートが優れたカスタマーエクスペリエンスに欠かせないことは明らかです。
    大切なのはスピード。問題がより早く解決する手段であれば、カスタマーはボットであろうとAIであろうと前向きに利用したいと考えています。
  • 優れたナレッジマネジメントはサポート担当者の業務効率を向上させます。顧客がセルフサービス型サポートを利用すれば、サポート担当者は大幅に時間を節約でき、優れたナレッジマネジメントがあれば、サポート担当者は部門の垣根を超えて協力することができます

    例えば、ある製品の発売から数か月後に、あるサポート担当者が製品や機能に関する明確な知識を持っていれば、将来の新製品や新機能について提案することができます。

    サポート担当者はすでに、自身の専門分野で複雑な問題を抱える顧客を1対1でサポートするだけの知識と経験を持ち合わせています。したがってサポート担当者の豊富な知的資本を活用することは、そのスタッフのキャリア形成と事業全体の両方に恩恵をもたらす可能性があります。

  • 優れたナレッジマネジメントは、内部の垣根を取り払います。組織に垣根があると、業務の効率化に役立つ情報を組織のメンバーが共有できなくなります。組織に1人だけ、美味しいお菓子を独り占めする人がいるようなものです。

    社内の誰かに毎回必要な情報を尋ねる状況を想像してみてください。それがセルフサービスになったら、どんなに楽でしょうか。

    この願望を実現するのが、ナレッジマネジメントです。チームや勤務地を超えて知識を可視化することで、組織全体で「美味しいお菓子」を共有することができます。

ナレッジマネジメントプロセスを確立させよう

ナレッジマネジメントプロセスを確立するための最初のステップは、協力者を集め、企業全体の賛同を得ることです。優れたナレッジマネジメントは、さまざまなチームのサポートに役立ちます。ナレッジ中心型の組織になるには、あらゆる部門からの参加者が必要です。

これには製品、IT、カスタマーサクセス、ドキュメント管理部門などが該当します。多くの参加者がいれば、ナレッジマネジメントの垣根が発生する前に防げるという利点もあります。最初から全員が同じ目的を共有しているため、必要性を感じる度にナレッジベースを参照する可能性も高まります。

こうしてナレッジマネジメントは、共通の利益と責任をもたらすのです。ドキュメントの責任者が主導となって管理が行われることもありますが、実際、効果的なナレッジマネジメントは彼らだけでは成り立ちません。ナレッジマネジメントを始めるためのベストプラクティスをご紹介します。

  • 定量的および定性的なナレッジマネジメントのKPIを特定します。チケットの削減や部門横断的なコラボレーションの増加などがこれにあたります。ただし、KPIは一律に設定できるものではありませんので、ビジネスにおけるナレッジマネジメントの目標に基づいて、何を計測するかを慎重に検討してください。
  • ナレッジマネジメントを推進するチームを立ち上げます。このチームにはブランドにふさわしく統一感のあるイメージとトーンを提供する「ナレッジエディター」、ナレッジマネジメント機能を部門横断的かつ戦略的に推進するためのサポートを行う「エグゼクティブスポンサー」、重要な知識の共有を行う個人の貢献者と関連する専門家が含まれます。
  • ナレッジマネジメントに役立つスキルを持つ人材を特定します。プロジェクト管理、コンテンツ管理、テクニカルライティングの担当者などが該当します。例えば、クリエイティブな問題解決能力やライティングスキルを持つサポート担当者、既存のナレッジマネジメントツールの熟練者、ナレッジマネジメントツールを用いて人と技術をつなぐことに高い関心と意欲のあるテクニカルライターなどです。組織の中から、これらのスキルを持つメンバーを集めれば、優れたナレッジマネジメントとチームのために貢献してくれるに違いありません。

ナレッジベース作成のベストプラクティス

次のステップはナレッジベースの設計です。ここではビジネスの種類に関わらず適用できる、最も重要なナレッジベースの設計戦略をご紹介します。

  • 複雑な知識をシンプルに、使いやすく問題解決に必要なステップを簡単な言葉でわかりやすく説明しましょう。ナレッジベースを参照してもわからないということがあれば、コンテンツの中身や書き方を見直す必要があります。
  • タイトルは簡潔にタイトルを簡潔にすることで、検索結果に記事が表示される可能性が高まります。
  • 時間をかけてナレッジを蓄積し、改善するナレッジベースを素早く柔軟なアプローチで維持し続けることで、常に最新かつ適切な情報を提供することができます。
  • チームが解析機能やAIを活用できるようにするナレッジベースを利用する顧客や社内ユーザーが増えると、有用なフィードバックの積み重ねにより、顧客とサポート担当者、部門を超えたチームは信頼性の高い正確なコンテンツを提供したり、利用したりできるようになります。
    またAIを導入すると、ユーザーがどの記事を見ているのか、何を検索しているかなどの傾向をより詳しく分析できます。
  • 使用するデバイスに関わらず優れたエクスペリエンスを提供する、レスポンシブデザインを導入しましょう。

最新のナレッジマネジメントツールは上記の全てを効率化します。スマートナレッジマネジメントソフトウェアとナレッジベースソリューションは、検索クエリに応じて自動的に関連記事を表示します。機械学習機能を搭載したナレッジベースソフトウェアソリューションは時間とともに精度が上がり、AIが提供する自動応答の質も向上します。

その他のテクノロジーも、ナレッジベースの維持管理を効率化したり、知識の提供者に記事の更新を促したり、知識の差異を統一したり、正確性や関連性を検証したりすることに役立ちします。

最後にナレッジマネジメントを導入した成功事例をご紹介します。Spartan Race、Vend、Khan Academy、Tescoといった企業は、ナレッジマネジメントシステムを採用することでサポートエージェントを強化し、コミュニティの力を活性化し、快適なカスタマーエクスペリエンスを実現しています。

セルフサービス機能を強化する!

顧客やエージェントを支援するスマートなナレッジベースの構築方法とは?