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業務の属人化とは?ビジネスへの悪影響と効果的な予防・解消方法を解説

更新日: 2023年6月11日

業務の属人化が進むと、業務の効率や品質、組織力の低下を招き、経営にさまざまな悪影響をもたらします。株式会社デジタル・ナレッジによる調査結果では属人化は調査結果(注)で「長時間労働の原因になっている職場慣行の1位」「人材育成の課題の1位」に挙がっており、ビジネスに与える影響の大きさがわかります。

近年は、働き方改革やテレワークの普及で属人化が進行しやすい状況です。そのため、「業務の見える化、標準化・平準化、仕組み化」などのキーワードとともに属人化解消に取り組む企業が増加しています。この記事では属人化の基礎概念を解説するとともに、発生する原因や属人化のメリット・デメリット、属人化の予防・解消の効果的な方法について解説します。

属人化とは


属人化とは、業務の手順や詳細な内容および進め方を特定の社員しか把握しておらず、組織全体で共有していない状態を指します。属人化が起きると、ほかの社員が代行する場合に業務品質や効率に問題を抱えたままで進めなければならないリスクや業務の停滞が生じます。

なお、属人化には担当社員のモチベーションアップや個性を生かした質の高い業務遂行など、一定のメリットもあります。メリットを生かしつつ、属人化を予防・解消することが重要です。

属人化が生じる6つの原因

業務の属人化が発生・進行する主な6つの原因について紹介します。

1. 業務量に対して人的・時間的リソースが不十分

業務量が社員数や時間数に対して多すぎると、業務フローやプロセスの見える化、業務マニュアルの作成などの情報の整理・共有のための時間が十分に確保できません。
社員に属人化解消の意欲があっても、自分の業務処理に追われていてはナレッジやノウハウの蓄積のためのマニュアル化や標準化の時間が取れず、属人化が進行してしまいます。

2. 社員が業務の標準化やノウハウの提供に消極的

企業には、「ほかの社員よりも優位に立って高い成果を出したい」「自分が苦労して習得したノウハウや業務経験を他者に教えたくない」と考える社員が一定数います。特に、個人主義が行きすぎたりセクショナリズムが強かったりする職場にはそうした社員が多くなりがちで、他者に差をつけられるノウハウやナレッジを公開せずに個人プレーに走る社員が増えれば、属人化が発生・進行しやすくなります。

3. 縦割り組織によるセクショナリズムや過度な成果主義

業務の標準化やノウハウの提供に社員が消極的でなくても、企業風土としてセクショナリズムが強いと優れたナレッジなどの横展開や縦展開が行われず、属人化が進行します。また、成果主義が行きすぎれば、有益な情報を積極的に公開しない社員が多くなって、社員のレベルでも属人化が起こります。

4. コミュニケーション不足の企業風土

コミュニケーションを密に行う企業風土がないと、組織内や組織間での情報共有が進まず、社員が独自の方法で業務を進めることが多くなり、属人化が進行しやすくなります。
特に近年、働き方改革や感染症予防を目的に急速に広まったテレワークでは、社員同士が直接顔を合わせて会話する機会が減るため、コミュニケーションが不足しがちです。そのため、オフィスで勤務する場合と比べてコミュニケーションの量・頻度が落ちてしまい、スムーズな意思疎通ができずに属人化が加速します。

5. 情報を共有する仕組みや評価制度がない

社員の有益なナレッジ・ノウハウを収集・蓄積し、それらを検索して活用しやすくする仕組みがなければ、社員は手間をかけてまで情報を共有しようとは考えません。その結果、社員がナレッジ・ノウハウをため込み、属人化が進行します。

また、社員にとってナレッジ・ノウハウの共有は自分自身の売り上げ・業績に必ずしも直結するわけではありません。そのため会社の評価対象になりづらく、社員がノウハウ共有のメリットを感じないため、属人化が進行しやすくなります。

6. 業務の専門性が高い

専門知識や特殊技能、高度な判断が必要な業務は、特定の担当者に限定されることが多いため、属人化につながる大きな原因となります。これらの業務知識やスキル、ノウハウは言語化や図表化が難しく、担当社員の業務経験や勘をもとに業務が進められるのが一般的です。

ほかの社員が同様のスキル・ノウハウを習得できるようにしたくても、教育コストが多くかかってしまうことから、組織として対応があと回しになってしまいます。特に、小~中規模の組織では、代わることができる社員が少ないため、専門性を持った社員に業務が集中し、属人化しやすい傾向があります。

属人化のデメリット(問題・リスク)

属人化が発生・進行することで、ビジネスや組織マネジメントにどのような影響があるのでしょうか。属人化のデメリットを5つ紹介します。

1. 業務がブラックボックス化する

属人化は、限られた人しか業務の詳細を把握していない状態(ブラックボックス化)を生み出します。この状態では、以下のような問題が表面化します。

  • ブラックボックス化した業務は特定の社員しか処理できません。その社員が休暇のときや離席中、あるいは業務がオーバーフローしているときでもほかの社員が代行できないため、ボトルネックが生じて組織全体の効率が低下します。
  • 業務に詳しい社員が行っている方法が必ずしも最善ではない場合、その社員に業務を改善しようという意識がないと、改善されず非効率な方法のままで業務が継続します。
  • 業務に詳しい社員は企業にとって貴重な戦力であり、仕事を任せられる存在ですが、その社員に依存しすぎると社員、企業の両方にデメリットが生じます。
    詳しい社員に業務が集中することで、過労やストレスによりモチベーションが低下する恐れがあるだけでなく、企業には、その社員が十分な引き継ぎをしないで退職や転職をした場合に、業務が遅滞するばかりか停止するリスクも生じます。
    またその際に、重要なスキル、ノウハウ、ナレッジ、顧客・営業・技術などの情報が流出して、企業に大きなダメージを与える可能性もあります。
  • 業務が属人化していると、特定の個人の知識やスキルに依存した業務が増えるため、ミスや不正があっても組織として気づくのが難しくなります。また、問題に気づくことができても、その業務に関する知識やスキルを持っている社員がほかにいないため迅速な対処が難しく、問題が拡大する恐れが生じます。
    ミスや不正などの見落としが生じれば、個人だけにとどまらず、企業全体の問題につながります。再発防止の対策をしようとしても、ほかの社員にはどこにどのような原因があるのか究明しにくく、効果的な改善策の立案ができない可能性があります。

2. 優れた業務処理の方法や貴重な情報を組織全体で共有できない

優れた業務処理の方法や貴重な情報を誰が持っているのか正確に把握できず、それらを組織全体で共有できないことから、以下のような問題が生じます。

  • 業務品質のバラつきや効率の悪さの改善が困難になる
  • 人材育成や組織全体のスキルの底上げに課題を抱える
  • 社員の持つ能力を正しく評価できず、業務の負荷調整や最適な人員配置が進まない

3. 業務の全体最適化が難しい

属人化した業務は、その業務に精通した社員が担当していることによって効率的に仕事が進んでいるように見えますが、組織全体で見ると必ずしも最適に進められていません。
エンジンのみが優れた自動車を決して良い自動車と言えず、サッカーの技術が個々に優れた選手ばかりのチームが決して強いチームとは言えないのと同じです。最適化を図るためにはエンジンの良さや個々の選手の技術が組織全体で共有できている必要があります。

4. 経営環境の多様な変化への対応が難しい

企業を取り巻く外部環境は、目まぐるしく変化しています。複雑で予測が困難な現代において企業が持続的に成長していくには、環境の変化を素早く察知して行動できる柔軟性とスピードが欠かせません。

しかし業務が属人化していると、組織としての行動にそうした弾力性が失われます。従来の仕事の進め方に固執したり、特定の情報や限定された情報によって判断したりする可能性が高くなり、経営環境の変化への適応力が低下します。

5. 組織が活性化せず企業活力が低下する

業務の属人化が進むと、一般的に社員同士や組織間のコミュニケーション頻度が低下して、以下のような弊害が生まれます。その結果、組織の一体感が失われ、お互いに助け合って会社をさらに良くしたいという前向きな意識・行動が生まれにくくなり、企業活力の低下につながっていきます。

  • 情報伝達・意思疎通が滞り、ミスが起こりやすくなる。
  • 社員同士・組織間の連携が必要な場面でうまく連携できず、チームワークの悪化や業務効率・品質の低下が起こる。
  • 社員同士の意見交換がしにくいため新たなアイデア・挑戦が生まれず、社員が自己成長する機会が少なくなる。
  • 内部統制が取りにくくなり、コンプライアンス違反を招くリスクが高まる。
  • 顧客・取引先など、社外関係者からの信頼・評判が悪化する。
  • 社員のストレスの増大やモチベーション低下につながる。
  • 離職率の上昇(定着率の低下)につながり、採用コストや教育コストが増大する。

属人化のメリット

業務の属人化は企業に多くのデメリットをもたらします。しかし、一方でメリットもあります。属人化によるメリットを生かしながら、デメリットの顕在化を防ぐことが重要です。

1. モチベーションアップにつながり高い生産性が期待できる

属人化している状態、つまり業務の進め方が特定の社員に一任されている状態では、担当社員の裁量権が増大し、自分のペース・判断で仕事を進められるため、モチベーションが高まります。同時に専門性も向上し、個人として高い生産性を発揮できます。このような社員が増えることで、組織全体の生産性の向上が期待できます。

2. 個々の社員の専門性や個性を生かせる

デザイナーや企画職、営業職、技術・研究開発職、アナリストなどの専門性の高い職務は、特定分野や業務内容に対して高度な知識やスキルが求められます。これらの職務を行う社員には、個性や独自の感性・スキルを生かした方がより良い成果を上げられる可能性があります。

このような職務では、属人化を防止するより促進させることで前例のないアイデアが創出できたり、より丁寧な顧客応対ができたりするなど、属人化のメリットがデメリットを上回る可能性があるのです。

3. 役割分担の明確化で業務効率化につながる

属人化した状態で日々の業務を繰り返していれば社員の知識やスキルは自然に向上し、業務の進め方に慣れて処理スピードが速くなっていきます。また、自発的に業務改善や創意工夫を重ねることで、業務を効率的に遂行できるようになっていきます。そのうえでチーム内に明確な適材適所の役割分担が生まれれば、チームメンバーが自分の役割に専念できるようになり、協調性が向上してチームの生産性が上がる可能性があります。

属人化を解消することで得られる5つのビジネスメリット

属人化の解消で得られる主な5つのビジネスメリットについて紹介します。

1. 業務効率・品質を向上できる

属人化が解消され、標準化・マニュアル化が進んでいる組織では、詳しい担当者がいなくても業務を進められます。また、管理者が個々の社員の業務量を適切に把握して、社員1人当たりや業務プロセスごとの業務負担、業務量を均等化しやすくなります。

その結果、ボトルネックが少なくなって業務の停滞・遅延を防げます。さらに、社員ごとのスキルレベルが一定になるので、誰が業務を行っても同じ品質を維持でき、品質の低下を防止できます。

2. ノウハウやナレッジを蓄積・共有して広く活用できる

業務上のノウハウ、ナレッジなどが可視化され、資産として蓄積されることで、社員の急な異動や離職があってもスムーズに業務を継承できます。加えて、それらを活用することで、さらなる業務改善や新規のアイデアなどを創出でき、業務効率や品質の向上につなげられます。
それだけではなく、異なる組織や部門のノウハウやナレッジを共有すれば、組織や部門を超えたコミュニケーションが活性化しスムーズに連携できる効果も得られます。

3. 業務ミス・不正を減少させ、被害を最小化できる

業務が属人化すると第三者のチェックが入りにくいため、ミスが発生した際に見逃しや隠蔽につながりやすく、早期発見ができない可能性があります。そうした属人化のデメリットを解消できれば、業務に関する知識やスキルがチームメンバーに広く共有され、複数の人が関与できるようになり、ミスや不正が起きる可能性が低下します。また、問題が発生しても早期発見・早期対処できるため、被害を最小限に抑えられます。

4. 人材育成がしやすくなり、人材を流動的に活用できる

業務が標準化され、マニュアルが整備されている状態は、新人や異動者に対する教育コストを抑え、いち早く戦力として育成する効果が期待できます。また、人員の入れ替えや組織再編が容易となり、ビジネス環境の変化に合わせ、社員のリソースを流動的に有効活用することが可能です。

5. BCP対策などリスクマネジメントにつながる

BCPとは、自然災害・感染症の流行・サイバー攻撃などの緊急事態が発生した場合にも事業を継続できるように、あらかじめ対策を定めた「事業継続計画」のことです。緊急事態の発生時には、その場の状況を的確に把握し、優先度の高い業務を早期に復旧・継続させることが重要であるという、企業におけるリスクマネジメントに不可欠な考え方です。

属人化を解消することによって業務の標準化・マニュアル化が進むので、優先度の高い事業・業務の選定や事業再開に向けた計画を策定しておくことが可能です。

属人化の解消が特に必要な業務

属人化によるビジネス影響が大きいため、特にその解消に取り組みたい業務を4つ紹介します。

カスタマーサポート業務

お客様からの問い合わせを受け付け、各種の案内を行うカスタマーサポート業務は、属人化解消が不可欠です。担当者ごとに回答スピードが異なる、回答・応対内容が異なるなど業務品質にバラつきがあると、お客様からの信頼が損なわれ、顧客満足度の低下につながりかねません。

また、属人化解消は、業務フローの統一や応対ナレッジの共有による業務効率・生産性向上への効果も大きいので、積極的に解消を進めたい職務です。

バックオフィス業務

経理や総務などバックオフィス業務は、担当者ごとのバラつきをなくし、一定の品質で迅速に業務を提供することが求められる職務です。担当者不在時の業務遂行に支障があるとビジネスへの影響も大きいので、誰が担当しても業務ルールに沿った同じ水準の対応ができるようにしておきましょう。

営業業務

担当者が個人の裁量で顧客にアプローチしやすく、評価制度やポジションによっては自らの営業成績を第一に考えるため営業ノウハウの共有が進まず、属人化しやすい職種です。近年はテレワーク化が普及したことで、誰がどの企業に営業活動を実施しているのか、進捗状況はどうかなどの情報共有が進まず、より属人化が進行しています。

属人化により、営業実績の管理不十分のために上司がフォローできず売り上げを逃したり、業務引き継ぎが十分にできておらず顧客に迷惑をかけたりする事態が生じる可能性があります。

属人化の解消は営業チームの問題解決につながるだけでなく、個々の営業が持つセールストークや営業ノウハウを共有することにより、全体の成果の向上にも繋がります。属人化によって生じる問題の防止だけなく、組織全体でさらに売上を伸ばすために、営業という職種でも属人化の解消は必須と言えるでしょう。

ITセキュリティに関する業務

ITセキュリティに関する業務は専門性が高く、一定の業務経験や勘が必要なことから、特に属人化が起きやすい職種です。これを解消しないと、サイバー攻撃で業務が停滞・停止したり、情報漏えいで顧客や取引先に甚大な被害を与えたりする可能性があります。

対応が遅れるとその後の被害が拡大することから、ITセキュリティに関する業務はルール化・標準化が欠かせません。属人化を排除し、マニュアルに則した対応が迅速にできるよう、全社員が共通認識を持つことが重要です。

属人化の防止・解消の考え方と対策

属人化を防ぎ、解消する考え方と対策について紹介します。

1. 経営・マネジメント層の強い意志表明と周知


属人化によって非効率・部分最適になっていたとしても現場社員の目線では問題点に気づきにくく、属人化予防・解消の取り組みはスムーズに進められません。そのため、経営層、マネジメント層が率先して属人化によるリスクやそれを解消するメリットを言語化しましょう。

全社的な取り組みとして標準化・マニュアル化を進め、ノウハウ活用を評価する意思を社員に示すことが必要です。各社員が保有する情報やスキルを共有し、チームとして協力できるような企業文化を醸成することが、属人化防止・解消には重要です。

2. ナレッジマネジメントの導入

ナレッジマネジメントとは、スキル、ノウハウ、知見などの知識を組織全体で共有し、生産性向上や新たなイノベーション創出を目指す管理手法のことです。属人化を防ぎ、標準化・マニュアル化を進めるためにはナレッジマネジメントの考え方が欠かせません。日々の業務で蓄積されるノウハウをマニュアル化したり、データにしてデータベースに蓄積したりして、誰もが簡単に活用できる状態にすることが重要です。

ナレッジを社内向けFAQとして公開するイメージ図

組織管理者は、社員へナレッジ提供を促したり、ITツールを活用してナレッジの蓄積・活用を効率化したりして、ナレッジマネジメントが実行しやすい環境を構築することが必要です。
ナレッジマネジメントについては、下記記事で詳しく解説していますので、あわせて参照ください。

ナレッジマネジメントとは?
意味、手法、システムを解説

3. 業務フロー・プロセスの明確化と可視化

ブラックボックス化している業務も含め、一連のプロセス・フローを書き出し、可視化します。ここでは、不明瞭な箇所や担当者の経験や判断に依存する箇所がないかを確認しながら進めることが重要です。業務改善・標準化につながる箇所を洗い出し、業務をできるだけ簡素化することを検討しましょう。

また、既に特定の人に属人化していて文書化や図形化が難しい「暗黙知」が存在する場合は、SECIモデルを活用して「形式知」へ変換が必要です。

暗黙知や形式知については、下記記事で詳しく解説していますので、あわせて参照ください。

暗黙知と形式知を理解してナレッジ共有を推進し経営に活用する方法

4. マニュアル化と職務責任・権限の分散化

誰が業務フローやプロセスを実施しても同じ結果になるように、標準化・マニュアル化を進めます。ここでは、特定の業務に担当者を固定しないようにする、複数人かつ段階的なチェック工程を設けるなど、将来的に属人化が発生しないように、職務分掌によって各担当者の責任範囲をきちんと定めながら権限を分散させることがポイントです。

また、作成された手順書やマニュアルは、各社員に内容を理解させ、定着させることが重要です。共有フォルダに配置・回覧するだけで終わりにするのではなく、研修や勉強会などを実施しながら確実にマニュアルが活用されるようにしましょう。

5. 人事マネジメントの見直しと人事評価制度の設置

マニュアル化と並行して、業務責任の明確化や権限の分散などの人事マネジメントを見直します。また、業務の標準化や改善に貢献した社員を積極的に評価する制度を作り、業務の属人化の防止・解消を制度面で促進しやすくしましょう。

6. 属人化の防止・解消のための取り組みを継続

属人化解消に向けた活動は一回きりで終わらせるのではなく、継続していくことが重要です。PDCAサイクルを回しながら、継続的な業務フロー・プロセスの見直しと改善活動を実施し、企業文化として定着させていきます。

また、各社員による主体的な取り組みを促すため、社員同士が業務フロー・プロセスを見直し、改善のアイデア出しをする機会を定期的に設けることも有効です。これには、属人化を防ぐ効果はもちろん、社内の風通しが良くなる効果も期待できるので、積極的に取り組みましょう。

Zendeskを活用して属人化の予防・解消に成功した企業の事例


Zendeskは全世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームです。ナレッジマネジメントの推進に欠かせない機能を豊富に備えています。Zendeskを利用して属人化を予防・解消した企業の事例を紹介します。

アライドアーキテクツ株式会社「属人化した問い合わせ対応を改善し顧客満足度向上を加速」

アライドアーキテクツ株式会社は、ソーシャルテクノロジーによる国内企業向けのマーケティング支援事業や越境プロモーション事業を展開する企業です。同社は顧客からの問い合わせ対応に以下のような課題を感じていました。

・問い合わせ対応が属人化し、サポートの質にばらつきが生じている。
・問い合わせの受付チャネルが分散して、問い合わせ状況の把握・管理ができていない。
・プロダクトのマニュアルやよくある質問がPDFで公開されていたが最新化されておらず、顧客が自己解決できる状態ではない。

これらの課題を解消し、顧客サポートを改善するために導入したのが、問い合わせを一元管理できる「Zendesk Support」と、FAQサイトを容易に構築できる「Zendesk Guide」です。その結果、FAQサイトにより顧客の自己解決率が上がり、問い合わせ件数が減少しました。

またサポート担当者が顧客からの問い合わせに返信する際に、事前に作成した回答テンプレートが呼び出せるマクロ機能やFAQサイトから解決に役立つ記事を素早く検索できるナレッジキャプチャーアプリを活用することにより、1件当たりの問い合わせにかかる時間の短縮に成功しました。

顧客サポートの業務フロー自体は一定のため、カスタマーサクセスのメンバーの入れ替えがあったり新メンバーが入ってきたりしても、すぐにZendeskでナレッジを共有でき、新しいメンバーも問い合わせに対応できるようになります。

その結果、サポートが属人化していたころには考えられないほど、引き継ぎの際や運用に慣れるまでの工数を削減でき、業務改善に貢献しています。さらに、Zendeskによって顧客の声を開発部門にフィードバックしやすくなったので、顧客満足度・継続率の向上やリテンション強化につながる効果も得られています。

【Zendesk導入事例】
アライドアーキテクツ株式会社

属人化を解消し業務の標準化・平準化を進めましょう

業務の属人化はビジネスへのマイナス影響が大きく、人手不足や現業務の忙しさに追われて業務改善や標準化があと回しになると、深刻な問題を招きかねません。組織や企業全体で考えるべき問題として認識したうえで、業務の標準化・平準化を進めることが重要です。ITツールをうまく活用しながら、属人化解消に取り組みましょう。

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