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データのサイロ化とは?ビジネスに及ぼす3つの悪影響とその解消方法

データのサイロ化は、サポート担当者と顧客のいずれにとっても足かせとなります。ここでは、データのサイロ化を解消し、カスタマーエクスペリエンス(CX)を改善する方法をご紹介します。

発行日: 2021年9月30日
更新日: 2021年9月30日

優れた顧客データなくして優れたカスタマーサービスを提供することは不可能です。顧客について何も知らなければ、高品質なサポートを実現することはできません。

特に今日のようなデータ駆動型社会では、企業は顧客データを活用して、十分な情報を基に判断を下し、ビジネスを改善する必要があります。しかし中には、古い情報や不十分な情報の扱いに悩んでいる企業や、大量のデータを入手しているものの、それを完全に連携できていない企業もあります。こうした状況は、いずれもデータのサイロ化につながります。

データのサイロ化が発生すると、業務効率が低下して顧客対応が複雑化します。サポート担当者はストレスがたまり、顧客は不満を抱えることになります。そのため、情報のサイロ化が発生する要因とその解消方法を理解することが重要です。

データのサイロ化とは

「データのサイロ化」の定義

データサイロとは、社内の特定のグループのみがアクセスできる一連の情報のことです。

つまり、「データのサイロ化」とは、情報が手の届かない場所にあると言い換えることができます。

Zendeskの製品・プラットフォーム担当シニアマネージャー、Jessica Millsは次のように話します。「データのサイロ化は、顧客や自社に関連する情報がさまざまな場所に保存されている場合に起こります。大部分の従業員、あるいは全従業員が特定のデータにアクセスできない状態です」

カスタマーサービスに関して言えば、サポート担当者が顧客への対応時に必要な情報を入手できない状態を指します。これは、担当者が優れたエクスペリエンスを提供する妨げとなります。

データのサイロ化の要因

残念ながら、データのサイロ化は容易く生じます。多くの企業(特に大企業)では、自然とサイロ化が起こりがちです。では、なぜこうしたデータの分断が発生してしまうのでしょうか。

Zendeskのテクニカルプロダクトマーケティング担当シニアマネージャーのNeal Mhaskarによると、情報のサイロ化をもたらす要因は2つあり、多くの場合、その2つが相互にかかわり合っています。

  • テクノロジー:多くの企業は複数のビジネスツールを利用していますが、そうしたツールが完全に連携していない場合もあります。Mhaskarは次のように説明します。「そうしたシステムは、必ずしも相互に連携できることが前提となっているわけではありません。そのため、仕組みや機能が異なるためにシステム間でうまく連携できないことがあります。たとえば、自社開発した古いシステムなどはこれに当てはまります」
  • 企業構造: 組織的な問題がいくつも同時に発生して、それぞれの問題が悪化するということも珍しくありません。Mhaskarによれば、異なる部門間では分断が生じやすく、同様にデータのサイロ化も起こりやすくなります。たとえば、営業チームがサポートチームと連携できていないと、営業担当者は、サポート担当者が顧客にどのような対応をしているかがわからないため、潜在的なアップセルの機会を特定したり、未解決の問題があることに気づいたりできません。「技術的に不備があり、なおかつ組織としての推進力が欠けていると、サイロ化を解消しにくくなるように思います」とMhaskarは言います。

情報のサイロ化がビジネスに及ぼす3つの悪影響

データのサイロ化が望ましくないのは明らかです。連携力と透明性が低下するからという漠然とした理由以外にも、データのサイロ化が企業にとって痛手となる理由は主に3つあります。

1.担当者の生産性が低下する

Millsはこう話します。「特にカスタマーサービス部門では、データのサイロ化が発生していると、担当者が適切な情報を見つけ出すために多くの時間を費やさなければなりません。1つの問題を解決するためだけに、4、10、あるいは20種類ものシステムを使い分けることもあります」

必要な情報を簡単に表示できれば、サポートチームは多大な時間と労力を節約できます。また、全社的にナレッジが共有されていて、担当者間で簡単に連携がとれるようになっていれば、生産性が向上します

2.コストが増大し効率が低下する

生産性の低下は、収益にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。

「システムが連携されていないと、費用がかさむ場合もあります」Zendesk、製品・プラットフォーム担当シニアマネージャー、Jessica Mills

Mhaskarは次のように話します。「効率が大幅に低下するでしょう。100人の担当者を擁する企業の場合、各担当者の年間の作業時間が5%増えるだけでも、全体ではかなりの時間になります。担当者1人、あるいは複数人の合計作業時間に匹敵するほどです」

これはかなり控えめに見積もった数字です。Mhaskarは、データのサイロ化が発生していると、各担当者の処理時間は10~20%ほど容易に増加してしまうと考えています。

さらに、Millsはこう話します。「システムが連携されていないと、費用がかさむ場合もあります。複数のシステムを購入する必要があるうえ、担当者がそのすべてにアクセスできなければなりません。つまり、その分だけライセンスを所有する必要もあります」

3.カスタマーエクスペリエンスの質が低下する

データのサイロ化は、ビジネスの時間と費用を奪うだけでなく、最終的には顧客にもしわ寄せがいきます。

Millsはこう説明します。「担当者の生産性が低下し、適切な情報にアクセスできないと、結果的に顧客満足度に影響が及びます。既に入手しているはずの情報をたずねたり、詳細情報を見つけるために待たせたりすることで、顧客に不快な思いをさせてしまうからです」

データのサイロ化は、長時間待たせる、部門間を延々とたらい回しにする、同じ説明を何度も求めるなど、得てして最悪な顧客対応を生み出す要因となります。

データのサイロ化を解消すれば、担当者は必要なデータにアクセスして、すばやく顧客の問題を解決できるようになります。

データのサイロ化を解消する4つの方法

データのサイロ化を打破するには、往々にして新しいテクノロジーと施策が必要です。企業は、どのようなカスタマーエクスペリエンスを提供したいのかを検討したうえで、サポート担当者がそうしたサポートを提供できる環境を整える必要があります。

1.理想的なカスタマージャーニーを作り上げる

Mhaskarはこう話します。「全社的に見て、部門間で協力して実施できる取り組みがあると思います。多くの企業は、顧客データの統合に関する問題に取り組むための専門チームを設置するでしょう」

CXに関して言えば、サイロ化の解消は目的を整理することから始まります。まずは、顧客にどのようなエクスペリエンスを提供したいのか、そしてそれを実現するためにどんなデータが必要かを理解することが大切です。

一部の企業はカスタマージャーニーマップを使って、顧客との間で想定されるすべてのやり取りを図表化してから、各段階を最適化するにはどういった種類の情報が必要なのかを分析しています。

「一連のステップを整然と組み立てるだけでは不十分です。カスタマージャーニーにはもっと定性的な側面もあるからです。カスタマージャーニーをパーソナライズし、自社の顧客に向けてユニークで特別なジャーニーを作成することも検討しましょう」(Mhaskar)

企業によって目的は異なるため、まずは自社の優先順位を決定することが重要です。

2.担当者が知るべき情報を明らかにする

カスタマーエクスペリエンスを生み出すうえで、サポート担当者が大きな役割を担うことになるのは明白です。そのため、CXの目的を達成するために担当者が必要なデータを判断することが重要です。

Mhaskarは次のようにアドバイスします。「担当者が対応しているチケット全体を確認し、よく寄せられている問い合わせを上位5種類、あるいは10種類まで把握するとよいでしょう。そして、担当者がこうした問題をすばやく解決するには何が必要か、対応時間の短縮や作業効率の向上には何が役立つか、担当者が切り替えて使用しているツールは何かを特定します」

ゴールはデータのサイロ化を解消することですが、情報過多なあまり、担当者を混乱させたり、正確性を求めすぎたりしないようにしてください。

「必要となる可能性があるからと言って、社内に散らばったあらゆるデータに担当者がアクセスできるようにすることは効率的ではありません。一方で、よくある問い合わせについては、チケットの80%を占めている場合もあります。こうした問題を迅速に解決するためにはどのような種類のデータが必要かを考えることが大切です」(Mhaskar)

「多くの企業は、顧客データの統合に関する問題に取り組むための専門チームを設置するでしょう」Zendesk、テクニカルプロダクトマーケティング担当シニアマネージャー、Neal Mhaskar

3.すべてのデータを一元管理する

技術的な観点で見ると、情報のサイロ化を防ぐ最善の方法は顧客データを一元管理することです。複数のソフトウェアにデータを保存するのではなく、Zendesk Sunshineのようなオープンで柔軟なCXプラットフォームを利用してすべてのデータを連携しましょう。

Mhaskarは次のように説明します。「Zendesk Sunshineなら、データを統合して顧客情報を集約できます。これにより、担当者は豊富な背景情報を入手し、顧客1人ひとりに合わせてカスタマーエクスペリエンスをパーソナライズできます」

Zendesk Sunshineは、アマゾンウェブサービス(AWS)にネイティブ対応した包括的なプラットフォームであり、互換性のないツールをいくつも使用している場合に発生してしまうデータのサイロ化を解消できます。

「どこでどのようにデータを統合すればよいのか、戸惑う場合も珍しくありません。従来、あらゆるデータが保管された単一の担当者向けシステムというのはありませんでした。そのため、営業支援CRMがあったり、eコマースのアクティビティに関連付けられたデータベースが複数あったりと、いくつもの担当者向けシステムを所有している企業も少なくありません」(Mhaskar)

Zendesk Sunshineを使用すれば、データがどこに保存されていても、全従業員がすべてのデータにアクセスしてそれを利用できます。つまり、顧客情報を一元管理できる場が社内に生まれるということです。

4.担当者が必要な背景情報を把握できるようにする

担当者が必要とする情報を理解し、それを1か所に保存して簡単にアクセスできる環境を整えたら、次は何をすればよいのでしょうか。

それは、そうした重要な情報を整理された状態でサポートチームに提示することです。たとえばZendeskを使うと、担当者は対応する顧客の背景情報が網羅された「顧客情報カード」を確認できます。このカードには、顧客の基本情報(氏名、使用言語など)や詳細情報(ステータスやメンバーシップレベルなど)が含まれています。

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