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ありきたりの「良いサービス」では勝てない時代: 競合に差をつける3つの戦略

CX成熟度に関する最新の調査結果がまとまりました。多くの企業が停滞しており、トップレベルのカスタマーサービス組織でさえ、SLA達成と顧客満足度の維持に課題を抱えています。

著者: Jeff Titterton, Zendesk 最高執行責任者

更新日: 2023年1月5日

高まる不確実性と予測不能な市場に向き合う中で、カスタマーエクスペリエンス(CX)の成長過程を見極めるのは容易ではありません。投資に躊躇する企業もあることでしょう。「できれば今のままで何とかしたい」と考えられている方も多いことでしょう。それはリスクのある考え方です。

確かにサービスを取り巻く状況は単純ではありません。しかし、CXの優先度を下げたり、ビジネスの成長を促進する分野への投資を怠ることはできません。むしろ今こそ、関係性を重視した人と人との対話を大切にし、優れた体験を提供することに注力すべきです。

これは私(Jeff Titterton, Zendesk 最高執行責任者)ひとりだけの見解ではなく、カスタマーサービスに携わる世界の意思決定者およそ5,000人の知見をまとめた最新のレポート、CXチャンピオンへの道 2022によって裏付けられた知見です。この調査は、私たちのほとんどが直面する多くの課題を浮き彫りにしました。また、CXで業界をリードする企業が採用する戦略についても明らかにしています。企業はこれらの戦略により、高いサービスレベルを維持して顧客に有意義な体験を提供し、ロイヤルティを醸造して競合他社に差をつけています。

主要な調査結果

主要な調査結果、虫眼鏡

世界のリーダーたちはいずれも、私たち皆が直面している課題を指摘し、カスタマーサービス組織がいかに重要かを説いています。

  • 64%の企業が「カスタマーサービスは業績向上に直接貢献している」と回答
  • 60%の企業が「カスタマーサービスは顧客維持率を向上させる」と回答
  • 49%の企業が「カスタマーサービスはクロスセル収益を促進する」と回答

また調査の回答は、2021年以降に起こった変化についても重要な示唆を与えています。

  • 66%の企業が「顧客は低品質なサービスや対応の遅いサポートに我慢できなくなっている」と回答
  • 顧客満足度が「低下した」あるいは「大幅に低下した」と回答する企業が18%増加
  • トップレベルの「CXチャンピオン」企業であっても、未解決の問い合わせが前年より157%増加

「CXチャンピオンへの道」レポート

貴社のCX成熟度に基づいて、今後とるべきアクションをお伝えします。

CXへの投資は成長のチャンス

成長のチャンス、植物を持つ手

顧客の期待は高まり続け、それによるビジネスへの影響も強まっています。これをチャンスに変えることができれば、顧客に感動を与える企業となり、「生涯顧客の獲得」という大きな目標を達成できるかもしれません。レポートの調査対象となった企業は、CXへの取り組みや組織の成長においてはそれぞれ異なる段階にあるものの、必要な投資分野は次の3つであるという共通点が明らかになりました。

1. 有人対応と自動化のバランスを最適化する

人はボットと一緒に働くことができるのか。答えはもちろんYESで、むしろより好まれるアプローチといえます。このハイブリッド型サポートを取り入れれば、顧客は相手が人間のサポート担当者であろうと自動化されたボットであろうと、好きなときに、好きな手段で企業とやり取りすることができます。

チャットボットとAIは昨今のトレンドともいえますが、Zendeskの調査では、これらの導入には注意が必要であることが明らかになっています。導入を検討する企業のリーダーは、チャットボットの適切な役割、サポートチームとの連携方法、対話型体験を提供する理想的なカスタマージャーニーとは何かについて、まず理解を深める必要があります。

  • チャットボットと有人対応を組み合わせたサポート方式を採用している企業は新型コロナウイルスの大流行が始まった2020年時点でわずか52%だったのに対し、現在は64%
  • 顧客とのインタラクションを、形式的なトランザクション型サポート(単発の取引向けの対応)から関係性を重視した対話型エクスペリエンスへ移行させたいと考えるサポートチームの割合は、全体の89%

企業がとるべきアクション

  • チャットボットと有人対応を組み合わせたハイブリッド型サポートモデルを構築する
  • ボットからの引き継ぎと背景情報の取得をスムーズにするためのベストプラクティスを策定する
  • 競合他社との差別化をもたらす対話型CXを提供する

2. 重要なアプリのデータを統合する

データやシステムが分断され別々に機能していると、組織が縦割りになり包括的なパフォーマンスを発揮できません。こうした柔軟性やスピードに欠ける業務体制では、サポートチームがいくら顧客とのやりとりを収益につなげようとしても、なかなか成果が上がりません。

サポートチームと営業チームが効果的に連携できる仕組みを整えましょう。これによりサポートチームはすべてのタッチポイントで顧客エンゲージメントを高めることができ、営業チームはクロスセルやアップセルにつながるチャネルを増やすことができます。また社内で指標を共有し、問題を特定、追跡、改善することで顧客満足度の向上に全社的に取り組み、顧客離れを防ぐとともに顧客との永続的な関係を築くことができます。

企業がとるべきアクション

  • サポート担当者に適切なタイミングで適切な情報を提供する
  • データとシステムを一元化: データの量ではなく、質に注目する
  • 顧客対応中に担当者に表示するデータの種類と表示のタイミングを、それぞれの顧客や会話の内容に合わせて最適化する
  • サポート担当者が顧客情報を完全に可視化できる体制を整備する

3. サポート担当者への投資によりCXの役割を進化させる

従業員の離職率が上がり、KPIが低下し続けているのも無理はありません。担当者が反復的なタスクに追われ、過剰な負担を強いられているからです。ここ数年厳しい状況が続く中で、サポートチームは献身的に顧客の問題を解決し、顧客に喜ばれるサービスを提供することでビジネスを陰で支えています。企業の代表として最初に顧客に接するサポート担当者を大切にし、チームが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、必要なツールやトレーニングを提供しましょう。これは従業員の離職率を減らすだけでなく、カスタマーサポートの向上と顧客維持、さらには顧客基盤の拡大につながります。

自動化を導入してワークフローを効率化すれば、従業員のパフォーマンスが向上し、顧客が抱える問題を効果的かつスピーディに解決できるようになります。このことが結果として収益向上につながることも、Zendeskの調査結果が明らかにしています。

  • 顧客対応中に新たな商機を創出するためのトレーニングを受けているサポート担当者の割合は、全体の83%
  • クロスセルはソーシャルメッセージング経由が最も多く、全体の41%
  • 過去6か月間の消費者支出の増加率は、2021年の70%から9%増の79%

とるべきアクション

  • サポートチームのトレーニングに投資して担当者一人ひとりの充実度を高め、共感を呼ぶサポートを提供する
  • 部門間で経験や知識を共有する
  • リードを作成する機能やリードを営業担当者に割り当てる機能をサポート担当者に提供することで、顧客対応を商機に変える

まずは現在の貴社のCX成熟度を評価してみましょう

CX成熟度に関する最新の調査レポート「CXチャンピオンへの道」では、CXが持つ重要な役割をさらに詳しく解説しています。 リーダーは、CX関連の投資で何を優先すべきかを把握するとともに、CXを活用して確実に成果を上げる方法を理解する必要があります。

私たちも日々お客様と接する中で、このことがいかに簡単ではないかを痛感しています。進むべき道を正しく見極めるため、Zendeskの「CXチャンピオンへの道」レポートをご活用ください。CX成熟度が高いとされる組織にとっても、最低限提供が必要とされるサービスの基準はますます高まりつつあります。

まずはCX診断クイズに回答して、貴社の現状を評価することからはじめましょう。評価結果に基づき、現在のCXレベル、どんなリスクがあるのか、また何から投資すべきかなどを、具体的に把握することができます。

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