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小売業界にZendesk AIがもたらしたCXの変革とは?

Zendesk AIを通じて、時代に合ったCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)の提供や顧客一人ひとりの状況に応じた対応、および効率アップとコスト削減を実践している小売企業の取り組みをご紹介します。

著者: Subarna Ganguly, スタッフ執筆

更新日: 2024年8月30日

CX

小売業者は厳しい競争に晒されています。オンラインショッピングの人気がさらに高まるなか、小売業者は実店舗およびeコマースでのCXの見直しを迫られています。ここで役立つのがAIです。AIは新たなニーズに対応する手助けをし、費用対効果の面でも優れています。実際に、多くの小売業者がすでにAIを利用するメリットを享受しています。

AIは収集した莫大な量のデータをもとに業務を大幅に改善できるほか、新たなビジネスチャンスを導くことができ、AIが小売産業に革命的な影響をもたらすと言っても過言ではありません。小売産業におけるAIを用いたサービスは爆発的に増加するとみられており、現在の50億ドルから2028年には310億ドルを超える規模に達することが予想されています。初期にAIを取り入れた企業はより大きなメリットを得られ、なかでもNEXTとLiberty Londonは他社に先駆けてAIを積極的に活用しています。

Zendesk AIを使って世界で1,000万人の顧客をサポート

海外店舗を含む700の店舗でアパレルや靴、アクセサリー、生活雑貨製品を販売するイギリスの多国籍小売企業のNEXTは、127カ国に1,000万人以上の顧客を抱えています。NEXTは現代の顧客ならではのニーズに応じるため、着々と技術スタックを進歩させており、2022年には自社製のCRMソリューションに見切りをつけ、Zendeskを導入しました。

現在はZendeskのEnterprise Suite Plusを採用し、エージェントワークスペースやヘルプセンター、メール、チャット、SNS、Zendesk AIを活用しています。さらに、対話型プラットフォームのSunshine Conversationsを介して音声通話以外の問い合わせを統合しているほか、自社製のチャットボットをリアルタイムで接続しています。

Zendeskのソリューションの導入により、NEXTはCXの一貫性と効率を大幅に向上させ、平均処理時間(AHT)を15%短縮することに成功しました。Zendesk AIの導入が転機となり、導入後1年を待たずに抜本的な変化がみられました。

NEXTは、手始めに200人のカスタマーサービス担当者が対応するメールチャネルにAIを導入しました。その後、実践を通してさらに適用範囲を拡大していきますが、同社はAIを人の仕事を奪うツールではなく、有益な助言でサポート担当者を支える優秀なアシスタントツールと位置付けています。

「Zendesk AIの導入が成功したことで、私たちのビジネス全域において人工知能への信頼性が高まりました。Zendesk AIは当社にとっては評判通りの活躍をした初めてのAIツールでした」とNEXTのカスタマーコンタクトエクスペリエンステクノロジー部門を統括するRaz Razaq氏は述べています。

NEXTは次に大規模なモダナイゼーションを計画しており、このなかにはZendeskのインテリジェントトリアージの導入も含まれます。その際に懸念材料となるのがAIのデータプライバシーですが、Zendeskのコンプライアンスチームの協力の下、データの安全な使用と保存を可能にするソリューションを確立しています。

「Zendesk AIは頼りになる有能な副操縦士のような存在です。AIには、お客様の問い合わせを解決する当社の取り組みの質とチームの効率の向上、さらには顧客対応プロセス全体を刷新する力があると考えています」とNEXTでカスタマーサービスオペレーションズ責任者を務めるMatthew Hallam氏は述べています。

パーソナライゼーションで顧客に寄り添ったサービスを

Liberty Londonは150年以上の歴史を誇る、イギリスを代表する老舗の高級ブランドです。大手小売企業である同社は、プレミアムなCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)をすべてのサポートチャネルで提供することで知られていますが、その道のりは険しいものでした。オンラインセールスが売上全体の50%近くを占めるまで増加し、時代の流れに合ったサポート体制を至急整える必要がありました。

2015年、LibertyはZendeskの問い合わせ管理システムを導入しました。このシステムによって、社内共有のメール受信トレイに届いていたメールが、自動的にZendeskに転送されるようになりました。同社は次に、ZendeskのソフトウェアであるTalkを統合しました。これにより、Libertyはメールに使用していたプラットフォーム内で音声通話も一緒に管理できるようになりました。つまり、同じシステムですべての問い合わせデータを記録できるようになったのです。

また、サポート担当者は、Zendesk TalkのVoIP電話を使用することで、さまざまな端末で通話に対応できるようになりました。Zendeskのこれらの機能を活用して、同社はCXを徐々に向上させていきます。同社は次に、Zendeskの音声通話システムを導入しました。現在Libertyでは、Zendeskを通じて電話やチャット、メール、WhatsAppなどのメッセージングチャネルで顧客に対応しています。

さらに同社のCXチームはZendesk AIを利用して受信したチケット(問い合わせ)を自動的に分類し、適切なタイミングで適切なサポート担当者に割り当てているほか、インテリジェントトリアージ機能を活用して顧客の目的や感情、言語の特定とラベル付けを行っています。また、Zendeskの分析機能でパフォーマンスを把握し、今後はインテリジェントトリアージの利用を未解決のチケットの処理にも広げる予定です。

「AIを利用することで、あらかじめ問い合わせ内容について必要な情報をすべて把握した担当者がタイムリーに顧客対応しています。AIがパーソナルサービスを支える効果の大きさを実感しています」とLibertyでカスタマーサービスディレクターを務めるIan Hunt氏は述べています。

Liberty導入事例インタビュー動画 (英語音声。日本語字幕は下部のコントロールバーを「CC」をクリック)


Zendesk AIが小売企業のCXにもたらす効果

Zendesk AIを導入したLibertyは初回応答時間を73%、解決時間を11%短縮させただけではなく、顧客満足度を前年比9%増となる90%に伸ばすことに成功しています。また、Zendeskでセルフサービス(顧客の自己解決を促す仕組みやコンテンツ)を導入し、Libertyの顧客にも頻繁に使われるようになったことで、サポート担当者関連のコスト削減につながりました。さらには、専門的なスキルを持つ人材を反復的な業務から解放して、収益の増加や新しいセールス経路の開拓など、より複雑な案件に対応できるようにするのに役立ちました。セルフサービスは導入後の数か月間で合計2万1,461ドルのコスト削減を達成し、今もコスト削減に貢献しています。

一方、NEXTは現在Zendesk AIの「トーン変更」「文章の長文化や詳細化」「問い合わせの要約」機能を活用し、もともと評判が高かった品質評価において4%の向上を達成しただけではなく、メールの平均処理時間(AHT)を11%短縮させています。さらに、ワンタッチ解決率は驚異の92%を記録しています。

NEXTとLibertyの成功は、Zendeskを導入した企業がすぐに価値を実感し、行動や決断のスピードアップに加え、コスト削減を早期に達成できることを示すものです。Zendeskの導入により、LibertyがCXにおいてアジャイルリスクを取ることに積極的になった経緯について、Razaq氏は「Zendeskの利点は総所有コストだけではなく、 今までできなかったことを可能にする柔軟性です」と話しています。

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