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属人化のリスクを回避!4つの解消方法とポイントを解説

更新日: 2024年10月14日

業務の担い手が特定の人に限定される「属人化」は、業務プロセスがブラックボックス化することで業務効率や品質の低下といった問題を顕在化させる恐れがあります。特に近年は働き方改革やリモートワークの普及などで属人化が増大するリスクをマネジメントや経営課題として認識し、属人化解消の取り組みを加速させる企業も増えてきました。

この記事では属人化の概要や原因と弊害、そして属人化を解消するための4つの対策について紹介します。

属人化の概要とその弊害

まずは属人化の基礎知識として、属人化の概要や原因、起こり得る弊害を解説します。

属人化とは

属人化とは、ある業務や作業をできるのが特定の人に限定されてしまう状態のことです。属人化した業務では業務フローやプロセスがブラックボックス化してしまうので、業務の詳細な内容や進め方が担当者以外にはわからない状態になります。

そのため、担当者の不在や異動・離職によって、業務が進められずに止まってしまったり、品質悪化につながってしまったりとさまざまな問題が顕在化しかねません。業務担当者本人の負担が大きくなるのはもちろん、組織全体にも悪影響を及ぼすため、組織課題・経営課題として認識し、早急に対策していくことが重要です。

属人化が起きる原因

属人化の原因はさまざまですが、以下のようなものが代表的です。これらが単独で、または重なり合って発生することで属人化が起きます。

  • 業務量に対する社員の質(能力)・量(人数)のリソース不足

  • 業務の標準化作業の不足や十分な量のマニュアルの不備

  • 業務の専門性の高さ

  • 担当者が業務の標準化に消極的

  • 業務遂行に必要なスキルが特定の社員に集中

  • 管理者のリーダーシップの欠如

  • 社内のコミュニケーション不足

  • 十分な教育・研修の不足

  • 属人化を助長する企業・組織の文化

  • 属人化防止に対する評価・報酬制度の欠如または不足

  • 業務に必要な環境(技術や政治・経済・社会構造など)の急激な変化への追随不足

属人化がもたらす問題・リスク

属人化が発生した組織は大きな問題・リスクを抱えます。ここではその代表的なものを3つ紹介します。

  1. 業務の停滞や効率の低下および営業機会のロスや顧客との関係悪化

    属人化によって業務プロセスが個人に依存した状態では、担当者の働き方次第でその業務の生産性が左右されます。担当者がたまたま多忙だったために特定の業務が停滞・遅延してしまうことがあれば、組織全体の生産性に悪影響を与えます。

    また、担当社員が自ら業務改善の意識を持たなければ非効率なまま業務が続いてしまうので、業務改善が進まず、ムダな長時間労働が発生しやすい状況に陥ります。さらに、属人化した業務の担当者が休暇で不在になったり離職したりした場合にチームメンバーにうまく引き継ぎができず、業務が停止するリスクも考えられます。

    属人化された情報が重要な顧客や取引先のものだと、担当者の離任などでうまく引き継がれなければ、顧客や取引先の信頼を失ったり、関係悪化を招いたりする恐れがあります。

  2. 業務の全体最適化が困難

    属人化した業務が存在する組織では、マニュアルや手順書といった標準化の仕組みがないため、担当者以外は業務フローやプロセスを把握していない状態です。そのため、担当者の視点では効率化・改善活動が進められていたとしても、それが業務プロセス全体から見て不要な業務であった場合、必ずしも全体最適にはつながりません。

    また、管理者やチームメンバーには問題の所在やその是正の方法が判断できず、属人化が深刻化するほどに結果として組織の機能不全を引き起こす可能性が高まります。属人化した業務では管理者が業務進捗や業務品質を正しく評価できないため、担当者ごとの業務負荷調整や、人事考課・人員配置の判断を誤るリスクも発生します。

  3. 業務品質の悪化

    属人化によって業務の品質が悪化する可能性があります。例えば、担当者不在時に業務を代行した社員が普段とは異なる業務プロセスを行ったり、必要な工程を飛ばしてしまったりするケースです。また、過失でミスが発生した場合、気づかずに放置する、不当に隠蔽するなどということがあると、内容によってはあとあと大きなトラブルに発展しかねません。

    さらに、代わりの担当者では業務ができないということになれば、顧客に「○○さんはやってくれたのに」「担当者によって言うことが違う」などの印象を与え、顧客満足度の低下につながります。

属人化については、下記記事でより詳しく解説しています。あわせてご参照ください。

属人化を解消する4つの対策方法とポイント

ここからは、属人化を解消し、業務を標準化していくための対策方法と、そのポイントを4つ解説します。

業務フロー作成と属人化している業務の可視化

まず、実態を正しく把握することから始めます。例えば、お客様からの問い合わせに対応する、調査結果を集計して報告資料を作成するなど、一連の業務を個別に分解・整理し、属人化している箇所がないかを見極めます。このとき、分解した業務プロセスの粒度(業務の最小単位)をそろえておくことが重要です。そして、業務プロセスごとに作業量や必要な日数・スキル、難易度などの情報を定量化します。

属人化している業務が明らかになったら、優先的に対応すべき箇所を明確にしていきます。定量化された情報はもちろん、属人化解消の難易度や効果の高さなども踏まえて評価し、優先順位を付けていきます。

権限や業務の分散化

属人化は、業務遂行に関する権限の集中や特定の人しか業務を処理できないという状況を引き起こします。その結果、その人が不在のときに問題が発生すると対処が難しくなります。権限や業務を適切に分散することで、属人化で生じるデメリットを回避し、以下のメリットを生み出せます。

  • 効率の向上


    複数の人への分散で、一部の人が過度な負担を負うことなく業務がスムーズに進むようになり、全体としての効率が向上します。
  • 組織の柔軟性の向上


    複数の人に分散させることで、問題が発生しても状況に応じて迅速かつ柔軟な対応ができるようになり、組織全体の適応力を高めることにつながります。
  • 早期発見・対策でエラーやミスによる問題の拡大化の防止


    特定の人しか業務を処理できない状況を回避すれば、各業務を複数の人が担当できるようになり、エラーやミスによる問題が起きても早期の対処が可能です。また、特定の人に権限が集中していたり、特定の人しかできなかったりする業務だと、エラーやミスの隠蔽が起きる可能性がありますが、複数の人がチェックできればそれを防ぐことができます。
  • モチベーションの向上


    権限や業務が適切に分散されることで、社員一人ひとりが自分の役割に責任を持ち、達成感ややりがいをより強く感じるようになり、それがモチベーションの向上につながります。

ただし、権限を分散するときには特に、適切なバランスが重要です。過度な分散は、責任の所在が曖昧になり、むしろ業務が停滞するリスクがあります。権限を分散させるときは、明確な役割分担や責任の所在を確立し、効果的に機能するようにする配慮が必要です。

ITツールを導入しナレッジマネジメントを推進

属人化を防ぐには、業務を通じて得た知識・ノウハウなどの「暗黙知」を、チーム全体で共有することで誰もが簡単に活用できる状態にしておくこと(ナレッジマネジメントの導入・推進)が必要です。ナレッジマネジメントに取り組むことで、業務フロー・プロセスの改善とより良いナレッジの創造が期待できます。

具体的には、ノウハウや改善ポイントをマニュアルに反映したり、データにしてデータベースに蓄積したりといった方法があります。このとき、ナレッジを収集・蓄積・共有するためのツールとして、各種ITツールを活用するのが効果的です。マニュアルの自動作成ツール、社内wiki作成ツール、ナレッジマネジメントツールなどを利用して、属人化の防止や解消に役立てましょう。

社内向けナレッジベース(FAQ)のイメージ図

属人化防止のためのナレッジマネジメントの推進は、現場の社員任せにせず、管理者が行うようにすることが重要です。そのうえで、属人化の解消が社員自身にとってもプラスになることを伝えて、ナレッジ提供者を評価し、現場にナレッジの蓄積・活用が定着するように支援していきます。手順書・マニュアルなどを回覧するだけではなく、社内研修や勉強会などを実施しながら正しい業務の進め方を浸透させていくことが必要です。

ナレッジマネジメントについては、下記記事で詳しく解説していますので、あわせて参照してください。

管理者・チームメンバーの意識改革

最後に、属人化が生まれにくい組織文化が作れるように、リーダーである管理者とチームメンバーの意識改革にも取り組みましょう。属人化を解消するためには、組織全体が協力し合い、情報共有やスキルの向上を重視する文化を醸成することが必要です。

このとき、管理者は組織の方向性を示し、社員に示唆を与える役割を担います。管理者が属人化の解消を重要視し、その意識を組織全体に浸透させることで、社員も自らの業務やチームの運営に関して意識的に改善を試みるようになります。管理者の強い意識があれば、そのような組織文化が生まれやすくなり、属人化を解消する土壌が整います。

組織文化の浸透・定着は、以下の流れで進めるのが効果的です。

  • 管理者として組織のあるべき姿を言語化する

  • 組織のあるべき姿に対して研修や勉強会でチームメンバーの理解・共感を促す

  • 管理者自らが率先して日々の業務に落とし込む

  • あるべき組織文化に沿った行動をしたメンバーを評価する

チームメンバーの協力がなくては、新たな組織文化の定着はできません。しかし、一度根付いた組織文化は簡単になくならないため、あるべき組織文化を明確に定義し、管理者自ら率先して業務に落とし込むことで徐々に浸透させていくことが重要です。

デジタルソリューション導入で属人化を解消した企業の事例

Zendeskは世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームで、属人化解消に欠かせない機能を豊富に備えています。ここでは、Zendeskを利用してヘルプセンター業務を自動化し、属人化の解消と業務効率化を実現した事例を紹介します。

情報システム部門の社内ヘルプデスクにZendeskを導入して自動化を推進【株式会社ISID-AO】

株式会社ISID-AOは、電通国際情報サービス(ISID)の戦略的グループ会社で、国内外の企業向けにシステム基盤設計から、構築、運用保守サポートまでを一気通貫で提供する企業です。

同社の事業領域は大きく分けて、デジタルインフラ事業、システムサポート事業、ユーザーサポート事業の3つです。このうちのユーザーサポート事業で、顧客の情報システム部門向けに提供する社内ヘルプデスクサービスにZendeskを導入しています。

導入前は、電話とメールで問い合わせを受け付けたあと、手動でCRMツールチケットを起票して応対内容を記録していたため、応対時間の長時間化や応対コスト、オペレーターの業務負荷に課題がありました。導入後は、Zendeskのヘルプセンター構築機能を活用し、チケットの自動起票や定型文の自動化などでオペレーターの業務効率改善を進めました。

その結果、Zendesk導入前と比較してオペレーターの平均応対時間が平均5分短縮したり、運用コストが20~30%削減したりと、大きな成果につながっています。また、Zendeskの導入によりオペレーター同士の情報連携がスムーズになったことで、各オペレーターのナレッジが共有され、業務効率化だけでなく属人化の解消も実現できています。

属人化のリスクを把握し早期解消に取り組むことが重要

特定の業務を担当する社員が限定される属人化。一定のメリットはあるものの、業務停滞や品質悪化などのデメリットやリスクの方が大きくなる懸念があります。
属人化を放置せず早期に解消するため、IT・デジタルツールを活用しながら業務フロー・プロセスの標準化・平準化に取り組みましょう。

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