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顧客満足度の測定方法: エキスパートだけが知る成功の秘訣

顧客満足度の測定は、ビジネスを成長させていくうえで非常に重要です。この記事では、この分野のエキスパート達が顧客満足度指標をどのように活用しているかをご紹介します。

更新日: 2024年2月22日

商品やサービスが顧客の期待にどこまで応えているか。これはどのように評価すればいいでしょうか?

それは顧客満足度の測定です。「顧客満足度の測定」という言葉は経営者やカスタマーサービスの会議でよく耳にすると思いますが、顧客満足度のすべてをひとつの指標だけで捉えることはできません。複数の指標を用いなければうまく定量化できないのです。

ビジネスを成功させるには、顧客満足度の測定も、顧客満足度を向上させるための継続的な努力も、どちらも欠かせません。この両方に取り組むうえで役立つ、エキスパートからのヒントとアドバイスをご紹介します。

顧客満足度の測定

顧客満足度を測定する際は、ひとつの指標を用いるだけでは十分ではありません。

全体像を把握するには、さまざまな情報に基づく複数の指標を組み合わせて使う必要があります。

まずは顧客満足度(CSAT)アンケートを実施する

顧客満足度(CSAT)アンケートは、カスタマーサービスでのやりとりの最後に実施します。顧客が手早く簡単に答えられるように作られているため、最初に導入する指標として最適です。

ソーシャルメディア・マーケティング・プラットフォームTigerlilyの共同創設者Nicolas Mérouzeは、「CSATは顧客にどれくらい満足しているか質問し、『満足』『どちらでもない』『不満』から選んでもらうという、満足度をとても簡単に測定できる方法です」と説明します。

Multiple choice CSAT example

Open-ended CSAT example

オンラインアンケート作成ツールQualtricsのCSATアンケートにおける選択式・記述式の質問例【出典】

CSATアンケートは、カスタマーサービスを受けたばかりの顧客にフォローアップとして行うのが賢明です。アンケートを作成する際は、Qualtricsなどのサードパーティのツールを使用するとよいでしょう。あるいは、Zendeskの顧客満足度アンケート機能など、カスタマーサービスソフトウェアを使えば、カスタマーサービスのやりとりの最後にアンケートがポップアップ等の形式で表示されるように設定できます。

CSATアンケートは少しでも多くの顧客に答えててもらえるよう、手早く簡単に記入できるものにする必要があります。短いアンケート(質問は3つ以内)にしたうえで、記述式の質問と選択式の質問を組み合わせることをお勧めします。

CSATアンケートの質問例:

  • 「弊社をお知り合いの方に勧める可能性は?」これは従来からあるネットプロモータースコア(NPS)の質問です。この質問には、1を「まったく思わない」、10を「非常にそう思う」として、顧客に10段階評価してもらいます。 回答に応じて、顧客を反対派・中立派・賛成派の3種類に分類します。
  • 「期待したとおりの経験でしたか?理由も教えてください」 この質問には記述用のテキストボックスを用意して、どんな経験だったかを顧客が詳しく説明できるようにします。
  • 「カスタマーサービスの対応を評価してください」
    Zendeskで作れる最もシンプルなアンケートには、この質問だけが記載されています。回答として「良い、満足している」「悪い、満足していない」の2つの選択肢が用意されています。 ワンクリックですむアンケートなので、非常に高い回答率を得られます。顧客が望めば、オプションをクリックして、詳細なコメントを入力できるようになっています。

多面的なアプローチをとる

CSATアンケートの回答を評価の出発点とすることは、適切なことですが、顧客満足度の全体像をつかむためには、同時に他の指標のデータも収集する必要があります。

「顧客満足度の数字だけを優先して他のすべてを除外してしまうと、必然的にたくさんの人や優先事項が排除されてしまいます。それだけではなく、企業としての成長が阻害される可能性が高くなります」とNew Enterprise AssociatesのパートナーであるJonathan Goldenは述べています。

顧客満足度をあらゆる角度から理解するためには、定量的な調査と定性的な調査の両方が必要です。

「顧客満足度の数字だけを優先して他のすべてを除外してしまうと、必然的にたくさんの人や優先事項が排除されてしまいます。それだけではなく、企業としての成長が阻害される可能性が高くなります」
New Enterprise Associatesパートナー Jonathan Golden

顧客のニーズや行動を定性的に理解するために、何人かの顧客を集めて、会社の商品やサービスについて話し合ってもらう場(顧客アドバイザリーグループ)を設けることも効果的です。

「顧客アドバイザリーグループはフォーカスグループのようなものですが、もっと突っ込んだトピックを扱います。カスタマーサービスの向上や新サービスの開発、リピーターの促進につながることが多いため、もっと活用されてもいい方法です」と、Customer Blissの社長であるJeanne Blissは説明しています。

ターゲット顧客で構成されたグループを作って、こうした集まりを定期的に開くことを検討してはいかがでしょうか。現在の取扱品目や今後の商品展開についてフィードバックを求めながら、顧客のニーズについて理解を深められるはずです。

定量的な顧客満足度指標も大切な指標

顧客満足度の評価は、定性データの枠に縛られません。

「特定の機能やタスクに関するサポートリクエストが増えているのであれば、今は満足してくれている顧客が不満を感じ始めないうちに修正する必要があるということです」と、Appcuesのカスタマーエクスペリエンス担当ディレクターShonak Patelは述べています。

また、顧客満足度は、解決率平均問題処理時間からも推測できます。

  • Statistaが2020年に実施した調査によれば、カスタマーサービスで不満を感じる最大の原因として、27%の人は「内容不足」と答えています、これに対して、「スピード不足」と回答したのは12%にとどまります。
  • その一方で、Yelpの調査では、迅速なサービスほど顧客満足度の評価が高くなる、という相関関係が見出されています。

多面的な顧客満足度指標を用いるようにすれば、顧客を複数の角度から見つめることになり、顧客の行動を見るだけではなく、顧客の感情についても理解を深められます。これは、満足度を継続的に高めていくために必要なツールを確保するうえで、大切なことです。

顧客満足度の向上

顧客満足度を正確かつ十分に測定できれば、顧客が満足しているかの判断に必要なデータを取得できます。

必要な指標がそろったら、顧客満足度の目標を達成できているか確認してみましょう。目標を達成できていなくても、悲観する必要はありません。

専門家によると、顧客満足度指標は下記のことに取り組むことで高めていけるものなのです。

顧客の期待を超える

顧客満足度指標の向上に取り組む際には、顧客を喜ばせるることが効果的です。

「成果をあげる事業戦略の中心には、色々な意味で満足感の高いカスタマーエクスペリエンスがあります。それが消費者が満足感を得てリピーターになることを促すのです」
Softvision最高経営責任者 Andres AngelaniAndres Angelani

全社員が、顧客に感動を与えることに優先的に取り組む必要があります。これは、顧客の期待を上回るカスタマーサービスという姿勢を企業文化の一部として根付かせるということを意味します。この姿勢を企業のミッションや価値観に明記し、新入社員研修や社員教育ではカスタマーサービス重視の伝統を伝えるようにしましょう>。

これに成功しているのが、オンライン小売業者のZapposです。

  • 同社の新入社員研修では、管理職であるかパートタイマーであるかに関係なく、すべての従業員にカスタマーサービスの習得と実践の場が与えられています。また、毎年このスキルを復習する機会が設けられています。
  • Zapposの文化アドバイザー兼インサイトディレクターChrista Foleyは、年末のホリデーシーズンに向けた同社の最繁忙期には、全社員がカスタマーサービスへの電話に対応することになっていると説明しています。

カスタマーサービスをすべての社員の業務に組み込めば、会社の優先事項として常に意識されるようになります

「Zapposにとって一番忙しいのは年末のホリデーシーズンです。その時期は私も含め、すべての従業員がカスタマーサービスの電話に対応します」
Zappo文化アドバイザー兼インサイトディレクター Christa Foley

カスタマーサービスプロセスでは、顧客の期待を上回る働きをすることが特に重要になります。顧客がすでに苛立っている状態、あるいは問題の解決方法を探しているという状況で、問い合わせ方法が不明瞭だったり、問い合わせ画面が使いづらかったりするとどうでしょうか。顧客をますます遠ざける結果になりかねません。

幅広い問い合わせ方法を提供することで、サポートにアクセスしやすくしながら、できるだけ顧客が何度もやりとりしなくてもいいようにしましょう。例えば、チャット、24時間365日稼働するAIチャットボット、ヘルプデスクのメール、情報が豊富なナレッジベースのコミュニティなどの方法を用いることができます。

豊富な問い合わせ方法から選べるようになっていれば、顧客は苦労せずに素早く問題を解決できます。

顧客にとって理想的なエキスパートになる

顧客のことをいちばんよく理解できるのは、顧客に商品やサービスを提供している企業のはずです。

Zapposを買収したAmazonの創設者兼最高経営責任者 Jeff Bezosは、「顧客重視に真摯に取り組んで顧客の声に耳を傾ければ、顧客が次に望むことを的確に推測できます」と述べています。

顧客満足度の鍵は、顧客を正しく理解するために時間をとり、ギャップをうめる努力をし、顧客が不満に感じている点を解消できるように、しっかりと解決策を提供していくことです。

「顧客重視に真摯に取り組んで顧客の声に耳を傾ければ、顧客が次に望むことを的確に推測できます」
Amazon創設者兼最高経営責任者 Jeff Bezos

顧客は自分が必要としているものを企業に教えてくれるわけではありません。顧客の将来的なニーズを予測する責任は企業にあります。

この先顧客がどんなことに不満を感じるかは、次のような方法で理解できます

  • ユーザーコミュニティを活用する
  • SNSのフィードバックや書き込みを調べる
  • 業界の動向を分析する

そのうえで、顧客がまだ不満を感じていないうちからその原因を取り除くことに努めます。顧客が問題を感じてから解決を図るという取り組みでは、企業として遅すぎる対応なのです。

顧客満足度指標の向上をブランドの成長につなげる

顧客満足度を優先すると、顧客の助けになるだけでなく、ブランドの成長も促進されます。目標は顧客を喜ばせることですが、満足している顧客は単なるリピート購入以上に大きな価値をもたらしてくれます。

「満足している顧客は新しい顧客を連れてきてくれます。その商品の熱心なファンとして、どんなにいい経験だったかを人に説明して購入を勧めてくれます。これほど理想的な広告はありません」
Appcuesカスタマーエクスペリエンス担当ディレクター Shonak Patel

企業にとって最大の資産は、満足感をもつロイヤルティの高い顧客です。今日の努力が明日につながるように、今のうちに顧客満足度の測定と向上に重点的に取り組むことは今後のブランドの繁栄につながります。

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