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リモートワークとは?メリット・デメリット・課題・解決策・事例

リモートワークは、ニューノーマルな働き方として定着しつつあります。この記事では、リモートワークに移行した場合の、企業や従業員にとってのメリットと課題をお伝えすると共に、リモートワークを賢く取り入れる方法をご紹介します。

発行日: 2021年7月27日
更新日: 2021年7月27日

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが発生した当初、ほとんどの企業や従業員は、リモートで働く準備ができていませんでした。しかし、世界中の人々の健康が危機的状況にさらされる中、だれもがこの新しい日常に適応せざるを得ませんでした。

そして、パンデミックに見舞われてから約1年が経った今、多くの人は新しい生活様式に慣れつつあります。PwCの最新調査によると、企業の83%が、リモートワークへの移行に成功したと考えています。また、Bufferの調査によると、従業員の99%が、今後も少なくとも時々は在宅勤務を行いたいと考えています。

多くの人が「普通」の生活に戻れることを待ち望んでいる一方で、リモートワークは今後も定着すると見込まれています。Upworkの調査によれば、企業の68%が、時間の経過と共にスムーズにリモートワークを行えるようになったと考えていて、企業の26.7%が、来年もフルリモートワークを実施する予定だと回答しました。

リモートワークは、今日ならではのワークスタイルである一方で、少なくともしばらくは続いていくものでもあります。そのため、リモートワークに積極的かつ戦略的に取り組むことは、企業にとって大きな利益となります。その分、困難も伴うのではという懸念もあるでしょう。しかし、これは自社を変革させる大きなチャンスとなる可能性があります。.

リモートワークとは?

簡単に言えば、リモートワークとは、従来のオフィス環境以外の場所から同僚や顧客とつながり、業務を進めることです。「在宅勤務」「学外勤務」「テレワーク」など呼び方はさまざまですが、指定された作業スペースではない場所から仕事をするという点ではどれも同じです。

「分散型チーム」もリモートワークを指す呼び方の1つです。これは、異なるタイムゾーン、地域、あるいは国にいるメンバーが、同じ目標に向かって1つのチームとして働くことを意味します。

中には、リモートのメンバーとオンサイトのメンバーが混在しているチームもあります。また、決まった日だけオフィスに出社して、それ以外は自宅やカフェなど、インターネット環境のある場所ならどこからでも仕事をしてよいというチームもあります。

リモートワークが企業にプラスに働く理由

パンデミック以前は、リモートワークと言うと、懐疑的な見方をする人が多くいました。たとえば、「モバイルで仕事をするなんて到底不可能だ」「スーツではなくスウェットで働くなんて違和感がある」「同居人がいると仕事がまったく手につかないのではないか」といった具合です。しかし、当初のそうした疑念はすぐに払拭され、むしろ大きなメリットが認識されるようになりました。

以下、リモートワークのメリットを3つご紹介します。

  1. 柔軟性の向上

    Bufferの調査レポート「State Of Remote Work(リモートワークの現状)」では、リモートワークの最大のメリットとして、柔軟にスケジュールを組めることが挙げられています。特に、テクノロジーに精通したミレニアル世代にとって、柔軟な働き方やリモートワークが認められていることは言わば「巨額の賞与」であり、仕事を探す際の判断材料にもなっています。

    リモートワークの場合、従業員は日々の用事を済ませるタイミングを各自でコントロールできます。自宅で働いていれば、会議の合間に洗濯をしたり、犬の散歩をしたり、学校まで子供を迎えに行ったりできます。また、従業員1人ひとりのニーズに合わせて自由に作業環境を整えることもできます。楽な格好をしても、同僚がいたら作業の邪魔になってしまいそうなBGMをかけても、猫を膝に乗せたままメールに返信しても、何の問題もありません。

    リモートワークが持ち合わせている柔軟性は、企業にとってもプラスに働きます。自由にスケジュールを組めるようにすれば、従業員は各自が最も集中できる時間帯に働くことができます。ある調査では、従業員の生産性が最も高いのは月曜日と火曜日の早朝であることが明らかになっています。しかし、オフィスワーカーの場合、その時間帯はまだ身支度をしたり、会社に向かったりしています。また、リモートワークの導入は、有能な人材の離職防止にもつながります。リモートワークができれば、長年の夢であった海辺の暮らしを実現したり、配偶者の仕事の関係で遠方に引っ越したりするために、仕事を辞める必要がなくなるからです。

  2. 生産性の向上

    意外に思うかもしれませんが、リモートワーカーはオフィスワーカーよりも生産性が高いというデータがあります。Airtaskerの調査によると、毎日の通勤がないリモートワーカーは週に8.5時間を自由時間に充てられます。また、リモートワーカーは、オフィスワーカーよりも月に1.4日分長く働いていることも明らかになっています。通勤時間が浮く分、仕事に割く時間を増やせるというわけです。

    加えて、リモートワークなら、職場での人間関係に振り回される必要がなく、同僚に声をかけられて作業を中断しなければならないといったこともありません。同僚のおかしな髪型の話でちょっと盛り上がったところで、大して支障があるようには思えませんが、ちりも積もれば山となります。カリフォルニア大学アーバイン校の有名な研究結果によれば、邪魔が入ってから集中力を取り戻すには平均23分15秒かかるとされています。

    さらに、Robert Halfの調査では、回答者の63%が、個室のプライベートオフィスや自宅の方が生産性が上がると答えています。同調査で明らかになっているとおり、これは、おしゃべりな同僚やオフィスの雑音が集中を妨げる一番の要因となるためです。

    気軽に同僚のデスクに立ち寄れなくなった今、従業員は意識的に話す機会を設ける必要があります。デスクのそばを通るついでに頼み事をするのは、とても簡単です。しかし、頼み事をするためにわざわざZoomのミーティングを設定しなければならないとなると、安易にメールやSlackメッセージを送るようなことはなくなるでしょう。

  3. コストの削減

    リモートワークは、企業にとっても従業員にとっても経済的なワークスタイルです。

    従業員にとっては、通勤車のガソリン、ランチ、ビジネスウェア、さらには育児サービスやペットの散歩代行などにかかる費用が不要になります。FlexJobsの調査によると、一般的な従業員が在宅勤務によって節約できる費用は、年間約4,000ドルにも及びます。ガソリン代だけでも、オフィスワーカーと比べて、リモートワーカーは週に平均94.23ドルを節約できます

    企業側もコストを削減できます。従業員がオフィスにいなければ、オフィスの諸経費、メンテナンス費用、備品代がかかりません(または大幅に削減できます)。また、勤務時間を柔軟に組める企業では、従業員の定着率が高くなるだけでなく、大幅なコスト削減を達成できます。ある調査では、勤務時間の50%を在宅勤務にするだけでも、従業員1人あたり年間最大11,000ドルを節約できると見積もっています。

リモートワークの最大の課題

リモートワークには多くのメリットがありますが、もちろんデメリットも潜んでいます。幸い、いくつかのポイントを押さえれば、企業も従業員もリモートワークの欠点を抑えて、大きな成果を挙げることができます。

  1. つながりの希薄化

    明らかなデメリットの1つは、他人との物理的なつながりがないことです。Bufferの調査レポート「State Of Remote Work(リモートワークの現状)」によると、リモートワーカーの36%が、孤独を感じたり、同僚との共同作業に手こずったりしています

    デスクに立ち寄って直接話をするよりも、ビデオ通話は手間がかかるため、結果的に非生産的なコミュニケーションが減りますが、これは諸刃の剣とも言えます。その分、休憩中の雑談も、同僚との連帯感も、共同作業の機会も失われてしまうからです。

    パンデミック以降、人々の間で在宅勤務に伴う孤独感が一段と高まりました。以前なら、プライベートで社交を楽しめばよかったので、在宅勤務の社員もうまくバランスをとることができていました。しかし、今のような制限が多い状況では、リモートワーカーが日常的に人と接する機会は、かつてないほど少なくなっています。リモートワーク下でもチームの連携を維持するには、こうした独自の課題もありますが、希望が失われたわけではありません。

    つながりを維持するには

    分散型チームの仲を深めるには、ちょっとした創造力が必要です。ここではご参考に、リモートワーク下でのチームビルディングに最適なアクティビティを3つご紹介します。

    リモート版コーヒーブレイク:SlackやZoomを使って、1日10分程度の休憩時間を設定します。そこでメンバーが集まって仕事以外の話をすることで、つながりを維持できます。全員が毎日集合できる時間を見つけるのが難しい場合は、DonutのようなSlackの拡張機能を活用すれば、ランダムに分けられたグループ別に隔週で雑談の機会を設けることができます。

    フィットネスチャレンジ:フィットネス関連の目標を設定することで、メンバーの健康管理への意識を高めることができます。たとえば、1日の歩数を競わせたり、5kmのバーチャルランイベントを開催したりします。

    チェックイン(面談):リモートで働くメンバーとは、より意識的にコミュニケーションをとる必要があります。リーダーは管理業務の一環として、リマインド通知を活用し、定期的に個々のメンバーに連絡をとって、それぞれの状況を確認するようにしましょう。

    [関連記事:Rising to the challenge of remote leadership(リモートワーク下でのリーダーシップに関する課題に取り組むには)

  2. ワークライフバランスの乱れ

    リモートワークは、確かに従業員の生産性を高めますが、良いことばかりではありません。Airtaskerの調査によると、ワークライフバランスに悩む従業員の割合は、リモートワーカーの場合は約3人に1人であるのに対し、オフィスワーカーの場合は約4人に1人にとどまっています。仕事とプライベートの場所が同じだと、1日の業務を終えても仕事モードをオフにすることが難しくなります。

    ワークライフバランスを改善するためのヒント

    パンデミック以降、ベッドとデスクとキッチンを行き来するだけの生活になっている人も多いと思いますが、在宅勤務を長期的に続ける場合は、時々オンオフを切り替えるだけでは不十分です。うまく切り替えができないと、疲労がたまってしまいます。こうした疲労を軽減するには、毎日の習慣を確立させる必要があります。

    オンサイト勤務だったときと同じように、朝は決まった行動で1日をスタートさせる:起床後は朝食をとり、身だしなみを整えましょう。通勤代わりに近場を散歩するのもお勧めです。そうすることで、プライベートモードから仕事モードに切り替えやすくなります。

    家の中に専用の作業スペースを確保する:ソファやベッドで仕事をするのはやめましょう。仕事専用の(仕事以外は一切行わない)スペースを設けることで、オフィス環境を再現できます。

    1日の勤務時間を決める:昼休憩も忘れずにとりましょう。話し相手がいない環境だと、8時間難なくパソコンに向かい続けてしまいそうですが、疲労がたまらないようにするには、意識して休憩時間を設けることと、毎日同じ時間にPCの電源を切ることが重要です。

    ベッドでメールチェックをしない:仕事モードとリラックスモードの境界線があいまいになり、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があります。

  3. オフィス環境の喪失

    自宅で仕事をする場合、せまい家に住んでいる人や同居人がいる人は特に、仕事用のスペースの確保に苦労するでしょう。洗濯物が山積みになっている、ペットや子供がせわしなく動き回っている、スペースを広くとれない、配偶者も在宅勤務なのでインターネットの回線速度がたまに遅くなるといったような状況では、なかなか集中できません。

    パンデミック当初は、Zoomでの会議中に子供やペットが乱入しても、ほとんどの人がそうした状況をむしろ楽しんでいました。しかし、長期的に在宅勤務を続けるとなった場合、毎日のように邪魔が入ると、軽く受け流すのも容易ではなくなります。一般的なオフィス環境に近づけるには、信頼性の高いWi-Fiが利用でき、Zoomでの会議中にもプライバシーを守れる空間を確保することが理想的です。

    リモートワーカーへの支援策

    C従業員がリモートワークに適した空間を確保できるよう、企業は次のようなことを行うとよいでしょう。

    リモートワーク手当を支給する:Bufferの調査レポート「State Of Remote Work(リモートワークの現状)」によると、企業の75%が、従業員の自宅での通信費を負担しておらず、コワーキングスペースの利用料金を負担していない企業の割合も、71%にのぼりました。こうした費用を毎月支給すると、従業員は適切に環境を整えて、リモートでも効果的に業務を進められるようになります。

    勤務時間を固定してもらうようにする:チームメンバーには、同居人の協力の下、静かに仕事ができる時間帯を確保してもらうようにしましょう。そうすれば、邪魔が入って気が散ることもありません。

    高性能なノイズキャンセリングヘッドホンを支給する:家にいると気になってしまいがちな雑音を遮断して、簡単に仕事モードに切り替えられるよう、メンバー全員にノイズキャンセリングヘッドホンを支給することを検討してみましょう。メンバーは集中力を維持し、生産性を高めることができます。

Zendeskでリモートワークが成功した秘訣

Zendeskにとって、この世界的なパンデミックは、自社の業務、ツール、サービスを見直す機会となりました。「デジタルファースト」「バーチャルな日常」という考え方を取り入れて、それこそが従業員、職場、働き方にとってカギとなるとし、そうした信念の下でさまざまな取り組みを続けてきました。その結果、決して簡単なことではありませんでしたが、パンデミックがもたらした変化に対応し、変わり続ける世界にも適応することができました。

以下では、皆さんのチームがリモートでも成果を挙げられるよう、Zendeskの戦略をご紹介します。併せて、人材・組織開発担当バイスプレジデントのFidelma Butlerと、組織開発担当ディレクターのIrene Changからの有益なヒントも、ぜひ参考にしてみてください。

  • まずは継続的な改善サイクルを根付かせる

    Zendeskの社内では、常日ごろから実験的な試みが歓迎されていたこともあり、リモートワークに移行する際も、準備に慌てることがありませんでした。

    Butlerは次のように話します。「(パンデミック以前から)相手やタイミングにかかわらず、積極的にフィードバックを提供し合うことが推奨されていて、エンゲージメントをより頻繁に測定する方法を検討したり、アジリティに関する能力の評価や教育を行ったりしていました。だからこそ、他の企業よりも少し早くスタートが切れたのだと思います」

  • ニューノーマルを受け入れる

    Zendeskは時代の変化に乗り遅れまいと、パンデミックがもたらした職場環境の変化にも、前向きに適応しています。物理的に離れていていても分散型チームのメンバーが効果的に連携できるような仕組みを新たに考えると共に、リモートワークになった従業員へのサポートに関しても、改善に努めてきました。

    Changは次のように話します。「私たちは、働く場所にとらわれないインクルーシブな環境を作り上げる方法を懸命に考えてきました。パンデミックの発生当初には、全従業員に健康増進手当を支給することを決めました。また、通信費の補助や、子供や要介護者のいる従業員への支援なども充実させました」

    「私たちは、働く場所にとらわれないインクルーシブな環境を作り上げる方法を懸命に考えてきました」

    組織開発担当ディレクター、Irene Chang

    また、リモートワークに移行した結果、従業員の間で平等性が高まりました。以前は、オフィスにいる従業員とリモートの従業員がうまく連携できないこともありましたが、今では全従業員がZoomを使っているため、だれもが同じ条件で会議に参加できるようになりました。Changは次のように述べています。「参加者全員の顔が一様に見渡せることから、会議がよりインクルーシブな雰囲気になったというのが、予想外のメリットでした。一部の従業員がオンサイト勤務に戻っても、こうした体制での会議はぜひ続けたいと考えています」

    新しい成長を遂げるためなら、Zendeskは過去を手放すことに抵抗はありません。Butlerはこう続けています。「(パンデミック以前の)企業文化をそのまま全面的に維持しようとは思いません。現在、社内のチームの40%はリモートで働いています。今後は、リモートワークを活用したデジタルファーストな文化が中心になっていくでしょうし、私たちはそれに適応するつもりです」

関連記事:リモートワーク導入を成功させる条件とベストプラクティス

CRMの導入でリモートへの移行をスムーズに

リモートワークの文化を取り入れる方法に関しては、どの企業にも有効なアプローチはありません。リモートワークへの移行を成功させるには、まずどれだけの成果が見込めるのかを確かめる必要があります。自社のニーズと成長ビジョンに基づいて、移行に伴う課題とメリットを比較検討しましょう。

覚悟ができたら、リモートワークへの移行を容易にするCRMの活用を検討してみてください。CRMを活用すれば、チームメンバーと常に連絡できる環境を整えて、各自がどこにいても同じ情報を共有できるようになります。

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