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生成AI(ジェネレーティブAI)とは?あらゆる企業が導入を検討すべき理由

生成AIの普及とともに、顧客が製品を見つけ、企業と関わり、ブランドを体験するあり方が大きく変わるでしょう。 一部ではそうした変化がすでに始まっています。

著者: Cristina Fonseca, ZendeskのAI責任者

更新日: 2023年5月26日

生成AIや大規模言語モデル(LLM)に詳しくない方でも、ChatGPTについて耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ChatGPTとは、驚くほど自然の会話に近い回答や、大学で通用するような小論文、さらには親父ギャグまで生成できる、AIを用いた対話型のチャットサービスのことです。極めて人間らしいコミュニケーション性能を備えています。

生成AIやLLMが新しい技術ではないにも関わらず、ChatGPTがもたらした革新的な変化は世界中で瞬く間に注目を集めました。まるで宇宙開発競争を彷彿とさせるような開発競争が始まり、ChatGPTが情報収集、消費、そしてコンテンツ制作にどのような影響を与えるのか、様々な視点から興味津々な議論が展開されています。

Zendeskの調査では、半数以上の消費者が、生成AI導入企業の候補としてまず高級ブランドを連想すると答えています。

ChatGPT技術が、これからのCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)に大きな影響を与えることは間違いありません。ごく近い将来、顧客が製品を見つけたり、企業との関わりを深めたり、ブランド体験を享受する方法に大きな変化が起こることが予測されています。実際、この変化はすでに一部で始まっています。

Zendeskの調査によれば、約70%の消費者が、多くの企業が近い将来に生成AIを導入し、顧客体験を向上させることを期待しています。さらに、半数以上の人々が、まずは高級ブランドがAI技術を導入することを想像しているようです。しかし、規模や業種に関係なく、すべての企業にとって生成AIをカスタマージャーニーに取り入れることは、「場合によっては検討すべき」テーマから、「検討が不可欠」な事項となっています。。

生成AIとは?そして大規模言語モデル(LLM)とは?

  • 生成AIとは、受け取った入力やプロンプト(ボットが応答を生成するための文章)に対して何らかの出力を返す、あるいは生成する機能を持つAIモデルの総称です。生成されるデータには、テキスト、コード、音声、画像、動画などが含まれます。
    多くの有望で人気のある生成AIアプリケーションは、LLMを活用しています。中でもChatGPTは、最も広く知られた生成AIソリューションであり、ユーザーが質問を投げるチャットボットスタイルのプロンプトです。。
  • LLMとは、膨大な量のテキストベースのデータから学習して、言語を理解するようにトレーニングされたソリューションです。例えば、Open AIのGPT-3.5は、インターネット上の3,000億語の単語でトレーニングされたと言われています。LLMは文章の生成、要約、リライトには驚くほど優れていますが、まだまだ完璧とは言えません。言葉遣いはかなり自然な人間の会話に近い一方で、回答内容が誤っていたり、情報が古かったり、あるいは質問と関係がない無意味な回答が返される場合があります。

Zendeskでは、今後5年間で、AIが顧客とのあらゆるタッチポイントを動かすようになると予測しています。しかしそれは、これから非常に長い時間をかけて行われるAIの進化の第一章に過ぎません。輝かしい未来を夢見るのはワクワクすることですが、現時点でのLLMにはCXを損なう可能性のある制約があることも知っておくべきです。企業がAIを効果的に活用するためには、生成AIがどのような用途で力を発揮し、逆にどのような用途では適用が難しいかを把握することが求められます。

消費者は生成AIによる利用体験の向上に大いに期待している

消費者は、今後生成AIが、製品やサービスの購入や企業との関わり方、さらには困った時の問題解決の方法を変えてくれると期待しています。Zendeskの調査によると、75%以上の消費者が、どの企業から購入するかにかかわらず、AIが企業のコミュニケーション品質を向上してくれると思うと答えています。また、AIサービスを実際に利用した経験のある人ほど、AIの支持度が高まる傾向があります。

生成AIサービスを利用したことのある人のうち:

  • 78%が、近い将来、AIがカスタマーサービスにおいて重要な役割を果たすと思うと回答

  • 10人に7人近くが、今後、(AIを導入していない企業よりも)導入している企業から購入する可能性が高くなると思うと回答

生成AIをより大規模なAIツールキットの一部として導入することで、あらゆる企業は予算を拡大することなく、より質の高い体験を提供・拡大するチャンスを手にし、対等の条件でCXで競争できるようになるでしょう。

ここでは、消費者が生成AIに最も期待する要素と、それが現在の企業戦略にどのような意味を持つかを紹介します。

  1. 高品質でパーソナライズされたエンゲージメント

  2. 欲しい製品や自分に合った情報を見つけるための新しい手段

  3. 人間の担当者の対応力が劇的に向上

1. 高品質でパーソナライズされたエンゲージメント

本を持つ

生成AIが普及すれば、注文番号を探し回ったり、欲しい情報が何も載っていない会社のホームページをチェックしたりする必要はもうありません。顧客は、製品の発見、購入プロセス、困った時の問題解決など、あらゆるタッチポイントでパーソナライズされたサービスを求めています。

以下は、消費者が期待する生成AIによる企業コミュニケーションの向上の例です:

  • 生成AIのサービスを利用したことのある人の77%が、問い合わせ内容に基づいてその場でハウツー動画を生成してほしいと回答
  • 76%が、ひとり一人の顧客向けにパーソナライズされたプロモーションやセールをその場で生成してほしいと回答
  • 61%が、その企業との過去のやりとりの履歴に基づいて徹底的にパーソナライズされたコミュニケーションを生成AIで提供してほしいと回答

企業にとって特別に価値の高い顧客でなくとも、全ての人にきめ細かにパーソナライズされたサービス体験を提供するべきです。生成AIやLLMがその実現に役に立つことは確かですが、今すべきことは、戦略的かつビジネスにとって意味のある方法でそれらの技術を導入できるようにすることです。現在、Zendeskではまさにその研究に取り組んでいます。生成AIやLLMはその実現に役立ちますが、今すべきことは、戦略的でビジネスに意味のある方法でそれらの技術を導入することです。現在、Zendeskはその研究に取り組んでいます。適切なセキュリティ、プライバシー、ガバナンスの管理が欠けていると、CXが損なわれる可能性があります。そのため、これらの要素を考慮したソリューションを追求することが重要です。

2. 欲しい製品や自分に合った情報を見つけるための新しい手段

虫眼鏡

生成AIは、検索結果を表示するのではなく直接問いかけに回答することで、インターネットでの情報検索を根底から覆す可能性を秘めています。さらに、利用者はそれに対し追加の問いかけをすることで、より掘り下げた質問ができます。従来の検索エンジンでは、クエリを追加するたびに全く新しい検索を一から始めなければなりません。

例えば、家族4人で乗れる車を探しているとします。ChatGPTのような生成AIのインターフェースに質問を入力すると、具体的な車種名に加えて、恐らくどんなタイプの車なら条件を満たすか(SUV、セダンなど)を説明してくれるでしょう。予算が気になるなら、次に具体的な価格上限を追加して候補を絞りこんでみましょう。幾つかのSUV車種とその開始価格がリストアップされ、その内容を見ると、トランクスペースが大きく、特定のタイプのチャイルドシートが装着できる後部座席を備えた車種が必要なことが分かります。さらに何度か質問を重ねて絞り込んだ結果、スペースの面ではHonda CR-Vが最良の選択肢であることが分かりました。

わずか1分足らずで、さまざまな4人乗りの市販車をリストアップし、具体的なニーズに基づいてそれをさらに絞り込み、最も適切な車種を特定することができました。従来の検索エンジンで同じ質問をすると、まったく違うリストが表示され、例えば「2023年のベストファミリーカー10選」といった記事もたくさん出てきます。それらは必ずしも的外れな情報ではありませんが、本当にこちらが知りたいことについてカスタマイズされた回答ではありません。

生成AIを利用したことのある顧客の82%が、AIが将来情報を発見・探索するための主要なツールになると思うと回答しています。これはとても胸躍る未来図です。

しかし、私たちにとっては現在の状況をリアルに把握することも同じくらい重要です。生成AIは自分がすでに知っている情報からしか答えを引き出せません。例えば上記の例では、最近1年間に発売された車種は恐らくお勧めには含まれないでしょう。LLMの再トレーニングという運用面での課題のほか、AIが現実的に使える検索手段になるにはプライバシーに関する法的な課題を克服しなければならないでしょう。

変化が予想されるのは、商品の見つけ方だけではありません。生成AIは、消費者が企業のヘルプセンターコンテンツを利用する方法も大きく変えるでしょう。チャットボットが顧客から返金方法に関する問い合わせを受け、これに対してヘルプセンターから関連する情報を引き出して会話形式でパーソナライズされた回答を返す、というシチュエーションを想像してみてください。さらにそのチャットボットをZendeskと組み合わせることで、実際の返金処理まで完了できるとしたらどうでしょう。それは、顧客にとってもサポート担当者にとってもコミュニケ―ションのあり方を根本から変えるものとなります。

3. 人間の担当者の対応力が劇的に向上

人のマルチタスク

生成AIは、必ずしも人間の担当者による対応の終わりを意味するものではありません。むしろ顧客は、AIは担当者との交流を深めるための強力なツールであると捉えています。EQ(Educational Quotient、感情指数)とIQが共に力を合わせることで、顧客が適切な担当者に連絡を取り、必要なときに問題がエスカレーションされ、人間の担当者が正しい情報を素早く手にしてより良いサービスが提供できるようになるでしょう。

企業が近い将来に生成AIから最大の利益を現実的に得られるのはこうした用途、つまり人がやらなくてもよい手作業の排除です。エージェントが複数のページやシステムから自分で情報を探し出す代わりに、その顧客が過去に経験した問題全てのまとめを正確かつカスタマイズされた形で受け取ることができるとしたらどうでしょう。それだけでも、お客様の課題をより早く解決し全体的な体験を向上するのに大きく役立つでしょう。

生成AIサービスとやり取りしたことのある消費者の4人に3人は、人間の担当者にAIを活用してより効果的に問い合わせに対応してほしいと考えており、またそのことに抵抗は感じないと答えています。

AIを相手に食料品を注文したり次のデートの計画を立てたりするのに比べれば目新しさには欠けますが、顧客にとってはそれで良いのです。そして、人間の担当者が生成AIを利用して自分たちの業務の負担を軽くしたとしても、顧客にとっては何の問題もないでしょう。10人に8人以上が、生成AIが自分で回答を提示できない場合にはすぐに詳しい人間の担当者に問い合わせを転送してほしいと答えています。

ここで重要になるのがルーティングです。どこに問い合わせを送るべきなのか、誰がいま対応可能なのかを確実に把握することがポイントです。同時に、引き継ぎ先のサポート担当者にその問い合わせに関する情報を正確に転送して迅速な解決につなげることも重要です。

直近の影響を重視し、将来を見据えた計画を立てる

生成AIは今、新聞やネットの記事で脚光を浴びているかもしれませんが、あくまで将来を見据えた現実的な計画を立てることが重要です。人間と見分けがつかないようなチャットボットが実現されれば可能性は無限に広がりますが、AIは特定のユースケース向けにトレーニングされていてこそ、真の価値を発揮します。例えばChatGPTが新入社員だとしたら、たとえ英会話が得意でも、初日からすぐにお客様の前に立たせることはないでしょう。入社したてでは、カスタマーサポート業務がどんなものかは何も知らないからです。

次に、新人社員がChatGPTではなく、カスタマーサービスの会話履歴をもとに十分にトレーニングされ、カスタマーサービス向けに最適化されたAIであると想像してみてください。その「新入社員」は、恐らく顧客がよく経験する問題を理解し、どこに問い合わせを送ればいいのか、いつチケットをエスカレートさせればいいのかを正しく判断できるでしょう。Zendeskがいま開発を進めているのは、このようにCXユースケースに最も適した形でAI技術を効果的に利用することなのです。

スマートなAI運用アプローチとは、手作業をなくしてサポート担当者がより価値の高いタスクに集中できるようにするなど、すぐに実行可能な改善を検討することです。一方で、顧客と人間の担当者とのやり取りを継続的に改善するために、追加のインテリジェントレイヤー(データを解析し、パターンを検出し、予測や最適化、自動化などの機能を提供する、AIシステムの基盤に構築される層)の特定、テスト、微調整も怠らないことも重要です。このように、現在の状況の改善にしっかりと取り組みながら将来に向けた方向性も追求するのが、正しいAI戦略のあり方でしょう。

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